同じ四番隊上官の虎徹勇音か卯ノ花烈で行こうかと思います。
まだどう絡むかまとまってませんが。
とりあえず出来たので投稿します。
「四番隊をナメるなよ。──ここからは、僕の領域だ」
そこからは、まさに蹂躙だった。
風が肉を断ち、雷が魂魄を灼く。
十一番隊があれほど苦戦した虚の群れは、
ものの数分で全て大気へと霧散していった。
やがて、戦場に静寂が戻る。
星は『迅雷烈風』を静かに鞘へと収めると、
いつもの冴えない四番隊士の顔に戻り、
呆然とこちらを見上げていた十一番隊の隊士へと歩み寄った。
「あ、あんた……一体……」
「──さて」
星は隊士の前にしゃがみ込み、その胸の傷口に手をかざす。
バチバチィッ! と不快な怪音と共に紫電が爆ぜた。
「ぎゃあああああああああっっっ!?」
「はい、治療終了。動けますね。」
「い、痛え……! でも、治ってる……って、そうじゃなくてあんたのその力──」
「何のことですか?」
星は冷ややかな、けれど有無を言わせない笑みを浮かべ、隊士の肩をポンと叩いた。その手のひらから、一瞬だけ、底の知れない冷たい霊圧が漏れ出す。
「君が見たのは、派遣されてきた『どこかの席官殿』が虚を退治して、四番隊の一般隊士が君を治療した。……それだけです。もし変な噂を流したら、次からの君の二日酔い治療、今の百倍の電圧にしますからね。」
「ひっ……! わ、分かった、誰にも言わねえ……!」
十一番隊の荒くれ者を完全に恐怖で支配し、
星は満足そうに頷いた。
「よし。じゃあ花太郎、戻るぞー」
「は、はいっ! 八神先輩、やっぱり凄いです!」
──四番隊舎・隊長室。
夕闇が差し込む部屋の庵(いおり)。
星は一人、卯ノ花烈の前に正座していた。
机の上には、星が提出した
「本日の任務報告書」が置かれている。
「……以上が、本日の事後処理の報告です。空間を歪める能力持ちの虚が一体混ざっていましたが、偶然通りかかった他隊の席官殿が処理してくださったようで、被害は最小限で済みました。」
星は淡々と、用意してきた嘘を並べる。
卯ノ花は手元のお茶に目を落としたまま、静かに微笑んでいた。
「ふふ……そうですか。他隊の、どなただったのでしょうね?」
「さあ、名も名乗らずに去っていかれたので。
世の中には奇特な手練れもいるものです」
「そうですね。……ですが、八神くん。」
卯ノ花が、ゆっくりと顔を上げた。
その声音はどこまでも穏やかで、
しかし星の背筋を冷たく濡らすには十分すぎるほどの
「圧」を含んでいた。
「十一番隊の負傷者たちの傷口に、微かに『焦げ跡』が残っていました。まるで、高電圧の雷で細胞を無理やり繋ぎ止めたような……そんな、乱暴で完璧な回道の跡が。」
星は表情を変えない。ただ、背中の汗が止まらなかった。
「……他隊の席官殿には、鬼道に優れた方もいたのでしょう」
「ええ、きっとそうなのしょう。──それと、もうひとつ」
卯ノ花は、報告書の『虚の消滅数』と書かれた項目を
白魚の様な指先でなぞる。
「第一救護班が現地に到着してから、虚の霊圧が完全に消失するまで、僅か三分。……ずいぶんとせっかちな席官殿ですね。それほどの速度で風を走らせ、雷を落とせる死神を、私は彼の一族以外に知りません。」
四番隊隊長、卯ノ花烈。
かつて初代『剣八』として尸魂界の血の歴史を作った彼女の眼を、一般隊士の小細工で欺けるはずもなかった。
すべて、最初から見抜かれている。
長い沈黙が、部屋を満たす。
星はふぅ、と小さくため息をつき、頭を掻いた。
「……やっぱり、隠し通せませんか」
「私は、あなたの隊長ですよ。あなたのその二本の刃が、何のためにあるのかくらいは知っています」
卯ノ花は目を細め、慈愛とも、あるいはかつての同類を見るような深い眼差しを星に向けた。
「安心しなさい。更木隊長や総隊長には、私から上手く報告しておきます。あなたはまだ、その牙を完全に剥くべきではありません。……その『夜』を広げる時は、いずれ嫌でもやってきますから」
彼女の言う『夜』が、星の卍解──『星海轟嵐』の真の領域を指していることは明白だった。
「助かります、隊長。僕はただの四番隊の一般隊士ですから。
……のんびり花太郎と薬湯を調合している方が、
性に合っています。」
「ふふ、そうですね。では、明日の朝一番で詰所の掃除をお願いしますね、八神くん。」
「手厳しいなぁ。」
星は苦笑しながら立ち上がり、隊長室を後にした。
一歩外へ出ると、夜空には満天の星が広がっている。
腰の『迅雷烈風』が、まるで主の心境を表すように、
静かに、優しく、チリ……と一度だけ小さく鳴った。
次回位からヒロイン候補と絡めればなぁと思ってます。