ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
アーシエル「膠着状態です! お互い方法を考えています!!」
普段は暴走状態になってもブラックとトラマルが焼きそばとうどんを食べさせてくれるため、二人は大きな被害を出さずに戦えるようになっていた。しかしこのアリーナでは介護役は極限まで手を出してこない。そしてブラックとトラマルは自分の介護対象に焼きそばとうどんを渡していた。
シャークの住む上越市ではホワイト焼きそばが特産品である。当然マジキテルは香川県民なので、うどんが特産品である。なので食べさせれば戻る。簡単な原理である。まあ、もう少し事態は複雑なのだが―――。
そして二人は、ポケットにやきそば/うどんを入れられているその真意が、今までわからなかった。「自分で暴走状態を解除できるならば苦労しない―――どうしても食べる気にはならない―――」そう思っていた。しかしようやく使い道が分かったのだ。
二人が動く!
シャーク「このブラック焼きそばは!!!!」
マジキテル「この丸亀製麺は!!!!」
シャーク&マジキテル「相手に食わせて暴走を解除するためのもの!!!」
シャーク「この焼きそばで、死ねえええええええええ!!!!!」
マジキテル「食らえよ、この偽者のうどんをよおおおおおおおお!!!」
二人は爆ぜるような勢いでとびかかり、お互いの口に麺類をねじ込んだ!!!
そしてそれは両方の口内にクリーンヒット!! お互いに距離を取り、もぐもぐフェイズに入る!!
シャーク「新潟にうどんの文化なんてない!! うまいが無駄だ!!」
マジキテル「へえ、なかなかやるじゃん、でもさあ、香川県民が焼きそばで暴走解除されると思ってる!?」
二人とも酷い顔をしながらもぐもぐ咀嚼している。いわゆるゲス顔をしながらうまそうに頬張っているのはシュールな光景である。
しばらく時間がたち……。
シャーク「失礼しました! 少し暴走していたようです。あの忌まわしい言葉を聞いてしまったせいで……。」
マジキテル「ごめんね! 僕もちょっとやりすぎちゃったよ! でもお互い暴走しても互角だってわかったね!」
麺類なら何でもよかったようだ。
アーシエル「お互いさわやかな笑顔に戻りました! 試合は完全に膠着状態です! 暴走するトリガーも一緒で、暴走しても互角ならもう勝負はつかないのかああああああああ!? そして私も実況にポリティカル・コレクトネスを取り入れ気を付けていきます!! すみません!」
シャーク「……………。結局私たちにできることは一つしかありません。」
マジキテル「それは―――」
シャーク&マジキテル「回す、ことですよね?/だよね?」
シャーク(映写機は回して投影する。私は何万もの回数、手を回してきた。)
マジキテル(エレキテルは回して放電する。僕は何万もの回数、手を回してきた。)
シャーク「だから同じことをするだけです!!!」
マジキテル「こん比べだよね!? いいよ!? やったげる!!」
二人は考えていた。————これで決着がつくのか?
お互いにスタミナの差はあれ、何か対称性を打ち破る物が欲しい。そう考えていたが思いつかなかった。
そしてお互いに砲撃を再開する。しかし――――
アーシエル「どういうことでしょうか!!? お互いの放出スタイルが変わりました!!!」
アーシエル「マジキテル選手が電撃を広範囲に放電し、シャーク選手は電撃を集中して放っています!!」
アーシエル「これは――――逆になっています!! 何故でしょうか!?」
ヨノバル「おそらくお互いに相手のことを考えた結果、相手のスタイルを模倣しているのでしょう! そして入れ替わってしまったのです!!」
本来、映写機は光を拡散して人々を楽しませるためのもの。エレキテルは静電気を集めて人々を楽しませるもの。両方とも娯楽のためではあるが、拡散と集中でその手段は真逆であった。なので映写機の付喪神であるシャークは広範囲に弾幕をばらまくスタイル、マジキテルは一か所に電撃を集中させるスタイルをとっていたのだ。
お互いに「このままでは勝てない」と確信し、相手のスタイルを模倣することに専念。しかしお互いに同じことを考えた結果、入れ替わったのである。結局膠着は破れなかったが、いい気づきにはなっている。
シャーク「ならもっと……面白いことやってみましょうか!!」
シャークは映写機を逆に構え、回し始めた。そしてエネルギーが発射され、加速移動する!! 華麗に滑りマジキテルを翻弄する!
マジキテル「そんなことできるの!?」
シャーク「初めてやりました! 上越市はスキー伝来の地!! 正直私たち、スピードは遅いと思っていました! 必要なかったからです!」
マジキテル「動こうと思えば、動ける……か、いいね。」
マジキテル「来なよ!! こっちも『多分返せる』から!!」
アーシエル「マジキテル選手、構えます!! サメを待ち構えるイルカ、そのまま食い殺されるのか、あるいは!?」
シャークは圧倒的なスピードでマジキテルに激突するも―――
アーシエル「受け止めた!!!! 小柄なマジキテル選手がシャーク選手の突撃をタッチだけで停止させました!!!」
ヨノバル「おそらくこれは……。」
観客B「ビーチラグビー!!」
観客A「なんだそれ?」
観客B「ビーチでやるラグビーです!! さぬき市の『津田の松原』で遊ばれているんですよ!!」
観客B「とはいってもタックルではなくタッチルールが使われます! その力を使ってシャーク選手のタックルを止めたのでしょう。」
別の観客も「見」に徹していた。
観客C「良い組み合わせに限って決着がつかない。まあその分、女を見ることができるからいいんだがな。いいヤミヨロズがいたら市町村に行ってサインをもらってホクホクすることができる。」
観客D「馬鹿なことを言ってないで、よく見てよ!!」
観客D「あの二人、まだ『決着をつけること』をあきらめてないよ!」
シャークとマジキテルは疑念を抱いていた。
「これ、何で決着がつくんだ……?」と。
映画とゲーム、サメとイルカは出した。先生への愛は叫んだ。我を失い暴走し、麺類を相手にぶちこんだ。スキーとラグビーをぶつけた。あとは何が残っているんだ……? 「先生」ならどう考える……?
先生………? 先生って……。
シャーク&マジキテル「1人である必要は、無いよね?」
その瞬間、二人の闘気(オーラ)が爆ぜるように放たれた。
そして二人はゆっくり歩み寄り、殴り合いを始めた。
アーシエル「最後はこうなるのかああああああああああ!!! 殴り合い、殴り合いです!! 様々な戦いを経て、人VS人——いや、神VS神ですらこの結論に到達する!!」
ヨノバル「二人は徒手空拳は得意ではないはず!! おそらく地元闘気(ジモト・オーラ)でそれを補っているのです!!」
アーシエル「この力がどこから来ているかわかりません! このオーラは何でしょうか!?」
二人は「もう一人の先生」に謝っていた。
シャーク&マジキテル「すみません、今まで忘れてました/忘れてたよ!!」
シャーク&マジキテル「前島密先生!!!/玉木雄一郎先生!!!」
前島密は日本郵便の父とされる政治家である。玉木雄一郎は国民民主党の党首である。
アーシエル「やはり政治家VS政治家で互角ッ!!!」
ヨノバル「いや……これで、決まります……。」
ヨノバルは実況として寂しそうに言った。彼女も、この戦いをずっと見ていたかったのかもしれない。
次第にマジキテルが優勢になり始める。そしてそのリードはどんどん広がっていき…………。
アーシエル「決着ううううううううううううううう!!!」
フィニッシュブローでマジキテルがシャークを叩き潰した。
玉木雄一郎は東大時代、十種競技の選手だった。前島密に特にそのようなエピソードは無かった。肉体では有利を取っていたのだ。
アーシエル「アサイラムVSエレキテル!! その勝者となったのは―――」
アーシエル「『讃岐のエレキテル』、マジキテルだったあああああああああああ!!!」
凄まじい熱気を帯びた会場で、シャークは弱弱しく声を出す。
シャーク「最後に一つ言わせてください……。」
シャーク「平等にいろんな人を愛するのは無理だと……気が付きました。」
シャーク「私も前島密先生を忘れていたように、全ての存在を平等に扱うのは無理なんです……。」
シャーク「それなのに、自分は柏崎市に嫉妬して……愚かでした。」
シャーク「愛は絶対に、マイナスにならないのに……。あるだけでうれしい、のに……。」
シャークは力尽きた。
マジキテル「意識が残ってるなら聞いて。明日うどん奢るから。」
マジキテル「これるなら13時に、志度駅に来てほしいな。」
マジキテル「あ、お付きの人もね!!」
マジキテル「————さようなら。」
マジキテルは歓声に包まれて会場を後にした。