サツマッチュ転生~地元の島では嫌われている(ファンタジー要素ありIF世界の)島津の戦国四兄弟にあまみんちゅ要素あり竜人として+1されました~   作:oosima

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今回、主人公と敵(?)双方の痴態が中心になります。


倫理は時代に応じて変わるもの

 ○皇紀2213年・天文22年(西暦1553年) 日本 薩摩国(さつまのくに) 鹿児島 境迫門(さかせと) 硝石工場○

 

「…あーーーー、酷い目に遭ったー。工場とそこで働き暮らしてる人たちが助かったのは良いけどー…それをした身が遭っていい目じゃないよー…」

 

 硝石工場を襲った妖怪の巨大化猪をどうにか撃退した日、名護丸はその代償として浴びてしまった猪の血便とその悪臭を落とすために風呂場へ入っていた。

 

(…あー、でも蒸し風呂が普通なこの戦国時代で湯船に入れるのは良かったー…)

 

 風呂場に入った名護丸は前世の記憶にある風呂場に比べて不足感があるのを否めなかったが、そこは(多分)転生スキルである高い陰陽道系木術で補う。

 前世の記憶にあるウツボカズラのような葉を生やして、それを桶代わりにして湯を被る。

 次にボディタオルの代わりとしては綿花を生やしてその綿を大きくして千切ると、それに同じく生やしたムクロジやサイカチの実や莢を加えて泡立てて、身に着いた汚物の残りと悪臭を洗い落としていく。

 

「…ふあぁぁぁ♪ 湯が肌に染みる~~~~~♪」

 

 そうして鉄製の鋳物で出来た長州風呂型の湯船に入り、名護丸は久しぶりの湯に我が身が浸かる感覚で顔が緩みそうになる。

 

「いい湯加減でしょ~♪ 俺が初めて作ったものなんですぜこれ~♪ 一番上の若様のご考案で~♪」

「…あ、はい…そうですか…」

 

 だが、一緒に入浴している朱祢の緩んだ声を聴くと、伸びそうになった鼻の下と共に名護丸は頬を締めなおす。

 

「…何で朱祢さんが一緒に御入浴なのでしょうか?」

「あー、だってあんたほどじゃないけど俺も昼間の猪騒ぎでめっちゃ汚れたしー…。あんたには助けられた恩もあるしー、何より護衛っすよ」

「護衛?」

「…大名家の若様を一人で風呂に入らせるわけねーでしょ」

「あー、確かに…(ご先祖(?)である頼朝さんのお父さんも入浴中にやられたっけ…)」

 

 中身の年齢からくる男性の情欲と肉体年齢に影響された羞恥心で顔を赤らめつつ、理屈の上で名護丸は納得した。

 この時代、要人の一族に生まれれば子供であっても普通に誘拐や暗殺の危険があり、要人でなくても人身売買されることはよくあった。

 実際、この世界でも名護丸の実家の島津家の先祖(と主張している)源頼朝の父である源義朝は入浴中に裏切られて殺されていた。

 他にも、島津と同じく(自称)源氏の徳川家康は幼少期に人質として織田家に買われて誘拐されてしまってもいる。

 

(…そ、そういう歴史知識から護衛の必要はわかるけど…、か、下半身系のメンタルは前世年齢の積み重ねの分で早熟だから…ぅうぅ! 悟られたくない…!)

 

 但し、そういう理屈と個人的感情は別なわけで、名護丸は血を集めている我が身のその一部を悟られまいと、なるべく朱祢の実年齢離れした将来有望な身から身を離そうと反対側へなるべく身を寄せていた。

 

「ん? そんなどうして端に寄って他所を向いてるんすか?」

「…あ、いやーこれは―…」

 

 だが、そうなれば名護丸の(この世界での年齢)より数歳程度でしかない朱祢は不審に感じる。

 

「…あ、い、いやー…こ、これはー…(…に、肉体及びこの世界での実年齢に齢不相応すぎる愚息がそっちの成長早すぎわがままボディに反応している状態を知られたくない…)」

 

 名護丸はそれ故の問いに口籠りつつも反対側の縁を強く掴むが、不思議がっている朱祢はその身を掴んで引っ張り始める。

 

「何か前のめりになってるけど腹が痛いんすか? ちょっと見ますぜー」

「あ!? ちょッとそれはいいって…ち!? 力が強すぎ―――!?」

 

 それに抗おうとする名護丸だが鬼人の剛力には抗えず、湯船の縁から引っぺがされて向かいなおされてしまう。

 

「…ふう、昼間にあんなことがあって驚いたが…」

「ああ、今晩はこのまま何事も起きずに済みそうだなー…」

 

 一方その頃、壁一枚を隔てた先で風呂を下から温めている竈に薪を補充したり、警護をしている他の面々は安堵していた。

 

「だ、誰か来てくれーーー!」

「「「「「!!!??」」」」」

 

 そこで風呂場から朱祢の悲鳴じみた懇願が発せられ、彼らは再び血相を変えた。

 

「どうしたのだ朱祢殿!?」

「もしや若様の身に何かー!?」

「―――い…!? い、いや、こ、これは違う…!?」

 

 慌てて護衛達が風呂場に入ると、そこには湯気が濃くて見えづらいが顔から血の気が引いている朱祢と、その彼女に抱き上げられて我に返ったばかりな様子の赤面している名護丸がいた。

 

「何か若様の魔羅がいつの間にか毒がある奴に噛まれたのか普通じゃなく腫れあがってんだけどー!!??」

「「「「「…………」」」」」

 

 そして、朱祢のその真摯に心配している叫びの震えもあってか湯気が晴れると、彼女による逆駅弁スタイルで名護丸の下半身は曝け出され、周囲は無言になった。

 

「…………」

 

 大猪による襲撃や風呂場での一騒動が起きた日も過ぎて翌朝、名護丸は真っ白な灰となって机に突っ伏していた。

 

「おい、名護丸よ男児がいつまでもそんなクヨクヨするな…」

「そうですぞ若様、御身に異変が無いことがわかって良かったではありませんか」

「むしろまだその齢であれだけご立派な刀なら将来有望ですぞ」

 

 それを心配して周囲は慰めてくるが、その顔には奇妙そうなものを見る色も混じっていた。

 

(…この時代ならそこまで恥ずかしい事ではなくても、現代人感性が残っているこの身では…今基準で慰められてもあまり効果は無いです…兄上達…)

 

 それらの視線とこの時代の倫理観は理解できるゆえに、今の名護丸の耳には時代間ギャップ程度にしか聞こえなかった。

 

(…結局、あの逆駅弁で痴態を晒された直後は周りも心配してきて…素っ裸のまま医師の皆さんへ連れていかれてあんな所やこんな所まで公開されながら調べられたり、怪しげで羞恥心を煽る治療を…)

 

 昨晩、元々名護丸自身がこの世界での我が身の身長のリソースまで使ってるんじゃないかと半分自嘲(もう半分は真剣な悩み)するまで成長が早すぎた“男の生来の武器”は、膨張したところで自分がその理由とは知らない朱祢の善意で晒されてしまった。

 詳しい事情を知らない者達は、雄々しくなったそれを見た時は実際に刺されて腫れたのではないかと心配して色々診たり治療をしてきたりした。

 周囲は善意で迫っているのもあって名護丸は無下には出来ず、押されるしかなくて前世なら人には絶対知られたくない行為を施されてしまったのである。

 

「義久様どうしますー?」

「うーん、とりあえず馬に乗せてでも外に出してみよう。外の様子を見たりすれば気分が変わるかもしれん」

「はい、わかりましたー…」

 

 結局、兄の命令で名護丸は力技で外へ連れ出される羽目になった。

 

「おーい! そこの銃身は二番目の小屋に持ってこいー!」

「あー、それと西側の溜池の様子がおかしいぞー」

 

 昨晩、大猪に荒らされた工場だが、その復旧をしながらも人々は働いていた。

 

(…あー、日本人の性根で周りがこうして働いてるとー…うじうじして止まってることに罪悪感が沸き出てくるよー。なーんか、色々と前世ならこのの日本だとまだないはずの技術や施設があるなー…む?)

 

 その中を歩かされて日本人ならではの(前世は一応公務員だが)社畜根性で勤労意識が戻り始めた名護丸の視界に、あるものが目に入った。

 

「…ねー朱祢さん、あそこはー…?」

「ああ、あれは義久様が設計された溜池と水車っすよ」

 

 同類(転生者)の手が明らかに加わっている技術チートの物証に、名護丸は博物館学芸員や転生者の気質から再び知的好奇心絡みで目に光を取り戻し始めた。

 

 

 

 

 

 ○日本 薩摩国(さつまのくに) 某山中○

 

「…はあ、はあ! くそ…どうにか…島津からの追手はまだ見とらんが…!」

「ど、どうにか逃げ切ったか…?」

 

 一方その頃、硝石工場を発見しながらもその詳細を知る前に、大猪に出くわして撥ね飛ばされてその場から退散した不審者達は、薩摩の地を北に向かって進んでいた。

 その空気は一刻も早く故郷に帰りたいという空気に概ね支配されていた。

 

「…よし! 岩剣城に戻って鋭気と兵糧を取り戻したら次こそあそこを調べるぞ!」

「ええー!? またあそこに戻るのですかー!?」

 

 だが、周囲から若様と呼ばれるその男は空気を読まずにリターンマッチを宣言して反感を買ってしまっていた。

 

「お止めください若様! 今回のことは当主様にも無断で行われたものです!」

「それだけでもお叱りを受けるのに失敗して損害を受けた今となってはご一門に留まれるかも危ういです!」

 

 当然、周囲は猛反発を声にも出すが若は引かない。

 

「そなたらこそあれを見てまだわからんのか!? あの島津があそこで作らせているあの未知の兵器! このまま放っておけば必ず脅威にな―――!!」

「ブオオオオォォォォォォォ…!」

 

 だが、若が必死に周囲を説得しようとしていたその時、彼らの背後の茂みよりごくごく最近にて嫌な意味で聞きなれたうなり声が聞こえてくる。

 

「―――あ…え? こ、この唸り声は…まさか…!?」

「ブヒオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 若らがその背後の茂みを見やったその瞬間、大開きした口から咆哮と唾を撒きながらあの大猪が姿を現した。

 

「「「「「ひいいいいいいいいぃ!? またこいつぅううううううううううううううぅ!!??」」」」」

「ブウうぅ!? ブヒオオオオオオオオオオオ!!」

 

 それを見た若達は北を向いて猛烈な勢いで逃げ出すが、大猪は尻からは時々血を、明らかにそれが原因な涙を流しつつも彼らを追っていく。

 大猪による不審者追跡(八つ当たり)はまだ終わりそうには無かった。




次回、戦国有数のチート四兄弟(+1)による、島津家領内のこの世界の設定も反映したチート式開発が大きく動き出す予定です。
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