ヒロアカ世界の烈火に八竜率いた柳が個性として宿った話   作:琴銀河

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第三話 試験中編 烈火、炎術全開

十一体目のロボを沈めたあと、

烈火は刺さった手裏剣を引き抜こうとした。

 

だが――

 

ギチッ……

 

刃が微妙に曲がっている。

ロボの内部フレームに当たったのだ。

 

烈火は眉をひそめた。

 

「……くそ。

 これじゃ真っ直ぐ飛ばねぇ」

 

柳が肩で覗き込む。

 

「烈火、曲がってしまいましたか?」

 

烈火は手裏剣を軽く振ってみるが、

空気の抵抗が明らかにおかしい。

 

「直すことはできるかもしれんが……この試験中は無理だな」

 

柳が肩で静かに頷く。

 

「はい。

 では――“彼ら”の力を」

 

烈火は右手を開き、

掌に濃い赤の火が“ボッ”と灯る。

 

柳が囁く。

 

「崩、お願いします」

 

火球は空中に浮かび、

烈火の周囲をゆっくりと回転する。

 

烈火は指先で“前方”を示した。

 

「……行け」

 

崩の火球がロボへ突進し、

胸部へぶつかって動きを止める。

 

ドンッ!!

 

ロボがよろめいた瞬間、

烈火は左腕を構える。

 

柳が囁く。

 

「砕波、お願いします」

 

烈火の腕に青白い炎が伸び、

刃の形を成す。

 

烈火は地面を蹴り、

崩の火球で止まったロボの懐へ飛び込む。

 

「……斬る」

 

シュッ!

 

砕波の炎刃がロボの脚部を切断。

続けて胸部の継ぎ目へ――

 

ガシャァァン!

 

ロボは完全に沈黙した。

 

烈火は砕波の炎を払うように腕を振り、

炎を消す。

 

柳が満足そうに言う。

 

「崩で動きを止め、砕波で仕留める……

 あなたの十八番ですね」

 

烈火は淡々と答える。

 

「……固定式でも、突っ込ませるくらいはできる。

 あとは急所を斬るだけだ」

 

柳は嬉しそうに尾を揺らす。

 

「はい。

 あなたの炎術は、あなたの戦い方そのものです」

 

烈火は前方の気配を探り、

再び走り出した。

 

「……次だ」

 

芦戸・尾白・吹出の三人は、

別のロボを倒してから合流しようと走っていた。

 

そのとき――

 

ドンッ!!

 

前方で火球がロボにぶつかる爆音が響いた。

 

芦戸が目を丸くする。

 

「えっ!? なにあれ!?

 さっきまで忍者くん、火なんて使ってなかったよね!?」

 

尾白はロボの動きを止めた“赤い火球”を見て分析する。

 

「……固定式の火球か?

 いや、あれ……押し出してる?

 誘導してぶつけてるのか?」

 

吹出は興奮して跳ねる。

 

「“ボフッ!”って飛んでって“ドガァン!”って止めた!

 なにあれ!?」

 

ロボがよろめいた瞬間、

烈火が影のように飛び込む。

 

左腕に青白い炎が伸び――

 

シュッ!

 

砕波の炎刃がロボの脚を切断。

続けて胸部へ斬り込み、ロボは崩れ落ちた。

 

芦戸は口を開けたまま固まる。

 

「……え、え、え!?

 なにあれ!?

 忍者くん、炎も使えるの!?

 てかあれ絶対ただの炎じゃないよね!?」

 

尾白は真剣な顔で言う。

 

「……あれは“斬ってる”。

 炎の形状を刃にしてる……?

 そんな器用なこと、普通できないぞ」

 

吹出は全力で叫ぶ。

 

「“シュバァッ!”って斬って“ガシャーン!”って倒した!

 やっべぇ!

 忍者くん、めちゃくちゃ強いじゃん!!」

 

芦戸は烈火の背中を見ながら笑う。

 

「うわー……

 あれはソロで行くタイプだわ……

 てか、あれ見たら追いつける気しないんだけど!」

 

尾白は苦笑しつつも、どこか感心している。

 

「……あいつ、節約戦闘から炎術に切り替えたんだな。

 判断が早いし、技の切り替えもスムーズだ」

 

吹出は拳を握る。

 

「よーし!

 俺たちも負けてらんねぇ!

 “ドドドッ!”って行くぞ!」

 

芦戸が笑って頷く。

 

「うん!

 忍者くんは忍者くんで頑張ってるし、

 私たちは私たちでポイント稼ご!」

 

三人は再び走り出す。

 

烈火は崩の火球を前方へ押し出し、

ロボの胸部へぶつけて動きを止める。

 

ドンッ!!

 

ロボがよろめいた瞬間、

烈火は砕波の炎刃を構えて飛び込む。

 

シュッ!

ガシャァァン!

 

ロボは二撃で沈黙した。

 

柳が肩で囁く。

 

「烈火、これで二十三体目です」

 

「……まだ行ける」

 

烈火は次の気配へ向かって走り出す。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!

 

地面が低く震えた。

 

烈火は足を止め、眉をひそめる。

 

「……なんだ?」

 

柳が肩で目を細める。

 

「烈火、この揺れ……ロボのものではありません。

 もっと……大きい」

 

遠くのビル群の向こうで、巨大な影がゆっくりと動いた。

 

ズゥゥゥン……!!

 

空気そのものが押し出されるような重低音。

 

烈火は息を呑む。

 

「あれは……」

 

柳が静かに告げる。

 

「ゼロポイントです」

 

受験生たちの悲鳴が遠くから聞こえてくる。

 

「うわあああああっ!!」

「で、でかすぎる!!」

「逃げろおおお!!」

 

烈火は踵を返し、別の気配へ向かおうとした――

 

ズシィィィン!!

 

ゼロポイントの足が地面を踏み抜き、

近くの建物が崩れ始めた。

 

そして――

 

「きゃあああああっ!!」

 

瓦礫が、受験生の真上へ――

 

落ちかけていた。

 

烈火は足を止める。

 

柳が肩で静かに言う。

 

「烈火……」

 

烈火は舌打ちした。

 

「……クソが」

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