ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
シンクロしていく妄想フェイズ
博士「みんな、元気しておるかのう? ヤミヨロズの研究をしている木戸博士じゃ!」
博士「強いヤミヨロズ弱いヤミヨロズそんなのトレーナーの勝手という言葉があるがのう、弱いものは弱いのじゃ。とはいえ……。」
博士「ダブルバトルなら話が違うかもしれんのう? ダブルバトルで強いヤミヨロズコンビを紹介するぞい。」
メルダム 蜂の巣箱の付喪神 むし/はがね
神奈川県民。鎮守府の面汚し。スピード種族値が凄まじく高い。
キャンディ ゴルフバックの付喪神 ほのお
京都府民。鎮守府の面汚し。スピード種族値が凄まじく低い。
博士「鎮守府といえば肉じゃがじゃのう。東郷平八郎がビーフシチューを改造して作らせたのが始まりじゃからのう。」
メルダム「あ、横須賀関係ないです……。」
キャンディ「発祥については呉と揉めてるわね……。」
博士「…………。」
***
アーシ「おはようアーシ……。」
心配でよく眠れなかった。この悪夢?は健在だが……。
昨日の夜は夜更かししてしまった。キャンディさんが心配でずっとツムギさんと連絡していたのだ。
***
ツムギ「キャンディさん、体調壊して休んでいるんですよね……。」
アーシ「そんな……。」
ツムギ「後から知ったんですが、メルダムさんと一緒に仕事するのがつらいって……漏らしていたそうです。」
アーシ「前のジャスカさんとマヤさんで戦った時も、結構押しが強いタイプに見えましたからね、メルダムさん……本当は嫌だったのかもしれません。」
ツムギ「家から出るのがつらいみたいで、いろいろ食料品を差し入れしに行ったんですが『さすがにメルダムとカードゲームするの辛いから!』って断られちゃったんです。」
アーシ「そうですね……。休職している人に無理やり苦手な人にあわせるのは難しい……。」
ツムギ「でもこれで鎮守府の絆が壊れるのは嫌だってマヤさんとジャスカさんも言ってて、マヤさんは『なんでもする』って言ってました。」
アーシ「想像だけど、メルダムさんはめちゃくちゃ仕事できる人で、組まされた人が差を見せつけられて壊れるタイプの有能なんですよね?」
ツムギ「そうです! あと、八咫烏の仕事形態は本当に他の企業とは違ってて、軍需産業と飲食店経営を同時にやらされるとかざらなんです。正直ブラックですが、本当に自分の強みは分かるし、強くなれるんです。そしてメルダムさんは軍事関係めっちゃ強いんですよ。」
アーシは正直、難しいと感じていた。
アーシ(アーシは高校生だから仕事のこととか全く分からない。今までは富士山とか、焼きそばとか、県民同士の争いだったからうまくいったけど……軍事なら機密事項もすごい多いだろうし……。)
アーシ(しかも片方は休職するまで追い詰められている……これも難しい。普通なら合わせないのが鉄則なんだろうけど……。)
ツムギ「難しいのは承知しています。なので私はあなたをたぶらかします! 私は悪い女です!!」
アーシ「!?」
ツムギ「うまくいったら、二人で!! この米原市にある七夕いちご園でデートしましょう! いちご狩りです!!」
アーシ「…………がんばります!!」
アーシ「アーシは、いくらでもたぶらかされますよ! そもそも休職している知り合いの食糧を届けたりとか、普通の人はやりません! あなたはすごい! だから協力するんです!!」
ツムギ「ありがとうございます!!」
アーシ「マヤさんがなんでもする、って言ってるのは本当に何でもしそうだな……よし。」
ツムギ「それじゃあ、あの二人に何でもさせましょうか。」
アーシ「八咫烏社内で一番仕事できる人と、一番仕事できない人を連れて来ましょう。それで何とかなる気がします。」
アーシ「少なくとも、ヨノバルならそう考えます。」
***
そうして放課後。ヨノバルとカードゲームを作る会。問題は本当に「最強と最弱」を作れば「極端に強いカード」と「極端に弱いカード」が救われるのかだ。
アーシエル「カードゲームで意図的なぶっこわれと、めちゃくちゃ弱いカードができることがある。これって意図していない場合もあるだろうけど、意図している場合はどんな時だと思う?」
ヨノバル「多分『なんとかなるだろう』以上の意味はないと思う。『これどう考えても壊れるの分かってるよね?』みたいなカード/テーマは遊戯王でも多々ある。ただ『強すぎるので禁止カード』『書き換え』という最終手段が使えるので問題ない。他のカードゲームならスタン落ち(昔のカードが使えなくなる)もあるので、案外『様子見』が多いと思われる。」
ヨノバル「ちなみにデュエルマスターズでめちゃくちゃ弱いカードは初期に集中していて、ゲームバランスを模索していた時になんかやたら弱いカードがぽつぽつあったりします。特に能力が無いしパワーもコストに比べて低い、みたいな感じです。とはいえデュエルマスターズはコストがあるので、コストに見合った能力を付けるということを徹底していればめちゃくちゃ弱いカードは理論上生まれにくいはずです。最悪マナにはなります。なのでコスト査定がしにくい新能力を作るとなるとミスりやすいのかもしれません。」
ヨノバル「ただ……我と私は1つの私見を持っている。」
アーシ「ん?」
ヨノバル「強すぎるカードはヘイトを集めるため、弱すぎるカードは逆に愛されるため。」
ヨノバル「開発者も人間なので、イラストが好みとか思い入れがあるとかで好きなテーマはきっとあるはずだ。それが強すぎて文句言われるのがつらいので、さらに上になんか強いの作ってヘイトを集めるという手法。インフレをインフレで抑えていけば、どこかでメタゲームが回りだすかもしれない。」
ヨノバル「逆に弱すぎるとネタになって愛されるので、アイドル枠として展開しやすい。あとから強化したら『ザガーン様強化ww』みたいにネタになる。普通に弱いカードよりかは幾分かコンテンツにとってプラスになりやすい。」
ヨノバル「自分はそう考えている。そして……。」
アーシエル「そして?」
ヨノバル「不要なカードなんて一つもない。上限と下限を定めることは意味がある!」
ヨノバル「作中世界の話をすると、ヤミヨロズの物理的な強さって結局どこまで? ってなったとき、世界崩壊させられるとなると微妙だ。逆の弱いのは人間の子供にも負けるのか? となるとそれも違う。だから世界観的に定めることは意味がある。」
アーシエル「確かに……カードゲーム世界を考える上で重要だ。」
ヨノバル「というわけでできました! 長野県東御市の最強キャラ、トーメと千葉県御宿町の最弱キャラ、ジュオンです!」
ヨノバル「もちろん暫定ですけどね……。」
アーシエル「さーて、八咫烏にも東御市と御宿町出身者がいてくれればいいが……。」
ツムギに連絡すると返事が返ってきた。
ツムギ「マヤさんとジャスカさんが見つけたようです!! 長野県東御市と千葉県御宿町出身だそうです!」
アーシエル「ビンゴ!」
***
リモートデュエル。某ウィルスの影響で、遠隔会議アプリを使って戦う新時代のデュエルである。社用の会議アプリを私用で使うのは良くないかもしれないが、目をつぶってほしい。
キャンディ「メルダムとやるのは辛いけど……だってアイツ絶対強いし。でもこの人とやるのなら大丈夫よ? 面識ないけど。」
ジュオン「よろしくお願いします!!」
その一方……。
メルダム「なぜやるのか、何の効果があるのかわかんないけど、いいよ! 私のカード絶対に強いから! だって横須賀市だもん!! 神奈川だよ!?」
トーメ「構わない。私、長野県東御市が相手しよう。」
そして不思議なことに……この2ペアは全く別々にデュエルをしているのに、妄想フェイズは全く同じだった。
妄想のシンクロが始まる――――。