これから連載する作品の雰囲気を感じてもらう為の作品です。
連載時には一部設定は違う事を申し上げます。
なのでこんな作品だなぁと楽しんでいただけると幸いです。
???
「アッツイ!? アッツイシュ!!」
「し、姿勢制御……逆噴射…………再加速が、できない!?」
「うゎああああぁぁぁぁ落下速度がぁーーーー!!」
「燃え尽きるぅーー!!」
西暦2001年
10月31日 13:30
横浜基地司令部
室内に居た者達は混乱していた。
混乱の発端は、先ほど衛星軌道上から突如観測された正体不明の落下物が、中国大陸のBETA支配地域へ落ちたのだ。
その落下物は、遠くまで見通す人工衛星が観測した時にはもう大気圏に迫る直前と言う点、大きさのわりに周辺に与えた影響がでかすぎる点など興味深い要素があった。
観測データを見た人々は当初、燃え尽きなかった小さい隕石が落ちただけと楽観的な者、衛星が見落とす何かで構成されているのではと思い回収したい者、何処から来たのだろうと単純に疑問に思う者、奴らが新しい巣を送って来たのではと思い身構える者、と様々な意見が飛び交ったが
その何れもでもなかった。
落着の影響で舞い上がっていた土煙が収まり、偵察衛星が落下物をその目に捉えた。
送られてきた映像には、昆虫のような甲殻類のような蜘蛛とも取れる下半身に人型の上半身を持つキメラの如き巨大な機械がマグマの中に佇んでいる姿であった。
全高は30メートル程であろうか。
体の大半を占める漆黒の下半身に赤と白の上半身の装甲が見て取れる。
装甲の隙間からは脈動の如く不気味に零れ出る赤い発光。
それはまるで生きているようだった。
──────────
横浜基地司令部
「周辺にBETAを確認…ッ!?」
「観測範囲内ほとんどがBETAで埋めつくされました!」
オペレーターが叫ぶ。
数万、数十万、数百万の戦車級、要撃級、突撃級で構成されたBETA群が殺到する。
赤い津波と成り、未知の機体を囲み込む。
「先頭集団が不明物体に接触します!」
考えるまでもない、あの未知の機体が如何なる存在であろが、あの数のBETAがたった一つの目標に群がるのだ、数秒もせずに押し潰される。
この場に居る誰もがそう思った。
しかし──
次の瞬間。
未知の機体が眩く発光したかと思ったら。
奴らを光の糸で貫き始めたのだ。
寸分の狂いなく。
地平線すら埋めていたBETAが一瞬の内に骸に変わったのだ。
─────
「なッ!?……」
司令室が静まり返る。
当然だ、先ほどまで無残に散るであろうと思った存在が逆に憎き奴らを下したのだから。
だが驚きの声があがった理由はそれだけではなかった、突然あの未知の機体から煙が上がったのだ。
初めは、あれ程の攻撃によって損傷した為、身体中のあちこちが悲鳴を上げているのだと思ったが違った。
あの重金属雲の如く黒く光を反射させる煙は、意思を持ち破壊されたBETAの死骸へと這い寄っていく。
この時の人類はまだ知らない、驚愕がまだ始まりに過ぎなかった事を。
その煙が死骸の周囲を包み込んだかと思えば、骸が瞬く間に消えて行くのだ。
まるで紙の上に書いた鉛筆の文字を消しゴムで消すかの様に、観測衛星が映していた赤い筈の大地が、ただの地面の色に戻って行く。
最後の1体を消した頃には、あの意思を持った煙だけがBETAどもの骸があった場所を漂う。
静寂が訪れたあの地で突如として地面が隆起し、新たな人形の機械が生まれ出てきた。
それだけではない先ほどまで漂っていたあの煙が集まり先ほど出現した人形へと姿を変えていく。
まるであの未知の機体を守るかの如く周囲に増え続けている。
─────
「…消えた」
「……食った…と言うのか?!」
「それに…あの機体はなんだ?」
「………建造でもしたのでしょうか」
「あり得ない! 生産設備もなしに!」
「…では増殖……なのでは?」
「……あれは機械ではないのか!?」
一連の事象に脳が理解を拒んだ末に皆、恐怖し自身に言い聞かせる様に言葉を発する。
「…まさか、分解して取り込んだって言うの?」
「…しかも即座に別の物資に変換して形成した?」
「…あの空間に漂っていた煙は、ただの補食器官では無いと言う事かしら?」
ただ一人、彼女だけは冷静であった。
──────────
未知の機体の名は、デビルガンダム。
DG細胞による自己増殖、それに終わりは無い。
この能力はBETAですら理解不能だった。
──────────
その後の人類は、奴を観測し続けた。
初めは、BETAに初期試みた接触を奴に行うと考えた者達もいたが、あの地平線すら埋めたBETAを正確無慈悲に消した攻撃範囲内に入る事の危険性や、奴の琴線が不明な点等により却下された。
代替案として、遠距離から観測衛星と無人機、特別装備の偵察部隊による遠距離での観測が考案され始まった。
初めに観測された存在を『仮称:マザー』と呼び、
次に観測された存在を『仮称:レギオン』と呼び観測を続けた。
観測をして数日まず分かった事はマザーの周囲は緑で溢れていた事だ。
初めは未知の植物を広げる事で自身に良い環境を作っているかと思われたが、その植物は我々が知る物しかなかった。
いささか環境と合っていない種も確認されたがそれでも我々が知っている緑が広がっていたのだ。
次に分かった事は、マザーは姿を変える事だ。
まるで昆虫の様に繭に包まれた時は驚いたものだが、繭を破り出てき姿は下半身を自身と似た大型の物に変え、地面に根を張った姿に変化していたのだった。
レギオンの方は、一つ目の巨人でありサイクロプスを彷彿とする外見を有し、武器と思わしき道具を持つ個体や、脚が4つある個体、翼を持ち大きい腕を持った個体など、様々な個体を確認できた。
確かに見た目に即した名称の方がわかりやすいだろう、だがレギオンと呼称した理由はその個体数がBETAを連想するほどに多かったのだ。
その量は、観測範囲で緑ではない所にはレギオンが所狭しと佇んで存在して居ると言えば分かるであろうか。
我々が観測を続けていると、各地の戦線から不可解な報告を受ける様になる。
まず戦闘中のBETAが突如反転し、ハイブに帰って行ったのだ。
そして何よりも不可解なのは、撤退するBETAを我々が攻撃しても何もして来ないのだ、戦車級も、闘士級も、要撃級も、要塞級ですら反応しないのだ。
特に問題なのは光線種に対する攻撃すら無視し、反撃すら来なかったのだ。
そして全ての戦線からBETAは姿を消した。
今まで観測された事ない、BETAの不可解な行動に頭を悩ませて続けて3日経ったある日の事だ。
奴らが再度動き出したのは。
─────
カシュガルハイブ周辺
BETAは異常事態を認識した。
数千万単位の群れが集結する、人類がこれまで観測してきた全BETA種が集結している。
その中には貴重と言われる光線級、重光線級がこれでもかと姿を表し、さらには見たこともない個体すら確認されていた。
これから起こるのは人類史上でも類を見ない大攻勢であるのは明らかだった。
─────
レギオンとBETAがぶつかり合う、一見優勢なのはBETAだ。
しかし、奴らが1体レギオンを倒す頃には、10体は犠牲を払っていた。
空が赤く染まる。
奴らが消えた血飛沫によるものだ。
地上部隊による物量が効果が無い事を理解したのか今まだ控えていた光線級が、攻撃を開始した。
数千条のレーザーが放たれた。
本来なら軌道降下する艦やミサイルすら完璧に落とす死の光。
外野が崩せないのなら、見えている本体から潰す事にしたのだ。
注がれた全ての光が当たる。
直撃、直撃、直撃。
マザーは避けず、損傷した装甲が爆ぜ、爆炎に包まれた。
装甲が溶ける、腕が吹き飛ぶ、胴体が崩れる。
効果はあった、マザーに傷を負わせたのだ。
しかし
崩壊した部分から、地面に張った根と似た緑色の触手が生え、数刻ほど蠢いたと思ったら。
溶けた装甲に形を変え、 吹き飛んだ腕へと変化し、
崩れ内部構造が露出していた胴体が元に戻って行く。
時間は十秒と掛からなかった。
攻撃を受けたマザーが動いた。
腕を胸部に置き、目に見える程のエネルギーを貯め初めた。
真紅の閃光。
巨大なエネルギー波が放たれる。
地平線まで続いたBETA群をレギオン事、蒸発させ、
攻撃してきた光線級へとエネルギーの本流となり届く。
抵抗なく奴らは飲み込まれた。
──────────
DG細胞による自己再生、とどまる所を知らない。
──────────
その日
カシュガルハイブが消滅した
地下数十キロにおよぶ構造物ごと。
BETAは初めて敗北を経験した。
───
しかし人類はその事実に歓喜の声をあげなかった。
偵察衛星が新たな映像を送ってきたからだ。
かつてハイヴだった場所。
そこに存在していたのは。
都市ほどに巨大化したマザーだった。
大地と融合し、
山脈のような装甲を広げ、
無数のレギオンを産み出し続けている。
周囲の土壌も、鉱物も、残骸も、あらゆる物質を飲み込んで行く、黒い津波が映っていた。
─────
だからだろうか、人類は隠してきた最強の剣をマザーに撃ち込む事を決意した。
当然の事だ、元より正体不明の機械だ、しかも宇宙から来た奴らの近縁種とも言える奴だ。
我々のできる最大限をぶつけるのは観測計画が始まった時より想定されていた事だ。
G弾が1発、発射された。
この決断を前に今さら研究やら、利用価値やらの戯れ言を唱える者も、異議を唱える者も居ない。
今あの化物を殺さなければ手遅れになる。
誰に言われて訳でもなく、ただその確信があった。
妨害されること無くマザーにミサイルが届く。
マザーにとって、これは防御するには値しないのか?などと思う者もいたが、今思うのはマザーの消滅ただ一つだ。
閃光──
音無く、空間そのものが潰れる。
山脈が、大地が沈む。
重力の奔流へ飲み込まれていった。
着弾の影響で映像が乱れた。
その乱れも次第に収まり着弾地点を映しだす。
結果はマザーの健在。
バカなと言うよりも前に、再度G弾の発射を命じる。
周囲は数十キロは溝に変わり、レギオンは一体も居ない、しかもマザーは損傷を受けている。
効いていない分けではない、ならこの好機を前に止まる選択は無かった。
発射場に再度G弾が装填され発射する。
先ほどと同じ弾道でマザーに迫る。
傷を修復しているマザーは動かず。
先ほどと同じ様に無造作に着弾する。
映像の乱れが収まる。
結果は先ほどよりも元気なマザーの姿を捉えていた。
「…やはり……学習した」
香月夕呼は顔を青ざめさせ、誰かがこの事実を前に言葉をこぼした。
「……悪魔」
──────────
DG細胞による自己進化、それに際限は無い。
──────────
香月夕呼は静かにただ自分に言い聞かせる様に言った。
「最悪ね」
静まり帰った司令室に広がるこの言葉に、反応する者は居なかった。
ただ事実として人類の敵であったBETAはその数を我々よりも減らし始め、次に来たのは私達が踏みしめる大地を、星そのものを味方に付けた存在が敵として誕生したにすぎなかった。
─────
数億のBETAと、無限に進化する悪魔。
その戦争は始まったばかりだった。
そして人類は理解する。
自分たちは観客席に追いやられたのだと。
宇宙最悪の捕食者同士の戦いを、ただ見守るしかないのだと。
ーーENDーー
???
「いっやー、無事着陸」
「……周囲がマグマの如くグッツグツになってる事に目を瞑れば、な」
「まあ、周りに人工物がない平地ぽいし、ここ以外に被害は出してないのでヨシ!」
「さて、傷の修復適応も済んだし周辺の探索でもすっか」
「着陸までの間に見た感じここ地球だよな? でも何処だろう?」
「子機でも展開して地形情報を確… ん?」
「…えーとなんです君たち? 在来種なわけないか」
「あんな不気味で嫌悪感を抱く生物、
「まあ、あんだけ数がいるし、減らして物資にしても良いよね」
「じゃ、肩に力を貯めて ぽいぽい~と 超エキサイティングなんてね」
「全滅させたし、霧っぽくした子機を散布してっと」
「では命に感謝を込めて、いただきます」
「………これ本当に生き物か?」
「あんな立派な歯があるのに消化器官に該当する内臓諸々が無い、生物として繁殖するならあるべき生殖器官も無い、遺伝子的な無駄すら無い、あるのは体を構成する肉や体積と比べても小さすぎる脳や感覚器官、そして活動するエネルギーを貯めておく仕組み」
「…なんか肉肉しい重機って印象だな………やっぱり
「まあ、本格的な子機でも作ってから考えるか」
「あれが、あの女のハウスね」
「じゃ、潰して緑溢れる大地にしないとね」
「フハハハ、見ろ我が軍は圧倒的ではないか イタッ!?」
「え、なにあのレーザー 一応有機的な存在でしょうに!」
「まあ、増殖だけじゃなくて再生も俺の強みなんですけどね初見さん」
「殲滅完了、ついでに進化完了、我ながら化物ぶりに磨きがかかっちゃね、さてあとは武って子探して助ければ、あの声の主の願いは叶うね」
「ん? …何あれミサイル?」
「やっぱり人類は居たんだね、いや~仕事の意欲が上がっちゃうな~~」
「イッター!? ちょ、バカにできんほど痛いんだけど!?」
「なんこれ、重力か!? このままじゃ体がネジ曲がる~」
「てか熱量もやッばーーい!! 死ぬ~、死んじゃうって」
「でも大丈夫、俺はできる子! 頑張る子!」
「適応してみせてやらー!!」
いかがでしたか?
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