夜のエ・ランテル。
漆黒の剣と
ンフィーレア・バレアレは、採取した薬草を抱えて
バレアレ薬品店へ戻った。
だが。
店内には。
先客がいた。
ズーラーノーン。
その中でも異様な気配。
クレマンティーヌ。
そして
カジット・デイル・バダンテール。
クレマンティーヌが笑う。
「うふふ~おかえり~」
「待ってたのよ、お姉さん♪」
ルクルットたちの背筋が凍る。
殺気が濃い。
異常な強者だ。
同じ頃。
冒険者ギルド。
モモンは
ハムスケの登録を終えていた。
だが。
隣のナーベが。
一言も喋らない。
ずっと顔が赤い。
武蔵にキスされて以来。
目も合わせない。
アインズも困っていた。
(いや本当に何なんだあの人)
その時。
薬品店の祖母。
リイジー・バレアレが飛び込んできた。
「助けておくれ!」
「孫のンフィーレアがさらわれた!」
アインズの目が鋭くなる。
「何?」
即座に移動。
バレアレ薬品店へ。
そして見た。
惨状。
店内は血まみれ。
徘徊しているのは――
ゾンビ化した漆黒の剣。
そして。
床には。
無惨に殺された
ニニャ。
そこで初めて気づく。
服の裂け目。
身体つき。
ニニャは女性だった。
アインズの内に怒りが走る。
(……そうだったのか)
静かな怒り。
だが深い。
アンデッド化してなお。
それは残った。
モモンは無言で。
ゾンビ化した漆黒の剣を斬る。
彼らへの手向け。
一瞬だった。
残された手がかりから
位置探査魔法を発動
目的地は「エ・ランテル墓地」
アインズが呟く。
その時突然。
ナザリックから通信。
エントマ・ヴァシリッサ・ゼータからの
緊急連絡。
だが。
「後だ」
アインズは切る。
今は優先順位が違う。
ンフィーレア救出。
そして。
報復。
ナーベが殺気を放つ。
「皆殺しにしますか?」
モモンの声は冷たい。
「当然」
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一方。
武蔵。
夜の街を歩く。
明日依頼料が入る。
金ができたら。
次の街へ。
別の強者を探しに行くか。
そう考えていた。
その時,止まる。
鼻が動く。
「……腐臭」
死。
屍。
そして,その奥に。
強者の匂い。
武蔵の目が光る。
「ほう」
笑う。
「まだいたか」
足が向く,自然に。
戦場の匂いへ。
向かう先は――
エ・ランテル墓地。
そこには。
クレマンティーヌ。
カジット・デイル・バダンテール。
モモン。
そして武蔵。
四つの異物が。
交わろうとしていた。
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夜の
エ・ランテル墓地。
普段なら静寂に包まれる死者の眠る場所。
だが今夜は違った。
墓石の間を埋め尽くす。
無数のアンデッド。
腐臭。
呻き声。
骨の軋む音。
完全に死者の軍勢の巣窟となっていた。
門番たちは震えていた。
「た、隊長……」
「こんなの無理だ……」
だが。
彼らは待っていた。
冒険者たちが来るのを。
その時。
黒い鎧が現れる。
モモン。
その横に。
ナーベ、ハムスケ
門番たちが叫ぶ。
「待ってください!」
「中は危険です!」
だが。
モモンは止まらない。
「どけ」
低い声。
圧。
門番たちは道を開けるしかなかった。
三者は一気に墓地へ突入。
アンデッドが群がる。
だが。
斬る。
砕く。
潰す。
進軍は止まらない。
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少し遅れて。
別の影。
宮本武蔵。
正門ではなく。
壁をひょいと飛び越えた。
門番たちは呆然。
「な……」
「また増えた……」
祈るしかない。
早く援軍が来ることを。
墓地の中。
武蔵は駆ける。
目にも止まらぬ速さ。
現れるアンデッド。
斬る。
斬る。
斬る。
首。
胴。
骨。
まとめて断つ。
「つまらん」
弱すぎる。
足も止まらない。
やがて。
遠くから聞こえる。
「うおおおおでござる!!」
ハムスケだ。
その場所へ寄る。
見ると。
ハムスケが有象無象のアンデッド相手に奮戦していた。
骨を噛み砕き。
ゾンビを吹き飛ばし。
転がって轢き潰す。
武蔵が声をかける。
「おい鼠」
「モモン殿たちはどこじゃ」
ハムスケが振り向く。
「あっ!」
「武蔵様!」
尻尾で奥を指す。
そこ。
古びた神殿。
墓地の中心。
「モモン様たちはあそこへ!」
武蔵の目が細くなる。
「あれか」
目的地。
理解した。
すぐに駆けようとする。
ハムスケが叫ぶ。
「武蔵様ー!」
「吾輩どうすれば!」
武蔵は振り向かず言う。
「おまえならできる!」
短い。
だが強い。
その一言。
ハムスケの背筋が伸びた。
「うおおおお!!」
「某はモモン様の家臣!」
「ハムスケでござる!!」
大奮起。
アンデッドを吹き飛ばす。
武蔵はもう見ていない。
そのまま走る。
途中の雑魚アンデッドなど眼中にない。
無視。
目的は一つ。
神殿。
そこにいる。
腐臭の中心。
そして。
強者の気配。
武蔵の笑みが深くなる。
「さて」
「今度は楽しませてくれるかの」
神殿が目前に迫る。
その向こうでは。
クレマンティーヌと
カジット・デイル・バダンテール。
そしてモモンたちが対峙していた。
そこへ。
第三の刃が到着しようとしていた。