ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
連絡を受けて、アーシが連れ去られていた、ツムギの家に戻る。
そこには鎮守府の4人……。ジャスカ、マヤ、メルダム、キャンディの4人がいた。
ジャスカ「お父さんに連絡したんですね。」
ジャスカの苗字は高田寺。アスト医師のものと一致していた。
マヤ「私たちのお父さんたちは、それなりに親交が深いんです。闇の勢力、とでもいうべきですが……。」
マヤ「そしてその中心として……ツムギさんがいた。」
メルダム「とりあえずツムギ、こうでもしないと本音で話せないよ。私たちは君の事情を全部知ってるし……アーシに話してあげなよ。」
ツムギ「ちいっ……。まあ端的に言うと、俺たちは双子だ。1つの体に、ツムギとクルミがいるんだよ。」
しばらくツムギは黙る。
ツムギ「これを見てほしいんです。」
ツムギは服をまくり上げ、おなかを見せてきた。
アーシ「明らかに腹を一周して切開痕がある……。これは……。」
ツムギ「私、双子で生まれてきたんですけど……。いや、生まれたと言っていいのかな……。片方は肺や脳、もう片方は腸がなかったり……生きるのに不完全だったんです。」
ツムギ「まるで、上下組み合わせて人間にしろ――と言わんばかりの。」
ツムギ「ジャスカさんのお父さんは相当腕の立つ闇外科医だったので双子を上下s切断して、1つに合成する手術をしてくれたそうです……。」
ツムギ「だから、へその周りで両断されたかのような人間になってるんですね、私は。だからジャスカさんとは幼いころからの知り合いで……。」
ツムギ「ちなみに、この手術は前代未聞だったのでいろいろあったぜ? ヤクザや政治家や金で揉み消してもらったり……その時の共同作業が、鎮守府組4人のお父さんたちの出会いになってる。感謝してほしいけど、みんな冷たいぜ……悲しいぜ。」
メルダム「偶然にしてはできすぎている。その4人にはそれぞれ同い年の娘がいたなんて……。」
アーシ「そうだったんですね……。ジャスカさんたち鎮守府組と仲がいいのはそういう理由だったんですね……。」
ツムギ「悲しいとかじゃないんですよね……ただただ、不思議で……。」
ツムギ「そして。あなたは私たちのパートナーを見つけることはできない。」
ツムギ「なぜなら私と俺は最初から双子だから。」
ツムギ「見つけられるものなら見つけてほしい。それが私があなたから離れるための条件です。」
アーシ「……………見つけますよ。」
ツムギ「本当に見つけられますか?」
ツムギ「私———青森県むつ市の、片割れを!」
青森県むつ市———。鎮守府ではないが、海上自衛隊五大基地「大湊」を擁する市町村である。恐山のイタコでも有名……。ヨノバルはこの街のカードを作っていなかった。まるで「空けていた」かのように―――。
ツムギ「そして、約束してくれるよな?」
ツムギ「見つからないなら俺たちと結ばれてくれるって。」
アーシ「いいでしょう。というより……。」
アーシ「『見つかるまで付き合う』の方がそっちにとって有利でしょう?」
ツムギ「別れる辛さを知らないのか?」
アーシ「新たなパートナーと出会う悦びも知らないでしょう?」
ツムギ「ははっ!! おもしれえ奴だ!! 言っておくとこの人格が『クルミ』だ。よろしくな。」
アーシは確信した。
彼女たちはメインヒロインではなく、ラスボスだったのだ。
アーシエル「そうだ、せっかく6人集まったんだから、ヤミヨロズ・アーカイブしますか? 別のボドゲでもいいですよ。結構持ち歩いてるんで。」
雰囲気が重くなりすぎたので、空気を戻そうとするアーシエルだが……。
ジャスカ「ここでプレゼンをさせてください!!」
アーシエル「!?」
ジャスカ「今日紹介するのはこのボードゲーム『サプレッション』!!」
ジャスカ「金を溜めてデッキをゲーム内で構築し、神々を『取り合う』ゲームです!! 病みつきになること間違いなし、2~6人に対応!!」
ジャスカ「お値段なんと、99800円!!!!!」
アーシエル「ぼったくりだろ!!!」
ジャスカ「属州を増やしてお待ちしております!」
***
アーシエル「値段は高いけど、面白かったな……サプレッション。社会人でお金を出し合えば、ぎりぎり買えるのかな……。」
アーシエル(ツムギさんとは仮の恋人関係になると約束したんだ。彼女は「私がいいと思ったら永遠に相手を見つけなければいい」と言っていたが……。)
アーシエルには気になることがあった。
アーシエル(ツムギさんの相手って結局誰だ? むつ市って要素が多すぎて釣り合う奴がいない気がするんだが……。でも決して渋谷ではない。)
アーシエル(後日ヨノバルに聞こう。)
***
しかしヨノバルはしばらく学校を休んでいた。その反面、LINEは凄く元気であった。メッセージを大量にアーシに送っていたが、「我は大丈夫だ。しかし絶対に許せないことがある」と連呼している。アーシは心配だったが、先生からは「そっとしておけ」と言われているので、収まるのを待つことにしていた。
アーシ(それからツムギさんとの恋人生活はすごく幸せだった。ファミレスに行ったり、FPSを一緒にしたりなど、何気ない時間がとても大切に感じられていた。)
アーシ(クルミさんも意外と聞き分けがよく、大切にしたい気持ちが湧き上がってきた。)
ツムギ「これを永遠に続けたら幸せですよね? 諦めちゃいましょうよ。」
ツムギ「香港もむつ市も港ですよ? 同じですって!」
アーシ「やっぱり……。それは認められない。」
ツムギ「まあ、俺は信じてっから! ツムギはお前を幸せにできるし、逆もまたしかり!! お互いに他人を思いやれるんだから!! それは大切なことだから!! 俺はわがままだから2番でいいよ!!」
アーシ「あなたも最初は怖かったけど、いい人だと思いますよ?」
でもやっぱり……。彼女の片割れがどこかにいて……。
その人はツムギさんとクルミさんを待っているに違いない。
***
数週間後、やっとヨノバルが登校した。
アーシ「ヨノバル!! 大丈夫だったか!?」
ヨノバル「なんとか……。同じことをずっと考えていたが『やらないとわからない』ことがわかった。」
アーシ「なんだそれは……。」
学校についた瞬間、ヤイバラが話しかけてきた。
ヤイバラ「アーシさん! ヨノバルさん! サプレッションというカードゲームを御存じですか!? 今度やりましょうよ!?」
ヨノバル「嫌です。」
ヤイバラ「何でですか?」
ヨノバル「根本的にドミニオンのパクりで、デッキをゲーム中にビルドして、廃棄や取得を繰り返していくタイプのゲームなんてもうありふれてるんですよ。そもそも私そういうタイプのゲームは好きじゃないんですよね。だってみんな組むデッキって大体同じじゃないですか。フィールドにあるカードを集めるのでそりゃ最適戦略も狭まってくるし、買い切り型なのはまあいいとして、ゲームとしてやってて面白いんですかね? あとこれはどう頑張っても呪いや属州などのゴミが手札に混じることを強制されててイライラが凄い。何の意味もないカードをポイントのために手札に入れるのは耐えられません。」
ヨノバル「あと何でしたっけ? 神々を集めるんでしたっけ? 私たちヤミヨロズ・アーカイブは市町村を元に神々を擬人化していますが、あっちは様々な企業を神にしているんでしたっけ? ANAとかJRは特定の市町村に依存しないんでそこはヤミヨロズ・アーカイブとの差別化になりますよ? でもじゃあ聞きますけど、パロマとリンナイってどう作りますか? どっちも名古屋の給湯器メーカーで完全にキャラ被ってますけど、実は両企業は事故対応への姿勢が全く違っているんですよね。ちゃんとそこまでうまく作れるんですかね? そういうと向こうは三条燕どうするって言ってきそうだな……。我難しい。」
アーシエルは恐怖していた。
アーシエル(間違いない。こいつはサプレッションに対抗意識を燃やして休んでいたんだ。)
ヨノバル「アーシよ、サプレッションとかやっておらんだろうな? 我は確かに『他の女とイチャイチャしてもいい』って言ったが、ヤミヨロズ・アーカイブから心離れたら許さぬぞ。」
アーシ「し、してない……。というか嫉妬心が爆発しすぎだろ…………!」
ヤイバラ「すみません……一つ聞きたいんですけど。」
ヤイバラ「まず、これはサプレッションの看板キャラ『シガラミ』です。ポケモンで言うピカチュウ、妖怪ウォッチでいうジバニャンと同じぐらいのポジションです。」
アーシ「なるほど…………。」
ヤイバラ「ヤミアカにはありますか? 看板キャラが。」
ヨノバル「考えてもいなかった。」
アーシとヨノバルはずっと「市町村に貴賤はない」と考えていた。ヨノバルとアーシエルは作者の分身であるためそれを看板キャラにするのはおかしいとも思っていた。
アーシ「妄想フェイズにはいろう……。」
ヨノバル「そうだな……。」