ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
>>>>>>>カードゲーム世界>>>>>>>
アキュー&アズサ「まずいことになった……!!」
二人は悩んでいた。それはかなり前に出た、二人のそっくりさん、キュアとティアラについてである。
当然カードゲーム世界にもSNSなどはある。そして炎上も勿論、発生するのだ。
キュアは細々と、自分のアカウントに少女漫画を投稿していた。ティアラは頑張って妖怪のリーダーとたい焼き屋を続けていた。しかしその2人は1つの事件で炎上してしまう。この1つの事件はアキューとアズサを困らせていた。
そしてSNSで燃やしている下手人の正体は分かっている。それはチャバシラである。彼女はインフルエンサーであり、口癖は「文福茶釜、見つけます」だ。文福茶釜は火にかけたことがきっかけで着目され、躍らせることでお金を稼ぎ、道具屋に収入が入る。
なので彼女は他人をSNSで燃やし、インプレッションで金を稼ぐド畜生へと変貌を遂げていた。完全に群馬県館林市の文化にのっかったゲスな商売である。ヤミヨロズ達から死を望まれているが、ヤミヨロズは死んでも生き返る。
ゴエティアでぶっ飛ばせればせいせいするのだが、この手の人間ほど表に出てこない。ヘイトは溜まり切っていた。
しかしキュアとティアラについては、シンプルな善悪では語れない話だったのだ。
***
キュア「アキュー助けて! 私の書いた漫画がネットで炎上している!」
キュアは少女漫画を描いていて、ネットで公開していた。令和になってGHQに入った少女が上官とロマンスする物語であるが……。
キュアの漫画には衝撃の事項が書かれていた。舞台は境港市にあるとあるたい焼き屋。
***
ティアラ「ごめんなさい、お母さん!! 許して!!」
お母さんがティアラをビンタする。
お母さん「何時になったらあのイギリス女を超えられるの!!? 私たち一族のたい焼きの覇権を取り戻さないといけないのよ!?」
ティアラ「助けてアズサあああ、アズサあああああ!!!!」
お母さん「なんで敵に助けを求めるの!? おかしいじゃない!!」
ティアラ「お母さん、ごめん、私、頑張るから、殴らないで!!」
***
アキュー「え、アズサ? ティアラ? なんでリアルの人間で書いてるの?」
キュアはネットリテラシーが皆無であった。まあ、キュアは『虐げられている女の子』を書くためにティアラのたい焼き屋に取材していたので、見たことをそのまま書いただけである。これをキュアが救い友達になるストーリーなのであるが……。
チャバシラはこれを見逃さなかった。これを事実だと吹聴したのだ。何百年続く老舗でこんなテンプレな家庭内暴力があったことはかなりネタになる。その原因がイギリスからやってきたバッグベアードなど、面白くないわけがない。
この『ティアラ印のたい焼き屋事件』はネット社会を駆け巡った。伝統と厳しさというテーマで人々は議論し、どんどん広がっていた。
これを見たアズサは絶句していた。自分のせいでティアラがこんなにひどい目にあってたなんて、思いもしなかった。そりゃそうだ。何百年も受け継いできたブランドがぽっと出に奪われたら誰だって焦る。アズサは目を背けていたが現実はこうだったのだ。
アズサ「さすがにこれは見過ごせない!! とりあえず作者のキュアとアキューに連絡しないと……。」
アズサ、アキュー、キュア、ティアラ……そしてティアラの母の5人は集まった。
アキュー「キュアはこれを告発として書いてないっすよね!?」
キュア「私は……本当に問題提起とかじゃなく普通に『よくある悲劇』として書いてるだけで、ここまで大きくなるなんて……。」
アキュー「とりあえず実名で出すと燃えるので、やめるっすよ!!!」
キュア「ごめん……。」
アズサ「ティアラのお母さん……娘への暴力はいけないですよ……。」
ティアラ「いや、うちの一族だと普通だし。先祖代々これだし。」
お母さん「アズサっ!! 私たちがどれだけ味を受け継いでくるのに苦労してきたか、あなたは知らないのよっ!! さらにはGHQと組んでこんな漫画まで描いて炎上させて!! もう私たちのことが嫌いとしか思えない!!!」
ティアラの母親はかなり参っている様子だ。
アズサ「…………これ、どうしよう。」
先祖代々だろうが、流石に殴ったりするのは良くない。伝統だろうが暴力は正当化されない。しかし私たちもかなりひどいことをやってしまった。……アズサはそう思っていた。
アズサ「どうすればいいんだろう。」
アキュー「…………アズサは家庭を破壊してしまった。それは事実……。」
アキュー「でも……これって……。」
アキュー「もう全部チャバシラさんのせいにしたらいいんじゃないすか?」
お母さん「どういうこと?」
アキュー「燃やしたのはチャバシラさんなので、あなたからしたらチャバシラさんが一番悪いすよね? で、アズサさんに負けてるのもチャバシラさんのせいにしましょう!」
お母さん「解決するの?」
アキュー「わからない。でももう全部チャバシラさんに押し付けて終わらせるしかないっすよ。マジで。」
お母さん「通るの?」
アキュー「こうして炎上で金稼いでいるなら、もういろいろ押し付けられるのは織り込んでやってる、と思わないと失礼っすよ!!」
アキュー「GHQとBBC舐めたこと、マジで後悔させてやるから。」
アキューはキレている。アズサは確信していた。
アズサ「本当に……私が何言っても伝わらないかもしれないけど……幸せを破壊して……ごめんなさい!!!」
ティアラ「お前のせいじゃないから! 伝統だけじゃ生きていけないことに目を背けて、やってきたツケが今回ってきただけなんだよ! アズサがやらなくても、味の素ドバドバする奴は絶対に現れる! それがアズサで良かったとすら思ってる!! だってお前優しいもん!!」
ティアラは笑いながら泣いている。タルパ時代?から感情が複雑に絡み合っている人だった。
ティアラ「だから……お母さんも……あきらめよう……時代なんだよ……。」
お母さん「いやよ……私もそうしてきたんだから……。」
アズサ「たい焼き屋はいろいろあって止められないけど、それ以外ならできることはなんでもする!」
ティアラ「というか妖怪のリーダーとたい焼き屋やるの辛くね? 一族で分業した方がよくない? …………こういう視点はやばいときにしか出てこないから、逆境に感謝だな!」
ティアラは一瞬停止する。
ティアラ「そして……たい焼き屋に犬は連れて入れないぞ。」
ティアラが発言するまで誰も気が付かなった。確かに『それ』はいた。
イヌネル「親が、子供を殴っちゃだめだと思います……。やめてください。」
イヌネル「ダメなら、この犬をけしかけます!!」
少女は『犬』を何匹もつれていたのだ。その中には異形も含まれている。
ティアラ「え、こわ!!! というか……。」
ティアラは眼を輝かせていた。
ティアラ「生きてる狛犬って初めて見たよ! おっ、岡山のすねこすりじゃん。かわいいやつ! 隣は地獄の番犬ケルベロス!? ここにいるのは……人面犬だ! すげえ!!」
妖怪のリーダーですら見たことが無い凄まじい犬がたくさんいる!
イヌネル「私はインターネットで悪いことをした人に犬をけしかける仕事をしています! 副業で、古今東西あらゆる犬のブリーダー&トレーナーをしています。」
アズサ「副業と本業が逆じゃないかしら……。」
イヌネル「というわけで喧嘩を辞めますか? しないと犬の餌食になりますよ?」
お母さん「こんな小さな子まで心配してくれてたのね……。」
イヌネル「違います。心配ではなく、私許せないんですよ……だって悪いってみんな言ってるから!」
お母さん「違うの!?」
アズサ「ええ…………。それはチャバシラさんが煽っているだけじゃん。」
ティアラ「犬ども、たい焼きでも食うか?」
イヌネルは『それ』を見抜いていた――――
イヌネル「おっと、そのたい焼き、玉葱入ってますよね? 新作ですか? 犬には有害ですよ?」
ティアラ「え、犬にダメなん? 知らなかった……。」
イヌネル「今日はこの程度にしておきます! 私は正義の使者! 炎上がある所に私が現れますよ。」
イヌネル「だって、熊谷市は日本で一番暑い街ですからね!」
イヌネルは帰っていった。
アズサ「帰っていったわね。さて……どうするか……。」
ティアラ「アズサもSNSで燃えてるところが見たい。」
ティアラは歪んだ笑顔を見せた。
アズサ「え? まあイーブンになるからいいけど……。」
お母さん「溜飲は下がるわね。」