幼馴染の一人が【泥棒猫】にジョブチェンジしてから、俺の青春が修羅場ってる   作:古野ジョン

12 / 12
第11話 パフェが食べたい

「秋乃、今度パフェでも食べに行かないか?」

「え、嫌だけど」

 

 話が五秒で終わってしまった。体育館の端っこにて、バドミントンの授業の合間を縫って秋乃の隣に座ってみたのだが――にべもなし。

 

「それよりあんたはなんで制服なの。また見学?」

「うん。まあ、分かるだろ」

「あっそ」

 

 運動着姿の秋乃は体育座りをしたまま、コートでシャトルを打ち合うクラスメイトたちをぼーっと眺めていた。心なしか、元気がないようにも見える。

 

「それでさ、夏のパフェってどういうのなんだろうな? スイカ? メロン?」

「話聞いてた?」

「スイカのパフェってあんま見たことないよな。でも真っ赤で綺麗そうだし」

「パフェなんて今どき千円くらいするでしょ。嫌よ、あんたらと違ってそんなにお金ないし」

 

 秋乃は淡々と答えた。本当に興味がないのか、それともこちらの意図が分かっているということなのか。

 

「それがさ、商品券を貰ったんだよ。俺だけじゃ使いきれなくて」

「冬雪さんと千夏にプレゼントでも買ってあげなさいよ。喜ぶわよ」

「お前だけ仲間外れに出来ないだろ。いいから食べに行こうぜ」

「……あんたこそ、なんで私なのよ」

 

 しつこく誘ったおかげか、初めて秋乃がこちらを向いてくれた。訝しむような視線を俺に突き刺し、警戒感を露わにしている。

 

「お前と話がしたいんだ。せっかくなら甘いもんも食べたいし」

「冬雪さんのことなら放っておいて。あんたには関係ない」

「今更関係ないは無理だって。一緒に風呂に入った仲なのに」

「あっ、あんたとは入ってないわよ!」

 

 秋乃が初めて声を張り上げた。しかしすぐにクラスメイトたちの掛け声にかき消されてしまったので、誰も俺たちに視線を向けることはない。

 

「なんだ、元気じゃん」

「元気って……あんたが変なこと言うからでしょ!」

「やっぱり秋乃に泣き顔は似合わないよ。昨日は悪かった」

「あんたに言われるとなんか腹立つ。何も分かってないくせに」

「何も分かってないって、勝手に『裏協定』なんか決めてたのはお前らじゃんか」

「ッ! ……それは、悪かったわよ」

 

 どうやらそこを突かれると痛いらしい。別に怒りはしないけど、何年も自分の知らない決め事があったってのは驚きではあるからな。

 

「だからさ、パフェくらい付き合ってくれよ。秋乃も甘いの好きだろ?」

「行くのはいいんだけど、あんたと二人ってのが」

「……」

「なんで黙るの」

「ほら、呼ばれてるぞ。女子は集まって試合するって」

「わっ、分かったわよ! いちいちうっさい!」

 

 秋乃は嫌そうな顔をしながら、ラケットを片手に駆け出していった。とりあえず第一段階はクリアだな。

 

 ゆっくりと立ち上がってから、俺は秋乃のいるコートの方に顔を向けたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

処女の女冒険者に気をつけろ(作者:三つ眼の荒木)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

冒険者は命がけの仕事だ。▼だからパーティを組めば、いつの間にか誰かと誰かがくっつく。▼フリーでやっていて弱い女には、体目当ての依頼しか回ってこない。▼つまり、フリーで長く続いていて、下世話な噂が一つも聞こえてこない女冒険者。▼そういう相手は、体を売らずに済むほど強く、それでいて誰ともパーティを組めなかった人間ということになる。▼強くて訳アリの女。▼「処女の女…


総合評価:3715/評価:7.07/連載:12話/更新日時:2026年09月29日(火) 20:00 小説情報

「別れよう」と上位存在の彼女に言うだけの短編集(作者:やゆゆゆゆ)(オリジナル:現代/恋愛)

▼上位存在「許すわけないよね?」▼注:基本的にお馬鹿な人間が食べられるのみの作品集になっております▼


総合評価:5287/評価:8.89/連載:3話/更新日時:2026年05月26日(火) 20:46 小説情報

アベコベ少女ノヤンデレ裁判(作者:MS)(原作:魔法少女ノ魔女裁判)

※ネタバレ注意▼世界の男女比を偏らせまして…▼少女に理解ある少年をあてがいまして…▼トラウマをなんとかしてあげまして…▼あっ、ヤンデレになってしまいました…


総合評価:1310/評価:8.82/連載:10話/更新日時:2026年06月21日(日) 12:00 小説情報

紐になりたいといったな。あれは冗談だった。(作者:紺南)(原作:魔法少女リリカルなのは)

将来は紐になりたいと冗談を言った主人公。▼それを真に受け、受け入れる準備を始めたフェイト。▼そこから始まるドタバタコメディ。


総合評価:10608/評価:8.11/完結:44話/更新日時:2026年09月06日(日) 21:35 小説情報

鬼畜陵辱エロゲの世界に転生したけど男女比がバグってるせいで竿役が俺しかいない(作者:乳と地位が比例する世界)(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

——なら俺が竿役全員やるしかねえっ!!▼カクヨムにも投稿してます


総合評価:1121/評価:7.26/連載:9話/更新日時:2026年06月29日(月) 07:21 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>