ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
アズサは配信をしていた。BBC時代に練習しているので料理番組は慣れている。
アズサ「今日は、私の故郷イギリス風にアレンジした、スターゲイジーたい焼きを紹介します! 東京新名物です。」
アズサはすさまじい大火事でボヤを消そうとしたのだ。スターゲイジーパイは魚の頭が飛び出たパイである。イギリス料理wとして馬鹿にされる代表格で、それをたい焼きで再現したのだ。
アズサ「たい焼きをパイに包んで焼きます! たい焼きがパイから飛び出るので星を見ているようなんですね~」
コメント「あそこのたい焼き化学調味料まみれだしな」
コメント「炭水化物やばいだろ」
コメント「食べ物で遊ぶな」
コメント「狂ったかあの妖怪」
コメント「調布市って東京じゃないよね????」
当然燃える。食への冒涜だからだ。
ちなみにイギリスでも燃えた。BBCはわりとキレてアズサはお叱りを受けた。アズサのイギリスでの出身はウェールズだが、スターゲイジーパイはコーンウォール(イングランド)である。イギリスは正式名称『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』。1つの国ではないので、ブリティッシュジョークと合わさり地域煽りは過熱していくのだ。
日本で例えると沖縄人が「故郷のゴーヤ入りお好み焼きですw」と言うようなもので、そりゃ燃えるのである。
ティアラ「ちなみに新しい妖怪として、SNS関係の奴らが小豆島でも次々に生まれている。最近の妖怪はSNSに詳しいからな。そいつらが拡散してるんだろうな。」
そして、当然『彼女』は調布市にやってきた。
イヌネル「よくないと思います! 郷土の料理をネタにして炎上してますよ!!」
アズサ「郷土愛が強いのね。埼玉出身だっけ?」
イヌネル「これを食べて反省してください! 熊谷のご当地かき氷『雪くま』です!! 暑い街なので!!」
アズサ「ふわっふわね! かき氷いいわね~~~。」
アズサ「…………さて、あなたが埼玉を愛しているなら、倒さないといけない相手がいるわ。」
イヌネル「誰ですかそれは!?」
アズサ「そいつは埼玉のことを『ださいたま』と呼んでいるのよ、許せるかしら!?」
イヌネル「許せません!! インターネットで燃えていなくても決着を付けに行きます!!」
アズサ「なら挑戦状を書いて、この赤封筒に入れて? ゴエティアって場所で戦うんだけど、これだけ犬を使えるなら多分勝てるわよ?」
イヌネル「わかりました!!!」
イヌネルは「埼玉を馬鹿にする奴はサイタマラリア型狂犬病に感染させる」と挑戦状を書いた。
イヌネル「ではこれを!」
アズサ「受け取ったわ。試合日時は後日調整するわね。」
アズサ(よし……!! 炎上はこちらに向いてるし、ティアラとお母さんの話はあとで考えよう!! これはアキューに渡してっと……。)
***
群馬県館林市———ここでも陰謀が動いていた。
チャバシラ「上毛かるた廃止だって!?」
ニュース「群馬県の魂ともいえる上毛かるたが遅効性の検閲を受け、廃止となりました。GHQの陰謀と言う意見が多数です。」
チャバシラ「嘘だろ…………。」
アキュー「こんにちは。」
チャバシラ「なんだお前は!?」
アキュー「私はGHQの手先っす。ワタシの友達を傷つけたからこうするしかなかったっすよ。」
チャバシラ「お前も群馬差別するのか!? どうせ群馬と栃木の位置もわからないだろうな!!」
アキュー「じゃあ聞くっすが……。」
アキュー「オクラホマ州とテキサス州の違いって分かるっすか?」
チャバシラ「え……あ…………。」
アキュー「さて。今からワタシは1つの封筒を落とすっす。」
アキューは懐から赤い封筒を1つ取り出し、それを落とした。
チャバシラ「???」
アキュー「この封筒には、あなたの運命の相手からの挑戦状が書かれているっすよ。拾ったら戦ってもらうっす。」
チャバシラ「ああ、ゴエティアの人ですね、観客は来るんですか?」
アキュー「もちろん。あなたは有名人ですし、観客は気に入ると思います。勝っても負けてもおいしいっすね。あと戦って、キュアとティアラの件を訂正してくれるなら上毛かるたも復活するっすよ。」
チャバシラ「…………訂正はするけど、流石に戦ったらボコボコにされる……。」
アキュー「ちなみにそいつは埼玉県民っすw」
チャバシラ「私がださいたまに負けるわけないでしょwwww!!!」
チャバシラはささっと封筒を拾った。
アキュー「マッチ成立……すね。」
***
数日後、ゴエティア会場。ヨノバルは歓喜していた。
ヨノバル「アキューちゃん! アズサちゃん!! ありがとう!! あのチャバシラさんを引っ張り出せるなんてすごいよ!!」
アキュー「結構頑張ったっすね……。」
アズサ「副産物のスターゲイジーたい焼きです。」
アキュー「…………? ありがとう。」
アーシエル「暴れまわってたチャバシラさんだけど、パートナーが見つかれば落ち着くわね。ゴエティアも何度か燃えてたから……。」
ヨノバル「じゃあ、会場に行くよ!!」
二人は会場へ向けて出発した。
***
ヨノバルがスポットライトを浴びる。そして最終戦の解説をするのだ。
ヨノバル「その双子は似ていた。」
ヨノバル「二人は酷暑の街に住んでいる。故にネット炎上の当事者である。」
ヨノバル「そして『何か』をけしかける。」
ヨノバル「そして……」
ヨノバル「二人は『透明』である。」
ヨノバル「こんな双子、存在するのか!? 割といるかもしれない!!」
ヨノバル「それではお出迎えください!! シルバーゲートより『殺しの銀メダリスト』イヌネル選手!! ゴールドゲートより『茂林寺の怪僧』チャバシラ選手の入場です!!!」
チャバシラ「おはぷく~~!」
イヌネル「…………。」
二人は入場した……。イヌネルは犬を複数体連れている、白髪で透明感のある小柄な少女だ。犬耳のカチューシャと尻尾を付けている。本当に犬が好きなのだろう。チャバシラは緑髪でスチームパンク風の服装をしている。蒸気で動くロボットといった趣だ。
この二人は直に出会うのは今日が初めて……である。
イヌネル「え!? 相手チャバシラさんだったんですか!? ファンだったんです!! サインください!!」
チャバシラ「え? 私をぶちのめしたくて来たんじゃないのかな? まあ……返り討ちにするだけだけどね!」
イヌネル「いや、チャバシラさんは確かに配信で『ださいたま』って言ってましたね、これはオシオキする必要があると思います!」
イヌネル「だってチャバシラさん、グンマーである以外完璧な女じゃないですか!!」
チャバシラ「喧嘩打ってるのかな? まあいいよ……。」
ヨノバルが割って入る。
ヨノバル「私の見解を述べます!!」
ヨノバル「東京以外の都市は全て、ベッドタウンです!! 東京サイコー!!」
チャバシラ&イヌネル「おおん?」
ヨノバル「なので……。」
二人が構える……。
ヨノバル「勝手に、戦え!!!」
開戦———!!!
イヌネルが犬笛を吹く!! 犬種は分からないが凄まじくデカい犬がチャバシラ目掛けて突進していく!!!