どうも、リリーです。
メルセデスちゃんの大活躍はもう流石も流石って感じで、グラナなんぞ目じゃない大活躍を見れて満足です。
ただ強いて言うのなら、グラナが学園長の転象世界を上書きしたせいで『内部の投影』の
あのごみ女、メルセデスちゃんの踏み台らしく無様に負けるだけでよかったものを……中途半端に目立とうとしやがって……。
まぁ? グラナは『最優』だの『万能』だの爆笑
最後の様子を見る限り、結局ボロ負けして終わったって感じでしょうし、頭の悪い観衆は歓声の雨あられですけど、『
……うん? わたしですか?
……。…………。
「死ね……ごみ……」
「ごめんねー、僕も流石にまだまだ尻の青いガキに負けるのも癪だからさ。いや本当に、グラナちゃんが転象を上書きしてくれて助かったよ。じゃなきゃマジで死んでた。いやー……才能ある若者は怖いねぇ……ははっ、血が足りねー……」
「死ね」
「やだね」
ざっけんなや、魔力が使えん……ごみごみがぁ!!
グラナのごみ女が転象を上書きした時点で、学園長は即座にわたしと自分を巻き込んだ新しい転象を展開。付与した
大人の男のヒトが、まだ未熟な女学生をボコボコにして……恥ずかしくないんですか……??
現在のわたしは両肩と股関節あたりの関節を外された挙げ句、その上に座り込まれています。
おい教師が生徒にやっていいことじゃないぞこれ……!
「ははっ、ザ・負け犬って感じで可愛いね、
「死ね」
「腐っても三賢者だからさ、僕。この道で僕に勝とうなんて十年……いや、三年は早いよ」
「死ね」
「ふふっ、負け犬の遠吠えかい? それとも蝉の鳴き声かな。それしか言えないのかい?」
「死ね」
と、そんな風にまるで不良教師と不良生徒のようなやりとりをしていた時のことです。
"──パリン"
「これはどういう状況だ?」
なんとメルセデスちゃんが転象を外側から叩き割って、無理矢理入室してきたのです。
内外問わず、一度展開された転象を解除するのは至難なのですが、そこはそれ、流石メルセデスちゃん! さすメル!
……はっ!
「やだ、見ないでメルセデスちゃん! こんな教師失格のおじさんに押し倒されている穢されてるリリーなんて見ないで……!」
「ウケるぜ、アリスちゃん。僕ァ君みたいなガキの青い尻なんかに興味はないんだ。成人済みのナイスバディになって出直しな」
「……概ね理解した。だから一秒だけ待つ。退け。リリーも余計なことをするな」
「とほほ。学生に命令されるなんて
「ふぁーい」
どうやら事の経緯に当たりをつけたようですね。
流石メルセデスちゃん!
わたしの悪い率が十割になる可能性も考えていたので、最悪このまま話し続けることになるかと思っていましたが……わたしに気を遣ってくれてるのかな? やさしい、すき!
学園長がわたしの上から退いた後、メルセデスちゃんがわたしの外された関節をハメてくれることになりました。
あっ♡ いたいっ♡ ちょっとまってっ♡
ああ~~っ♡♡
……ガチで痛いです。
他人から受けた損傷や損害は『自傷の加護』じゃどうにもできないので、いつもなら傷を受ける前に自爆するのですが……まさか空間の規模で魔力を使えなくされるとは。つら。
これは何かしら対策を練らなければいけませんね。
「それで死傷者の数は?」
「どうなんだい? アリスちゃん」
「お前がアリス言うな死ね。キモい。……まだ誰も殺
「そうかい、それはよかったね。人殺しにならずに済んで。僕に感謝するといい」
「死ね」
"──バチンッ"
「いったぁ~~!!」
今のデコピン!? 相変わらずデコピンの威力じゃないよ、わたし以外なら死んじゃうよそれ……。
脳が揺れる……くらくら……でも……へへ、すき……。
「リリー。お前が何故そういった行動に出たのか。それを理解していない訳ではない。だが、もう二度とするな。いいな?」
「むー……じゃあ、ちゃんと手綱を握っておいてよね」
「まったくお前は……」
「えへへ……」
「えへへじゃないよ、アリスちゃん。いや本当、なんでそんな風にカマトトぶれるのか、その神経が僕には理解できないぜ」
「百合の間に挟まんなよ死ね」
「百合? ははっ、ウケる」
「死ね」
まぁ、関節自体はハメて貰えたものの、肉体がダメージを受けていることに変わりはありません。
そんなこんなでメルセデスちゃんに頼み込んでお姫さま抱っこをして貰いつつ(すき!)、わたしたちは保健室に向かうのでした。
「あ、アリスちゃん。
「おま──」
「受け入れろ、リリー。お前の罪だ」
「──しゅん。はーい」
「……様子くらいは見に行ってやる。だから大人しくしていろ」
「すきっ!」
ちなみにこの後、一応勝ち進んだわたしたち『
決勝戦に勝ち上がってきた『
学寮祭編 完!
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学寮祭を終えた夜のことである。
「これは……なんだ?」
一人の少女がそう呟いた。
褐色痩躯、しかし女として完成された肉体を持つ。精神に至ってはすでに人間の中でも聖人と呼ぶ程度には超人染みている。
つまり、少女の名はマリア・メルセデス。
次代の『英雄』殿と称されることもある女傑である。
そんな少女は今、掌にある一本の髪の毛を見つめていた。色彩は艶やかな黄金。彼女の瞳と同じ色ではあるが、彼女の髪色は夜の漆黒そのものであり、
ならば他人のものか? それも違和感がある。少女の知人友人の中で金髪はエスメラくらいであり、そのエスメラとここ数時間で接触しておらず、また金髪の人物とすれ違った覚えすらない。
そもそもこの髪の毛は少女から落ちたものである。
黒髪の色が多少でも抜けたのなら金髪になるのだろうか。これも白髪の一種か何かだろうか。
その答えを知る者はいない。
少女は奇妙な予感。……胸騒ぎを感じていた。
学園長の
そのどちらも放置できないと思っていたが、この奇妙な予感を放置するという選択は少女には殊更なかった。
きっかけは実に些細な……たかが一本の髪の毛とは言えど。一度違和感を感じたのならば、例え何一つ関係がなかったとしても
……どちらにせよ。
未だに進展のない【エンジェル】の件もある。
騎士団が対応中とは言えども、その実、どうにも【エンジェル】の目的が見えない。騎士団も具体的な活動内容をぼかし続けている。無用な混乱を防ぐためだと、理解はできるが……。
"探ってみるか"
領都の夜を少女は歩く。
そしてそのまま、その姿は夜闇と人混みの中にとけていった。