能力の解説入ります。
「──く、はっ、防がれた……だと……!?」
進化の極致に至ったはずの藍染惣右介の顔に、
明らかな動揺が走っていた。
先ほど放った、空間ごと地殻を消し飛ばすはずの
藍染の絶大なる一撃。
しかしそれは、八神星の身体に触れる遥か手前
──星の周囲を自転する翡翠の暴風の領域に接触した瞬間、
まるで最初から存在しなかったかのように、
ただの「無」へと還元され、完全に霧散していた。
これが、星の卍解──『星海轟嵐(せいかいごうらん)』の
持つ、第一の能力。
「言っただろう、藍染。お前がどんな力を手に入れようが、
僕には届かない。」
星は一歩も動かず、
ただ静かに二振りの神剣を携えて佇んでいる。
星の周囲を満たす翡翠の暴風。
それは単なる風の壁ではない。
『星の自転と空間の因果を調律する、
完全なる絶対防御の領域』。
星が許さない限り、あらゆる物質、エネルギー、
果ては空間を切り裂く概念的な攻撃すらも、
すべて風の渦に巻き込まれ、跡形もなく中和・無効化される。
つまり、この卍解が発動している限り、
星は『完全な無敵』となるのだ。
「馬鹿な……! 死神の卍解が、これほどの世界の理(システム)を書き換えるなど、あってはならない……ッ!」
藍染の崩玉が恐怖で激しく明滅する。
奴がさらなる攻撃を仕掛けようと、
背中の翼を広げた、その瞬間だった。
──ドガァァァァァァァァァンッッッッ!!!!!
「が……ぁ、あ、っっ!?」
何の前触れもなく、天蓋を割って降り注いだ
超高濃度の漆黒の雷撃が、藍染の肉体を脳天から
容赦なく直撃した。
崩玉の硬度を誇るはずの白き肉体が、
一瞬で消し炭のように焼け焦げ、激しく弾け飛ぶ。
「な、にが……っ!」
藍染は超速再生で肉体を復元しながら上空を睨みつけるが、
そこにあるのは星々が瞬く翡翠の夜空と、
不気味に渦巻く漆黒の雷雲だけ。
『星海轟嵐』の第二の能力。
星自身が意識して狙いを定める必要すらなく、
領域内に存在する「敵対者」を識別し、
超高濃度の漆黒の雷が無差別かつ
フルオートで永遠に必中し続ける、絶対的な自動殲滅システム。
「な……んという、理不尽な力だ……っ!」
藍染が叫ぶ間にも、二発、三発、四発と、
一筋が山をも消し飛ばす質量の黒雷が、
寸分の狂いもなく藍染の肉体を連続で撃ち抜いていく。
「がはっ……、あ、大気そのものが、私を拒絶しているというのか……っ!?」
どれだけ超速再生を繰り返そうが、
再生した次のコンマ数秒後には、
それを上回る質量の黒雷が肉体をすり潰していく。
藍染が星を攻撃しようとすれば『暴風』に遮られ、 立ち止まれば『黒雷』に永遠に焼かれ続ける。
戦いにすらならない。
ただただ、世界そのものに圧殺されるだけの、
絶対的な処刑場。
「おい、藍染。」
星は一歩、ゆっくりと歩みを進めた。
その足元から、翡翠の嵐が波紋のように広がる。
「それが、お前の目指した『超越者』の限界かい?
崩玉に頼って神様になったつもりだろうけど
……本物の『天災』の前じゃ、お前の計画も、その白い身体も、ただの邪魔なゴミクズでしかないんだよね。」
冷徹に言い放つ星の瞳には、かつて藍染が全死神に見せつけた「絶望」を、遥かに凌駕する深淵が広がっていた。
──ドガァァァァァァァァァンッッッッ!!!!!
「ぎ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
空座町の荒野に、藍染惣右介の、
生まれて初めての「無様な悲鳴」が木霊していた。
天を覆う翡翠の夜空から、
一撃で山をも消し飛ばす質量の漆黒の雷撃が、
フルオートで寸分の狂いもなく藍染の肉体を
焼き、穿ち、すり潰し続けている。
「そんな、馬鹿な……っ! 私は死神を超越した……ッ!
世界の頂に立つ神だぞ……ッ!!」
藍染は絶叫し、背中の羽から放たれる霊圧で
星を消し飛ばそうとする。
だが、その神の如き爆撃すらも、星の周囲を自転する
翡翠の暴風の領域──『絶対不侵の因律』に触れた瞬間、
パチパチと頼りない火花を散らして、跡形もなく消滅した。
一歩も動かない。
星はただ、二振りの純白の神剣を携え、
冷徹な目で藍染の自滅を見つめているだけだ。
「がはっ……、あ……っ!」
またしても黒雷が藍染の右腕を消し飛ばす。
超速再生──しかし、再生する速度よりも、
漆黒の雷が肉体を灰にする速度の方が、遥かに速い。
ドクン……ドクン……!
その時、藍染の胸に埋め込まれた『崩玉』が、激しく、
そして怯えるように不気味な明滅を始めた。
「……な、に……? 崩玉……君が、私を……拒絶している……というのか……!?」
藍染の顔が、驚愕と絶望に染まる。
崩玉の能力は「周囲の者の心を具現化する」こと。
そして今、崩玉が読み取っているのは、
藍染自身の魂の底から溢れ出る──八神星という
『本物の天災』に対する、
圧倒的な【恐怖】と【無力感】だった。
(勝てない。この男には、どんな進化を遂げようとも、
絶対に届かない──)
藍染自身の心がそう認めてしまったがゆえに、
崩玉はこれ以上の進化の意志を放棄。
むしろ、星の霊圧に怯えるように、
藍染の肉体からその力を急速に引き剥がし始めたのだ。
「終わりだよ、藍染。」
星が静かに一歩、踏み出す。
その瞬間、星海轟嵐の全領域の黒雷と暴風が、
一神の意志のもとに収束し、星が掲げた純白の神剣へと
吸い込まれていった。
剣身が、眩いばかりの翡翠と漆黒の光を放つ。
「101年前、お前が僕の平穏を邪魔した時から、こうなることは決まってたんだ。……さようなら、藍染惣右介。
次があるなら、今度はまともな趣味を持ちなよ」
「待て……っ! 待て、八神星ぃぃぃぃぃぃッッッ!!!!」
「──『轟嵐・星破(ごうらん・せいは)』」
星が神剣を静かに振り下ろした。
光すら置き去りにする、翡翠の暴風と漆黒の雷撃が一本の「線」となり、藍染の肉体を正面から完全に一刀両断した。
──ゴォォォォォォォォォン……ッッッ!!!
爆音すら遅れてやってくる。
藍染の身体を包んでいた白き超越者の外殻が、崩玉ごと、その一撃の圧力によって粉々に粉砕され、霧散していく。
崩玉は輝きを失ったただの小石のように地面へと転がり、
藍染は死神の姿へと強制退化させられ、
血反吐を吐いて地面へと崩れ落ちた。
完全なる、圧倒的な格付けの完了。
「……ふぅ。やっと終わったか。」
星が刀を収めると、世界を支配していた星海の夜空と嵐が、
嘘のようにスッと消え去り、元の空座町の荒涼とした
景色が戻ってきた。
倒れていた浦原や夜一、そして結界の破片から駆けつけた死神たちが、ただただ、呆然と星の背中を見つめている。
「……八神、さん……。」
浦原が、信じられないものを見る目で呟く。
「浦原さん、あとはよろしく。生かしたまま縛り付けるのは君たちの仕事でしょ? 僕はもう限界。サボりすぎて怒られる前に、
急いで四番隊に戻らなきゃ。」
星はいつもの飄々としたサボり魔の笑顔に戻ると、
脱ぎ捨てていた四番隊の白衣を肩にかけ、
誰よりも早く、現世の戦場から瀞霊廷へと消え去っていった。
世界の崩壊を救ったのは、護廷十三隊の隊長格でも、
驚異の死神代行でもなかった。
ただ自分の『日常』を守りたかっただけの、
四番隊の冴えない最高最強の四席だった。
終わったーーーーー!!
書きたいこと書けたーーー!!
ゴーーーーール!
走りきれました!
一先ず満足です!
続きを書くかは、ちょっと考えます。