案件名:火蝶魔事件
担当調査員:ジャン・ボイル
ジェーン・ドゥ
調査開始日:冠暦1926年11月04日
解決日:冠暦1926年11月23日
発生地点:東区全域
依頼人:東区警察
事件概要
冠暦1926年11月04日正午前、東4番通りにて原因不明の爆発事故が発生。
事件発生時に赤い蝶が見られたこと、爆発地点に火薬・爆発物などの残留物が確認されなかったことなどから異能による犯行だと推測し、警察より依頼を受けて調査を開始した。
冠暦1926年11月04日から同年11月23日にかけ、東区各所で異能によるものと推測される爆発事件が発生し、死傷者も多数発生した。
事件詳細は別紙記載。
各爆発現場において、爆発直前に赤色の蝶が目撃されており、この特徴から一連の爆発事件を同一犯によるものと判断し、犯人を『
調査概要
冠暦1926年11月11日、犯行現場にて犯人を発見。頭に蝶の刺青をした男であったが、黒髪のアズマ人の少女の妨害により確保に失敗。
犯人の発言および異能の性質から犯人の契約精霊が『カルマグニ・パティン』であると推測した。
犯人の容姿、使用した言語・訛り、船員の証言より犯人が冠暦1926年11月03日にグレイフォードに到着した客船の乗客名簿に記載された『アシュトン・ヴェイル』であることが判明した。また、妨害したアズマ人の少女が『マドカ・ミカガミ』であり、犯人とは船上で知り合った関係であることが判明した。
冠暦1926年11月17日、当時は犯人と何らかの関係があるものと推測していたがマドカ・ミカガミより妨害は誤解による行動であり、爆破事件への関与はしていないと証言があり、証言を裏付ける証拠が確認されたため、現時点では事件への関与はないものと判断する。
冠暦1926年11月23日夕方、鐘影通りにてジャン・ボイルが犯人と交戦。交戦の末、ジャン・ボイルが犯人を制圧し、同日深夜に警察へ引き渡した。
犯人情報
氏名:アシュトン・ヴェイル
異能:犯人の聴取より契約精霊が『カルマグニ・パティン』であることを確認した。炎の蝶を生成し、接触させた無生物を爆発させる異能と証言しており、考察と相違ない。
爆発の規模は接触した無生物の体積に比例するものだと考えられる。
『適当に街を爆破することが仕事だった』『仕事でクラウンベルを爆破する』などの発言があることから第三者から依頼を受けて犯行に及んでいた可能性が高い。ただし、現時点では依頼主及び所属組織の存在は確認されていない。
追記
冠暦1926年11月24日正午、アシュトン・ヴェイルは東区警察署留置所から脱走し、現在行方が調査されている。
監視を担当していた警官は目前で予兆もなく消失し、留置所内に謎の肌色の生命体が出現したと証言している。
出現した肌色の生命体は留置所の扉を破壊し逃亡、別所にて消失が確認されている。
同人は現在指名手配中である。
所感
本件は諸事情で実質ジャン・ボイル単独での捜査となったが、想定よりも早期に解決できた。ジェーン・ドゥがいない状況でもスムーズに事件を解決できるよう努力する。
報告者署名:ジャン・ボイル
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案件名:エレノア・ヴァレンフォード護衛依頼
担当調査員:ジェーン・ドゥ
ジャン・ボイル
外部協力者:ヴィヴィアン・ローズウッド
ブラウンラット(ヴァレンフォード家警備)
調査開始日:冠暦1926年11月12日
解決日:冠暦1926年11月23日
依頼人:ヴィンセント・ヴァレンフォード
依頼概要
ヴァレンフォード家令嬢、エレノア・ヴァレンフォードより自身に対する継続的な監視行為および誘拐未遂についての相談を受けた。その後、ヴァレンフォード家当主ヴィンセント・ヴァレンフォードより正式に調査・護衛依頼を受諾した。
エレノア・ヴァレンフォードは事件以前より外出先や移動中に何者からか視線を向けられているような感覚を繰り返し訴えていた。明確な不審者の特定には至らなかったものの、後日、護衛対象が誘拐犯の一味と思われる素性不明の男数名による連れ去られかける事案が発生した。
事件を受け、ヴァレンフォード家当主である依頼人より誘拐未遂の実行犯ならびに背後関係の調査、および令嬢の身辺警護を目的として当事務所へ依頼がなされた。
調査内容
調査開始日より護衛対象の通う『グレイフォード淑女学校』に特別編入生として同行して調査を行った。その結果校舎の内外に複数の監視者の存在を確認した。
冠暦1926年11月14日、校外にて護衛対象を監視していたと見られる人物をブラウンラットが拘束したがいずれも服毒によって自害した。監視者の遺体からは黒百合を模したと思われる刺青が確認された。
冠暦1926年11月15日、校内にいた監視者を拘束、調査した結果黒百合を模したと思われる刺青が確認された。
特徴的な刺青より2年前にアルフレッド・クロウリーによって壊滅した犯罪組織『黒百合会』(『黒百合会連続婦女子誘拐事件』報告書参照)の残党が関与する可能性が浮上した。
冠暦1926年11月17日、東区2番通りにて護衛対象が音を媒体に複数対象を操作する
冠暦1926年11月18日、ヴァレンフォード邸にグレイヴス家より同年11月23日に開かれる夜会への招待状が届いた。直前での急な招待、『黒百合会連続婦女子誘拐事件』への関与疑惑などからグレイヴス家が事件に関与していると推測、証拠を掴むよう依頼された。
冠暦1926年11月20日、ジェーン・ドゥがエレノア・ヴァレンフォードに、ヴィヴィアン・ローズウッドがジェーン・ドゥに変装して夜会に参加する作戦を決行、護衛対象は東区のブラウンラット本部に移送し、夜会終了まで同所にて保護することとした。
冠暦1926年11月23日、グレイヴス家当主、エドガー・グレイヴスの婦女子誘拐事件への関与を示す証拠を発見、同日深夜に確保した。
犯人情報
エドガー・グレイヴス。黒百合会に対して10年以上にわたり資金援助を行っていたこと、ならびに10歳から15歳程度の少女を誘拐し、遺体を瓶詰めにしていたことを示す証拠が確認されている。
警察の取り調べに対し、本人は黙秘を続けている。
追記
冠暦1926年11月24日正午、外部から侵入した肌色の生命体によって西区警察署留置所に拘束されていたエドガー・グレイヴスが殺害された。監視を担当していた警官はエドガー・グレイヴスの殺害後、肌色の生命体はグズグズに崩れて死んだように見えた、と証言している。
所感
本件はエドガー・グレイヴスならびに黒百合会残党による犯行として処理するには不明点が多い。エドガー・グレイヴス死亡後、関係者及び関連組織について継続的な調査を続ける。
報告者署名:ジェーン・ドゥ
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「大変な、事件でしたね…」
「そうだねえ…」
お互いに書き上げた報告書を確認し、ため息をつく。
「芸術品、なんて言ってたよ。あの夜会に招待されてるのは全員同じ趣味だって」
「ええ…?貴族ってそんなに悪趣味なんです?」
「ヴァレンフォードみたいな貴族ばっかならいいんだけどねえ…」
カップの紅茶を啜って目を逸らしていた現実を直視する。
「で、この肌色の生命体なんですけど…」
「ゲイル…ブラウンラットの報告は聞いてるよね」
「…ヴィクター・ウィリアムズの件ですよね」
東区の倉庫街でエレノア嬢とマドカさん、ブラウンラットの3人がヴィクター・ウィリアムズだと思われる紙袋を被った男に襲われた件は手紙だったが報告を受けている。
「急に消失して肌色の何かが出てきた…」
「これはアシュトンのと同じ、転移系の異能によるものだと思われる。でもってエドガーを殺したのもこの『何か』だと思う」
「ですよねえ…」
肌色の体表、一対ずつの手足、溶けた手足…まるで人間のなりそこないのような『何か』に転移系の異能による逃走。
船で同行していた時点で察しはついていたがアシュトンとエドガーは同じ組織だったようだ。
「せっかく師匠を越えたと思ったんだけど…それどころじゃないし…」
「終わった気がしませんね…」
正直また
「ちょっとカーネリオン振ってきます」
「直ったんだっけ。そうだね、私も銃のメンテするか…」
事務所の裏側にある庭で練習をしようとカーネリオンのケースを掴んで立ち上がる。
「あ、」
「何か?」
「これ」
振り返ればジェーンさんの持った2枚のチケットが目に入った。
「それは?」
「ヴィヴィアン─本件の協力者で師匠の知り合いね?─から王立グレイフォード劇団の『薔薇姫』のチケットをもらってね。来週末、一緒に行かない?」
「王立グレイフォード劇団…世界トップクラスの劇団じゃないですか。ぜひ行かせてください!」
「了解、ヴィヴィアンにも手紙を出しておくよ」
まだまだ謎は残っている。気を抜くには早いのはわかっている。
まあでも、少しぐらい演劇を楽しんでもバチは当たらないだろう。来週に新しい楽しみを得て、スキップ混じりの足取りで庭に向かった。
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3章完成まで今しばらくお待ちください。評価・感想いただけるとすごく喜びます。
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