ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
ツムギ「私が最後に『憑依』させるのは、彼だと決めてるんです。」
シガラミ「イタコの憑依———来るか―――」
ツムギ「私はLです。」
シガラミ「へえっ!?」
松山ケンイチ。青森県むつ市が誇る大物俳優である。彼は個性を消した演技を行うことから「憑依型俳優」とも呼ばれている。偶然かイタコの街との相性が良いのである。
そして彼の出世作である映画「DEATH NOTE」のL。ツムギも擦り切れるぐらい見ており、Lの思考回路を真似るまでに至った。元々彼女が得意としていた、他人の思考を自分に憑依させプロファイリングする「イタコ式プロファイリング」と合わさり最強となっていた。
そしてファンにはよく知られていることだがLは……。
ツムギ「ここまで出すのは初めてですよ……?」
アーシエル「これは、これは!!! 出てしまったあああああああああああ!!!!」
アーシエル「カポエイラだあああああああ!!!!」
シガラミ「チイッ!!!」
Lは、カポエイラが使えるのである。ツムギも頑張って学んでいた。そしてLの思考力と合わさることで、武術の『先の先』を活用した必殺技となる!
ツムギ「先の先カポエイラ!! 私ですらその完成系は見えていない!!!(なぜならDEATH NOTEでの作中描写がほぼないから)」
アーシエル「すさまじい猛攻だああああああああ!!!」
ツムギのカポエイラは回転力が凄まじい! ひたすらに回転しながらパンチとキックを繰り出し続けている!!
シガラミ「生半可な忍術では、先読みで潰されるッッ!!」
ギナミス「本来カポエイラはブレイクダンスにも影響を与えている通り、地面の使い方が重要な格闘技ですぞ!! 原子力船を改造した観測船……それが御神体の彼女は、計測するためにバランス感覚に優れている! カポエイラの相性は絶大!!」
ツムギ「カポエイラには音楽が必要、BGMはむつ市出身のamazarashiさんでお願いします!」
観客たちは沸き立っていた。
観客「これがツムギの本気かああああああああああ!!?」
観客「鎮守府スペシャルですら力をセーブしていたなんて!!!」
ギナミス「正直、初手でこれならいくらでも対応できますぞ。しかし最後の最後、何もかも出し切った状態でこれが来るのは、かなりつらい!!」
カポエイラに削られながらシガラミは呟く。
シガラミ「こんなの、破れるわけがない―――」
シガラミ「それが嘘だと言ったら?」
観客「行けるのか? これ、破れるのか!?」
シガラミが指パッチンすると、煙突が地面から突き出してくる!!
シガラミ「知らぬのか? わしの甲賀市信楽町は……。」
シガラミ「『えんとつ町のプペル』のラッピング電車が走った聖地なのじゃ!! 信楽は焼き物の街ゆえに、煙突が多いからのう……。そこが一致したからじゃろうて!!」
ツムギ「なんだと!?」
アーシエル「次々に煙突が地面から突き出すうううう!! まるでジャベリン!!! そして、煙突の煙が会場上部を覆いつくす!!! 視界と逃げ場がどんどん減っていく!!」
ギナミス「デスカポエイラ……やぶれたり!!」
煙は天井からかなり低いところまで充満している。遠くに行けば相手を見失う。
ツムギ「すごいぜ……お前。」
シガラミ「これで終わりだと誰が言った?」
ツムギ「なんだと!?」
シガラミの顔は非常にホビアニの主人公がしそうなキメ顔で、全くラスボスにはふさわしくなかった。
シガラミはふてぶてしく笑い、天に手をかざす。
シガラミ「これがわしの切り札じゃ!!! 信楽にはMU観測所という大気観測所がある!!!!」
シガラミ「そしてこれはオーロラ活性プログラムHAARPと同一視されることもある!! 意味が分かるな!?」
シガラミ「口寄せ・気候変動の術!!」
陰謀論でよく言われている。大気観測をするレーダーが実は大気をいじって人々を苦しめていると―――。その妄想が、今夜限りで本物になる!
???「ピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!」
煙突から放たれた煙が蝶の形に変形する!!
シガラミ「どうだ? これがわしの全力だ……!!! 甲賀市出身の蝶愛好家がいるんだよ……!!」
余りにも巨大なその蝶は――――ツムギに襲い掛かる!!!
シガラミ「空を見上げるな、夢を見るな、真実を知ろうとするな!!」
シガラミ「何故ならば、わしこそが、絶対だからだ!!!!」
ツムギ(何だこいつは……なんでこんなに強いんだ!?)
ツムギ(これは―――)
ツムギ(最後の最後の『あの技』を出すしかない!!!)
ツムギが目を見開いた!! そして―――
アーシエル「なんだこれはああああああああああああ!?」
アーシエル「ツムギ選手の背中から大きな羽が生えていく!!!」
ツムギの背中から光の羽が生える!!!
アーシエル「これは霊力———いや、違う!!」
アーシエル「原子力によって生まれた『光』そのものだああああああ!!!」
ツムギ「むつ市の釜臥山展望台から見える夜景は、『光のアゲハチョウ』に例えられることがある。」
ツムギ「私の全ての力を使って、光の羽を生やしました!! 問題ないですよね!? 蝶は昔から死者の魂を意味してきましたから!!」
これを見ていた観客は満場一致で思っていただろう。
シガラミ「天使…………? いや、悪魔……?」
ツムギは羽を大きく、とても大きく羽ばたかせた!!
シガラミ「ぐううううううううう!!! 負けるな!!!」
煙の蝶も大きく羽ばたく!!! すさまじい風が会場に巻き起こる!!
ツムギ「『未来の光』で『浄化』してあげますよ!!!」
シガラミ「星をかき消す煙で、全ての光を遮れ!!!!」
二匹の蝶は全力で羽ばたく―――!!!
その羽ばたきは相殺され――――
膨大な煙と光は、完膚なきまでに打ち消された!!!
アーシエル「相殺いいいいいいいいいいいいいいいいいい!! まだ、まだ互角です!!! こんなこと、信じられません!!!」
煙が晴れてクリアになった会場に、ツムギが降り立った。彼女も羽が無くなっている。体力が限界のようだ。
ツムギ「あなたはまだやれる!! いや、ずっとやっていたい!!!」
ツムギ「いけますよね!? もっと戦いましょう!!!!」
ツムギ「だって、運命感じますもん、あなたに!!!!」
ツムギの顔は激しく愉悦に歪んでいた。それは到底主人公と呼べた物ではなかった。
シガラミ(ひどい顔してるな、こいつ……。)
シガラミは、覚悟を決めた―――
シガラミ「もう、私にはこれしかないからさ!!!」
シガラミは懐からレイピアを取り出した!! 甲賀市には日本で作られた唯一のレイピアが眠っている! 彼女はその『もう一つの』オリジナルを持っている!
シガラミ「これでやろうよ、そうしたら羽とか関係ないし!! 持ってるよね!? 真剣!!!」
シガラミ「いいよ!? 斬り殺していいよ!? 復活するし、まだ斬り合いの方が勝機あるからさ!!」
シガラミ「ずっとやってたいけど、いったん決着つけようよ!? ゴエティアとアレイスターの……いや、ツムギとシガラミのさあ!!!」
ツムギ「…………。」
シガラミ「来てよ……ここまで面白い戦い、したことないよ……。」
ツムギ「いいですよ。私の初めての『罪』、あなたで犯します。」
ツムギは今まで使わなかった刀を取り出した。青森県の名工・紀正賀によるものである。木刀を愛用していた彼女は、今まで全く使わなかった。
ツムギは今まで、相手を殺害してフィニッシュしたことが無かった。ゴエティアは殺害OKである上に、ヤミヨロズは殺されてもまったく気にしない文化である。しかしツムギは不殺を貫いていた。彼女自身も理由は分からなかった。
しかし、それは「初めて」の相手を探していたのかもしれない―――
シガラミ&ツムギ「これで終わらせる!!!」
二人が一気に間合いを詰める!!
アーシエル「最後の激突だあああああああああ!!!!!」
ギナミス「リーチはほぼ互角!! 彼女たちの身長差もほぼない!!」
ギナミス「これは――――」
アーシエル「完全に――――!!!!」
アーシエル「イーブン!!!!!!!!!!!」
ツムギ&シガラミ「さようなら……!!!」
ツムギ&シガラミ「そして、ありがとう!!!」
ツムギ&シガラミ「私の、分身……!!!」
お互いの渾身の突き。二人の動きが止まった。
二人とも、心臓に刀/レイピアが突きささっていた。
二人は倒れた―――。