武蔵転生記   作:masasoukoku

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第二十四話

カルネ村へ戻った時。

 

村人たちは仰天した。

 

「森の賢王だ!」

 

「なんで武蔵さんたちに懐いてるんだ!?」

 

だが。

 

レムたち子供たちは違った。

 

「ふわふわ!」

 

「乗りたい!」

 

賢王の毛に飛びつく。

 

賢王も満更でもない。

 

「や、やめるでござる」

 

と言いながら嬉しそうだった。

 

武蔵はその様子を見て笑う。

 

「人気者じゃの」

 

一泊し。

 

翌朝。

 

一行は再びエ・ランテルへ帰還した。

 

夕暮れのエ・ランテル。

 

今回の採取は大成功だった。

 

薬草は大量。

 

しかも質もいい。

 

さらに。

 

森の賢王という特大のおまけ付き。

 

ギルド前。

 

ンフィーレア・バレアレが深々と頭を下げる。

 

「ありがとうございました、皆さん」

 

「おかげで大量に……しかもこんないい品まで」

 

ペテルたち漆黒の剣も笑う。

 

「報酬が楽しみだな」

 

そのまま彼らはンフィーレアの家へ。

 

荷下ろしと整理のためだ。

 

一方。

 

モモンとナーベはギルドへ。

 

森の賢王の登録。

 

名前は――

 

「ハムスケ」として正式命名。

 

ハムスケ本人も気に入った。

 

「よい名でござる!」

 

その横で。

 

武蔵がンフィーレアへ手を差し出す。

 

「して」

 

「依頼料は?」

 

ンフィーレアが苦笑い。

 

「明日ギルドで精算します」

 

武蔵は頷く。

 

現金主義。

 

ナーベが冷たく言う。

 

「卑しいわね、クソ虫」

 

武蔵は肩をすくめる。

 

「飯を食うには金がいる」

 

正論だった。

 

そして。

 

武蔵はそのまま夕暮れの雑踏へ消えようとする。

 

だが。

 

ふと足を止める。

 

向きを変える。

 

ナーベの方へ。

 

彼女が警戒する。

 

「な、なによクソ虫」「何か用?」

 

武蔵は無言。

 

一歩。

 

また一歩。

 

ナーベが身構える。

 

モモンも見る。

 

その瞬間。

 

武蔵は――

 

すっと顔を寄せ。口付けた。

 

沈黙。

 

世界が止まる。

 

「え……?」

 

ペテル。

 

「ええええ!?」

 

ルクルット。

 

「えええええ!?」

 

ニニャ。

 

「なっ!?」

 

ハムスケ。

 

「でござる!?」

 

そして。

 

モモン。

 

「ええええええ!?」

 

だが直後。

 

アンデッドの感情抑制。

 

スン。

 

冷静に戻る。

 

(いやいやいや何をしてるんだこの人!?)

 

ナーベの顔が真っ赤になる。

 

怒り。

 

羞恥。

 

混乱。

 

そして何とも言えない感情。

 

ぐしゃぐしゃ。

 

「――ッ!!」

 

バチィィィィン!!

 

ビンタ。

 

普通の人間なら頭ごと吹き飛ぶ威力。

 

空気が裂ける。

 

だが。

 

武蔵の頬が赤くなるだけ。

 

ぴくりとも動かない。

 

ナーベが逆に震える。

 

(な……)

 

(硬い!?)

 

武蔵は頬をさすり。

 

ニヤッと笑った。

 

「また明日」

 

そのまま。

 

夕闇の雑踏へ消えていく。

 

ナーベはその場で固まった。

 

怒りながら。

 

赤面しながら。

 

拳を震わせる。

 

モモンは心の底から思った。

 

(本当に予測不能だ……)

 

だが。

 

ほんの少しだけ。

 

ナーベの胸の奥に。

 

これまで知らなかった感情が芽生え始めていた。

 

本人だけがまだ気づいていない。

 

シャドウデーモン 「緊急報告! 武蔵がナーベラル・ガンマさまへ口づけ」

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