その夜。
カルネ村、武蔵の小屋。
武蔵の姿をしたナーベは布団に入っていた。
しかし――。
「……眠れない。」
天井を見つめたまま、大きくため息をつく。
「このまま……だったら……どうしよう。」
昼間、クレマンティーヌに言われた言葉が頭から離れない。
『このまま固定化する可能性もある。』
「……。」
(そんなの嫌。)
(一生この姿なんて。)
(武蔵は私の身体でナザリックにいて。)
(私は武蔵の身体でカルネ村……。)
想像しただけで頭を抱えた。
「いやぁぁ……。」
布団の中でごろごろと転がる。
「早く何とかしてぇ……。」
そう呟いたまま、疲れが勝ったのか、いつしか眠りへ落ちていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
朝。
「ふあぁ……。」
大きな欠伸をして目を開ける。
「あれ?」
天井が違う。
木造の小屋ではない。
豪華な装飾の施された見慣れた天井。
「ここ……。」
飛び起きる。
「ナザリック?」
慌てて自分の頬を触る。
細い指。
滑らかな肌。
長い黒髪。
「え?」
鏡の前まで駆け寄る。
そこに映っていたのは――
漆黒の髪をなびかせた、美しい戦闘メイド。
「あっ!」
「戻ってる!」
「元に戻ってる!」
思わず飛び跳ねる。
「やったぁ!」
普段のナーベラルでは考えられないほど無邪気な歓声だった。
その声を聞きつけ、廊下から足音が近付く。
ガチャ。
「武蔵さん、どうしたんすか?」
ルプスレギナが部屋へ顔を出した。
ナーベは満面の笑みで振り返る。
「んふふ。」
「違うわ。」
胸を張る。
「今の私は。」
「正真正銘。」
「ナーベラル・ガンマよ!」
ルプスはぱちぱちと瞬きをした。
「あれ?」
「それじゃあ自然と元に戻ったんすね。」
「それはよかったっす。」
「……。」
ナーベはじっとルプスを見る。
「なんだか。」
「残念そうに聞こえるけど。」
「そ、そんなことないっすよ!」
ルプスは慌てて両手を振る。
「ナーちゃんが戻ってよかったっす!」
そう言いながらも、口元はわずかに緩んでいる。
(武蔵さんの姿で武技をぶっ放すナーちゃん、面白かったのに。)
そんな本音が顔に出ていた。
ナーベはじとっと睨む。
「……あとで覚えてなさい。」
「ひっ。」
ルプスは苦笑いを浮かべながら、一歩後ろへ下がった。
その頃――
カルネ村では。
「ふあぁ……。」
武蔵もまた目を覚まし、自分の大きな手を見て一言。
「おお。」
「戻っとる。」
まるで昨日の天気を確認するかのような、実にあっさりした反応だった
「おはよう! ナーベ」
クレマンティーヌが起こしに来た 昨日 落ち込んでいたナーベを励ますため
様子を見に来たのだ
「おう クレマン いい天気じゃの」
昨日と様子が違う
「あれ? もしかして 武蔵さん」
「もしかしなくても 武蔵じゃ」
「いつもの武蔵さんだ!」クレマンティーヌは彼の様子から元に戻ったことを確認する
「よかったわね」
「自然と戻ったな 次はお主と試してみるか」妙な提案をする武蔵
「か、勘弁して!!」
自分が武蔵になることを想像をして頭を振って断るクレマンティーヌだった
このエピソードはここで終了としたいと思います
ナザリックで武蔵が好き放題するストーリーや村でナーベが苦労するストーリーも考えたのですが収拾がつかなくなりそうなので
ここで一旦 このエピソードは終えて次に進みます
あとで追加エピソードを入れるかもしれません