ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
先手を取ったのはジャスカだった。ジャスカは殴り合うつもりだ。パンチを次々とマヤに当てていく。
アーシエル「ジャスカ選手!! 急所にパンチを当てていきます!! 彼女の過去の試合はこのパンチだけで勝ってきました!!」
ジャスカ「これで勝てるほど……甘くないですよね、あなたは。」
殴っていたはずのジャスカの手は非常に荒れており、痛みが走る。
アーシエル「やはりこうなるかーーーーーー!!! ジャスカ選手の攻撃は、マヤ選手に効いていないどころかなんらかのカウンターを受けているっ!!!」
マヤ「さすがです。『ジャベリンアイ』の名前は伊達じゃない。」
マヤ「圧倒的な視野角と動体視力。カメラの付喪神故の超人的能力。うらやましいですね。」
ジャスカ「もちろんです。私は視野が360度あります。カメラの付喪神なので。動体視力もかなりありますが……。それはあくまで攻撃を当てるためのもの。」
ジャスカ「あなたみたいに、当たってもダメージを受けないタイプの相手が一番苦手なんですよね。」
マヤ「もちろん! 私は『シークレットファイル』の異名の通りFile=やすりの付喪神なんですよ。体がヤスリのような材質でできてます。身体が微振動しているので、ダメージは分散するし、触れると削れてケガしますよ?」
ジャスカ「ややこしいですね……。どうしたものか。」
ジャスカとマヤは今まで戦うことはしてこなかった。お互いの『秘密』のこともあるが、2人の性質から決着がつかないのである。仮にマヤがジャスカに攻撃しようとしても、ジャスカは動体視力からかわしてしまうだろう。
二人は止まってしまっていた。戦っても意味がないと感じていたからである。
ヨノバル「では、ここでタイブレークと行きましょう。」
ヨノバルが指パッチンすると、会場中央のモニターの表示が切り替わった。
***
それは特別席の2人を映し出していた。
???「こんにちはー。見えとるか?」
???「えっと………目線とか大丈夫ですか?」
アズサ「Wインタビューさせていただきます! まずは自己紹介をお願いします!」
シグラス「私はシグラスと言います。長崎県出身で、ジャスカさんの『友達』です。」
アリキラ「わしはアリキラ。広島県出身で、マヤさんの『後輩』じゃ。」
アズサ「お二人にとって、現在戦っているジャスカさんとマヤさんはどんな人ですか?」
シグラス「ちょっと変わってる人ですけど、いい友達ですよ。」
アリキラ「ちょっと変わってる人だけど、いい先輩じゃけぇ。」
二人はちょっと困った風に言った。
アズサ「で、どうしますかマヤさんとジャスカさん。」
アズサ「『秘密』について自分から言いますか? 彼女たちに言ってもらいますか?」
一旦モニターは試合中継に戻った。
ジャスカとマヤは黙っていた。そして1つの結論に至った。
ジャスカ「もしかして、マヤさんは『魂を削って』いますか?」
マヤ「ジャスカさん……『魂を抜いて』いますよね?」
お互いの疑念は確信に変わった。そして―――
ジャスカ&マヤ「私から言います。」
ジャスカ「マヤさんはおそらく、アリキラさんを昏睡レイプしている!!」
マヤ「ジャスカさんはおそらく、シグラスさんを殺害している!!」
ジャスカ&マヤ「何度も何度も……。あなたは野獣/外道だ……!!」
どよめく会場。正直『秘密』を抱えた2人以外、事態をよくわかっていなかった。
***
特別席でのインタビューは、放映されずとも続いていた。
シグラス「そんな深刻な話じゃないわよ? ヤミヨロズは復活するし?」
アリキラ「寝てるだけで、体をこすりつけられてるだけだけん、ぷよぷよを邪魔されなければ気にしないのぉ。」
シグラス「でも………確かにタイブレークにはなっているかもしれない。これで試合は変わる可能性が高い……。」
シグラス「まあ注意喚起はしておくわ。嫌な人はいると思うし。」
シグラス「ヤミヨロズは、ジャスカと密室で2人きりになってはいけない。」
アリキラ「ヤミヨロズは、マヤさんと密室で2人きりになってはいけんのう。」
シグラス&アリキラ「さすがに人間相手にはしないと思うけど、ヤミヨロズなら多分やってくる。」
シグラス&アリキラ「殺害/昏睡レイプされるから。」
試合会場に戻る。
アーシエル「お互いの本性が明らかになりました! それで戦法に変化は出るのでしょうか?」
観客はおそらく台本だと思っている説がある。そもそも女の子が女の子を殺害し蹂躙する姿を見たい観客ばかりなので、問題はない。民度は最底辺だが二人はそれに助けられていた。
ジャスカ「正直試合が停滞すると、ヨノバルさんは何かしてくるようですね。ではお互いに、膠着を打ち破る必要がありますよね?」
ジャスカ「なので、これもお許しください。だって私たち、『二人きり』でしょう?」
マヤ「いいですよ? これも使いますかねえ?」
ジャスカはナイフ、マヤは睡眠ガスを取り出した。お互いに笑いながら。
アーシエル「出てしまった!! ボロボロのナイフと、使い古された催眠ガス!! 一体いくつの被害者を産んだんだあああああああ!?」
ジャスカ&マヤ「『それぞれ』2人、ですよっ!!!!」
ジャスカは催眠ガス、マヤはナイフに襲われる!!
しかしヨノバルが期待した通りにはならなかった。マヤは睡眠ガスを散布するが、眼力で少しの色の違いをも見抜くジャスカは、吸わずに回避できている。そしてジャスカはナイフを取り出しマヤの心臓を貫こうとするが……。
アーシエル「全く!! ナイフが届いておりません!! そして……!!!」
ジャスカ「ここまで鍛えていましたか、マヤさん。」
アーシエル「刃の部分が塵になって消えたあああああああああああ!!?」
マヤの微振動は心臓の異常から来ているとのことだった。そして彼女の肌にはヤスリのような効果がある。つまり心臓を狙おうとすると刺さる前にヤスリで削られ、刃の部分が無くなってしまうのだ。これではナイフなど一切効かない。
マヤ「ちなみに、銃弾も効きません。昔は私、広島極道の面倒を見ていたので、狙われることがたくさんありました。まあ死ぬと面倒なので……この能力が手に入ったんです。」
観客「なんてことだ!? 強すぎんだろ!?」