ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
キダリイ「ではこうしますか。」
キダリイは懐からとんでもないものを取り出した。
そしてそのファイアバーナーは、業火を吹き出し、炎がモエウタに襲い掛かる!!
アーシエル「なんと!!! キダリイ選手はガスバーナーを用いて炎責めに出たああああああ!! これは厳しいぞモエウタ選手!!」
キダリイ「ロックフェスであるでしょう? 炎がぶあっと吹き出して盛り上がる奴。それですよ。」
キダリイ「すみませんが私はお行儀良くないので。おそらくあなたには火事のトラウマがある。利用しないわけにはいきません。戦いですから。」
しかしモエウタは炎をものともせず突っ込んでいく。
モエウタ「シンプルな原則をお忘れですか!? 人間、高揚するとアドレナリンが放出される! これにより恐怖が打ち消されるんですよ!!」
モエウタ(すみませんね、ミ=ゴさん!! あなたも雪男と同一視されている! 故に炎が苦手なはずです!!)
ミ=ゴ(問題ないって! やっちゃってよ、モエウタちゃん!!)
キダリイ「おっと、火事場の馬鹿力が発動しましたか。」
モエウタ「別に上手くないですからね!!!?!」
モエウタはキダリイの目の前までたどり着き、何かを取り出した! そして……
アーシエル「ぶっさしたああああああああああああああ!!! 何かをキダリイ選手に突き立てました!?」
ヨノバル「おそらくアレに違いありません! おそらく決定打になりうる!」
モエウタ「どうですかっ!!? 私特性のカクテル、『スチブナール』はっ!? 私はあなたの正体を見抜いていたっ!!! だから製造が終わっていたものを頑張って製造してもらったんです!!!」
モエウタ「あなたを、倒すために!!!」
スチブナールは日本住血吸虫に対抗するための薬品である。問題は副作用が非常に強いことであった。モエウタには好都合だった。もし彼女が日本住血吸虫の化身であるという予測が外れても、その副作用で弱体化できるからだ。モエウタは一撃必殺と言うより堅実に進めるタイプの女だった。
キダリイ(これはまずいですね。大丈夫ですか、ミヤリさん?)
ミヤリ(あなたはいつも冷静だよね……まあ仕方ないよ。でもお互いにダメージは本当に大きいはずだから、ここでミスったら負けるよ?)
キダリイ(そうですね……。)
モエウタ(やはりこれは…………。)
キダリイ&モエウタ(ダメージを回復しないと、死ぬ!!)
キダリイとモエウタは懐から何かを取り出した。
アーシエル「モエウタ選手はかにぱん、キダリイ選手はぶどうジュースを取り出しました!!」
かにぱんは静岡県発祥の菓子パン、ぶどうジュースは当然山梨県のぶどうを使ったジュースである。
ヨノバル「しかし…………。飲食できるのでしょうか?」
キダリイはぶどうジュースを飲んで回復しようとするが、スチブナールの副作用で嘔吐があり飲めない。モエウタは炎に包まれており、かにぱんは焦げてしまっている。
モエウタ「しょうもない決着ですね。」
モエウタはキダリイからぶどうジュースを奪い取り、飲み干した。
モエウタ「これあなたが作ったんですか? 美味しいじゃないですか。」
キダリイ「あ…………。」
モエウタ「あなたは回復できずに倒れます。最後に何か言うことはありますか?」
キダリイ「…………。」
キダリイ「日本住血吸虫は人々の対策の結果、終息宣言がなされました。」
キダリイ「しかし人の病の殆どは、無くならず続いています。風邪を根絶なんてできないのと同じように。」
キダリイ「そもそも人は死ぬ。人は病む。それを忘れさせてくれる万能薬が……。」
キダリイ「有害と言われ続けている、酒なのかもしれません……。」
キダリイ「………………。」
キダリイは力なく倒れた。
モエウタ「意識が薄れていくと思いますが、聞いてください。明日の11時に掛川駅南口に来てもらえれば……。」
モエウタ「案内いたしますよ。」
モエウタ「さようなら。」
アーシエル「決まったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
アーシエル「静岡VS山梨の頂上対決は、静岡に軍配が上がったああああああああああああああああ!!!」
歓声とともにモエウタは退場していく。
ヨノバル「これにて本日の試合は終了となります。御来場ありがとうございました!!」
<<<<<<<現実世界<<<<<<<
現実世界。妄想フェイズが終わって二人は現実に戻ってきた。
キダリイ「面白いですけど、面白いのは私たちの想像力では?」
モエウタ「よくこんなぽんぽん思い付きますよね……何か魔法の力が働いているのでしょうか?」
キダリイ「確かに私は笛吹市出身ですが、カードゲーム世界のキダリイさんが笛吹市なのは謎なんですよね……。日本住血吸虫の話をするなら甲府市の方がしっくりくるはず……。まあリニアや温泉の対立軸なら笛吹市……なのかな……。」
キダリイ「それよりも…………正直『彼女』って私なのでしょうか?」
モエウタ「謎ですね。ミ=ゴを自認していたり、ヴァンパイアだったりはしますけど……出身地は同じですけど……。」
キダリイ「だからノイズすぎるいろんな設定を除いて考えると……。1つしか考えられないんです。」
モエウタ「私は火事のトラウマありませんよ? キダリイさんも特に……。」
キダリイ「無いですね。だから……。」
モエウタ&キダリイ「寄生虫……ですかね。」
その時、八咫烏の本社食堂に2人の女性が現れた。
アキュー&アズサ「ここでワタシたち二人が登場するっすよ!!」
モエウタ「唐突ですね!? まあヤミヨロズ・アーカイブを紹介してくれたのはあなたですからね。ありがとうございます。」
アズサ「気になってるんだけど……八咫烏財閥の最終面接って誰と受けた?」
そのシンプルな問いに、二人は記憶を遡り、驚愕した。
モエウタ「………………あああああああああああああ!!!!!!」
キダリイ「そういえば、ニコイチ面接でしたね。」
ニコイチ面接。最終面接で2人同時に面接する方式。メリットは特にないが、何も言っていないのに「なんか2人のうち1人しか選ばれないのでは?」という圧がかかるデメリットがある。何のためにやっているのかわからない。
そして……。
キダリイ「そういえば、モエウタさん。ニコイチ面接で一緒でしたよね?」
アキュー「ワタシもアズサさんと一緒だったんすよ。」
アズサ「あの時は『こいつに勝たないと希望の部署に入れない』と勝手に思い込んで、自分を売り込みすぎてたのよね……。そしたら両方メインのゲーム開発には入れなかった。」
アキュー「そしてワタシとアズサさんは高校生時代にアメリカとイギリス留学経験があるという共通点があった。おそらくあなたたち二人にもある……。だからニコイチ面接をやったに違いない。」
モエウタ「…………。誰にも言わないでくださいよ。」
キダリイ「おそらく私たちは元々地元でニートだったんです。23歳になってから初めて八咫烏財閥を受けたんです。」
アキュー「え……。」
モエウタ「やはり当たっていましたね。おそらく大学も行ってません。歌手になろうとして心折れて、ずっと自宅でグダグダしていました。」
キダリイ「そしてなぜか八咫烏財閥からスカウトがありました。日本を代表する大企業なので、受けないわけにはいかないし、ニコイチ面接して両方受かった……という訳です。」
モエウタ「そして親は内定通知を見て言いました。」
モエウタ&キダリイ「やっと寄生虫がいなくなってくれる、って……。」
アキュー「…………。」
アキュー「なんだ……何が起こってるんだ……?」
アズサ「そんなに気にすること? そもそも謎なの? これ?」
アキュー「似た境遇の2人が八咫烏財閥のニコイチ面接を行い入社、その2人が些細なことで争い、偶然作られたカードゲーム『ヤミヨロズ・アーカイブ』で仲裁される……。」
アキュー「なんだこれは? どういうことだ? まるで意味が分からない。」
アズサ「運命じゃないの?」
アキュー「運命? いやこれは実験じゃないか? ナチスの双子実験……? いやそんなはずは……。ぶつぶつ……。」
アズサ「難しいことは全部運命でいいのよ。この子、ゲームバグ探す人だから全部の確率とか再現性を考えちゃうのよ。二人で妄想フェイズしない?」
モエウタ「そういえば、あの後カードゲーム世界の二人はどうなったのか気になります!!」
キダリイ「入りますか。」
モエウタ&キダリイ「妄想フェイズに!!!」