ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
<<<<<<<<現実世界<<<<<<<
現実世界で2時間後……。
アーシ「カードはできたけど、もう先生に『帰れ』って言われてしまった。」
ヨノバル「続きは近くの大学の食堂でやりましょうか。」
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アーシ「ついたぞ。」
ヨノバル「あたりは暗くなっていますね……不純異性交遊ですね……。」
アーシ「馬鹿なこと言ってないで新しく考えたカード『アズサ』の設定を考えるぞ……。」
アーシとヨノバルは集中できなかった。喫茶店の隣の席で大げんかしている二人の女性がいたからだ。
???「あなたはもう少し開発の負担を考えなさいよ!!! くだらないバグを開発に伝えて開発が遅れたら売り出せないじゃない!!」
???「ゲーム開発が遅れてるのは営業のあなたが変な要望をぶつけるからっすよね!? 『こうしないと売れない』って強制しちゃだめっすよ!?」
アーシ「あの……お二人さん。もう少し静かにしていただけると……。」
???「あ、すみません!」
アーシは二人に話を聞いてみた。
アキュー「すみません。ワタシ、宮崎阿求(みやざきあきゅー)と申します。八咫烏ゲームズのQA……バグをチェックする部署にいるっす……。そしてこの子が……。」
アズサ「水木梓(みずきあずさ)よ。ゲームを売る販売部署にいるの。ゲームを作ってる人じゃないけど、大事な仕事だと思ってるわ。」
アーシ「え!? あの八咫烏財閥の!?」
八咫烏財閥は米原市を根城とする超巨大企業である。『八咫烏に入るやつはすごい』というシンプルなフレーズでわかる通り、すごいのである! その起源は七夕伝説で、7日を7月7日と聞き間違えた烏に由来するといわれている。
アキュー「恋愛感情じゃない、恋愛感情じゃないっすけど、ゲーム開発部署のディレクターを取り合ってたっす。ワタシがバグ処理についてミーティングをしようとしたら、アズサさんも同時に入れてて……ブッキングしてて喧嘩になったっす。」
アズサ「この子とは運命を感じるけど今は正直敵なのよ。私は多摩美出身で、アキューが武蔵美出身だったり、何かと対なのよね。そして何より……。」
アーシ「アキューさんが東京都あきる野市出身で、アズサさんが東京調布市出身……ってところですか?」
アズサ「よくわかったわね……。」
ヨノバル(正直運命を感じざるを得ないな……。我の作ったカードゲームと同じ名前、同じ出身のペアが誕生している……。)
ヨノバル「そうですね、ではこの対決はカードゲームでつけてはいかがでしょう?」
アズサ「カードゲーム?」
ヨノバル「私たちカードゲームを作っていまして、名前は『ヤミヨロズ・アーカイブ』と言います。カードゲームでデュエルすれば皆友達になれるかもしれないと信じていましてですね。」
アキュー「でも正直、私たちアナログでもゲームに厳しいっすよ。」
アズサ「まあ、やってみるわ……。」
結果は散々だった。アキューはひたすら無限ループ(カード処理のミス)をひたすらについてくるし、アズサは「ルールが複雑すぎて、売るのは難しそうね」と何回も言っていた。しかし二人はポジティブなことも言っていた。
アキュー「このワタシと同じ名前のカードでブンドドしていいっすか? 自分の分身で無双するのは気持ちいいっすね。」
アズサ「そうね! それぐらいがちょうどいいんじゃないかしら?」
ブンドドとは普通フィギュアでやるものである。お互いにフィギュアを持って寸劇を演じるのがブンドドである。一人でやることの方が多いのだが……。
ヨノバル「良いですけど、この二人の設定を聞きますか?」
アズサ「聞きたい!」
ヨノバル「ではこの2人がどのように出会って戦うのか……妄想フェイズに入ります!」
そして世界はカードゲーム世界へと入っていく。アキューとアズサはどのように出会っていくのだろうか?
>>>>>>>カードゲーム世界>>>>>>>
ここはカードゲーム、ヤミヨロズ・アーカイブの世界。
ここではヤミヨロズと呼ばれる神々が普通に地元で暮らしている。ヤミヨロズの多くはいわゆる物に取り付く付喪神の亜種であり、御神体が存在している。ヤミヨロズは例外と謎が多いが、とにかく人々から「病みを抱えた八百万(やおよろず)の神、略してヤミヨロズ」として崇拝されている。なぜなら人は皆メンヘラ少女を可愛いと思うからだ。
それだけである。人間と神の戦争などはしていない、外敵のいないのどかな世界である。しかしさすがに刺激が足りない。
アーシエル「アーシは準備OKよ。ヨノバルちゃんは心の準備はOK?」
ヨノバル「大丈夫だよ。いけるよ!」
アーシエル「今日も素晴らしい戦いが見れるといいわね!」
なので、ヤミヨロズたちは格闘技に興じていた。
そしてこの世界にもアーシエルとヨノバルはいた。しかしギャル男と陰キャではない。名前が同じだけの全くの別人だった。どちらかと言うとアーシエルはママキャラと言った具合で、ヨノバルは快活な元気ヒロインと言った具合である。この2人は格闘技団体「ゴエティア」を運営している実況と解説であった。
アーシ「今日の戦いはGHQとBBCの戦いよ、盛り上がること間違いなし!」
ヨノバル「うん。頑張って解説するよ。勉強してるから市町村の情報は入ってるし!」
アーシ「じゃあ行こうかしら。ママがついてるから大丈夫よ?」
二人はアリーナに入場し、実況と解説席につく。司会も兼ねたヨノバルが高らかに宣言する。
ヨノバル「みんな、来てくれてありがとう!!!」
ヨノバル「今宵も『高き館の主』ことヨノバルのもとで、『ゴエティア』が開かれるよ!!!」
ヨノバル「今日のマッチもまさに『双子だけど双子じゃない』2人の対決だ!!!」
ヨノバルは自らも観客の熱狂に巻き込まれないように落ち着いて宣言する。
会場が暗くなり、スポットライトがヨノバルに当たる。
ヨノバル「その双子は似ていた。」
ヨノバル「ヤミヨロズは日本の神であるはずなのに、彼女たち2人は日本生まれではなかった。」
ヨノバル「そしてとある機関に雇われて日本にやってきた。」
ヨノバル「東京都だけど、23区じゃない都下に住んでいる。」
ヨノバル「そして彼女たちの最も大切な点は……。」
ヨノバル「『本物に勝ったのに、偽者となじられつづける』という闇を抱えていること。」
ヨノバル「こんな濃いキャラ、2人もいるのか!? いたら奇跡と言うほかない!!!」
ヨノバル「迎えましょう!!! その双子たちを!!!」
ヨノバル「ゴールドゲートから入場するのは『阿Q偽伝』アキュー!!!」
アキューが入場した。緑髪の彼女は釣り人のような恰好をしているが、へそ出しルックである。腹に謎の痣がある。
ヨノバル「シルバーゲートから入場するのは『外道で下衆で下世話な女房』アズサ!!!」
アズサも入場した。黒髪の彼女が目を引くのは大きなカチューシャである。そして目の下に魚のような黒い痣がある。少し怯えているようだ。
会場の意思は統一されていた。
観客たち「この2人、エロいぞ!!!」
ゴエティアはヤミヨロズ同士の戦いであり、ほとんどのヤミヨロズは女性なので、性的搾取されることで人気を博してきた。とはいえ別に神々は崇拝されていれば何でも構わないので、フェミニストでない限り性的搾取されても嫌な気分はしなかった。しかし変に露出の多い下品な恰好をすると「なんか違う」となり客が萎えるため普段着で挑むのがいいですよ、とヨノバルは推奨している。
ヨノバル「今回はアキュー選手とアズサ選手。この2名の戦いとなります。」
ヨノバル「ゴエティアのルールを説明いたします。……といっても、ルールはほぼありません。レフェリーもいませんし、武器使用など何でもありです。サレンダーもOKですが、過去の試合ではほぼ全て『片方の死による決着』が行われています。」
観客A「やばいだろ、何だこの格闘技? 死亡による決着で全て終わる? 格闘技団体と言えるのかすら怪しい。創作史上もっとも過激じゃないか?」
観客B「いや、ヤミヨロズは死んでも復活するし痛み耐性も非常に高い。だから殺し合いじゃないと決着がつかないんだ。」
この2人は初めてこの格闘技大会ゴエティアを訪れた。最初は皆面食らうが、次第には普通の格闘技興行では物足りなくなる劇薬である。ちなみにこの二人はまだまだ初級であり、アキューとアズサのエロさを理解していなかった。
ヨノバル「アキューさん、アズサさん、準備はOKですか?」
アキュー「大丈夫っすよ。」
アズサ「行けます。怖いけど、頑張ります!」
ヨノバル「二人とも海外生まれの選手ですが、ここは日本です。つまり……。」
ヨノバルは掲げた手を振り下ろし、目を見開く。
ヨノバル「勝手に!!! 戦え!!!!」
ヨノバルのこの言葉は、ゴエティアにおけるゴングである。
アキュー「速攻で決める!!!」
アズサ「ひいいいっ!!!」
戦いが勝手に始まった。