ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
その後、アーシエルは八咫烏財閥に付属している社員食堂へ招かれた。それぐらい重大なことなのかとアーシエルはおののいていた。
アーシ「ここが、八咫烏財閥の本社……初めて入ったな。」
受付「アーシエル様ですね。5階のミーティングルームへどうぞ。」
アーシエルが5階のミーティングルームに行くと、そこにはアキューとアズサ、マヤ……そして知らない3人がいた。
ヒスイ「こんにちは。私は清掃事業部かつ大阪派閥のリーダーである岡本ヒスイと申します。」
アーシ「こんにちはヒスイさん。あなたのカードです。」
ヒスイ「…………? なんで私のを……?」
ヒスイが名刺を差し出すが、アーシエルが出したのはヤミヨロズ・アーカイブのヒスイのカードであった。アーシエルは名刺交換をTCGのトレードと勘違いしていたのだ。ヨノバルが常に放っていたカードゲーマーの瘴気がアーシエルを蝕んでおり、アーシエルは着々とカードゲーム脳になっていた。
ヒスイは根源的な恐怖を感じたかのような顔で取り繕う。
ヒスイ「こ、高校生に言うのもあれですが、カードゲーム制作者なので名刺を持っておいた方が便利ですよ。」
アーシエル「すみません!」
ヒスイさんは優しそうに見える。しかしアキューとアズサの表情を見るとこれはほんわかした場面ではなさそうだ。
マヤ「これは私とヒスイさんにおける、代理戦争です。」
マヤ「ここにいるコノミチさんとエンジンさんの2人で戦ってもらいます。その勝敗を大阪チームと広島チームの勝敗に適用します。」
アーシ「わかりました。それではこちらのデッキをどうぞ。」
アーシはコノミチとエンジンの二人にデッキを渡す。
コノミチ「名乗ってないのに、なんで私の方がコノミチだとわかったんですか?」
アーシ「広島県民と大阪府民の顔って結構違うのでわかります。」
コノミチ「さすがですね……。」
エンジン「アーシさんは八咫烏財閥の中で『奈落の門番』って言われてるで。既に4ペアのもめごとを解決してるのはすごいことや。」
エンジン「でも今回はちょっと難しいと……思う……。」
アーシ「大丈夫です。二人でヤミヨロズ・アーカイブで遊び、戦ってください。」
コノミチ「わかりました……。」
マヤ「そうしてデュエルは過熱していき、危険な妄想フェイズへ突入する……。」
妄想フェイズに突入する!
>>>>>>>カードゲーム世界>>>>>>>
カードゲーム世界で、ヨノバルが挨拶する。
ヨノバル「本日の最終戦を行います!! ここまで見てくれて、ありがとうございます!!」
ゴエティアで試合が進み、最終試合。今回も「双子」同士の勝負と言うことで会場は緊張に包まれている。
ヨノバル「さて…………。」
ヨノバル「その双子は似ていた。」
ヨノバル「元々は人間だったが、信仰を得てヤミヨロズになった。」
ヨノバル「二人とも、時間を巻き戻す力を持っている。」
ヨノバル「そして白い固形物を出す能力も持っている!」
ヨノバル「最後に、この2人が出会うのは今日が初対面!!」
ヨノバル「こんな偶然ありうるのか!? あったら奇跡と言うほかない!」
ヨノバル「それでは入場です!! ゴールドゲートから『未来を駆ける心』コノミチ選手! シルバーゲートから『神々の遊戯』エンジン選手です!!」
コノミチはかなり色白で金髪の少女であった。改造和服の学校制服を着た、まさにお嬢様という雰囲気だ。エンジン選手はまさにイエス・キリストと言った風貌である。日本の神……いや日本人に見えない。しかし手にはサンパチマイクを持っている。これはとある舞台で使用されるものなのだが……。
ヨノバル「この戦いは、広島VS大阪の戦いの代理戦争となっております!! 数多くの戦闘員を戦場に送り込んできたマヤさんと、数多くの清掃員を派遣し洗浄を行ってきたヒスイさんが選んだ…………つまり……。」
ヨノバルは手を上にあげる。
ヨノバル「どこまで行っても、個人的な戦いです、勝手に!! 戦え!!!!」
試合が開始した。
コノミチは手をかざし能力を発動しようとするが―――
エンジン「はいどうも~~~。」
コノミチ「!?」
エンジンはマイクを持ち話し始めたのだ。
エンジン「私はエンジン、大阪府城東区から来ました! あなたは……。」
コノミチはあっけに取られていた。
エンジン「ほら、自己紹介!!」
コノミチ「えっと……。広島県尾道市から来ました、コノミチです……。」
エンジン「2人合わせて、まっしろリーパーでございます!!」
会場から拍手が巻き起こった。
エンジンが持っているマイクはサンパチマイク。お笑いライブなどでよく使われるタイプの立てるマイクである。
エンジン「私はヤミヨロズといっても、普段はお笑い芸人をさせてもろてます~。元々人間やったんすけど、神々を演じる芸をしていたら神になってしもてですね! いや、その芸1発ネタで、普段はこういう漫才してますねん!」
コノミチ「は……はあ……。」
コノミチ「私は元々女子中学生だったんですが、ひょんなことから神様になってしまって……。」
エンジン「説明たりとらん! 女子中学生がいきなり神様になるって、人柱にでもなったんか!?」
コノミチ「誰が人柱じゃ!!」
コノミチのツッコミが響き渡る。
そして数分間漫才が続けられた。
エンジン「もうええわ! ありがとうございました~。お手元のDボタンでどっちが面白かったか投票してください、それが戦闘結果でええです~。」
コノミチ「テレビじゃないんだから! もうええわ!」
エンジン「ありがとうございました~」
二人は爆笑の渦に包まれた会場を後にした。
コノミチ「いや、戦いましょうよ!!」
エンジン「ええツッコミやん。でもお互いに能力2つしかないやろ?」
コノミチ「それめっちゃ強いんで!! やりましょう!!」
仕切り直して戦うことになった。
コノミチ「では私からいきます!!」
コノミチは手を振りかざすと、会場の地面からボコボコと、真っ白なでかい大理石が湧き出てきた。せり立つ大理石がエンジンの足元をすくう攻撃となる!!
コノミチ「尾道市の観光地、未来心の丘をご存じですか? 大理石でできたスポットですよ。私は尾道市が聖地のアニメ『かみちゅ!』のように、女子高生から神様になった。なので大理石の神になったのです。」
コノミチ「しかし……初めてです……。」
コノミチ「私の『未来心の丘』をノーダメで潜り抜けるのは!!」
エンジンは間一髪で攻撃かわし切れて……いなかった。しかしダメージはないように見える。
エンジン「私の住む大阪府城東区は、牛乳石鹸の本社がある。これにより私はぬるぬるしてダメージを回避することができるのだ! もちろん……。」
コノミチ「ぐっ!!!」
アーシエル「大理石が崩れる!! 石鹸によって大理石の摩擦が無くなっているのかああああああああああ!? そして石鹸そのものも、湧き出しているぞおおお!!」
ヨノバル「会場がぐちゃぐちゃです。石鹸と大理石、世界が白に染まっています。この2人の実力は……互角!!!」
エンジン「神々の遊びのお笑い芸人『モンスターエンジン』、片方の出身地が城東区だ。私も同じように神々を芸で演じていたら、神になってしまったのだ……!」
コノミチとエンジン。この2人は運命の双子だった。
そしてヨノバルが言った通り、その能力の真骨頂は―――
コノミチ「『時をかける少女』由来の、タイムリープ能力!!」
エンジン「八剱神社由来の、タイムリープ能力!!」
時をかける少女——尾道三部作の2作目であるその映画は、タイムリープを描いていた。コノミチが神になる時、地元から受け取った能力だ。
城東区の八剱神社ではタイムリープできるという都市伝説が存在する。エンジンが神になったときに地元から受け取ったものだ。
そして戦いの時間は遡行していく―――