ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
惚れた弱み
博士「ヤミヨロズ・アーカイブの世界もそろそろ一区切りじゃのう、わしはヤミヨロズを研究している。木戸博士じゃ。」
博士「ところで、人気作品にはライバル作品と言う者は必ず出てくるものじゃ。」
博士「何かを集めて戦わせるコンテンツは一時期人気となり、多くの後追いが生まれたのじゃが……それらの看板キャラは対決することは少ないのじゃ。別のゲーム会社の別作品じゃから。」
博士「でも何かの間違いで戦うこともあるかもしれない。そうした看板キャラを2体紹介するのう。」
ツムギ 船の付喪神 みず/ゴースト
詳細不明。地元から拒まれた過去を持つ。事故と大きく関係している。
シガラミ 電車の妖怪 プリチー族
詳細不明。地元に愛された過去を持つ。事故と大きく関係している。
博士「煽ることも特にないのじゃが……。」
博士「これ以上殺し合うのであれば、わしは止めねばならん。」
ツムギ「止めないでくださいっ!!!」
シガラミ「私はこいつを認められないっ!!!」
ツムギ&シガラミ「アーシさんを手に入れるのは私なんです!!!」
博士「ふうむ……。」
博士「君はどうやってこれを解決するかのう?」
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現実世界——————————————
ツムギ「本当にごめんなさい!!!」
アーシが目を覚ますと、ツムギが土下座していた。どうもここがツムギの借りている部屋のようだ。
アーシ「その、何があったんですか……?」
ツムギ「その……私……人格が二つあって……。片方の歯止めが効かないんです!!! アーシさんが好きすぎて……抑えられなくて!! 拉致監禁しようとしてて!! ほんとごめんなさい!!」
ツムギは泣きながら謝っている。
アーシ「アーシはツムギさんのことが悪いとは思ってません!!」
ツムギ「そこに男気はいらない、私は危険だから、逃げてください!!!」
ツムギ「逃げて、この連絡先に問い合わせてください!!! 『クルミが暴れた』で伝わります!!」
ツムギは電話番号を書いた紙を渡してきた。
ツムギ「だめだ……。抑えられ……。」
アーシ「わかりました、ごめんなさい、ツムギさん!!」
アーシは逃げた。
ツムギ「俺のところに来てくれよ。お前のこと大好きなんだもん。」
ツムギ「逃がさねえから。ただ、追いかけるのは難しいな……。」
***
ヨノバル「という訳で、私のところに来たわけですね?」
ヨノバルの家に逃げ込んだ。あるのは市町村のご当地パンフレットと、カードゲームのファイルだけだった。女の子らしいぬいぐるみなどはない。だがかくまってもらってる身分で品定めは良くない、アーシはそう思っていた。
ヨノバル「普通に我心配なんだが……。」
アーシ「ツムギさんは二重人格の人間だった!! 誘拐されたかと思ったら解放されたり、なによりツムギさんが心配だ!!」
ヨノバル「とりあえずツムギさんは私の家を知らないはずなので、ここは安全だと思います。落ち着いてください。」
ヨノバル「アーシはアーシ、ですよね?」
アーシ「そうだ、アーシはアーシ……。」
ヨノバル「…………。」
ヨノバルはしばらく考え事をしているようだった。そして―――
ヨノバル「お互い30歳になっても独身になったら結婚しましょう。」
アーシ「!?」
アーシ「今言うことか、それ!? 下手くそ!? え!? イキ告(イキナリ告白すること)にしても限度があるわ!!」
ヨノバル「いや、もしかして私のこと気にして、ツムギさんを好きになりきれないとか……あるなら余計なお世話ですよ? と言いたい。」
アーシ「うっ!!」
アーシは思っていた。自分がツムギさんと結ばれたら、陰すぎるヨノバルの面倒は誰が見るのだろう? なんとなくヨノバルがこの世界のメインヒロインで、くっつくのは必定だと思っていた。
ヨノバル「散々私のことをメンヘラだと思ってるようですけど、そうなので。メンヘラは愛がほしくてその相手は割と誰でもいいんです。アーシさんは気に入ってますけど、そうじゃなくても大丈夫です。」
ヨノバル「なので何が言いたいかと言うと……。」
ヨノバル「もうあきらめてツムギさんに捕まったらどうですか? それが彼女を安定させる方法ですよ。」
アーシ「…………それはできない。」
ヨノバル「何故? ツムギはおぬしのことが好きなのだろう? 結ばれればハッピーエンドではないか!」
ヨノバル「まさか殺されるとでも思っているのか? 好きな相手をなぜ殺さないといけない? 監禁ぐらいはされるかもしれないが……。」
アーシ「明らかに感じる。」
アーシ「ツムギというカードには、アーシエルは似合わない。絶対に……彼女に相応しい双子の片割れがいる。」
ヨノバル「!!」
アーシ「カードゲームとしての波動を感じるんだ。これは今までやってきたことの延長戦でしかない。問題が起こったら、彼女の相方を探す。それだけだ。」
ヨノバル「…………。」
ヨノバル「アーシさんのそういうとこ、好きですよ。」
アーシ「ありがとう……。」
ヨノバル「えっと、あの、すみません! カードゲーマーとして好きと言うことです!」
ヨノバルが照れている。こんな顔、初めて見たかもしれない。
***
アーシ「電話をかけてみるか……。」
ツムギから渡された番号にかけてみる。
アスト「私は高田寺明日都(たかだじ あすと)。何か用ですか?」
それなりに壮年の男性っぽい声が聞こえてきた。ツムギのお父さんだろうか?
アーシ「すみません、ツムギさんから『クルミが暴れている』って伝えてほしくて……。そして彼女に監禁されかけて、彼女もすごい苦しんでいるようで……。」
アスト「わかった。米原市には娘がいる。娘に取り押さえさせよう。」
アーシ「ツムギさんは一体……。」
アスト「ツムギさんは私の患者だった。詳細は彼女の口から語るのが、一番効果がある。彼女は私のとある手術を受けて、それが二重人格の原因なんだ。」
アーシ「そうなんですか……。」
アスト「何か聞きたいことはあるかね?」
アーシ「…………。」
アーシ「似たような患者って、『もう一人』いますよね?」
向こう側の応答が数秒止まった。
アスト「素晴らしい質問だ。勿論いる。しかし私も行方を知らない。」
アスト「それを探せれば、ツムギは何とかなると思っている。」
アーシ「見つからない場合は……?」
アスト「君が彼女の責任を取りなさい。」
アーシ「別にそれでも構いませ―――」
その時、脳裏にヨノバルの『ここで失敗したら負けを認める、という信念を持つべき』という言葉が浮かんだ―――。
アーシ「絶対に勝ちます。」
アスト「いい返事だ! 健闘を祈る!」
***
ヨノバル「どうだった?」
アーシ「今は成り行きに任せる。ツムギさんと話さないとだめだ。」
その時、アキューからLINEで連絡があった。
アキュー「アーシさん、何があったんですか? 鎮守府出身の4人が、ツムギさんを取り押さえたって!」