ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
アーシエル「アキュー選手が崩れ落ちた!!?」
ヨノバル「おそらくこれは……催眠術なんだと思われます!!」
アズサ「私催眠使えるから、目を合わせた相手の自由を奪えるの。一応喋れるようにはしてあげてるわ。」
アズサ「発動条件は察していると思うから言っておくと、3秒以上『どれかの』目を合わせることよ。それだけなんだけど、対策が容易なのよね……。」
アキュー(…………焦ってはいけないっすね。ちょっと冷静になるっす。)
アキュー(彼女は小豆洗いだと名乗っていた。しかしそれもフェイクの可能性がある。)
アキュー(カチューシャが目玉のように見える。おそらくこれが彼女の本体……? 妖怪……でかい目玉……。)
アキュー「もしかして、お前、バッグベアードか!?」
アズサ「御名答。小豆洗いは仮の姿。本当はイギリスから送り込まれたバッグベアードよ。まあ複数個体いるから、私は『最弱の最強西洋妖怪』とでもいうべきかしらね。」
アズサ「ほんと昔バッグベアードの仲間からはいじめられてね。本当に弱くてね……大変だった。努力もできなかった。弱いから諜報に回されて、BBCに雇われて日本に来てたの。」
アキュー「催眠を使えるならなんでもできるのに?」
アズサ「催眠は甘えかつ敗北なのよ。催眠で相手に自分を好きにさせても、真実の愛は手に入らないでしょう? 催眠を使わずにやるのがスマートなの。」
アキュー「理解できないっすね。さっきも言ったっすけど、そういうのは精神的敗北法とでもいうっすか? 勝ってるのにわざと負けた気をして、弱者を気取る……。」
アキュー「そんな奴、見たことなくてすごく面白いっす。」
アズサ「私は催眠以外の技術無いから、弱いのよ。」
アーシエル「アズサ選手がバッグベアードであることは調布市民は薄々感づいておりますが、最近はポリコレでうるさいので、妖怪自認が小豆洗いの、トランス小豆洗いということで皆納得しているようです。」
アズサ「さて、私弱くて、怖くて、選べないのよ。どうフィニッシュするか。」
アズサ「だから『2択』を答えて。」
アズサ「銃殺か、斬首か、どっちがいいのかしら?」
アキュー「なぜその2択を?」
アズサ「だってゴエティアで雑魚狩り扱いでやられて、誰も私の眼を見てくれなかったからさあ。勝つと思ってなくて、勝ち方がわからないのよ……。そしてあなたは悪い子だから、拳銃と刃物を隠し持っているのはわかっているわ。『見えて』いたもの。これを使わせてもらうわ。」
アズサは2つの武器を手に取った。
アキュー「そうか。ならお前の好きにするといいだろう。どちらも変わらんが、選んだ根拠を聞きたい。」
アズサ「なるほど…………。」
アズサはしばらく考えていた。
アズサ「私は銃殺を選ぶわ。だって斬首が失敗したらそれって相手を余計に苦しめるだけだもの。銃殺の方が人道的だと思うわ。」
アズサ「じゃ、殺すわね。」
アズサが引き金に手をかける。
アキュー「その答え……。」
アキュー「人道的だが、エンタメ的には間違っているな。」
その瞬間、アキューのわき腹から機械のアームが出現した。
そして拳銃を握ったそれは、アズサのこめかみに銃を突きつけた。
アキュー「催眠は自由意思を奪うから、普通やられたら勝ち目ないっすよ。」
アキュー「でも自由意思でない『反射』なら?」
アキュー「ワタシは生命の危機になる時、反射レベルで対応するように作成されているっすよ。反射は脊髄ならば脳を通らないので、催眠が効かないんすよ。」
アズサ「えっ……!?!? そうなんですか!? 調子乗ってすみませんでした!!」
アキュー「調子狂うっすね。そしてタンクタンクローって知ってるっすか? 好きなマンガのロボット?なんすけど、体に空いた穴から好きな武器を取り出せるっす。ワタシもその機構が偶然あるっすよ…………。」
アキュー「まあ、銃殺には銃殺でしか返さないだけなんすが、これは大きな意味を持つっすよ。」
アキュー「銃殺で終わったら『つまらん試合だった』『斬首した方が面白いのに』と観客は言うに決まってるっす。阿Q正伝がソースっす。」
アキュー「でもまあ、楽に終わらせたいというのはワタシも同じなので、銃殺するっすよ。」
アズサ「そっか……催眠使ったら勝ちだと思ってたけど、それでも無理なことはあるのね……。」
アキュー「そうだ。だから……遺言を聞きたい。」
アズサ「この状態で私に勝ち目はないものね……いいわよ。」
アキューの方が身体能力は優れており、撃ち合いになったら反射も合わせ、明らかにアキューが勝利するのであった。
アズサ「水木しげる先生は境港で生まれたけど、ゲゲゲの鬼太郎は調布市で生まれたの!! 妖怪の故郷に相応しいのは調布市なの!! そこにも妖怪たちは生きていることを忘れないでほしい!! だから、調布市さいこ……」
銃声が鳴り響いた。
アキュー(負けたとしても精神的勝利法でどうとでもなるっすが……。)
アキュー「アズサさん、薄れゆく意識の中で、聞こえてたらでいいっす。」
アキュー「明日、秋川駅の正面で13時に待ってるっす。」
アキュー「来てくれたら一緒にあきる野市観光をするっすよ。」
アキュー「さようなら。」
アーシエル「決まったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!! 勝者は『阿Q偽伝』、アキュー選手だあああああああああああああああ!!!」
観客「やっぱりアキューは最高だぜ!!!!!」
アキューは歓声に包まれながら、アズサの死体を残し会場を去っていく。
ヨノバル「決着しました。やはり見事と言わざるを得ない。結末が大事なのではないです。銃殺か斬首かよりも、催眠を脊髄反射で返したのが非常に素晴らしかった! 非科学的? いや実際に起こっているのだから仕方ありません!!!」
アーシエル「そうして二人はデートの約束までしていきました。ニクイですね。」
ヨノバル「それでは本日の戦闘はすべて終わりです! 本日もご観戦ありがとうございました!! この試合はDVDでも販売予定ですので、ご購入してくれたら非常にうれしいです!」
こうして、よくあるゴエティアの一戦は終わりを告げた。