ちょっとした思いつき2なのです
「はっ…はっ……」
「はーい、お疲れ様♪ あなたの旅はここまで~!」
走っていた男性の前に小柄な少女がどこからともなく現れた。
服装は全身をつつむ、スタイルがあらわにワンピースのような感じで、髪は頭の右と左で結った髪型で俗にいうツインテールみたいなものだ。
「い、いつのまに!?」
「いつのまにって……あんたの行動がわかりやすいからに決まってるだろーが」
驚く男性の背後から白い髪を立てた少年が呆れたように歩きながら告げる。
腕を組んでいるあたり、かなりのつわもののようだ。
「さあさあ、おとなしくお縄について反省室に行きなさい!」
「そのまえに、力はもらうけどな」
腰に手を当ててにこにこ笑顔で言う少女を軽々と持ち上げると肩に乗せる少年。
まるで恋人同士ような光景を見せつけてくれている。
「ふ、ふざけるな! 俺はここから逃げ出してユートピアに」
「……どこに行っても同じだよ、この世界は……」
男性が激昂して叫ぶのだが、少女は目を細めて呟くと手の平にどこからともなく金色のチャクラムを出現させてから二つにわけて男性へと投げつけた。
それは男性の身体のすれすれまでいき、服に突き刺さる。
コントロールがうまいとこんなこともできるようだ。
まあ、これで男性が気絶するようなことになったのはいうまでもないが。
「こら、金糸雀」
「だってぇ……」
そんな彼女を注意するようにさきほどの少年が言うと少女は不機嫌そうな表情で反論するように見上げる。
さきほどの男性のように理想郷を求める躁力者が後を絶たなく、いつも動きぱなしで少々居心地が悪いのだということは少年にもわかっていることだ。
だけど、躁力者をほっておくのはとても危険な行為だから、彼らが動かなくてはいけないことに必然的になる。
「まあまあ、痴話げんかはその辺にしときい」
「そうだよ~♪ 今はこの人から躁力を取り除かないとね」
そこへ仲裁するように二人の少女が現れた。
一人は水色のふわふわロングヘアーの美少女でもう一人は桃色のポニーテールの美少女。
この二人は少年少女の知り合いのようだ。
「「すいません」」
そう言って落ち込みながら謝罪する二人。
少女二人は苦笑しながらも気絶している男性に近寄る。
「さて、ごめんね……この力はもらうね」
そう言って、手をかざすといくつもの光の線となりながら男性の中に存在した力が少女の中へと流れ込む。
この力はとくに扱いが難しいのでもっとも力量が高い存在のみにやどると噂されている。