四番隊の一般隊士、実は卍解持ちの激強死神でした   作:獅子論

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相変わらずの思い付き。

見切り発車が止まらない。


闇に潜む眼

──ザザァ、と。

 

 

風が草木を揺らす音だけが、深夜の流魂街の荒野に響いていた。

 

 

星の足元には、先ほどまで彼を襲撃してきた、

十数体もの大型の虚(ホロウ)の残骸が転がっている。

どれもが風の刃で細切れにされ、あるいは紫電によって内側から消滅させられており、すでに霊子となって大気へ溶け始めていた。

 

 

 

「ふぅ……。夜間の薬草採取も命がけだな。」

 

 

 星は長身を少し伸ばしながら、二本の刀──『迅雷烈風(じんらいれっぷう)』を静かに鞘へと収めた。

 

 

四番隊の一般隊士として、誰もいない深夜を狙って手早く片付けたつもりだった。戦闘時間は一分にも満たない。

霊圧も限界まで絞っていた。

 

 

 

だが。

 

 

 

「……?」

星はふと、動きを止めた。

 

 

誰もいないはずの闇の向こう。

ひび割れた岩肌と、枯れ木の影。

 

 

そこから、じっと自分を凝視する「何か」の視線を感じた。

 

それは明確な殺気ではない。

ただ、こちらの全てを観察し、品定めするような、冷徹で底の知れない視線──。

 

 

星は鋭い眼光でその方向を睨みつけ、瞬歩の構えをとる。

 

 

しかし、どれだけ感覚を研ぎ澄ませても、そこには不自然なほど「何も」なかった。霊圧の残滓すら、微塵も存在しない。 

 

 

(……五番隊副隊長、藍染惣右介。

……何かの道具で隠れてるのか?)

星の視線は、枯れ木の影──

空間が不自然に歪んでいる『一点』を、冷徹に射抜いていた。

 

星の持つ規格外の霊圧と五感は、藍染の完璧な隠蔽を、

最初から完全に捉えていた。

 

ここで刃を向ければ、相手の正体を暴けるかもしれない。

だが、同時に自分の「四番隊の一般隊士」という平穏な居場所は間違いなく消し飛ぶ。勇音や卯ノ花隊長と共に過ごす四番隊の

静かな日常を、こんなところで手放すわけにはいかない。

 

 

──ならば、ここは騙されたフリをするのが最善。

 

星はわざとらしく首を傾げ、

張り詰めた声をあえて脳内に響かせた。

 

 

「──俺が感知出来なかった……?」

 

 

偽装。覗き見ている黒幕を安心させるための、

あえての台詞。

 

 

すると、精神世界から烈風が、星の緊迫した声に同調するように声を返してきた。

『……同意せざるを得ません、星。私の気流探知にも、何も引っかかりませんでした。ですが、確かにそこに“異物”がいた気配だけが、大気の歪みとして残っています。ただの隠密機動の類ではありませんね。気味が悪いです。』

 

 

烈風の言葉は真実だ。星ほどの超感覚を持たない烈風には、

藍染の完全隠蔽を完全に見破ることはできていない。

 

星は烈風にさえ、自身の「確信」を悟らせないよう、

静かに息を吐いた。

 

 

 

烈風の緊迫した声。だがその直後、もう一人の片割れが、

いつも通りの脳天気な声で割り込んできた。

 

 

『え〜? なになに、二人してマジ真面目な顔しちゃってさー。

アタシ全然気づかなかったんだけど(笑)。

しんクンの気のせいじゃない? 早く帰って寝よーよ、

お肌に悪いじゃん。』

 

けらけらと笑う迅雷の言葉に、

星は張り詰めていた肩の力を少しだけ抜いた。

 

 

だが、警戒は解かない。

 

 

「……そうだな。迅雷の言う通り、

長居する場所じゃない。帰るか。」

 

 

星はもう一度だけ闇の奥を一瞥すると、一瞬にしてその場から姿を消した。

 

 

 

 ──星が去った、その直後。

 

 

 

 

彼が睨みつけていた枯れ木の影。

 

何もないはずの空間が、まるで水面のようにぐにゃりと歪んだ。

 

 

完全なる「姿の消失」と「霊圧の遮断」。

 

特殊な装具によって完全に隠蔽されていたその空間から、

静かに一人の男が姿を現す。

 

五番隊副隊長、──藍染惣右介。

 

 

彼は眼鏡の奥の瞳を細め、星が消え去った夜空を

じっと見つめていた。

 

 

その手元にある書面には、四番隊の一般隊士『八神星』の、

あまりに平凡で偽装された経歴が記されている。

 

 

「四番隊の一般隊士、八神星……。驚いたな。まさか、尸魂界でも京楽春水と浮竹十四郎しか持っていない筈の二刀一対の斬魄刀と、それを御するだけの霊圧を隠し持っている死神が、あの隊に潜んでいたとはね。」

 

 

藍染の口元に、愉悦に満ちた、冷酷な笑みが浮かぶ。

 

「しかも、私の完全な隠蔽を前にして、直感だけで私の位置を

正確に捉えかけた。……面白い。

尸魂界(ソウル・ソサエティ)の歴史の陰に、

まだこれほどの『イレギュラー』が残されていたとは。」

 

藍染は手元の書類を、指先から立ち上る霊圧で

静かに灰へと変えた。

 

「泳がせておこう。彼が私の計画の『障害』となるか、それとも──素晴らしい『実験体』となるか。ゆっくりと見定めさせてもらうよ、八神くん。」

 

 

再び空間が歪み、藍染の姿は、最初からそこに

誰もいなかったかのように、

夜の闇へと完全に溶けて消えていった。




長考するとか言っといて投稿してやがります。

気分屋なので気にしないで下さい。
次回、少しだけ霊圧上げるかもしれません。
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