武蔵転生記   作:masasoukoku

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第八十八回 【戻った!】

その夜。

 

カルネ村、武蔵の小屋。

 

武蔵の姿をしたナーベは布団に入っていた。

 

しかし――。

 

「……眠れない。」

 

天井を見つめたまま、大きくため息をつく。

 

「このまま……だったら……どうしよう。」

 

昼間、クレマンティーヌに言われた言葉が頭から離れない。

 

『このまま固定化する可能性もある。』

 

「……。」

 

(そんなの嫌。)

 

(一生この姿なんて。)

 

(武蔵は私の身体でナザリックにいて。)

 

(私は武蔵の身体でカルネ村……。)

 

想像しただけで頭を抱えた。

 

「いやぁぁ……。」

 

布団の中でごろごろと転がる。

 

「早く何とかしてぇ……。」

 

そう呟いたまま、疲れが勝ったのか、いつしか眠りへ落ちていった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

朝。

 

「ふあぁ……。」

 

大きな欠伸をして目を開ける。

 

「あれ?」

 

天井が違う。

 

木造の小屋ではない。

 

豪華な装飾の施された見慣れた天井。

 

「ここ……。」

 

飛び起きる。

 

「ナザリック?」

 

慌てて自分の頬を触る。

 

細い指。

 

滑らかな肌。

 

長い黒髪。

 

「え?」

 

鏡の前まで駆け寄る。

 

そこに映っていたのは――

 

漆黒の髪をなびかせた、美しい戦闘メイド。

 

「あっ!」

 

「戻ってる!」

 

「元に戻ってる!」

 

思わず飛び跳ねる。

 

「やったぁ!」

 

普段のナーベラルでは考えられないほど無邪気な歓声だった。

 

その声を聞きつけ、廊下から足音が近付く。

 

ガチャ。

 

「武蔵さん、どうしたんすか?」

 

ルプスレギナが部屋へ顔を出した。

 

ナーベは満面の笑みで振り返る。

 

「んふふ。」

 

「違うわ。」

 

胸を張る。

 

「今の私は。」

 

「正真正銘。」

 

「ナーベラル・ガンマよ!」

 

ルプスはぱちぱちと瞬きをした。

 

「あれ?」

 

「それじゃあ自然と元に戻ったんすね。」

 

「それはよかったっす。」

 

「……。」

 

ナーベはじっとルプスを見る。

 

「なんだか。」

 

「残念そうに聞こえるけど。」

 

「そ、そんなことないっすよ!」

 

ルプスは慌てて両手を振る。

 

「ナーちゃんが戻ってよかったっす!」

 

そう言いながらも、口元はわずかに緩んでいる。

 

(武蔵さんの姿で武技をぶっ放すナーちゃん、面白かったのに。)

 

そんな本音が顔に出ていた。

 

ナーベはじとっと睨む。

 

「……あとで覚えてなさい。」

 

「ひっ。」

 

ルプスは苦笑いを浮かべながら、一歩後ろへ下がった。

 

その頃――

 

カルネ村では。

 

「ふあぁ……。」

 

武蔵もまた目を覚まし、自分の大きな手を見て一言。

 

「おお。」

 

「戻っとる。」

 

まるで昨日の天気を確認するかのような、実にあっさりした反応だった

 

「おはよう! ナーベ」

 

クレマンティーヌが起こしに来た 昨日 落ち込んでいたナーベを励ますため

 

様子を見に来たのだ

 

「おう クレマン いい天気じゃの」

 

昨日と様子が違う

 

「あれ? もしかして 武蔵さん」

 

「もしかしなくても 武蔵じゃ」

 

「いつもの武蔵さんだ!」クレマンティーヌは彼の様子から元に戻ったことを確認する

 

「よかったわね」

 

「自然と戻ったな 次はお主と試してみるか」妙な提案をする武蔵

 

「か、勘弁して!!」

 

自分が武蔵になることを想像をして頭を振って断るクレマンティーヌだった

 




このエピソードはここで終了としたいと思います
ナザリックで武蔵が好き放題するストーリーや村でナーベが苦労するストーリーも考えたのですが収拾がつかなくなりそうなので
ここで一旦 このエピソードは終えて次に進みます
あとで追加エピソードを入れるかもしれません
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