ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
キャンディもまた、困っていた。
キャンディ(また私を負けさせて笑いものにする気かもしれないけど……この子そんなに強いのかな?)
キャンディ「じゃあ小手調べ! どうぞ!」
キャンディはゴルフクラブを投げた。
キャンディ「説明なしで行くわよ!!」
キャンディは本業がゴルフのキャディである。キャディはゴルファーのサポートをする職業で、どうすれば玉が飛ぶかをアドバイスする。そしてキャディはゴルファーではないので、ゴルフクラブを使うわけではない。渡すだけ。
キャンディ「やっぱしておく。私のゴルフクラブは『受け取ると強化弱体化がある』か『地面に落ちると爆発する』かの2択なの。つまりあなたは見極めないといけないわけ。」
キャンディ(メルダムはよくわかってるけど、これは避ける一択なのよ。爆発の範囲は広くないからね。まあ……。)
キャンディ「ついでに、これぐらいは対応してもらわなくっちゃね!!」
キャンディは火の玉を口からはいた!! メルダムにはボコボコにされて封じられていたが、これが本来の彼女の戦術。
ゴルフクラブで撹乱している間に、火の玉を吐く。ちなみに火の玉を吐ける理由は、舞鶴市がギャル曽根の出身地だから。何でも食えるのである。正確には奇祭『城屋の揚松明』で使用する松明を食べている。ちなみにファミレスのトマト&オニオンの本社が移転したのはキャンディが馬鹿みたいに食うからである。
アーシエル「火の弾です!! こうしてみると壮観です!!! キャンディは雨から連想され名づけられている異名!! 火の雨をどうかわすのかあああああああああ!?」
キャンディ(さあ……どう? いけるかな!?)
ジュオン「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
キャンディ(え……。)
ジュオンはゴルフクラブをつかもうとして、さらに火の玉全てに直撃した!!
キャンディ「わざとあたりに行ってるの!? じゃあ次はこれ!!」
キャンディ「んばあ!!」
キャンディは火の玉を吐く。これは『レインボーの法則』に則った技である。これは経営理論を応用した、同心円状に火を吐く方法である。
キャンディ(まあ、流石に避けられるかな。私に近づけばいいだけだし……。)
ジュオン「よし、よけられ……。ぎゃあああああああああああああああああ!!!」
キャンディ(ええ!? これもダメなんだ!? ちょっと頑張ってる様子は見えたよ!? でもダメなんだ!? これよけられないんだ!?)
アーシエル「すでにジュオンはボロボロだあああああああああ!!!! 腐っても鎮守府!! 強大すぎる敵だあああああああ!!!」
観客「ジュオンがんばれえええええええええ!!!!」
観客「ジュオン頑張ってる!! もう頑張ってる!!」
キャンディ(応援されてるな……。)
キャンディ「ええっと……ごめん。千葉県には疎くて、千葉県御宿町って知らないんだけど、人口いくら……?」
特殊能力によって強さはいくらでも変わるが、ヤミヨロズにおける市町村の人口はポケモンで言う種族値に似ている。もちろん完全な比例関係ではないが、人口が多い街は戦闘ステータスが高い。知名度なども関わるので何とも言えないが……。
ジュオン「6600人くらいかな!」
キャンディ「ええ!?」
キャンディ(ラクダっぽい動きでゆっくりしているし、これじゃ勝負にすらならない!! ……でもメルダムとやってる東御市は28000人ぐらいって聞いてるけど……。とにかく、かなり弱い部類で応援される、競馬のハルウララみたいなポジションなのか……? でもこの子雰囲気ラクダっぽいんだよなあ。)
キャンディ(そして舞鶴市は75000人いるけど、恵まれてたんだ……。)
キャンディ(というか私って恵まれてない!? 旧鎮守府のくくりで見るとひとり負けしてるけど……いや、やっぱりきついわ!!)
キャンディ(だって周り20万超えとかだもん!! 宇治市も強いんだよなあ~17万人もいるもんね!! やっぱ私きついよ!!)
キャンディ(というか鎮守府のみんな2面性あるけど、私は脳内で口調違うだけでインパクト薄いのも、辛いんだよね……。なんか二重人格になった方が良いのかもしれないけど、それって痛い奴だし……。)
観客「そういうのでいいんだよ。」
キャンディ「え!? 思考読まれてる!?」
キャンディ(ああ……そごう時代はよかったなあ……あれが天職だったのかもしれない……。)
キャンディの心中に浮かぶのはとあるヤミヨロズだった。
キャンディはかつて、とある舞鶴市出身の男性と共に「そごう百貨店」の再興を任せられていたことがあった。その時の関係で読売新聞社の正力松太郎とやり取りする必要性にかられ、その縁で正力お抱えのヤミヨロズと戦った。
彼女は『痛み』を極端に嫌がる貴婦人だった。かなり怯えているのでやりにくいと感じたキャンディはもうゴルフでやらない? と提案し、その通りになった。
キャンディ(いや、今このエピソード関係ない!! 全く関係ないよ!? 伏線の貼り方下手くそすぎない!? ごめんねヨミユリさん!! ゴルフでボコボコにして!! ハンディ甘かった!! 甘かったよ!!!)
キャンディ(もうだめだ……。)
***
メルダム/キャンディ「ごめん、キャンディ/メルダム! これ無理、なんとかして!」
二人同時にギブアップした。
キャンディ&メルダム「…………わかった! いったんみんなストップ!!」
他の2人も動きが止まった。
キャンディ「私たちの目的は何かしら?」
メルダム&トーメ&ジュオン「…………?」
キャンディ「そうなのよね! なんでこんな事してるかわからない! なんか戦ってるの! 体が闘争を求めてるから!! ごめんね!!」
焦るキャンディだが取り直す。
キャンディ「目的が無いならね、普通にね、見に来てくれてる人のために面白い試合にすべきだと思う!! これはバトルだけど興行だから!!」
キャンディ「この4人はかなり実力差が激しい! トーメさん>メルダム>私>ジュオンさんって感じになってる。だから誰がどう戦っても公開処刑にしかならない! これを望んでいますか皆さん!」
観客「もちろんだ!! キャンディみたいないい子が無慈悲にボコボコにされるのがとても魂に響く!! 投げ銭したからね!! ここで3VS1でやられたら、20万あげるよ!!」
キャンディ「あ、ありがとー……。」
キャンディはこの場の民度を見誤っていた!!
***
控室での会話。
アズサ「ゴエティアの客層って考えたことある?」
アキュー「上流階級の人が多いっすけど……よくわからんす。」
アズサ「客層ってね、1つとは限らないの。全く違う客層が2つある。私はそう見ている。」
アキュー「詳しいっすね。」
アズサ「たい焼きの営業が主な仕事だからね! で……。」
アズサ「明らかにゴエティアには『デスゲームの殺し合いが見たい上流階級』と『神を推したい金持ってるアイドルオタク』の2種類いる。」
アキュー「なるほど……。」
アズサ「もちろん兼ねてる人もいるけどね。残酷な試合を見たい人と、アイドルを見たい人がいるって話。」
アズサ「そして同じ『弱い』枠のキャンディとジュオンは、気に入られてる層が違っている。キャンディはマジで美少女がボコボコにされるのが見たい特殊性癖持ちが支援してて、ジュオン好きはスポ根的な文脈で『弱いけど頑張る物語』を享受している。」
アズサ「ちなみに、メルダムは可愛い女の子の勝利、トーメさんはアイドルよりも処刑人ってポジションね。」
アキュー「その分析ってどう生かしたらいいんだ……?」
アズサ「多分、キャンディさんがジュオンさんをボコボコにしたら普通に客はしらけそう……。メルダムさんがトーメさんにボコボコにされるのもそう。八百長はだめだけどキャンディさんの仕切り直しは正しいってことね。」
アキュー「そして、本来はトーメVSキャンディ、メルダムVSジュオンが一番需要に答えてるってことか……。えげつない蹂躙かスポ根的バトルか。キャンディVSメルダムは処刑かバトルかどちらによっても片方のファンには不評になるっすね。」
アズサ「まあ、マーケティングは難しいけど……正直そんなの全部忘れて、全力で戦うと見えてくるものもあるはず。私たちもそうだったでしょ?」
アキュー「そうっすね……。」
***
キャンディ(確かに支援してくれてる人の期待には応えたい。)
キャンディ(しかしゴエティアの運営まで私が考えることじゃないけど、この客層の乖離は必ず軋轢を生む。だから……。)
キャンディ(普遍的に面白いバトルを見せるのが一番!!)