だから俺は補助監督なんだって!!   作:スノーゼラニウム

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呪いの王と補助監督

【英集少年院前】

 

雨が降りしきる最中

英集少年院を取り囲んでいた特級呪霊による“生得領域”が閉じる

それは領域内部の特級が死んだ事を意味する

 

特級が死んだ事で大団円…とはならず

少年院前にて二つの影が相対している

 

一つは呪術高専一年の伏黒恵

もう一方は伏黒が帰りを待っていた同じく呪術高専一年の虎杖悠仁

 

だが、現在の彼は虎杖であって虎杖ではない

虎杖悠仁の意識はそこに無く、肉体の主導権を握っているのは彼に〈受肉〉した史上最強の術師

 

『呪いの王 両面宿儺』

 

『両面宿儺』

それは腕が4本、顔が2つある仮想の鬼神

しかし虎杖悠仁に受肉しているのは千年以上前に実在した人間である

 

かの呪術全盛の平安時代

術師達は彼を葬らんとし、総力をあげ戦いを挑む事になったが結果は敗北

両面宿儺の名を冠した彼は死後呪物として時代を渡る事になった

その呪物である死蝋はいかなる手段、あの五条悟をもってしても破壊する事は出来ない

現代に語り継がれる

紛うことなき『呪いの王』である

 

 

そんな呪いの王たる宿儺にも予期せぬ出来事が起きた

受肉した先が問題だったのだ

 

『虎杖悠仁(宿儺の器)』

 

通常、人間に受肉する場合は

1、受肉が成功し、受肉体としての自我を宿す

2、受肉が失敗し、受肉先の人間が死亡する

この2パターンが存在する

特に宿儺クラスの特級呪物ともなれば通常の人間では耐えられないレベルの猛毒である

だが虎杖悠仁は受肉を成功させただけでなく、宿儺相手に難なく自我を保つ事が出来ている

 

つまり虎杖は破壊不可能な宿儺の呪物をその身体に取り込み、あまつさえ制御する事が出来る

千年生まれてこなかった逸材なのである

 

 

しかし今、肉体の主導権は宿儺に奪われており

本来味方である筈の伏黒と相対し、互いの出方を窺っている

 

既に伏黒は少年院の生得領域を抜ける際に式神を一通り使っておりその内「玉犬(白)は特級呪霊に、「大蛇」は宿儺の攻撃により破壊されている

 

(不味いな…「鵺」も限界が近い。破壊される前に解いた方がいいな。それにもう呪力が…)

 

伏黒恵の持つ術式は『十種影法術』

影を媒体とし、多種多様な能力を持つ十種の式神を操るというものである

また“御三家”の一つ『禪院家』の相伝術式でもある稀有な術式なのだ

 

 

そんな伏黒の術式に興味を持った宿儺が問う

 

「…オマエの式神、影を媒体にしているのか」

 

「(バレた所で問題はない)ならなんだ」

 

「フム…分からんな。(呪符を使うありきたりな術式ではない…応用も効く)オマエ、あの虫から何故逃げた?」

 

(虫?特級の事か…?)

 

「宝の持ち腐れだな…まぁいい。どの道その程度ではココは治さんぞ」

 

そう言い自身の心臓を指す宿儺だが、そこにあるのは虚無、空洞

宿儺は心臓が無くても生きられるが虎杖は違う

つまり現在の肉体の主導権を虎杖が取り返したとしてもすぐに死んでしまう

 

自らの心臓を抉り取り、虎杖自身を人質とする

それは呪いらしい邪悪で悪辣で悪魔的な発想

 

「つまらんことに命を懸けたな、この小僧にそれ程の価値はないというのに」

 

ニヤニヤとした笑みを浮かべ伏黒を見やる宿儺

 

 

 

【不平等な現実のみが平等に与えられている】

 

 

 

呪力も切れかけ、満身創痍の伏黒

しかし鮮明に脳内を巡る自身の姉との記憶

 

 

「誰かを呪う暇があったら大切な人のことを考えていたいの」

 

 

そうやって花のように笑う姉の名は

『伏黒津美紀』

 

(疑う余地のない善人だった。誰よりも幸せになるべき人だった。それでも津美紀は【呪われた】。俺の性別も知らず“恵”なんて名前を付けた父親は今も何処かでのうのうと生きている。)

 

(因果応報は全自動ではない。悪人は法の下で初めて裁かれる)

 

(呪術師はそんな“報い”の歯車の一つだ)

 

(少しでも多くの人間が“平等”を享受できる様に…)

 

「俺は不平等に人を助ける」

 

 

伏黒が掌印を結び流れ出る呪力を感じた宿儺が叫ぶ

 

「いい…いいぞ。命を燃やすのはこれからだったわけだ…。魅せてみろ!!!伏黒恵!!!」

 

伏黒が両手を重ね、祓詞を唱えようとしたその刹那一つの影が飛び込んでくる。

 

 

「布瑠部由良由良…八握「ちょっと待った!!!ストーーーーップ!!伏黒君!!!!!」…!?」

 

「危ねぇ!!!!!ギリセーフ!!!!」

 

突然猛スピードで2人の間に飛び込んできた宵月は慌てて伏黒の掌印を両手で解除し、下に降ろさせてから宿儺に向き直る

 

「なんだ貴様…?興を削ぐな、痴れ者が」

 

「急に割り込んですまんね。呪いの王様」

 

 

時間は伊地知からの連絡を受けた世良が英集少年院へ到着した頃に遡る

 

 

「ほーい、到着っと!特級呪霊は何処だろな」

 

ふわりと空から英集少年院に着地した世良は周囲の状況を確認する

 

(あれ?伊地知の話じゃ生得領域が展開されてて虎杖君と伏黒君が残ってるって話だったけど…これ、特級死んで王様(宿儺)出てね?)

 

周囲に特級呪霊の呪力及び領域が確認出来ない事、そして少年院付近を覆う濃密で強大な呪力、なにより世良が考えている間に頭上を通り過ぎた【伏黒恵】…

 

「ん?おーーーい!?待て待て待て!!」

 

更に伏黒は上空で宿儺に殴り飛ばされ少年院内に戻される

 

 

「やばいやばい…急がねぇと」

 

世良も伏黒と宿儺を追い、少年院内へ足を踏み入れたのだが

その瞬間、世良の目に飛び込んできたのは掌印を結ぶ伏黒の姿

 

「あれ?伏黒君、遠目で見ても呪力切れっぽかったのにな。どんどん呪力が膨らんでる?(てかこれ五条から聞かされた事あるような?)」

 

_______

 

 

(世良〜聞いてよ!!恵の術式の事なんだけどさ!!調べてみたら、あらビックリ!!!ちょっといつの時代かは忘れちゃったんだけど、昔のうちの当主が殺された術式だったんだよね〜)

 

(は??それマジ??)

 

(マジよマジ!!ちなみにその時の当主は僕と同じ『六眼』持ちの『無下限呪術』使い!

いや〜!!将来有望だね!!)

 

(そんなヤバすぎ術式持ってるやつの教育係が五条なの心底心配だわ…)

 

(大丈夫!大丈夫!!十種影法術が強いのは勿論だけど、一番やばいのは奥の手の魔虚羅ぐらいのもんだから)

 

(魔虚羅??)

 

(そうそう!!十種影法術ってのは基本的に影を媒体にしててね、手で影絵を作ってその影から式神を顕現するんだよ。ほら犬の影絵とか子供の時に作った事ない?あんな感じでね)

 

(まぁやってたかもだけど、それとその魔虚羅がどう関係してるんだよ)

 

(まぁまぁ聞いてよ。さっきも言ったけど他の式神は手の影絵から呼び出すんだけど、魔虚羅は祓詞と掌印が必要になるんだよ)

 

(祓詞と掌印??)

 

(そう。祓詞は布留の言、掌印は両手を重ねる。それが魔虚羅を呼ぶ手順だよ)

 

(なんだよ、割と簡単じゃねぇか。絶対に簡単に呼ばないように教育しとけよ)

 

(当然でしょ!僕を誰だと思ってんの!GTG(グレートティーチャー五条)だよ!!!)

 

_______

 

 

 

そう言いサムズアップした五条に今現在、青筋をたてキレそうになっている世良

 

(あのアホ(五条)!!!!!呼び出す寸前じゃねぇか!!!!!急げ!!間に合え!!)

 

そして先程の布留部強制解除の場面に繋がる

 

 

「邪魔して悪いね。王様」

 

「痴れ者が…身の程を弁えろ」

 

 

呪いの王と補助監督

これが最初の邂逅である

 

 

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