四番隊の一般隊士、実は卍解持ちの激強死神でした   作:獅子論

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この2人の存在を忘れていました。

主人公考えるのに散々参考にしたくせに。


二刀、あるいは三対目の系譜

一番隊舎からの帰り道。

 

 

総隊長からの冷徹な威圧をのりきり、ようやく四番隊のいつものサボり場所に辿り着いた星は、大きくため息をついた。

 

 

「はぁ……。本当に心臓に悪いな。

やっぱり一番隊には近づくべきじゃない……。」

 

 

「おや。総隊長室から生還したばかりだっていうのに、

ずいぶんと元気じゃないの、四番隊の若旦那。」

 

 

頭上から降ってきた軽薄な声に、星はピクリと眉を動かした。

 

 

見上げると、四番隊舎の広大な瓦屋根の上に、

桜色の派手な羽織を羽織った男が寝そべっていた。

八番隊隊長、京楽春水。

 

 

そしてその隣には、白い髪を風に揺らした病弱そうな男──

十三番隊隊長、浮竹十四郎が苦笑いを浮かべて座っている。

 

 

「京楽隊長、に……浮竹隊長。……どうして他隊の隊長格が、

うちの屋根の上でくつろいでるんですか?」

 

 

「まあまあ、そう硬くならずに上がってきなよ。良い酒と、

美味い饅頭があるんだ。山じいの長話に付き合わされて、

喉が渇いただろう?」

 

 

京楽が手招きする。星は「……失礼します」と呟き、

瞬歩で二人の前の瓦へと着地した。

 

 

浮竹が「はい、これ」と温かいお茶と饅頭を差し出してくる。

その穏やかな笑顔は、いつもの優しい浮竹そのものだ。

だが、星の感覚は、この二人の隊長が放つ、

穏やかさの裏に隠された「底知れなさ」を正確に感知していた。

 

 

「ありがたく頂きます。……で、ただの一般隊士に、

十三隊の双璧たるお二人が何の御用ですか?」

 

 

「ははは、ストレートだねぇ」

 

 

京楽は猪口を傾け、楽しそうに目を細めた。

その視線が、星の腰に帯びられた二本の刀──

『迅雷烈風』へと落ちる。

 

 

「山じいから聞いたよ。昨夜、四番隊でとんでもない『夜の嵐』を吹かせた子がいたってね。

……それで気になって見にきてみれば、まさか、ねぇ、浮竹?」

 

 

「あぁ。……まさか、俺たち以外に、

この尸魂界に『二刀一対』の斬魄刀を持つ死神がいたとはな。」

 浮竹の瞳が、鋭く光った。

 京楽の『花天狂骨(かてんきょうこつ)』。浮竹の『双魚理(そうぎょのことわり)』。

 全死神のなかで、絶大な霊圧を持つこの二人だけにしか発現しなかったはずの、異形の一対。それが今、目の前の冴えない四番隊の一般隊士の腰にある。

 

 

「……ただの偶然ですよ。形が二つに分かれているだけで、

大した能力じゃありません」

 

星は淡々とお茶を啜る。

 

 

「嘘がお下手だねぇ」

 

 

京楽が、低く笑った。

 

 

「二刀一対の斬魄刀ってのはね、生まれるまでに膨大な霊圧を喰うんだよ。それこそ、普通の死神なら魂魄が耐えきれずに破裂するくらいにはね。それを『一般隊士のフリ』をしながら、四番隊の静寂の中に完璧に隠し通してきた。……君、本当はどれくらい強いの?」

 

 

空気が、一瞬で変わった。

 

 

京楽の言葉とともに、周囲の空間に、ねっとりとした、海の底のような重い霊圧のプレッシャーが漂う。隣の浮竹も、静かに星の出方を見守っている。

 

 

だが、星の心境は「完全なる凪」のままだった。

 

 

お茶を飲み干し、湯呑みをゆっくりと瓦の上に置く。

 

「……どれくらい、と言われても困ります。

ただ、僕は四番隊の静かな日常が気に入っているんです。」

 

 

星は二人を真っ直ぐに見据えた。

 

 

 その言葉の裏にある、覚悟と、隠しきれない「最強」の片鱗。

 

 

京楽と浮竹の背筋を、一瞬、冷たい風が吹き抜けた。

 

 

長い沈黙の後、京楽は「……やれやれ」と帽子を押し上げ、

降参だと言うように両手を広げた。

 

 

「参ったね。山じいの言う通り、戦いへの 飢えが全くない。……でもね八神くん、僕らは安心したよ。」

 

 

「え?」

 

 

浮竹が、いつもの優しい兄のような笑顔に戻って言った。

 

 

「俺たちの『二刀一対』は、戦うために生まれた。だが、君の二刀は、誰かを『生かすため(四番隊)』に在る。それなら、俺たちが君の正体を言い触らす理由なんて、どこにもないさ。」

 

 

「……」

 

 

「ま、そういうこと。もし山じいや他の隊長が君を無理やり戦場に引きずり出そうとしたら、僕らが『二刀の先輩』として、

上手くはぐらかしてあげるよ。」

 

 

京楽がウィンクする。

 

 

星は、その二人の器の大きさに、

今度こそフッと本物の苦笑を漏らした。

 

 

「助かります、先輩。……あ、でも、京楽隊長。」

 

 

「ん? 何だい?」

 

 

「僕の平穏を邪魔したら、総隊長だろうが、お二人だろうが……まとめて僕の『夜』に沈めるつもりなので、そこはよろしくお願いします。」

 

 

さらりと言ってのけた星に、京楽と浮竹は一瞬呆然とし──次の瞬間、屋根の上が吹き飛ぶほどの爆笑声をあげた。

 

 

「ははははは!! 聞いたか浮竹! まとめて沈めるってさ!」

 

 

「おいおい、恐ろしい後輩を持ったな、俺たちは!」

 

 

脳内から、烈風と迅雷がクスクスと笑い合う声が聞こえる。

 

 

 

星は残った饅頭を口に放り込み、遠くの青空を見上げた。

外堀は確実に埋まりつつある。

けれど、この先輩たちが味方をしてくれるなら、

もう少しだけ、四番隊の一般隊士としての

日々を楽しめそうだった。




京楽春水隊長と浮竹十四郎隊長でした。

こんな感じの言い回ししそうだなぁ〜って
個人的な解釈で書いてるので気に入らない方がいましたら
申し訳ないですが。
自分的には、満足です。
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