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「──おい、黒崎。手加減したら、
お前のそのデカすぎる器ごと、俺たちの力が暴走して消し飛ぶぞ。」
XCUTIONのアジトの空間が、雪緒の完現術『デジタル・ハザード』によって、現実から隔離された広大なデジタル空間のバトルフィールドへと変貌していた。
銀城空吾が大剣を構え、その背後にリルカ、ジャッキー、ギリコがそれぞれの完現術を完全に発動させて並び立つ。
彼らの瞳にあるのは、裏切りや憎しみではない。
自分たちを縛り続けてきたこの異質な力(呪い)を、
信頼する黒崎一護という男にすべて託し、
普通の「人間」に戻るための、魂を賭けた決死の覚悟だった。
「分かってんだろ、銀城。俺が手加減なんかするわけねぇ。」
対峙する一護は、すでに卍解──『天鎖斬月』状態。
断界の修行で限界まで引き上げられた黒き霊圧が、
一護の周囲の空間をパチパチと歪ませている。
「行くぞ、みんな!! 俺たちのすべての過去を、こいつに叩きつけるんだッッ!!」
銀城の号令とともに、
XCUTIONの全力の連携が一護へと襲いかかる。
ジャッキーの『ダーティ・ブーツ』が地殻を砕くキックを放ち、ギリコの『タイム・テルズ・ノー・ライズ』によって速度と威力を数倍に縛られたリルカの『ドールハウス』の砲撃が、全方位から一護の視界を埋め尽くす。そして中央からは、銀城の放つ、超巨大な完現術の斬撃が空間ごと一護を両断せんと迫る。
「──ッ、上等だッッ!!」
一護は逃げない。
それどころか、そのすべての猛攻を
真っ向から受け止めるべく、天鎖斬月を両手で構えた。
「全部、俺が引き受けるって言っただろぉがぁぁッッ!!!!」
ドガァァァァァァァァァァンッッッッ!!!!
デジタル空間そのものが崩壊しかけるほどの、
絶大なるエネルギーの激突。
銀城たちの完現術の光が、一護の黒き死神の霊圧と激しく混ざり合い、渦を巻く。
一護の圧倒的な「器」が、彼らの虚の力を、
自身の死神の力の上へと強引に、
かつ綺麗にレイヤリング(積層)していく。
光の渦の中心で、一護の『天鎖斬月』の姿が、
見たこともない漆黒の変貌を遂げていた。
本来の黒い死覇装の上から、首元、両腕、
そして斬魄刀の刀身に至るまで、完現術によって編み上げられた、スマートで強固な『漆黒のフルブリング装甲』が重なっていく。死神の力と完現術が完全に融合した、文字通り現世最強の新たなる卍解の誕生。
「はぁぁぁぁぁッッ!!」
一護が一振り。
ただの素振りの風圧だけで、
迫っていた銀城たちの完現術のエネルギーが、
霧が晴れるように一瞬で跡形もなく中和され、霧散した。
「……嘘、でしょ……?」
リルカが呆然と声を漏らす。
銀城たちの手元を見ると、彼らの完現術の武器や装飾が、
光の粒子となってハラハラと消えていく。
身体の中にあった「虚の力」が、
一護の融合卍解の圧力によって、ただの一つの傷も残さず、
綺麗に根こそぎ引き剥がされたのだ。
「……ハ、ハハ。本当に、とんでもねぇお人好しだ。」
銀城は、自分の手のひらを見つめ、
そこに何の霊圧も残っていないことを確認すると、
へたりと地面に座り込んだ。
その顔には、生まれて初めて見る、
肩の荷が下りたような晴れやかな笑顔があった。
「俺たちは……ただの、人間になれたんだな。」
「おう。お疲れさん、銀城。」
一護は融合した漆黒の装甲を解き、
いつものぶっきらぼうな笑顔で銀城に手を差し伸べた。
これ以上ない、完璧な救済の完了。
──だが、この感動的な光景を、
デジタル空間の「外」から冷徹に見つめる、
一筋の不穏な影があった。
「素晴らしいね。まさか本当に完現術の譲渡を成功させるなんて。……でも、少し困るんだよね。僕の計画が、
勝手に書き換えられてしまっては。」
デジタル空間が解除されたアジトの入り口に、一振りの刀を携えた男──月島秀九郎が、静かに佇んでいた。
雪男の譲渡どうしよ。