ご当地伝奇百合カードバトル ヤミヨロズ・アーカイブ ―神々の相棒を探そう― 作:Linkscape
終戦直後、アキューはあきる野の前身となる秋川市を訪れていた。ここをGHQの根城とするために調査を依頼されたのだ。日本にはヤミヨロズという神がいるとされていた。そしてアキューはヤミヨロズに勝てるように設計された機械だったのだ。そして人々から崇められればヤミヨロズになれるらしい。そうすれば無敵だ。日本の神々のネットワークに入り込みつつ、不死性とワープを手に入れられるのだから。
アキューの最大の武器は「精神的勝利法」である。どんなに辛いことがあっても理由を付けて勝ったことにできるという。これをGHQが教えたのは親心である。まあ普通に強いので使い時は少ないのだが。
アキュー「ここが秋川市か……ワタシの第二の故郷になる場所……。」
アキューは釣りが趣味だった。GHQの法務顧問の人も釣りが好きだったので、よく一緒に秋川渓谷で釣りをしていたものだった。その人が忙しくて来れないということで、1人で釣りをしているととある少女がアキューのもとに近寄ってきた。
????「なぁにしてるの?」
アキュー「フライフィッシングだよ。釣りとはちょっと違う。虫を模したフライを投げて魚に食べさせるんだ。」
????「へえ~~~。」
アキュー「そっちも何か趣味があるのか?」
????「私は少女漫画が好きなんだ。だから書いてるの!」
アキュー「なるほど、面白そうだな。読んでもいいか……?」
????「いいよ。あっ、名乗り忘れていた。私はキュアっていうんだ! 五日市町を治めているんだ。」
アキュー「こういうの嫌いじゃないな……あ、すまん。一つ聞きたいんだが、秋川市にヤミヨロズはいるか?」
キュア「神様のことだよね? いないから、治めてしまっていいんじゃない?」
アキュー「じゃあ地道に神様として活動していくか……。」
キュア「私たちそっくりだし、友達だね!」
後は簡単だった。キュアも秋川市には行くので、紹介してもらって人間たちから信仰を得るだけだった。困りごとを解決したりしていれば次第に仲良くなる。裏でやってたGHQの検閲の仕事もうまく言っており、表向きに解体されてもヤミヨロズの監視を続けてきた。
後に秋川市と五日市町が合併して、あきる野市になるのだがそこは大きな問題にならなかった。なぜならうっすらと、『アキューはキュアの偽者』『キュアはアキューより弱い』という風評が広がってきたからである。
住民たちの間で、アキューはGHQの手先なのではないか? といううわさが広がっていた。そしてキュアはヤミヨロズにしては弱すぎるという風評も広がっていた。別に弱いから困ることはないのだが、自分たちの神は強くあってほしいのだ。地元の威厳に関わるからである。秋川市と五日市町の人々は「うちらの神が本物だ」「うちらの神が強い」と仲が悪くなり始めたのだ。そして決着をつける必要がキュアとアキューには迫られていた。
そしてキュアとアキューは戦い、アキューは圧勝したのだった。そしてその過程でアキューはGHQ産であることが分かってしまったのだった。
それからはアキューは『偽者』としてなじられる日々が始まった。偽者と言うことで飲食店の料金は5%増しになっていたなど微妙な不便がアキューに襲い掛かる。そうしないと争いが起こるのである。偽者は本物に勝ってはいけない。その絶対のルールをアキューは破ってしまい、アキューが不利益を被らないと人々は気が済まないのであった。
そしてキュアもノーダメージではなかった。本物は偽者に負けてはいけないという創作のお約束を彼女は破ってしまった。しかし本物の神様なので飲食店の料金が5%引きという特典を得ることができた。
しかしアキューは細かいので、キュアと一緒に10000円の買い物をしたとき、二人の割増割引で10000×1.05×0.95=9975円になるはずなのだが、人々は5%割増しと5%割引で相殺して10000円になるのが二番目の不満だった。
そして一番目の不満……というより悲しみは「キュアがやる気を失ったこと」であった。キュアは全力で戦ったが、GHQの力を受けた神に勝つのは相当難しい。キュアは最初は少女漫画家になると意気込んでいたが、「どうしようもないことはある」と思い知ったのか少女漫画を読むだけの神になってしまった。アキューはキュアの人生を破壊したと思い込むようになってしまった。圧倒的な勝利なので「精神的勝利法」も使えなかった。だって元から勝ってるから。
アキューは、彼女がくじけなかったらどうなっていたか、ずっと考えていった。偽者は本物に勝ってはいけなかったとずっと考えていた。あきる野市のもめごとや治安維持、他の市町村との調整はアキューが全て担っているのだ。彼女も旧五日市町だけでも仕事をしてほしいのだが……粉々に自信を砕いてしまったのだ。
アキュー「これが私の闇っすよ。『偽者が本物に勝ってしまったが故の悲劇』っす。これと等価なものは出せるっすか?」