リリローグ。   作:すず夜

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第21話

「はろー、りりたん。元気そうで何よりやね」

 

「……あー、今死ぬほど機嫌悪いからさ、言葉には気をつけてね。じゃないとわたし、会場にいる会場にいる学園のヒトと来賓の全員を殺したあとに、評議会皆殺しにするから」

 

「こわー、ふふっ、ならさっそく本題に入ろっか。(グラナ)戦慄と恐怖(ドレッドフィア)は棄権するで」

 

「はあ?」

 

 

 どうも、リリーです。

 学寮祭の当日、なんとメンバーの半数以上が学寮祭の出場が不可能になった冷厳な技巧(グリムアート)

 どうにも前日の深夜に何者かの襲撃に遭い、今も病院で生死の間を彷徨っているらしいです。

 

 なので、代わりのメンバーについて頭を抱えていたところ、鬱陶しさにおいて怪人サケ女ことアキを遙かに上回るごみ女ことグラナに話しかけられました。ストレスが溜まるぜ。

 

 で、言われた言葉がこれです。……いや。

 

 

「あー……そういうこと。死ぬ?」

 

「死なん死なん。けど、りりたんの想像通り冷厳な技巧(グリムアート)のメンバー襲撃したんは、戦慄と恐怖(ドレッドフィア)の寮生やったわ」

 

「ふーん。で?」

 

「襲撃した阿呆共は謹慎。武闘派の学園やし、襲撃されて返り討ちにできんほうが悪いわって意見もあって停学にはなっとらん。

 せやけど、そんなんで勝ってもなぁ……恥や。やから棄権した。てか棄権を認めさせた。認めんかったら次は(グラナ)戦慄と恐怖(ドレッドフィア)の全員半殺しにするって言ってな」

 

「で?」

 

「で、問題はここからや。りりたんも知っとるやろうけど、学寮祭は中止できんし、これ以上の縮小も論外や。戦慄と恐怖(ドレッドフィア)の棄権もホンマはあかん。このままやと、神罰で学園が滅ぶかもしれん。

 けどそんな理由で戦慄と恐怖(ドレッドフィア)に何のお咎めもないってなると、りりたん、それこそ戦慄と恐怖(ドレッドフィア)の寮生と、ついでにメルセデスちゃんハブった()()()()を殺すやろ?」

 

「そだね」

 

「そんで、りりたん止めれんのは(グラナ)かメルセデスちゃんか、後は学園長くらいやろ。でも今回りりたんが暴れる場合、それを止めんのってメルセデスちゃんぐらいやろ。流石に(グラナ)も今回はりりたん止める気起きんし、学園長はどう動くかわからん」

 

「で? 結論は?」

 

「折衷案を提案された。棄権はええけど、最低限十三騎士(トレセーナ)だけは()ってくれって。りりたん的には気に喰わんやろうけど、それで手ぇ打ってくれんか?」

 

「それで手を打ったことになる意味がわかんないし。あと、そういうのって普通は寮長が言いにくるんじゃないの? なんでよりにもよってグラナが言いにきたのさ。わたしがグラナのこと嫌いって、そっちの寮長は知らないの?」

 

「あー……そもそも寮長は襲撃者の一人や。ついでにもう一人の戦慄と恐怖(ドレッドフィア)十三騎士(トレセーナ)も襲撃者の一人やで。その上、あの二人は今回の件で自分らが謹慎になることが不服も不服、何が悪かったのかまるでわからんって感じでなぁ……消去法で(グラナ)くらいしか、謝罪できるやつがおらんかった。

赦して♡」

 

「殺すぞ。……学寮祭中の殺人って、事故扱いだっけ」

 

「殺しは御法度や。半殺しに留めといてな」

 

「お前の話でもあるよ」

 

「りりたんじゃ(グラナ)を殺せへんって。で、試合の順番やけど、四年のカルボンくん、寮長のファンゴくん、トリで(グラナ)やから。ホンマはりりたんと()りたかったけど、今回は流石に興ざめ気味でな。好きに組んでくれてええで」

 

「それさぁ……言ってよかったの?」

 

「りりたん、()りたい相手と()れんと、あとで殺意が再発するやろ。今回はこっちに非があるし、萎え萎えやわ。……ホンマに余計なことしてくれたで、あの阿呆共。『戦争儀式』を妨害する意味を何も理解(わか)っとらん」

 

「ほーん。まぁ、こっちの寮長さんにも話しとく。メルセデスちゃんに感謝しろよ」

 

「なんでやねん。……いや、今回は止めとくわ。おおきに」

 

 そんな話し合いを終え、グラナはふらふらと戻っていきました。

 正直、顔も名前もすっかり忘れた団体メンバーが襲撃されたところでどうでもよかったのですが……ひとまず、大親友メルセデスちゃんと寮長さんに、ほうれん草の和え物です。

 

 

────────

────

──

 

 

「そうか、わかった。リリー、よく怒りを抑えてくれた」

 

 

 あ~♡

 

 グラナとの接触で発生したストレスが、メルセデスちゃんの言葉によって浄化されるのを感じます。

 

 すき♡ ちゅっちゅっ♡♡

 

 さて。

 

 

「まぁ、別に他のメンバーが襲撃された件についてグラナに言ってもしょうがないしね」

 

 正しくは、別に他のメンバー襲撃されてもどうでもよかった、代わりのメンバー探すのごみめんどー、くらいしか考えてなかったのですが、そこまで正直に言うと怒られそうなので言いません。

 

「そうだな。むしろ筋を通したほうだろう」

 

「(気に食わないけど)そだね。とりあえず代わりのメンバーはもう寮長さんに丸投げするとして……」

 

 

 ひとまず、初戦の相手──戦慄と恐怖(ドレッドフィア)との戦いのために、試合の順を決めなければいけません。

 その相談を大親友メルセデスちゃんと寮長さん、エスメラとすることにしました。

 すぐに決まりました。

 

 

「エスメラ、寮長さん、わたしの順番で決まりですかね?」

 

「全勝を狙うのであればそれ以外にあるまい。しかし、よかったのかアイズ。俺はお前が襲撃者のどちらかと戦いたいと言うと思っていたのだが」

 

「あー……別に襲撃の件については、割とどうでも……そこまで気にしてません。それにあのごみ女……グラナに勝てるのはメンバーの中だとわたしくらいみたいですし、そもそも戦慄と恐怖(ドレッドフィア)十三騎士(トレセーナ)で聖騎士なのはグラナくらいですから。戦える機会が少ない分、思いっきりボコボコにしてきます」

 

 それにそもそも、どうでもいい赤の他人を襲撃した連中なんかより、わたしの親友に非道いことを言ったやつのほうが、普通に考えて赦せませんし、ボコボコにしたくなりますよね。

 

「……そうか。トーナメント自体は勝ち進むことが決まっているが、全勝するつもりで戦おう」

 

「はーい」「……はい」

 

 ……まぁ、どうでもいい話なのですが。

 

 カルボンくんとファンゴくんかぁ……懐かしい名前ですね。

 実は知り合いなんですよ、メルセデスちゃんとの劇的な出会いをする前からの知人ですね。

 それにしても、盤の外でそんな行動をしてくるタイプとは思っていませんでしたが……何にせよ。

 

「そっちがそういう方法をとるのなら、こっちもそういう方法をとるかな」

 

 まぶたを閉じ、頭の中の音を聞きます。

 

 がんがんがんがん。

 ごんごんごんごん。

 たんたーんたんたーん。

 ががが。ごごご。

 だだだだだだだだだ。

 

 わたしの頭の中はいつも詩か歌で満ち満ちて。

 煩くって仕方がありません。

 すきすきメルセデスちゃん。グラナごみごみ。しね。

 しねしねしねしねしねしねしねしねしね。

 らんらん。とんとん。

 

 しーん。ちーん。

 

 ……うん?

 

 ──お前ら、わたしのことを知った上で今回の盤外戦を仕掛けてきたのか? つまりわたしのことを舐めてるってことか?

 

 あーあああああああああああああああああ。

 

「発」

 

 小さくそう呟いて。この場面はおしまいっ!

 

 

 

 そんなこんなで、学寮祭(縮小版)が開催されます。

 

 学園長の言葉、来賓の言葉、選手宣誓、その他、多くの()()()()()()()を終えたのち、諸事情により戦慄と恐怖(ドレッドフィア)冷厳な技巧(グリムアート)が特殊な形で戦うことが発表され──

 

 ──ようやく、本当にようやく、試合が始まります。

 

 

 

 ……ちなみに、やはり冷厳な技巧(グリムアート)には陰キャのほうが多くてですね。学寮祭であるにも関わらず寮生の殆どが集まってなくてですね。つまり補充メンバーが寄せ集めもいいところでしてね。つまり、弱くてですね……。

 

 戦慄と恐怖(ドレッドフィア)では勝ち確ですが、代わりに次の試合では敗北が確定しました。ぱたん。

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