「さぁ!注目のイベントがやって来ました!王者ブラックオニキスがかぐやいろPチームに宣戦布告and求婚!!」
「帝は多分ノリで言ってるだけだと思いますけど二回目なんでわんちゃんガチです」
そう解説するのは乙事照琴と忠犬オタ公である
そして帝が登場し、今試合が始まろうとしていたが帝はあることに気がついた
「挑戦受けてもらってありがと。…ってあれ?AOIはどうした?姿が見当たらないが……」
そう、この場には彩葉、かぐや、そしてもう一人女の子プレイヤーしかいなかった
「あぁ…それなんだけど」
そう言いながら彩葉は解説席を指さした
「そして今回解説としてスペシャルゲストを呼んでおります!!この方!」
「8000年とブラザーチャンネルの葵だ!よろしく頼む!」
「何やってんだあのゴリラ」
そう、そこにいたのは紛れもなくあのゴリラである
これには帝もいつものキャラを忘れ、素でツッコんでいる
「一応あいつにも手伝ってもらいたかったんだけど、『お前たちの力でブラックオニキスを倒してみろ!』って言って聞かなくて…」
「その…なんだ、無理すんなよ」
「くっ……!」
帝だけではなく他のプラダオニキスの面々も彩葉の苦労を表情から理解し、哀れみの視線を向けている
「あっあの!私ファンで…」
帝はそう話しかけて来た子の名前をプレイヤーネームから推測する
「まみ、今日は悪いけど手加減できない」
「わ、私の名前…ひゃうっ…」
「真美!?…真美!」
だめだ完全に脈が止まっている
そしてかぐやは倒れた真美から食べ物をむしり取っている
「…だめだ起きない」
「えぇーー!?三人いないと!!あっそうだ!ちょっと待って!」
そう言ってどこかにメールを打ち始めたかぐや
ダレニオクッテルカケントウモツカナイナー
「む?」
どこかのゴリラはメールが来ていることに気づき確認するとかぐやからだった
:ねぇ私たちと一緒にやろ!
:返事して
:ヘンジ シロ
おっと何と恐ろしい脅迫文でしょうか
これを受けても東堂は見守ろうと決意するが
:ねぇ目があったよね
:気づいてるよね
:何で無視するの
:ねぇねぇ
「あ、あの〜。大丈夫っすか?さっきからすごいメール来てますけど…」
「う、うむ」
心配して声をかけて来た乙事だが東堂はそれでも見守ろうと思っていた。だがその時東堂の目に映ったのは
「どうしよ…このままじゃかぐや試合できないよ…」
そう言って涙目になっているかぐやの姿だった
「……っ!?」
「ん?AOIさんどうしたんすか?急に立ち上がって」
「すまない。どうやら俺は行かねばならんようだ」
そう言って東堂は解説先から飛び降りた
娘にはチョロい東堂であった
「くっそーー!!葵と連絡つかない!!」
「完全に無視してるわねあのゴリラ」
「あっそうだ!!かぐやいいこと思いついた」
そう言って悪い顔をするかぐやだったがすぐに表情を変え、涙目で訴えるやうにいった
「どうしよ…このままじゃかぐや試合できないよ…」
かぐやがそう言ったその時
ドォンっっ
という音が場に響きその中心にいたのは
「待たせたな。二人とも」
そう言って東堂は砂ぼこりの中から出て来た
「葵おそい!!」
「てか結局出るなら最初から出ればよかったじゃない」
「いいや違うな。俺がいることを前提として戦うことがだめだと俺は言ったんだ。だがこれは悪いアクシデントが原因だ!ならおれが躊躇う理由はない!」
「えぇー、やっぱAOI出ちゃう?」
そう言う帝の顔は嫌そうでそれでいてどこか嬉しそうな顔をしていた
「てかどうすんの?作戦とか」
「ダーーーッと行ってシャタタタタ!!そんでバーーーーン!!」
「了解だ」
「はぁ…」
作戦を説明するかぐやにいつものように同意する東堂とこのチームにまともな作戦があるとは思っていなかったため半ば諦めている彩葉
「それでは試合スタート!!」
その声と共に試合が始まった
そしてブラックオニキスがとった行動は
「トライデント!トライデントっすね!!」
トライデントとは三人別々のレーンに行く一人で複数相手にしても勝てるという自信があるからこそできる戦法である
帝とはかぐやと彩葉が応戦し、東堂の相手は乃依があたった
「ここ…かなっ!」
そう言って乃依は弓を絞り矢を放つが
「む、なるほど狙撃か。いい腕だ」
東堂の持つ武器によって弾かれた
東堂は今、SETSUNAの大会で優勝賞品だった三節棍『遊雲』を装備している。その効果は使用者の膂力によって威力が変動するという東堂と相性の良い武器だ
「矢の飛んできた方角からして…そっちだな!」
「キッショ何でわかるんだよ」
そう言って東堂は乃依に向かって進むがその時
「ぬぅっ!」
「チっ。何でわかるんだよ」
東堂に向かって不意打ちを仕掛けた雷だったがその一撃も容易に防がれてしまう
そして乃依のいた場所を確認するがもうそこに姿はなかった
そこから東堂の脳内GPUはが弾き出した結論は
「足止めか!!」
「だから何でわかるんだよ。見た目にそぐわず勘のいいやつだ」
黒鬼陣営は最初から東堂を正攻法で倒せるとは思っていない。ならば全滅する前に足止めし、ヤグラを制圧する
だが
「行かせると思うか?」
「ぐっ」
東堂のコンボが始まる。これにハマると基本は抜け出せない
ならばどうするか
「こんなのはどうだ?」
「なっ!?」
ドォォォンっ
「おーーっと!雷選手が爆発したーー!?」
コンボを完全に決められ動けなくなる前にあらかじめ自身に仕掛けておいた地雷トラップを起爆させ自らもろとも爆殺する
はずだった
「ぐぅっ…」
「おいおい嘘だろ?」
帝が苦言を呈す
「おーーっと何ということでしょう!!あの距離で爆発を受けAOI選手まだ生きている!?これはどういうことでしょうか」
「おそらくあの状況でギリギリガードが間に合ったんでしょうね。それもジャストに近いタイミングで。控えめに言ってバケモノですね。ちょっと引きます」
東堂をここで仕留める予定だったが体力が残りわずかとはいえ生きていた。そこから東堂がとった行動は
乃依を仕留める
「おーっと!乃依選手一つ目のヤグラを占拠!」
ヤグラが制圧されたことを伝える解説
ならば今自身がすべきことは一つ目のヤグラと二つ目のヤグラの間で待ち構えること
そう思ったその瞬間東堂は駆け出した
「げっもう来た」
そう言いながら乃依は応戦するが全てかわすか止めるかされまともな一撃は入らなかった。
「これで終わりだ!!」
そう言って東堂は乃依にトドメを刺そうとしたその瞬間
目の前に矢が迫った
それを遊雲で弾くがその矢の後ろから隠れていたもう一本の矢が姿を現す
これは流石に避けられないと思う面々
だがしかし
ガキィンっ
「は?」
東堂はそれを歯で咥えて止めた
「ぺっ今度こそ終わりだ!」
「しまっ!!」
乃依があっけに取られているその隙に東堂は迫りトドメを刺した
これであとはヤグラに向かえば…
そう思っていたが
「帝選手が二つ目のヤグラを落としゲームセットです!」
会場に響いた声が語るのは敗北だった
「……ごめん」
私は何もできなかった
東堂は黒鬼の二人を相手だって勝利をおさめたのに自分はただ帝に圧倒されているだけだった
「先の話では帝はお前の兄だそうだな。この前話した事と何か関係があるのか?」
「……」
帝との会話で思い起こされた父との記憶や兄との思い出
それが彩葉の動きに少なからず影響を与えていた
「いいかマイフレンド。俺たちは全身全霊でこの世界に存在している」
「当たり前すぎてみんな忘れてしまった事だ」
「そして今!ここにいる者は全力で勝利に向かっている」
「そこに自身の事情を持ち込むのは時に、他者への冒涜に値する」
「……!」
しばらくの沈黙の後彩葉は口を開いた
「ねぇ
「何だ?」
「一回さ、喝入れてくれない?」
そう言って彩葉は現実で東堂に背中を向けた
そこに東堂は手のひらを打ち付ける
パァァンっ
それに対し観客は
「ふざけんなっ!いろPに何してんだこのゴリラ!!」
「焼くぞテメェっ!」
と、一気に騒がしくなった
だがそれと裏腹に彩葉の心は少しの揺らぎもない水面のようだった
「消えたか?雑念は」
「うん。雲一つない!」
ツクヨミ内でも東堂は術式は使えます。ですが一応周りにいるのは一般人であり、術式対象にできるだけの呪力を持っていないため使えなくなっています