言葉遊びの回って書いてて楽しい。
平子真子たちが虚化し、それを救おうとした浦原喜助と四楓院夜一が現世へ逃亡した、運命の翌朝。
静まり返る一番隊舎の広間に、星は呼び出されていた。
正面に座すは、護廷十三隊総隊長・山本元柳斎重國。
そしてその脇を固めるように、京楽春水、浮竹十四郎、さらに自身の直属の上司である四番隊隊長・卯ノ花烈が、静かに星を見下ろしていた。
漂う霊圧の密度は、昨日までの比ではない。全員が、この尸魂界の歴史を揺るがす大事件に、本気の警戒態勢に入っている。
「──八神星。お主、昨夜は四番隊の救護班として、真っ先に現場へ急行したそうだな。」
元柳斎の、地鳴りのような声が広間に響く。
「はっ。勇音副隊長のお供として、現地へ向かいました。」
「ならば聞く。……お主、現地で『何か』を見なかったか。あるいは、何か知っていることはないか。」
逃げ場のない直球の問い。
隣で、京楽が網代笠を深く被り、普段の軽薄さを完全に消した鋭い眼光で星を見つめている。
浮竹もまた、いつになく険しい表情で星の呼吸一つすら
聞き逃すまいと耳を澄ませていた。
彼らが探っているのは、浦原たちの行方だけではない。
──昨夜、現場の霊圧の残滓を調査した際、
京楽と浮竹は気づいてしまったのだ。
そこには、平子真子隊長達を襲った犯人を引き裂くほどの
『規格外の風と雷の霊圧』が、一瞬だけ爆発した跡があったことに。そしてその霊圧の性質は、かつて屋根の上で星が見せた、あの二刀一対の片鱗に酷似していた。
(……やれやれ。さすがにこの鋭い人たちの目は誤魔化しきれないか)
星は内心でため息をつきながらも、完璧に
「困惑する一般隊士」の顔を作り、深く頭を下げた。
「……申し訳ありません、総隊長。僕たちが現地に着いた時には、林の奥から禍々しい霊圧が放たれており、一般隊士の僕では近づくことすらできませんでした。平子隊長たちの反応が消え、……僕には、何も……」
「……そうか」
元柳斎が薄く眼を開け、星の魂魄を直接覗き込むような圧をかける。
だが、星の心境は「完全なる凪」だ。嘘は言っていない。
近づけなかったのは『一般隊士の僕』であって、
狐面の男ではないからだ。
「山じい。これ以上、彼を問い詰めても何も出ないよ。」
沈黙を破ったのは、京楽だった。京楽はふぅ、と息を吐き、いつもの飄々とした態度に戻って総隊長を宥める。
「彼は四番隊のただの医者だ。隊長格が何人も巻き込まれたあの異常な現場で、一般隊士にこれ以上の索敵を求めるのは酷ってものさ。ねぇ、浮竹?」
「あ、あぁ。そうだな……。八神くん、体調は大丈夫か? 昨夜は災難だったね。」
浮竹も京楽の意図を察し、話を合わせるように優しい声をかける。
二人の先輩隊長は、確信していた。
(昨夜、平子たちを力ずくで救い、藍染を退けたのは、間違いなくこの少年だ。そして彼は、その正体を隠し通すことで、十三隊のこれ以上の混乱を防ごうとしている)
だからこそ、二人はあえて星の嘘に乗り、総隊長の前で『完璧な後ろ盾』として立ち回ってくれたのだ。
「うむ……。お主たちの言う通り、一隊士にこれ以上の追及は無意味か。八神星、下がって良い。」
「はっ。失礼いたします。」
星は一礼し、緊張の広間を後にしようと背を向けた。
──だが。
「──八神くん。後で隊長室へ来なさい。預かっていた
『薬草の目録』について、少しお話しがあります」
背後から、大人の、どこまでも優しく、
そして底知れない卯ノ花烈の声がかけられた。
星の背筋に、ひやりとした冷たい汗が流れる。
「はい・・・。後程向かわせて頂きます。」
精神世界で迅雷が笑っているのが聞こえた。
おはようございます。
仕事しながら書き上げました。
気分転換に言い回しとか考えるのは良いですね。
次回、卯ノ花隊長との延長戦かもです。