モンハン小説[紅の舞姫]   作:Momiji712

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第14話 地底の覇者

 

 

 

「…終わったぞ」

「お、ありがとう。助かるよ」

 

ナグリ村までの船旅は終盤に差し掛かり、今日中には着くであろう昼下がり。

ヤマトは我らの団の加工屋(未だに名前を語らない…)

に愛刀の天上天下無双刀を点検してもらっていた。

 

「…かなり刃が消耗していたからな、整備しておいた」

「ホントだ、綺麗になってる…料金は?」

「整備だけだ、必要ない」

「そうか」

 

相変わらず口数の少ない男だが、ヤマトも決して沢山喋るタイプでは無いので付き合いやすかった。

 

「…そう言えばさっき、お前んとこの嬢ちゃんが刀を見せに来たぞ」

「モミジが?なんでだ?」

「…なんでも、今のより少し長めの刀が欲しいそうだ」

「長めの…?」

 

以前ヤマトはドンドルマで、モミジの旧友だったラオシャンロンの形見として刃渡り40cm弱の脇差刀を護身用として渡した。

人間の前では竜化する事が出来ないので、そのような状況でも身を守れる様にと思って作ったのだが━━━

最近彼女はヤマトに教えを乞って東雲流滅龍抜刀術の剣技を習得し始めていた。

恐らくはもっと威力のある技を放てるように、太刀とまではいかないがそれなりに刃渡りのある刀が欲しいと思ったのかもしれない。

 

「わかった、本人に聞いてみるよ。…いざ作るってなったら作成をお願いしても?」

「勿論だ」

「助かるよ」

 

加工屋に軽く礼をすると料理アイルーの所で飯を食っているであろうモミジの元へ向かった。

 

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

 

「にゃんこ!!おかわりじゃ!」

「ニャ、ニャニ!?もう材料がないニャル!!食べ過ぎニャル!!!!」

「モミジさん…流石にチャーハン5杯は多すぎかと」

「む…そうかや…」

 

ヤマトが船内の食事場のドアまで行くと、中からそんなやり取りが聞こえてくる。

 

「あいつ…また爆食いしてんな」

 

やれやれと思いながらドアを開けると、飯をよこせと料理アイルーにせがむモミジと、横でそれをなだめるレンの姿があった。

 

「モミジ、その辺でやめとけ。太るぞ」

「お、ヤマト。ぬしも食うか?」

「食わねぇよ」

「なんじゃつまらん…」

 

昼飯は一時間ほど前に済ませたばかりのヤマトは、モミジが平らげたチャーハンの器の山を見て呆気にとられながら答えた。

 

「それより聞いたぞ。お前、刀が欲しいのか?」

「…どこでそれを?」

「加工屋だ。さっきお前が顔出したって」

「…口止めしておくべきじゃったな」

 

ボソッとそう言ったモミジの様子に、ヤマトは何となくその心情を読み取る。

 

「…ちょっと来い、甲板で話そう。…レン」

「はい?」

「料理長の片付け、手伝ってやれ」

「あ、わかりました」

 

レンも察しのいい人間だ。ヤマトがモミジと二人だけで話そうとしていることを感じ取ったのだろう。

食事場を出て、甲板への階段を昇って外に出る。

今日は快晴。気温も丁度よく潮風が気持ちいい。

 

「いい天気だな」

「…うむ」

 

甲板の手すりにヤマトが背を海に向けてもたれかかり、モミジは逆向きで海を見つめた。

 

「お前、ゴア・マガラの件を引きずってんだろ」

 

そう、唐突にヤマトが切り出すと、モミジの肩が顔は海へ向けたまま少しだけビクッと跳ねた。

 

「やっぱりな…そんなことだろうと思ったさ」

「…わっちはあの時何もできんかった…ぬしたちを守るのが精一杯で…あの盾も、奴がもう少し力を出していれば防ぎきる事はできなんだ」

 

わっちはあ奴に手加減されたんじゃ。と、怒りと悲しみが混ざったような表情で彼女は語った。

━━ここ数ヶ月、モミジと過ごしてみて分かったことがある。

彼女は基本的に争いは好まず温厚な性格だ。

しかし いざ戦うことになると、負けず嫌いな面が現れることが多い。

先日のゴア・マガラとの一件も、圧倒的な力の差を見せつけられ、一族の姫という立場であった自分が一方的に嬲られたのが悔しくてたまらなかったのだろう。

その結果、自身の竜の力だけでなく、剣の━━

東雲流の技をも磨いて強くなろうと考えたのかもしれない。

 

「…言ったろ。ひとりで背負うなって」

「わかっておる…しかし、どちらにしろ刀を強化するには素材が必要じゃ。わっちは、そこまでぬしに頼りたくは無い」

「そっか」

 

彼女なりの気遣いなのだろう。今までモミジが手に入れた旅装である服や、櫛、刀などは言ってしまえばヤマトが買い揃えたものだ。

頼りっぱなしの自分が嫌だったのだろう。

 

「なら…考えがある」

「…?」

「次の目的地━━ナグリ村で、俺は何かしらの依頼を受けるつもりだ。ギルドが手を貸してくれるとはいえ、何もせずにただ船を作ってもらうだけじゃ申し訳ねぇからな。」

「狩りに行くのかや?」

「聞く話によりゃ、ナグリはでっかい地底火山の中にあるらしい。当然そんな環境なら竜がいる。ギルドもない村だ、何かしらの依頼はあるだろう。そん時に、お前の刀になる素材も手に入れればいい。勿論、モミジの力でな。…それでどうだ」

「…わかった。ありがとう」

 

どうやら納得してくれたようだ。

 

「…ぬしには敵わぬな。直ぐにわっちの考えを見通してしまう。」

「はは…お前に言われたかねぇよ」

「くふっ…そうじゃな」

 

クスクスと笑い合う二人。

それを遠目から見守る影がひとつ━━━

我らの団の団長。

彼はしばらく二人を見つめると、穏やかな笑みを浮かべて船内へと戻って行った。

 

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

 

「これがナグリ村か」

 

数時間後、ナグリへと到着した船より下船したヤマト達は、今まで見てきた村とはかなり雰囲気の違うこの村に驚いていた。

そこは、地底火山の麓の一部をそのまま村にしたような形。山からの暖かな水が村の中心を通って海へと流れ、住居自体も穴を掘って作ったものが多かった。

しかし━━━━

 

「ぬしよ、この村は鍛冶師たちの多い村と聞いておったのじゃが」

「あぁ。まるでそんな雰囲気は感じないな」

 

と、いうよりも、この村自体の活気と言われるものが全くなかった。

 

「ナグリの村は古くから一日たりとも金槌の音が絶えないと言われてきた。こりゃあ…なにか大変なことが起きてるのかもなァ」

 

そう団長がポツリと呟く。

 

「とりあえず、村の長…村長さんにお話を伺ってみましょう」

 

レンの意見に賛成した一行は、村の奥へと足を運んだ。

歩みを進めて奥に行くと、他の村民よりガタイが大きく口には角のように伸びた髭を蓄えた人物が地面に座り込んでいた。

 

「あんた達は…」

「ハンターズギルドバルバレ支部よりここに来た。村長さんか?」

「…あぁ、そうだぜ…俺っちがここの長だ…」

 

ナグリの村長はその風格に似合わずボソッと答える。

その様子を見て、モミジが語りかけた。

 

「…村長殿、見たところ村に活気が感じられぬのだが…何かあったのかや?」

「………りだ」

「む?」

「もうこの村は終わりだぁぁ!!オーイオイオイ!!」

「ぅわぁ…びっくりするではないか…」

 

村長は叫ぶと変な声で泣き出す。

 

「いい歳の男が泣くんじゃねぇよ…。おっさん、何があったんだ?俺らは狩人だ、何か力になれるかもしれない。」

「ほ、ホントか??…実はな…」

 

そう言って村長は話し出した。

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

━━まとめると、こうゆう事らしい。

この村は本来水ではなくマグマが流れ込み、そのマグマを熱源として様々な加工業を行ってきた。

しかし一月ほど前、突如としてマグマが途絶えてしまったのだという。

原因を探るため村の男たちが地底火山の奥へと見に行くと、巨大な昆虫型モンスター「ネルスキュラ」が巣を作り、なんとマグマの流れを止めてしまっていたらしい。

更にはそれ以外にも地底火山内に大型モンスターが次々と現れ、鉱石採取さえ出来なくなってしまったと。

 

「…火山に現れたのは影蜘蛛ネルスキュラの他にも、鬼蛙テツカブラ、毒怪鳥ゲリョスが確認された…こんなにモンスターが湧いちまう事なんて今まで無かったのに…」

 

確かに、ひとつの狩場に複数の竜が同時に現れるというのは中々珍しい。

普通なら激しい縄張り争いが起こり、勝ち残った者だけが留まるからだ。

 

「分かった、俺等が出よう。」

「…え?」

「村長、俺らはさっきも言ったように狩人だ。モンスターが原因で困ってんならそれを討伐するのが生業。任せちゃくれねぇか?」

「いいのか?相手は沢山いるんだぞ?」

「こう見えても多少名の通ってる者なんでね。大丈夫だよ。」

「そうか…わかった、なら任せよう」

「契約金は?」

「いや、これはただのオラ達からのお願いだ、無しでいい」

「そうか、分かった。」

 

ヤマトはそう言って話を切り上げると、後ろで成り行きを見ていたモミジ達の方を振り返る。

 

「てなわけで、仕事だ。出発は明日早朝、それで良いか?」

「うむ」

「わかりました、なるべく情報を集めてみます。」

「助かる、頼むぞレン」

「はい!!」

「よっしゃあ、それじゃあ俺らも村に拠点を築くとするかァ!」

 

団長の一声で、キャラバンの連中もそれぞれの準備に取り掛かる。

レンは早速この周辺の地理、気候等を調べるため村の中で情報収集を行うようだ。

相変わらず勉強熱心な奴だと思いながら、ヤマトは自分たちの寝床になるテントを立てようかと思った。が、そこで後ろから袖を引かれた。

 

「ん?…どした」

「ぬし、お願いがありんす」

 

モミジの改まった様子に少し不思議に思いながらも、ヤマトは答える。

 

「なんだ?」

「掛かり稽古をしてはくれぬか」

 

掛かり稽古━━剣術の道場などで行われることのある、要は一対一での実戦式稽古だ。

以前も話した通り、モミジは己の竜の技以外にもヤマトから教わった剣技を習得して実戦で使おうとしていた。それ故に、今回の任務でも十分に戦えるよう稽古をつけてくれ。ということだろう。

 

「…分かった。ただし村の中じゃ目立つ。村の門を出た先の船着き場の近くに、岩に隠れた広場があったはずだ。そこでやろう。俺は準備してから向かうから、先行っててくれ。」

「うむ、頼む。」

 

そう言うと彼女は刀を携え、踵を返し村の外へと歩いていく。

 

「ああやって見ると…様になってんだよな…」

 

モミジの身に纏う和服に、腰に据えた刀、そして風を受けふわりと揺れる白銀の髪を見てヤマトはそう呟いた。

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

「悪い、待ったか?」

「いや、大丈夫じゃ」

 

ヤマトが準備を終えて約束した場所に向かうと、モミジは海を見つめて待っていた。

 

「戦闘形態にはならないのか?」

 

彼女が和服姿のままだったのでヤマトは問う。

 

「このままでよい。」

「そうか…よし、じゃあ始めよう。」

 

そう言うとヤマトは左腰の天上天下を抜刀する。

同時に、モミジも刀を抜刀した。

 

「お互い真剣を使った稽古だが、俺は手加減はしない。お前も斬るつもりで来い」

「くふっ…言ってくれる…ならば遠慮はせぬ」

 

10mほどの距離を保ち、見つめ合う二人。

刹那━━━━━

ガキィィンッッ!!!!!!

一瞬で肉薄した二人の刀がぶつかり合い、火花を散らす。

 

「止めたか、やるな」

 

完全に手加減無しの斬撃をしっかりと受け止めたモミジに、ヤマトは言う。

 

「あたり…まえじゃっ!!!!」

 

そう答えた彼女は刀の鍔で見事にヤマトの太刀を弾き、一瞬の隙を作る。

━━おもしれぇ。

モミジの剣の腕は確実に上がっていた。

何故か自分の事のように嬉しく思ったヤマトは、口角が上がる。

 

「ふっ!!」

 

そして脇腹が一瞬がら空きになった所を狙い、モミジが刀を振るった。

━━━━━━━━が。

まだ遅い。

 

ギィィンッ!!

 

「っ!?」

 

刀はヤマトに届かず、弾いたはずの太刀で阻まれた。ヤマトは、弾かれた太刀を空中で逆手持ちへと切り替えて防御したのだ。

 

「そう易々と俺が斬られるとでも?」

「まったくぬしは…っ!!」

 

ギリギリと音を立て、再び刃同士が交わる。

 

「お前、一人で鍛錬してたな?」

「なぜ…それをっ?」

「前と太刀筋が微妙に変わってる。自分に一番合う剣を見つけたか」

「……」

 

ガキィンッ!!

今度はヤマトが弾き返し、同時にバックステップ。距離が再び空く。

 

「やはりぬしの眼は誤魔化せぬか」

 

そういったモミジは教えたことの無い構えを見せる。東雲流の基本構えである腰に刀を据えた抜刀術の構えではなく、抜刀状態で刃が頬に付くぐらいの位置へと刀を持っていく。

斬撃というよりかは、突きの構えに近い。

それを見たヤマトは、思わず再び口角が上がった。

 

「やっぱおもしれぇ……見せてみろ、お前の剣」

 

ヤマトが東雲流の構えを正す。

 

「…ゆくぞ」

 

 

 

「"牙狼式滅龍一刀道"」

 

 

 

 

そう呟いたモミジは超低空の跳躍でヤマトへ肉薄。

━━━速い。

 

「壱ノ撃」

 

構えを崩さなかった彼女の刀が、瞬時に下段構えへと移行した。そして━━━

 

「焔ほむらっ!!!!」

 

「!?」

 

咄嗟に刃を防いだヤマトの視界が、業火で埋め尽くされる。

この場に留まってはまずいと本能的に悟ったヤマトは、大きく後ろへ跳躍した。

 

「これは…」

 

二人の間に僅かに残る火花を見て、ヤマトは驚愕する。

 

「刀と地面の摩擦による…発火か」

「ご明察」

 

モミジの今の技…。

下段構えの刀の切っ先を一瞬地面に擦りつけ、生じた火花をモミジの龍光を使って発火、業火が迸る剣技へと派生させたのだ。

 

「ったく、とんでもねぇな…お前」

「くふっ…驚いたかや?」

「あぁ、やられたよ」

 

ヤマトが本気で驚いた様子を見て、彼女はかかかと愉快そうに笑う。

 

「で、どうかや?この剣。ぬしは良いと思うか?」

「あぁ━━━━見事だ」

「ふふっ…ありがとう。ぬしのお墨付きであれば実戦でも大丈夫そうじゃな」

 

そういったモミジはゆっくりと納刀して村の方へと踵を返し、数歩歩いて振り返る。

 

「ほれ、何をぼぅっとしておる!」

「━━あぁ。戻ろうか」

 

モミジの言葉にはっと我に返ったヤマトが納刀する。

どうやら心の底から驚いてしまったようだ。

━━本当に、大した奴だ。

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

その晩は、キャラバンの連中と共に自炊をして夕飯を済ませ、ヤマトたち三人は早めに就寝した。

 

そして翌朝。

 

「おはようございます、ヤマトさん」

「おはよう、レン。昨夜は遅くまで調べ物をしていたようだが…大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。」

 

顔を洗おうと井戸に向かったヤマトは、一足先に起きていたレンに出会った。

 

「冷てっ……で、何か分かったか?」

 

顔を洗った水の冷たさに少し驚きながら、ヤマトはレンに問う。

 

「いくつか…地底火山と呼ばれるフィールドの特徴や、狩猟対象のモンスターについて分かりました」

 

昨日纏めたのであろう自分のノートをペラペラと見ながら、レンが答える。

 

「そうか、ありがとう。また後で狩場に出たら聞かせてくれ。……それにしても助かるよ」

「え?」

「俺は昔から、見て聞いて覚えろって言われて育ったタチだからな。お前の様な事前情報収集が得意な奴がいてくれると有難いんだ。」

 

師匠だった姉━━ユズカには、ノートなど取らずに実戦で覚えろと言われていたヤマトはレンの様に事前に狩猟対象のモンスターについて調べる事はあまりなく、特徴や習性はギルド職員等に聞いて覚え、あとは実際に見てから戦うというスタイルなのだ。

 

「いえ、逆に僕はこうしないと実戦で動けないので…ヤマトさんが羨ましいですよ」

 

苦笑いしながらそう言うレンにヤマトは近づくと、頭にポンと手を乗せる。

 

「俺には俺の、お前にはお前のやり方や得意分野がある。それを大事にするんだ。そうしてその二つのやり方が合わさった時、さらに強くなれる。そう思わないか?」

「…はい!」

「まぁ、お前は年齢の割に色んな方向から物事を見れる奴だ。今日もやりやすい様に動け。いざと言う時は俺とモミジがフォローするから」

「…ありがとう…ございます。なんでもお見通しですね、ヤマトさんは」

「ん?何のとこだ?」

 

レンの言葉にヤマトは笑いながら答える。

恐らくレンも、今日の知らない地での連続狩猟にそれなりの緊張があったのだろう。

その緊張をほぐす意味も込めて言った言葉に、どうやら間違いはなかったようだ。

 

「ほら、まだ夢の中にいるお姫さんを起こしに行くぞ」

「あはは…モミジさんは良いですね…支度が要らなくて」

「それは俺も心の底から羨ましいよ」

 

冗談を混じえながらテントへと歩く。

今日の狩りも無事に終えられるよう、静かに願うヤマトだった。

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

村から地底火山のベースキャンプまでは徒歩で1時間ほどの距離にあり、寝ぼけたモミジを起こしてから比較的ゆっくり朝飯を食べても太陽が昇りきる前には到着することが出来た。

 

「じゃあ、改めて今日の確認だ。狩場はここ、地底火山。ターゲットは三体━━影蜘蛛ネルスキュラ、鬼蛙テツカブラ、毒怪鳥ゲリョス。ここまでは大丈夫だな?」

「はい」

「うむ」

「よし。今回はギルドからの依頼ではなくナグリの村長からの頼みだ。よって、狩りに制限時間等は存在しない。だが、状況が状況だ。あまり何日もかけてのんびりと狩ってはいられない。最低でも明日の夜までには決着をつける。いいな」

「了解しました」

「…で、だ。まずモミジ」

「む?」

「この三体について何か知ってるか」

 

モンスター。モミジ流にいえば「竜」に関しては、彼女も結構色々知っている。

 

「むぅ…毒怪鳥についてはわっちも少し知識がある。ぬしも知っているであろうが、奴は毒も勿論じゃが最大の武器はトサカによる閃光攻撃じゃ。流石にわっちもあの光は耐えられん」

「やはりそうか。俺ら狩人の間では周知の事実でもあるが、あの光はただ目をつぶっただけじゃ防げない。攻撃の予備動作が来たら、全員腕等で目を【守る】んだ。いいな?」

「分かりました」

「承知した」

「で…他の二体だか、これに関しちゃ俺は知らない。モミジも…だな」

「うむ」

「レン、昨日調べてて何かわかったか?」

「はい。少しだけ…ですが。まず、影蜘蛛ネルスキュラに関してです。このモンスターは鋏角種という種に分類される虫型のモンスターです。その名の通り巨大な蜘蛛の形をしていて、自身のテリトリー内に巨大な巣を形成し獲物を静かに待ち伏せる習性があります。

攻撃方法としては巣を作るのにも使用する強靭な糸による拘束、毒針による猛毒、あとは睡眠毒も持っているそうです。」

「…拘束に猛毒に睡眠毒…注意が必要だな」

「はい。解毒薬や元気ドリンコの持参が必須になるでしょう。…次に、鬼蛙テツカブラについてです。このモンスターは赤い体表をしていて、巨大な牙を持っています。この牙が大きな武器であり、地面の岩石を抉り出して敵に投げつけるなど、先程のネルスキュラとは正反対の真っ向勝負を仕掛けてきます。あと、両生種という部類に属すため水中移動も可能だそうです。…僕が集めたのはこのぐらいですね。お役に立てましたか?」

「あぁ、充分だ。ありがとう」

「流石レン坊じゃの、よく勉強しておる」

「えへへ、ありがとうございます」

 

ヤマトとモミジの賞賛に、レンは顔を赤らめる。

 

「さて、ダラダラしてても仕方ない。そろそろ行こう」

 

腰に天上天下無双刀を据え、ヤマトは立ち上がる。

それに続いてモミジとレンも各々の武器を持った。

 

「さぁ、狩猟開始だ」

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

ベースキャンプを出発してから約30分。

ヤマト達が一番最初に見つけたターゲットは、毒怪鳥ゲリョスだった。

━━━━が。

 

「おいおい…これは…」

「死んで…ますね」

「うむ…」

 

三人の目の先には白い糸でグルグルに巻かれて天井から吊り下げられている、既に息絶えた毒怪鳥の姿があった。

 

「恐らくあれはネルスキュラの糸でしょう…まさか捕食対象に大型モンスターが含まれているとは…」

「わっちらは、ああならぬ様にせねばの」

「だな」

 

モミジの半分冗談混じりの言葉にヤマトは肩を竦めて答え、一行はフィールドの上部、巣の上へと歩みを進める。

 

「…なるべく音を立てるなよ…恐らく相手は、視覚より気配や音に敏感だ。」

「わかりました…」

 

若干坂になった岩場を、ゆっくりと歩いていく。

━━カサッ

 

「…ぬし!」

 

ヤマトの後ろを歩いていたモミジが小声で制す。

 

「…なにか聞こえたか?」

「…僅かじゃが音がした。しかし方向まではわからぬ」

 

咄嗟に上を見るが、白い糸で形成された巣が広がるばかり。ネルスキュラの姿は見えない。

 

「気をつけろ、どこかに居るぞ━━━━」

「うわあああああっ!?!?」

 

突然、一番後ろを歩いていたレンの叫び声が響く。

 

「レン!?」

 

ヤマトが振り返ると、脇腹に糸が絡みついたレンがそのまま巣の上部へと一気に引っ張りあげられる光景が飛び込んできた。

 

「くそっ!!この更に上にいるのか!!」

 

レンの叫び声と姿は直ぐに消え、視界の悪い巣が上に広がる。

 

「モミジ、気をつけろ、狙ってくるぞ」

「わかっておる。ぬしこそ…」

 

パシューッッ!!

そんな音が聞こえると、再び上部から高速で糸が飛んでくる。

ターゲットはヤマト。

 

「くっそっ!!」

 

体を無理やり横にひねり、ギリギリで回避する。

 

「ぬし、これでは分が悪い」

「あぁそうだな…!」

 

そう答えたヤマトはポーチから拳大の玉を取り出し、足元に打ち付ける。

パンッという音と共に玉が弾け、途端に白い煙がヤマト達を包み込んだ。

ハンターが使用するアイテムのひとつ 煙玉 だ。

 

「なるほどの、じゃが相手は元々目が悪いのではなかったかや?」

「無いよりは良いだろうよ!ほら、こっちだ」

 

モミジの手を引き、近くの岩場へ身を隠す。

 

「さて…問題はここからじゃな」

「この坂を駆け上がって上までたどり着こうとしても、恐らく糸にやられて終わりだ」

「ならばどうする」

「できるか否かはやってみねぇとわからんが…ひとつ案がある。」

「言うてみよ、レンが危ない状況なんじゃ」

「…だな」

 

そう言って作戦をヤマトが説明すると、モミジはニヤリと笑いながらも まったくぬしは… と半分呆れていた。

 

「わっちはもっと、頭脳を使う巧妙な作戦かと思っておったがの…」

「俺にそんな戦い方ができるとでも?」

「無理か」

「おい」

 

そこはお世辞でもそんなことは無いとか言ってくれよ と文句を垂れながら、ヤマトは岩陰から様子を伺う。

 

「よし、行くぞ」

「うむ」

 

モミジの返事を聞くと同時に、ヤマトが飛び出す。

するとまるで待っていたかのように上部から糸が飛んできた。

 

「来いよ!!」

 

ギリギリまで糸を引きつけ、ヤマトは腰に据えた天上天下を鞘ごと外し、自分の前に掲げる。

すると糸が鞘に絡みつき、ヤマトごと空中へと引き上げた。

体がぐんぐんと上昇し、張り巡らされた巣に到達しようとする瞬間、巣の間から天上の岩あたりに陣取っているネルスキュラ本体が見えた。

白い甲殻をもった、不気味な蜘蛛。

 

「モミジ!!」

 

ヤマトが叫ぶと、コンマ数秒で下から赤い弾丸が五発飛来する。モミジの蝕竜蟲弾だ。

ヤマトを掠めるように飛んで行ったそれは、巣に着弾するといとも簡単に破壊した。

 

「コレさえなくなりゃ、あとは…!!」

 

糸の巻きついた天上天下の鞘から刀身だけを引き抜き、離脱。近くの岩場に足をかけて踏みとどまる。

 

━━キシャアアアアッ

 

せっかく作った巣が壊されたせいか、怒りを露にしたネルスキュラがヤマトに向かって咆哮のような声を上げる。

 

「お怒りか…だが悪いな、お前の相手より先にレンを返してもらおうか」

 

ヤマトはそう言って辺りを見回す

そして少し離れた、天上から吊るされた糸の先端。

 

「見つけた」

 

口まで糸が巻かれているせいで声が出せないのか、こちらに向かって必死に目で訴えるレンの姿があった。

 

「レン!!待ってろ、今助けに━━」

「レン坊を返せ。虫けら」

ヤマトの言葉を遮るように、目の前に人影が浮かび上がる。モミジだ。

彼女は眉間に皺を寄せた表情で、ヤマトと同じ足場へと降り立つ。おそらく下から壁を蹴りながら飛び上がってきたのだろう。

 

「…地面からここまで15m以上はあるはずなんだが」

「この程度の岩壁、わっちの爪ならば容易く登れる」

「ああ、さいですか…」

 

相変わらず人間離れした(人間では無いのだが)その動きにヤマトは舌を巻く。

 

「レン坊!待っておれ、今助ける」

 

モミジの呼び掛けに、レンは首をコクコクふって答えた。

 

「ぬしよ、わっちがあそこまで行ってレンを助ける。あの蜘蛛の相手を頼む」

「請け負った」

 

ヤマトの返事を待つ間もなく、モミジが岩壁を蹴ってレンを助けに向かう。

それに気付いたネルスキュラは、折角の獲物を盗られてたまるかと言わんばかりに糸を吐き出した。

が。

 

「悪いな、お前の相手は俺だ」

 

その糸が途中で両断される。

━━よし、真横から一閃すれば斬れる

粘着質な糸だったので斬れるか不安だったのだが、どうやら問題は無さそうだ。

 

━━━キシャアアアッ

 

ネルスキュラがヤマトに威嚇。

 

「やる気か。ならこっちも手抜き無しで行くぞ」

 

鎌のような腕を振り上げこちらへと向かってくる影蜘蛛に対し、ヤマトは天上天下を納刀。

抜刀の構えをとる。

 

「東雲流滅龍抜刀術…」

 

以外にも足の速い影蜘蛛が、どんどんと近づいてくる。

そして眼前、斬り殺してやろうと鎌のような腕を振り上げ━━━

 

「滅龍剣舞!!」

 

しかしその腕は、そのままバラバラになり緑の血が吹き出た。

今の今まで目の前にいた人間の姿もない。

 

━━シャアアアアアッ!?

 

あまりにも突然の事に、ネルスキュラがたたらを踏む。

 

「驚いたか、影蜘蛛」

 

後ろからの声。

反射的にネルスキュラは背中の毒針を体ごと後ろに突き刺した。

 

「危ねっ…それ刺さったら洒落にならんぞ」

 

しかしそれをヤマトが軽く躱す

そしてそこから二回縦斬り。

弧を描くように下がり斬り、身体を回すように逆袈裟懸け。突き。斬り上げ。再び縦斬り。

ヤマトの僅か二秒半の猛攻に、ネルスキュラの毒針はいとも簡単に砕け散った。

 

━━シャアアアアアアアッッ

 

悲鳴があがる。

そろそろか…と、ヤマトがネルスキュラにトドメを刺そうと気刃突きの構えを━━━━━━

 

━━━━━━!!!

 

横から"赤い塊"が飛んできた。

あまりに突然の事に、ヤマトはその攻撃をまともにくらう。

 

「がっ…はっ…!?」

 

体がくの字に曲がり、受け身もろくに取れずに反対側の壁に強く打ち付けられた。

 

「っ…つぅ」

 

直ぐに起き上がろうとしたが、肋骨に鈍痛。

折れ━━いや、ヒビが入ったか。

 

「ぬし!!」

 

モミジが駆け寄ってくる。

 

「モミジ、すまん」

「良い、暫し動くな」

 

ヤマトの一言で彼女は察したのだろう。後ろ手でヤマトを制し、前にいる敵を睨む。

手負いの影蜘蛛…と、もう1匹の狩猟対象

鬼蛙 テツカブラ。

赤い体表、巨大な牙。そして━━

 

「ぅ…臭…」

 

モミジの鼻が馬鹿になりそうなレベルの口臭。

生き物が腐ったような、鼻を突く臭いだ。

 

「ヤマトさん、大丈夫ですか!」

 

モミジの後ろで岩に寄りかかるヤマトに、拘束の解けたレンがやってきた。

 

「おう、レン。無事で良かった」

「僕は大丈夫です。しかしヤマトさん、肋骨が」

「心配すんな。折れちゃいねぇし、この程度大丈夫だ。」

 

ヤマトの答えにレンがすみません、僕のせいで と頭を下げる。

 

「レン、頭上げろ。お前は悪くないし、今はそれよりも目の前の奴らだ」

「…はい!」

 

ヤマトの叱咤に、レンは気合いを入れ直しモミジの横に立つ。

 

「モミジさん」

「レン坊、おぬしは弱っておる蜘蛛を叩け。わっちはこの蛙をやる」

 

パシンッと、モミジの白銀の髪から赤い稲妻が迸る。

 

「わかりました」

 

了承し息をゆっくりと吸う。

途端に彼の腕が黒曜の鎧へと変化した。

 

「ゆくぞ」

「はい」

 

そのやり取りで二人が飛び出す。

 

「黒曜拳法!!」

「牙狼式滅龍一刀道」

 

━破龍拳!!

 

━焔!!

 

巻き起こる真空波と、業火。

影蜘蛛はその体の中心を拳で貫かれ、一瞬にして絶命。

まだ無傷だった鬼蛙は突然の炎に顔面を焼かれ、一瞬で瀕死へと持っていかれた。

 

━━━ガアッッ!?

 

わけもわからずその場へ倒れ込んだ鬼蛙に、モミジが龍雷を纏いながら歩み寄り…顔面を片手で掴む。

そして

 

バシィッ!!!!

 

赤い稲妻により、鬼蛙は脳を焼かれて絶命した。

━━容赦ねぇな…あいつ

争いが嫌いだと彼女は前から言っている。

ただしそれは、あくまで人間相手での話。

モンスターと対峙した際の彼女は、時に本来の無双の狩人へと変貌するのだ。

 

「ぬし、無事か」

「あぁ。お蔭様でな」

 

右手に龍光の余韻を残しながらモミジが振り返り、こちらへと歩み寄ってくる。

伸ばした彼女の手を借り、ヤマトはゆっくりと起き上がった。

 

「痛むかや?」

「少しな。情けねぇ、油断してた俺のミスだな」

「すまぬ、わっちも接近に気付かなかった」

「いいさ、ヒビ程度なら数日休めば治るよ」

「すみません…」

 

いつの間にか横にいたレンが、再び頭を下げる。

 

「レン、頭下げんなって、大丈夫だから」

 

苦笑いしながらヤマトはレンの頭を撫でる。

 

「今回の怪我は俺の単独ミスだ、お前が捕まったからとかそんなんじゃない。だから、な?」

「はい…」

 

しょんぼりとしたレンの頭を、ヤマトに続きモミジもポンポンと軽く叩く

 

「ヤマトの言う通りじゃ、レン坊は悪くない。影蜘蛛も鬼蛙も初めての相手じゃ、この程度で済んで良かったでは無いか」

「そう…ですね」

 

モミジの言葉に頷くと、パンパンッと両手で頬を叩く。

 

「いつまでもこんなんじゃいけませんね…ていうかモミジさん、さっきの攻撃は一体…」

 

レンの言葉にモミジはあぁ、そういえば話しておらんかったの。と、自分の剣技についてレンに説明した。

 

「ヤマトさんの東雲流では無い…自分の剣…ですか」

「うむ。ヤマトに教えて貰っておる内にわっち自身に一番合う戦い方が見つかっての。このような形となった。レン坊はどう思うかや?」

 

モミジはヤマトに聞いた時と同じような少し不安そうな…それでいて真剣な表情でレンに問うた。

それに対してレンは━━

 

「とても良いと思いますよ‼︎モミジさんらしい剣だと思いました」

 

レンは嘘偽りの無い真っ直ぐな瞳でそう答えた。

その感想に、モミジは優しい笑みを浮かべる。

 

「…ヤマトもこれぐらい純粋であれば可愛げがあるのにの」

 

前言撤回、あれは優しい笑顔などでは無い。

 

「じゃがそんなわっちも可愛いじゃろ?」

「ハイハイ可愛い可愛い。ほら、さっさと剥ぎ取って帰るぞ━━」

 

━━━━━━━━━━━━━━ッッ!!!

 

突如、地底火山に鳴り響く大咆哮。

その絶大な音量にヤマトやレン、モミジまでもが音が収まるまでその場で耳を押さえ込んで固まった。

 

「……今のは」

 

ヤマトの呟きに、少し遅れてモミジが答える

 

「この奥地からじゃ。この気配は…古龍か、それ同等の竜じゃろう」

 

古龍級のモンスター。代表的なのは、金獅子ラージャンや凶暴竜イビルジョーなどの古龍に匹敵する危険度を持つモンスター達のことだ。

 

「…どうしましょう」

 

恐る恐るといった様子でレンが訊ねた。

このまま咆哮の主の元へ向かえば、高確率で戦闘になるだろう。現在のヤマト達の状態は

一名負傷、残り二名はほぼ怪我の無い状態だ。

アイテムポーチの中身も、ヤマトが少し消費した程度で通常の連戦には支障を来たす事は無いだろう。

しかし、モミジの気配察知能力によれば相手は古龍、もしくは古龍級のモンスターだ。

本来であれば万全の状態で挑みたい所である。

 

「じゃが…放っておく事もできんの」

「あぁ…。とりあえず、一旦キャンプに戻ろう」

 

消費したアイテムは少なかったが、相手が分からない以上入念に準備するに越した事はない。

ヤマトの提案に二人は迷いなく頷いた。

 

❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀❀

 

一度キャンプに戻り回復薬等の消耗品を補充し、各自武器の切れ味を確認したりして態勢を整えたヤマト達は地底火山の奥地━━

キャンプにあった地図によればエリア9と呼ばれる所に足を踏み入れた。

 

「あれは…‼︎」

「…なるほど、古龍級ね」

 

エリア9は入り口が高台の上にあり、フィールド全体を一行は一望できた。

そしてそのエリアの真ん中に佇んでいたのは…巨大な

漆黒の”竜”

名を━━

 

「覇竜……黒き神だったとはの」

 

覇竜アカムトルム。

又の名を、黒き神。

火山地帯の中でも他の生物が近寄れないような奥地に生息しているとされ、その脅威は古龍種と同等━━いやそれ以上とも比喩される竜だ。

以前ヤマトとモミジが雪山で”隻眼の悪魔”と呼ばれたイビルジョーの特異個体と死闘を繰り広げた後、雪山の奥地で出会った 白き神 崩竜ウカムルバスとよく対で語られる事も多いと言われている。

そんな存在が、目の前に鎮座していた。

 

「ぬしよ」

 

モミジが小さめの声でヤマトの名を呼んだ。

それだけで彼女が何を言わんとしているか予想できる。

 

「話せるか。あれと」

「話の通じぬ相手ではない。試みる価値はある」

 

モミジははっきりとそう言った。

戦闘となれば相手は非常に危険な竜だ。できうれば穏便に済ませたい。

ヤマトはそう考え、モミジの案に乗る事にする。

 

「俺らもついて行ったほうが良さそうか?」

 

ヤマトの問いに、モミジは首肯する。

 

「ぬしもレン坊も竜の言葉が理解できる。共に来て貰ったほうが良いじゃろう」

「わかった。レン、お前はそれで大丈夫か」

 

ヤマトは背後にいるレンに確認をとる。

 

「は、覇竜と話せる機会なんてなかなか無いでしょうから…勿論です」

 

表情が若干強張っているものの、ヤマトに対してレンは、迷いなく頷いた。

 

「では行くぞ」

 

モミジはそう言うと、黒き神に向かって歩き出した。

 

 

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