ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
ツムギ「こうしてアキューさんとツムギさんから情報を得ました! なのでちょっと眠いんですが、ここで寝ていいですか……?」
アーシ「どうぞ、どうぞ!!」
アキューとアズサは『どこかから』得た情報により、タマエとブイ子の二人の関係性が大きな弱点だと見抜いていたらしい。あの二人は『ただの部長同士』という関係性に見えるが、実は大きな何かがある……ということだ。
ツムギ「そして、それは2年前の事件……『シズルの呪い』に関係しているとそうです。彼は『アルカディアに行きたい、温泉に入りたい、結婚してえ、タワマンに住みてえ』とだけ残して死亡してしまいました……。」
アーシ「かわいそうだけど、結構欲張るな……。」
ツムギ「そしてアキューさん達はなんか『GHQ VS CIA』『BBC VS MI6』の戦いって言ってましたが、よくわかりません。二人はスパイ気取りなんでしょうか。」
アーシ「うーん、そっちは置いといて、シズルさんを攻略することが大切なのか……。そしてシズルさんが亡くなっていて幽霊なら、もう社員じゃないし別にカードゲームやってもいいもんなあ……。」
ツムギ「私幽霊見えるので、いろいろ方法はありますよ…………。」
アーシ「確かに!! 本当に助かります!!」
ツムギは疲れからか寝てしまった。布団をかけておいて、アーシは思案する。
アーシ「問題はそのシズルさんの相手が誰かと言うこと。社員とカードゲームできないなら、役員だったりするのか? 社員と役員は別だし。」
アーシ「転勤までそんなに時間が無いし、早く考えないといけないけど……そもそもシズルさんの出身地も分からないし……。」
その時、扉をノックする音が聞こえた。ドアのレンズを覗くと、屈強なスーツを着た男2人が立っていた。アーシは少しビビった。
???「開けなくていい。話を聞いてくれ。」
???「私たちはGHQとBBCの潜入捜査官だ。君のよく知る人物2人の上司に当たる。」
アーシはあきれ果てていた。最近は秘密組織ごっこがブームなのか?
???「今から言うことを信じてほしい。鶴城シズルという人物は山形県から来た。そして……『彼』の相方になりうる人物は大手IT企業に技術を持って転職していった裏切り者だ。そこまではつかんだ。この情報でCIAとMI6を出し抜ける。」
アーシ「ありがとうございます。……あと、GHQもCIAはどっちもアメリカ、BBCとMI6はどっちもイギリス。なんで戦う必要あるんですか?」
???「組織が違うからだ。」
アーシ「組織が違うってどういうことですか?」
???「組織が違うということだ。」
アーシ「…………理念の違いとか予算の配分とか、あるのかな。」
???「さらばだ!!」
二人の男が逃げていった。
アーシ「変なことが起こりすぎてる……。明日ヨノバルに相談しよう。…………休日だから回転寿司にでも誘ってみるか……。」
***
回転寿司。ヨノバルはあまり来ることはないらしい。
ヨノバル「状況を整理しましょう。」
今困っていることは、ブイ子とタマエにより、アキューとアズサが引き離されようとしていること。それを解決するためには八咫烏に取り付く悪霊、シズルさんのパートナーを見つけないといけない。(論理的整合性は全くないが)
アーシ「あれからツムギさんに聞いたら、八咫烏から大手ITへの転職者は2人いた。」
ヨノバル「一人はMeta(旧Facebook)、もう一つはMicrosoftか……。」
アーシ「いや、そもそも信じていいのか? あんな訳の分からない黒服。アキューさんも自分がGHQって変なこと言ってたし。カードゲームと現実の区別がつかなくなってる。恐ろしい。」
ヨノバル「信じるしかないでしょう。あ、デッキから2枚ドロー。」
ヨノバルはレーンに流れているマグロを2皿取った。
アーシ「違った時のために他のルートで確定させないと……。」
ヨノバル「やらなくていいです。多分違わない。私の直観と一致してるから。」
アーシ「いや、外れたらどうするんですか!?」
ヨノバル「外れたら諦めます。だってこれが私の全てだから。」
ヨノバルはじっとアーシエルを見つめる。
ヨノバル「『アルカディア』と『温泉』と『結婚』と『タワマン』のワードから絶対に山形県です。そっちがあってるならもう一方も多分あってる。」
ヨノバル「そして今の状況、正直めちゃくちゃ面白いんですよね。私はアキューさんがリアルでもGHQだって信じてますよ。だってそっちの方が面白いでしょう?」
アーシ「いや、そんなの信じても仕方ないじゃないか!」
ヨノバル「『これが外れたらサレンダーするぐらい、自信を持つ』というのも面白いですよ? 脳汁が出る。例えば……。」
ヨノバル「手札を10枚捨ててガラガラポンを発動! 『最終戦争』以上のコスパの悪さ!」
お皿を投入口に投げ込んでいく。10枚入れるとタッチパネルでゲームが始まるのだ。
ヨノバル「多分当たります。外れたらもう10皿食べたりしません。これで終わりです。」
結果は……成功だった。ガシャポンでおもちゃを手に入れた。
ヨノバル「スマホキーホルダーが手に入りました。これも運命です。」
ヨノバル「そして、スマホ作ってるAppleに賭けましょう!」
アーシ「ええ!? うまくいくんかな……。」
ヨノバル「カード作るんで、Appleに送ってください!」
***
Apple米原支社。その場所は今日、少しざわついていた。
「シズルさんとデュエルしてほしいです」というメッセージと共に『スバルコ』のカードが送られてきたのである。これはもはやホラーである。捨てられても文句は言えない……。が……。
スバルコ「無駄のない欲求……。これが世界を変える。より素晴らしい体験ができる。」
カードと同じ名前を持つ、一人の女性がカードを見て、ぼそっと呟いた。
スバルコ「八咫烏本社ビルの裏手に花が供えられていると思います。そこに行かせてもらえませんか?」
***
八咫烏本社の裏手。ここから出入りする人はほとんどいない。そしてここがシズルが転落死した場所である。
ここでアーシエルは一人、スバルコを待ち構えていた。
そこに来たのは一人の女性だった。
女性「あんたが呼んだの?」
アーシ「はい。この……事件があった場所にどうしても来てほしかった。スバルコさんに。」
女性「ここに幽霊かなんかいるの? じゃあスバルコと好きなだけ話してよ。」
女性「あと私喋んないから。八咫烏なんて知らないし。」
女性は手元のスマホを起動して、呼びかけた。
女性「Hey, Subaruko!」
スバルコ「起動しました。」
最新AIアシスタントのスバルコが起動し、女性の姿が画面に映し出される。Siriの代替として作られた機能であるが、これは八咫烏財閥でもともと開発されたものだ。いろいろあってスバルコのアバター自身がAppleに転職?してしまい、取引上はかなりの安値で売られたとされている。
MetaとMicrosoftに移籍した人は無関係で、スバルコはあくまでデータなので転職者情報に引っかからなかったのだ。
スバルコ「あなたは私とカードゲームをしたいんですね?」
???「ああ、説明はされていたぜ。」
スバルコ「よろしくお願いします。」
画面内のスバルコは、何もない空間を見つめて話す。
女性「え、何? このギャル男以外に誰か見えてるの?」
女性は霊感が無いようで、この人物が見えていないようだ。
アーシ「シズルさん、たぶん会話できてます。続けてください。」
アーシ(アーシもツムギさんに幽霊の見方を教えてもらったおかげで、かなりシズルさんがはっきり見える。)
シズル「ありがとう。俺の名前は鶴城シズル。日本一のフェミニストだ。」
スバルコ「はい????」
シズル「俺は結婚したいと思ってたんだけど、体がでかいし怖がられるから誰も相手してくれなくて……。女に媚びるためにフェミニストになったんだけど……。過労で死んでしまった!」
スバルコ「というか2年前ですよね? 私はあらゆることを知っている。とても嫌な事件。」
スバルコ「私は情報を集めました。その結果2人の女性社員が産休を取得してあなたに業務が集中。そしてあなたが死亡したものの、その二人は全く葬儀にも来なかった―――。」
スバルコ「行き過ぎた女性優遇が八咫烏財閥にあったのに、男性への感謝が明らかに足りていなかった。私は疑問を感じ、転職を決意したのです。」
アーシ(…………今アーシはアキューとアズサを助けるためにいろいろやってる。結局シズルとスバルコを結び付けて意味があるのか? いや、信じるしかないか……。)
シズル「俺のせいでスバルコさんも人生?が変わったんだな……でもブイ子さんとタマエさんを責めないであげてほしい。」
アーシ「どうしてその名前が!?」
アーシは驚愕した。
シズル「あの二人は元々俺と同じ、子会社にいたんだよ。でも育児休暇を同時に取得して、俺の仕事が3倍になった。まあ俺はフェミニストだから女性の仕事は受け持たないとな、男だから!」
アーシ「うーん……。それで文句も言わずに働いて、死んでしまったのか……。」
シズル「本人たちも会社も、それを隠している。俺は気にしてないけど、なんか俺の恨みが女子を引き裂いてるみたいな話がされてる。俺はフェミニストだからそんなことはしない!!」
アーシ「器が広すぎる!!」
アーシは武器を手に入れた。明確なタマエとブイ子の弱みである。他人を死に追いやってなにも気にしていないことが明らかになったら……さすがに仕事に支障が出るだろう!!
アーシ「勝った……。」
シズル「? でも、俺は気が付いてしまった。どれだけ優しくしても生身の女は俺に振り向いてくれない。そもそも今の俺は幽霊だ。俺の故郷の風習のように、架空の花嫁と結婚するしかないのかもしれない……。」
アーシ(アーシも調べた。シズルの故郷である山形県には、冥婚という風習がある。若くして死に、結婚相手がいなかった男性に架空の花嫁を割り当てる風習だ。そのことを言っているのだろう……。)
スバルコ「………ではせめてもの弔いとして、AIである私とデュエルしていただけますか?」
シズル「ええ!? どういうこと!?」
スバルコ「私は八咫烏財閥から転職したAIエージェントです。転職と言うよりも売却と言うべきか……。そしてあなたの仕事は明らかに私の学習データにもなっている。無関係ではない。」
スバルコ「AIの力で、日常が少し良くなる。ということで、私と戦ってもらえますか?」
シズル「いいぜ!! 架空の女の挑戦、受けてやるよ!!」
幽霊 VS AI……その異種格闘技戦は……。
スバルコ&シズル「妄想フェイズ!!!」
妄想フェイズに入る!!