ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう―   作:Linkscape

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柔道にムエタイが有利なのかは諸説あります

アーシエル「猛攻です!! なまはげサイドは刃物ですが、座敷童サイドは素手!!! 素手でナイフに対応している!! 何だこの座敷童はああああああああああ!?」

 

座敷童X「俺は糞ババアが柔道を極めていることに対抗して、柔道に勝てる武術を追い求めた。その結果が、ムエタイだった。」

 

なまはげX「ヒャッハーああああああああああああああ!!! 削る削る削る削る削る削る削る削る削るぅ!!!」

 

アーシエル「なまはげ選手の非常に激しい刃物のラッシュ!!! 座敷童選手、受けきれない!!」

 

ヨノバル「なまはげの刃物は、なもみ(囲炉裏の火にあたりすぎた時にできる火傷)を剥ぐためのものです! 刺したり斬ったりはしない、つまりダメージは少ない、嫌がらせの技に近い!! そして―――」

 

座敷童X「『ムエタイの肘』は削れねえはずだ!!! 骨だからな!!!」

 

アーシエル「ムエタイの刃物で座敷童選手は対応するうううううううう!!!!」

 

座敷童の戦法は見事だった。ムエタイは肘によって相手を切り裂く戦術が強力とされている。しかし1つの違和感を座敷童は感じていた。

 

座敷童X「お前……『皮をかぶっている』な!?」

 

なまはげ「なんだあ、座敷童ぃ!? 俺はどうみても『なまはげ』だろお!? 人間じゃないのは戦ってたらわかるだろう!?」

 

座敷童X「…………なまはげは鬼の妖怪。そしてお前も妖怪なのは間違いねえ。」

 

座敷童X「そして……俺はお前に憎しみを抱いている……そこから導き出される結論は1つだけだ!!!」

 

なまはげ「聞かせてもらおうかあああああああああ!?」

 

再び『斬り合い』にもつれ込んでいく!! そして、座敷童の肘がクリーンヒット、なまはげの藁を切り裂いた!!

 

座敷童X「やっぱりな…………。」

 

なまはげ「…………。」

 

座敷童X「貴様の正体は……、秋田県に伝わる鬼!! 三吉鬼だ!!!」

 

藁と仮面が外れた姿は、また別の「鬼」であった。

 

三吉鬼「正解だぜええええ!? 俺は秋田と岩手の県境を守る妖怪、三吉鬼!!! 不思議じゃねえよなあ!? なまはげも人間が演じてるから、鬼がなまはげ演じてもいいだろうがよお!?」

 

三吉鬼は座敷童にとって最悪の相手だった。三吉鬼は秋田と岩手の県境を守る妖怪。つまり岩手の座敷童は秋田旅行しようと思っても、三吉鬼に邪魔されることが多いのだ。理由は―――

 

三吉鬼「低級妖怪が、秋田に入ったら殺される、ぜえ? さあ、どうする?」

 

座敷童X「簡単だ。」

 

座敷童X「自認を、変える。」

 

座敷童は懐から皿を取り出し、頭につけた。

 

座敷童X「俺は自認が河童のトランスカッパになった。河童としてお前を討つ!」

 

三吉鬼「ふうん……なるほどね。」

 

座敷童の腕力では三吉鬼にはかなわない。故に座敷童は友である河童の力を借りた。頭の皿によって『濡れている限り』パワーアップができる。

 

控室。アキューとアズサは戦況を冷静に見ていた。

 

アキュー「制限時間は持って3分程度……ってところっすね。」

 

アズサ「結局ムエタイVS刃物は変わらないのよね? どっちが勝つの?」

 

アキュー「これは……。まだわからないっす。」

 

アキュー「1VS1ならね。」

 

会場では二人が削り合いながら戦っていた。

 

三吉鬼「お前、ただの座敷童にしてはトオオモに執着しているな? 座敷童と土地神以上の関係があるんじゃあねえか?」

 

座敷童X「露骨な時間稼ぎっ……! しかし話すことは一つだけだ。」

 

座敷童X「座敷童は食糧難の時代、口減らしで間引かれた子供が妖怪になったものだ。石臼の下敷きになって殺されるんだよ。」

 

座敷童X「そしてトオオモはその石臼の集合体。俺はこのババアに殺された子供の1人にすぎないってだけだ。あいつは遠野市のドンに相応しいぜ。」

 

三吉鬼「じゃあ俺も言わせてもらうぜええええ!? なまはげは囲炉裏を囲みすぎてる奴の、火傷の痕を剥ぐだけの妖怪! 要するに囲炉裏であるハイロリ姫を囲んでいる、ただの囲炉裏サーのオタクの1人に過ぎなかったってわけよ。」

 

お互いに「まだ何かを隠している」と確信していた。しかしこれ以上の時間稼ぎは無駄だった。

 

しばらくの攻防の後————

 

三吉鬼「脇ががら空きだぜッ!!」

 

座敷童X「しまっ――――」

 

その瞬間———

 

三吉鬼「お……?」

 

三吉鬼の体が宙に舞う。

 

トオオモ「油断しちゃダメだよ……。これはハイロリちゃんと私の戦いなんだから……。」

 

トオオモ「座敷童くん……。ほんとごめんね……。」

 

トオオモ「償いきれないけど、私、勝つから……!!! 許さなくてもいいけど……。私、勝つから……!!」

 

座敷童X「トオオモさん……。」

 

三吉鬼「ぐはあっ!!!」

 

トオオモはぶん投げた三吉鬼の上に乗った。マウントを取ったのだ。これは三吉鬼の死を意味していた。

 

三吉鬼「や、やめろ!! これ以上罪を重ねるな!!!」

 

トオオモ「この世界で人ならざる者は殺されても生き返る……それはそれとして……。」

 

トオオモ「座敷童になってみる!?」

 

トオオモが一撃必殺の拳を振り下ろす!!

 

三吉鬼「ここまでか!!!!」

 

鈍い音が響き渡った。トオオモのマウントからのパウンドを食らって死ななかった者は、誰一人していなかった。「マウンティングフィリア」の名前は伊達じゃない。殺されたのは――

 

ハイロリ「さんきち……さん……。」

 

ハイロリだった。彼女は育ての親である三吉鬼をかばい、パウンドを受けたのだ。

 

トオオモ「ハイロリちゃん、動けるの!?」

 

三吉鬼「馬鹿野郎……!!!」

 

三吉鬼は隙を見逃さなかった。ナイフをトオオモに即座に突き立てる。

 

トオオモ「ぐっ……。」

 

こうしてトオオモとハイロリは倒れた。そしてそこからの試合は明白だった。

 

ハイロリが挟まってかばったとしても、一撃必殺のマウントの衝撃を逃がし切れない。三吉鬼は大ダメージを負っていた。その状態で、座敷童(自認河童)と戦うのは非常に厳しかった。

 

しかし―――

 

アーシエル「決着うううううううううう!!! 岩手VS秋田!!! 妖怪大戦争は、秋田に軍配があがったあああああああ!!!」

 

最後に立っていたのは三吉鬼だった。

 

観客A「どういうことだ!? 完全に座敷童が勝つ流れだっただろう!?」

 

観客B「座敷童の頭の皿が乾くまで何分かかる予定だった?」

 

観客A「あっ……!」

 

観客B「ハイロリは時間稼ぎができただけでも、偉いよ……。」

 

アーシエル「勝利と敗北の女神は、死亡していますがどちらも微笑んでおりますっ!!!」

 

会場は興奮の声が鳴り響いていた。

 

観客「どちらもすごいぞーーーーーー!!!!」

 

観客「素晴らしい戦いを見せてもらった!!!」

 

ヨノバル「それでは15分の休憩の後、最終試合を始めます!」

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