ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう―   作:Linkscape

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花火好きの雪女 VS 牛鬼を操る闘牛士

ヨノバル「お待たせしました。最終試合を開始します!!」

 

ヨノバル「その双子は1点のみで似ていた。」

 

ヨノバル「それは、闘牛が有名な街の妖怪であるということ!」

 

ヨノバル「シルバーゲートから『ファイアワークフォビア』ミオジャ選手!!! ゴールドゲートから『誤発注のマタドール』まらどる選手です!!」

 

二人が並んでいる。そしてまらどるのペット、牛鬼も。今か今かと獲物を待ち構えている。

 

ヨノバル「正直、闘牛はそこまでメジャーではないので……。」

 

ヨノバル「勝手に戦え――――」

 

その瞬間、花火が爆ぜた。

 

ミオジャ「悪いけど、そいつはもう花火を見れないぜ!」

 

ミオジャの花火は一撃で牛鬼を仕留めていた。力なく倒れる牛鬼。

 

ミオジャ「デカいからよく当たる。明日には復活してるだろ。」

 

まらどる「初手でこれ…………? やるじゃん!!」

 

ミオジャ「花火好きな雪女って珍しいだろ? 珍しいだけだけど。」

 

ミオジャ「まあ、夏の間溶けてるだけじゃ生きてけないし、花火を家業にしてたってだけだ。そのうちの俺がヤミヨロズになったんだけど。」

 

しかし戦いはスムーズには進まない。まらどるは典型的な回避偏重タイプ。ミオジャが大量に放つ花火を、マタドールのように華麗に避ける。そしてたまにミオジャに近づいてはちくちく攻撃する。その繰り返しだ。

 

観客「正直花火たくさん見れて楽しいけど、地味ではあるなあ……。」

 

観客「試合動きませんね。」

 

まらどるもそれを察していたのか、膠着を破りに行く。

 

まらどる「ざっこw この程度?」

 

煽りだ。精神攻撃はカードゲームでは基本である。

 

まらどる「ファイアワークフォビアって名前もいいけど……。」

 

まらどる「古い異名、『戦華』も好きよ?」

 

ミオジャ「…………。」

 

アーシエル「揺さぶりにかかった! ミオジャの過去とはいったい何なのか――――!?」

 

観客の中に、ヤミヨロズが1人いた。彼女は当時のミオジャを語る。

 

???「明治維新の時に起こった戊辰戦争で『小千谷談判』という事件がある。」

 

???「小千谷市……新潟に来た新政府軍に対し、戦いを回避しようとした小千谷の偉い人は失敗し、本気で戦うしかなくなった。」

 

???「当時は劇団四季のライオンキングのように、ガチで踊らない奴は排除されてたから、それはまあ仕方ないんですが……。」

 

???「小千谷を守るため戦ったミオジャはかなり強かった。『戦華』の異名が付くほどに。新政府軍のヤミヨロズたちをあと1歩まで追い詰めたが負けてしまった。多くの犠牲が生まれた。彼女は戦いながら、涙が止められなかった。」

 

???「だから彼女は自らのカノン砲という自認を変えて、花火と言うことにしたんですよ。」

 

???「まあ独り言です。さみしいねえ。まるで泣きアニメだ。」

 

???「まあ私にはパートナーがいませんが、いつ見つけてくれるんでしょうかねえ。まあこの世界だと、いつか見つかるかもしれないけど……望みは薄そうだ。」

 

???「戊辰戦争で嫌われて、現在は反AIに燃やされまくってる山口県萩市の相手をね……。相手はt出身kがいいな。」

 

試合会場ではにらみ合いが続いていた。

 

まらどる「正直あなたを倒すの大変なのよね。小千谷の雪女は本体が氷柱だから、普段やってる戦法が通じない。」

 

ミオジャ「あれだろ? 指で経穴を突いて倒す戦法だろ? 槍使わねえのか?」

 

まらどる「うーん、そうねえ……。私やっぱり心がガキだから……。」

 

まらどるがミオジャの目の前から消える! 軽いフットワークだ。

 

まらどる「相手の背後を取って囁くとか、相手を言葉でたぶらかすのが好みなのよね。」

 

ミオジャ「え、その、背中にやわらかいものが当たってるけど……。」

 

まらどる「そりゃ戦いだから当たるでしょ。」

 

まらどる「え、悲劇の戦士とか気取ってるけど、おっぱいすきなだけじゃん!? え、触る?wwww サレンダーしたら触らせてもいいわよ?」

 

ミオジャ「え、いや、俺は、その……。」

 

ミオジャ「悲劇の戦士が、女が、おっぱい好きでもいいだろ!!」

 

ミオジャ「俺は花火玉とかもそうだけど、丸いものが好きなんだよ!!」

 

ミオジャ「だって美しいじゃん!! おっぱいデカいキャラ出せば漫画は売れるし!!! 全人類好きだろ!!!」

 

観客は微妙な空気の包まれていたが、瞬時に構造を理解した。

 

観客「これは、くたびれたOLお姉さんをたぶらかす姪っ子の図だな……。」

 

おねロリの波動を全観客が感じ取っていたのだ!

 

ミオジャ「ええい!!」

 

ミオジャがまらどるを振り落とす!

 

ミオジャ「ガキは『わからせる』しかない!! 圧倒的な力の差を知ってもらうぜ!!」

 

ミオジャ「まずこれ!!」

 

ミオジャは花火筒を立て、ドでかい花火を打ち上げる。

 

アーシエル「おおっと!! ミオジャ選手の新戦法!! 天空に向けて花火を打ち上げた――――!? これはファンサービスなのか―――!?」

 

まらどる「違う!! これは……。ガチで火花が落下してくる奴!!」

 

ミオジャ「マタドールは牛を相手する都合上、平面での攻撃を回避するには右に出る者はいない!!」

 

ミオジャ「ならば天からの落下物はどうだ!? 避けられるか!?」

 

まらどる「ぐうううう!!!」

 

まらどるは1発だけ被弾してしまった。

 

ミオジャ「1発だけで抑えられるのは大したものだよ……。でもこの隙は見逃さねえ!!」

 

ミオジャは花火筒を持ってまらどるに突進する!!

 

まらどる「ぐうう!!!」

 

まらどるに花火筒が突き刺さる! シンプルな筒として、武器にも使えるのだ。

 

ミオジャ「そんでもって、こうするぜ!」

 

まらどる「筒を私ごと、持ち上げた!?」

 

ミオジャ「立てた筒にお前がのっかっている図になった。この状況がやばいのは分かるな?」

 

まらどる「素直に降りると格好の攻撃の的……。そのままいると、花火と一緒に打ち上げられる……。」

 

ミオジャ「綺麗な花火にしてやるぜ。遺言はあるか?」

 

まらどる「…………。」

 

まらどる「私、『好き』って感情がわからないのよね。宇和島の闘牛は牛同士が戦うからマタドールはいらないんだけど、牛が好きだから人々は来るわけよね?」

 

ミオジャ「…………小千谷もそうだぜ。」

 

まらどる「でも牛は無理やりたたかわされて辛いじゃない? それを見て人々は何を感じるんだろうって? 牛が好きなら、無理やり戦わされている牛を見てたら辛くならない?」

 

まらどる「不思議なことに、スペインの闘牛だとその疑問は出ないのよね。マタドールの方が好きで納得できるから。」

 

まらどる「というか『牛が好き』って何? 食材として好きと動物として好きと娯楽として好きが混ざってて、それって何? しかもこれって共存するのよね……。生き物として好きな相手を人々は食べれるのよね……。」

 

ミオジャ「わからん。」

 

まらどる「冷たいのね。」

 

ミオジャ「というか小千谷、新潟の闘牛は神事だから、みんな引き分けで終わる。娯楽じゃないからその話されても分からない。」

 

まらどる「え!? 引き分け!? うちは真剣勝負なんだけど!? その話、めっちゃ興味あるけど、もう終わりかあ……。」

 

まらどる「以上よ。」

 

ミオジャ「長い。悪いけど、その遺言———」

 

ミオジャ&まらどる「「没」」

 

まらどる「よね?」

 

ミオジャ「!?!?」

 

ミオジャが驚いたのは無理はない。まらどるは花火筒の上にいるはずなのに、背後に膨らみを感じたからだ。

 

ミオジャ「2人いる!?」

 

まらどる「そう。あなたの背後、花火筒の上、どちらかはダミー。」

 

まらどる「私はムレータの付喪神。故に片方はただの赤い布で気配だけ映しているわ。」

 

まらどる「どうするかしら? 2択よ? どちらに対応するかしら?」

 

まらどる「もちろん首は締める。冷気とどちらが先かしら?」

 

ミオジャ「ぬうっ……!!」

 

ミオジャ「………………。」

 

アーシエル「2択!! 2択です!!! どちらが本物のまらどる選手なのでしょうかああああああああああ!?」

 

ヨノバル「難しい局面です。間違えれば片方に逃げられて終わりです。」

 

しかし控室の意見は違っていた。

 

アキュー「これはもう、確定的にミオジャの勝利っすね。」

 

アズサ「え、でも1/2なんじゃ……。」

 

会場でもその通りに動いていた。

 

ミオジャ「まらどる!! お前は大切なことを忘れている!!」

 

ミオジャ「俺とお前とでは、タフネスに大きな差があるということだ!!」

 

ミオジャ「つまり俺は、お前ごと花火の発射口を俺に向ける!! 俺に向けて花火を撃つ!!」

 

ミオジャ「すると俺が布2つにサンドイッチされる形になり、衝撃が吸収されるが、お前は花火のダメージと壁のダメージを両方受ける!!」

 

ミオジャ「こうすれば勝てる!! 俺の勝ちだ!!!」

 

まらどる「さすがね………。」

 

ミオジャ「あとお前のこと離さねえから!! 回避させねえぞ!!」

 

ミオジャ「どうだ!! 手も足も出ないだろう!?」

 

まらどる「わからせられちゃった。」

 

ミオジャ「本当か!?」

 

まらどる「こっちはほんと。じゃあ最後に言わせてもらうわ。」

 

まらどる「あなた、すごくいい顔してるわよ。戦うのは好きなんじゃない?」

 

ミオジャ「そうかもなっ!!!」

 

ミオジャの顔は必死さと勝利を確信した愉悦に歪んでいた。しかし観客の評価は上々だ。

 

観客C「この顔が見たかったんだよ、ミオジャ……。」

 

ミオジャ「ブチ抜くぜ!!! FIRE!!!!」

 

ミオジャの花火は最大限に放たれ、花火→マラドル? ミオジャ マラドル?の重なりで発射された。ミオジャたちは吹き飛ばされ、壁に激突した。そして―――

 

ミオジャが震えながら立ち上がり、まらどるを見下ろした。

 

ミオジャ「これが『わからせ』ってやつか?」

 

アーシエル「け、決着ううううううううううううううううううう!!!!」

 

アーシエル「終わってみれば、ミオジャの圧勝だあああああああああああああああ!!! 回避の鬼、まらどるを破っての圧倒的な勝利!! この女に搦手は一切通用しない!!!」

 

アーシエル「勝利したのは、『ファイアワークフォビア』、ミオジャ様だああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

ミオジャ「悪いけど、鯛めし食いたいから今度そっち行くわ。」

 

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