四番隊の一般隊士、実は卍解持ちの激強死神でした   作:獅子論

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後書きその2


嵐のあとの静寂、あるいは愛しき腕の中

一番隊舎での総隊長との問答を終え、星がいつもの気怠げな足取りで四番隊舎の重い扉を開けた、その瞬間だった。

 

 

「──八神くん……っ!!」

 

 

 

バタバタと激しい足音が響いたかと思うと、

四番隊の白い羽織が視界を遮る。

 

 

 

ドサッ、と小柄な(死神としては長身だが、星に比べれば華奢な)肉体が、もの凄い勢いで星の胸元へと飛び込んできた。

 

 

 

「わ、わっ……!? 勇音さん!?」

 

 

 

普段の生真面目で引っ込み思案な彼女からは、

逆立ちしても想像できないほどの力強さ。

虎徹勇音は、星の死覇装の背中を両手でギュッと

涙が出るほど強く、壊れ物を抱きしめるかのように

必死に抱きしめていた。その身体は、微かに震えている。

 

 

 

「よかった……っ、本当に、無事でよかった……っ!!」

 

 

 

 

現世から届く、藍染惣右介の「超越者」としての絶望的な霊圧。そして、それを内側から力ずくで引き裂いた、

星の卍解『星海轟嵐』の天地を揺るがす地響き。

虚圏にいた勇音たちは、ただその世界の崩壊を遠くから

祈るように見つめることしかできなかったのだ。

 

 

 

「もう……っ、勝手に現世に居残るなんて言うから……!

もしあなたに何かあったら、私、私……っ」

 

 

 

星の胸に顔を埋めたまま、勇音の声が涙で潤んでいく。 

 

 

 

星は一瞬だけ驚きに目を見開いたが、やがて、その張り詰めていた心の枷がフッと解けるのを感じた。

 

 

 

 

さっきまで、藍染を冷徹に消し炭にしていた

あのバケモノのような『天災の意志』。

それが、このウブな副隊長の温もりと涙によって、

完全にただの「四番隊四席・八神星」へと引き戻されていく。

 

 

 

「……すみません、心配かけました。

でも、約束通りちゃんと生きて帰ってきたでしょう?」

 

 

 

星は困ったように苦笑しながらも、その大きな手のひらで、勇音の短い銀髪を優しくポンポンと撫でた。

 

 

 

 

「お帰りなさい、八神くん。」

 

 

 

ふと視線を上げると、救護室の奥から、

四番隊隊長・卯ノ花烈がいつも通りの穏やかな微笑みを

湛えて歩み寄ってきていた。

その瞳には、すべてを見通したような深い慈愛と、

そして──彼を現世に一人残したことへの、

隊長としての確かな労いが込められている。

 

 

 

「現世での大勲功、そして……私たちの四番隊を、この瀞霊廷の平穏を守ってくれて、本当にありがとうございました。」

 

 

 

卯ノ花はそう言って、深く、優しく星に向けて頭を下げた。

 

 

 

「いいんですよ、隊長。

僕はただ、ここでこうして勇音さんに泣きつかれる日常を、

誰にも邪魔されたくなかっただけですから。」

 

 

 

星が飄々とそう言うと、

胸の中の勇音が「な、泣きついたわけじゃ……っ!」

と真っ赤になってようやく身体を離す。

そのウブな反応を見て、

卯ノ花はクスクスと嬉しそうに袖で口元を隠した。

 

 

 

「さあ、お喋りはここまでです。現世の決戦で傷ついた隊長格の皆さんが、間もなく大量に搬送されてきますよ。八神四席──」

 

 

 

「へいへい、分かってますよ。しっかりサボった分、今日だけは四番隊の最高戦力(ヒーロー)として、徹夜で回道を回させてもらいます」

 

 

 

星は白衣の袖をパタパタと振りながら、

いつものサボり魔の笑顔で救護室へと歩き出す。

 

 

 

愛する人たちのいるこの場所こそが、八神星のすべての原動力。

 

最高のエネルギーを補給した最強の四席が、

再び日常の職務へと戻っていくのだった。




ただいま〜って感じですね。
これで最高戦闘要員って言う切り札になった。

サボり席官の完成。
今後、どうなるのか。

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