ナンジャモと!龍が如くの!何でも相談室!   作:洋菓子職人II

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ヒソカ


ライバルを失う恐怖

 「はいはーい! 校長先生のリーゼントコーン話で大爆笑の後は……おろ? アカデミーの学生さんから、なんだか今までにないくらい熱くてガチなお便りが届いてるじゃんね。ラジオネーム『戦闘狂の生徒会長』ちゃんから!」

 

 『真島さん、ナンジャモちゃん、こんばんは。私は最近、近くに引っ越してきたお友達(隣人)についての相談があります。

 その子は私より年下ということもあって、最初は私がアカデミーの案内をしたり、バトルの戦い方を教えたりする立場だったんです。でも……その子とのポケモンバトルは、他のどんな人とのバトルよりも物凄く、物凄く楽しくて……! 次に行くジムに先回りして待ってしまうくらい、その子のことばかり考えてしまうようになりました。

 実際、バトルの才能がどんどん実っていく姿を見るのは本当に楽しかったんです。リーグの頂点で、手加減なしの本気のバトルをして私が負けた時は、最高に悔しかったけど、それ以上に人生で一番楽しかった!

 でも……今は……。ずっと引っ張ってあげる側、追いかけられる立場だった私が、いつの間にか、あの子の背中を「追いかける側」になってしまって……。あの子が遠くに行ってしまうような、この胸のヒリヒリする思い、私はどうすればいいですか……?』

 

 「……あちゃー。これ完全に生徒会長のネモちゃんじゃん。あの姉弟への愛が強すぎて、ちょっとストーカー気味になっちゃってたの気にしてたんだね……」

 

 『ネモちゃん……泣ける』『「実っていく」って表現が本物すぎる』『ただの戦闘狂じゃなくて、ガチの葛藤なんだな』『真島さん、この悩みはあんたしか答えられないぞ』

 

 「……生徒会長のネモちゃん。あんたのその胸のヒリヒリした痛み……。クハッ、最高やな。ワシの魂が、今めちゃめちゃ震えとるで」

 

 「ゴロちゃん……? もしかして、今のネモちゃんの気持ち、分かるの?」

 

 「分かる、なんぞという生易しいもんやない。それ、完全に『ワシと桐生ちゃんの関係』そのものやんけ」

 

 『あ……(察し)』『これ以上ない適任者だったわ』『真島吾朗=ネモ説』『完全にシンクロした』

 

 「いいか、ネモちゃん。ワシもな、昔は神室町で、桐生一馬っちゅう男の前に立ちはだかって、色んな壁になってちょっかいを出してきた。あいつが強くなっていくのを見るのが、ワシにとっても人生で一番のシノギで、一番の快楽やったんや」

 

 「まさにネモちゃんとハルトくんの関係と一緒じゃんね……! その時、ゴロちゃんはどうしたの?」

 

 「……きつい現実を話したるわ。実はな、桐生ちゃんがある事情で10年もの間、刑務所にぶち込まれとった時期があったんや。その10年の間に、張り合う相手を失ったワシの腕前はな……自分でも引くくらい、すっかり落ちぶれてもうとった」

 

 「えっ……10年……。じゃあ、張り合うライバルがいないと、自分まで弱くなっちゃうの……?」

 

 「せや。ほんでな、10年経ってようやく出所してきた桐生ちゃんを見つけて、ワシは嬉しくて嬉しくて、早速勝負を仕掛けたんや。そしたらな……10年のブランクがあるとはいえ、桐生ちゃんにワシはあっけなく勝ってしまった

 

 「勝ったなら、嬉しかったんじゃないの……?」

 

 「アホ言え、絶望や。あの伝説の漢に勝てた喜びなんか微塵もなくて、それ以上に『桐生ちゃんが弱くなってもうた。そして、それ以上にワシ自身の腕がすっかり錆びついてもうとる』っちゅう現実に、ワシは心の底から絶望したんや。あんなに哀しい勝ち戦はなかったわ。……まぁ、そんな情けないツラ、桐生ちゃんには一ミリも見せへんかったけどな」

 

 『真島兄さんガチで語ってくれてる』『ライバルが弱くなるのも、自分が弱くなるのも辛いな』『これネモにめちゃくちゃ刺さる話じゃん』

 

 「ネモちゃん。あんたが言う『ライバルを失う恐怖』っちゅうのはな、単に二人の距離が離れてしまうことだけやない。お互いの『力の差がつきすぎてしまうこと』も含まれとるんや。片方が強くなりすぎて、もう片方が置いていかれたら、それはもう『対等のライバル』としては並び立てんようになるからな。あんたは今、その恐怖と戦っとるんやろ?」

 

 「じゃあ……そこからどうやって、ゴロちゃんと桐生ちゃんは今の関係に戻れたの?」

 

 「簡単な話や。ワシが街中で、ありとあらゆる手を使ってあいつに喧嘩を仕掛けまくったんや。ワシと戦ううちに、桐生ちゃんは全盛期の強さを取り戻して、ドンドン、ドンドン!ドンドンドンドン!!!手の付けられんくらい強くなっていった!そしてな……桐生ちゃんが強くなっていくのと全く同じように、ワシ自身の錆びついた腕前も、グングン強くなって元に戻っていったんや!

 

 「…!そっか……! 相手を引き上げるために戦ってたつもりが、実は自分自身も引き上げられてたんだ!」

 

 「せや! 立場が逆転したってええやん!追いかける側になったっちゅうことはな、あんたにはまだ、その大好きなライバルのおかげで『もっと強くなれる伸び代』ができたっちゅうことや!

 あいつに負けて悔しかったか? 胸がヒリヒリするか? だったら、四の五の言わずに、もっと死ぬ気でポケモンを鍛え上げろ! そんで、その子が油断して歩いとる時に、街中でもジムの中でも、草むらの中からでもどっからでもええ!バッ!と飛び出して『ハルトくーーーん! バトルしよーーっ!!』って、満面の笑みで襲いかかったらええんや!」

 

 「それはやっぱりストーカーじゃんねーーー!!!いや、でも……! 確かにネモちゃんには、それくらい全力でハルトくんにぶつかっていくのが一番お似合いじゃん!」

 

 『どこでもネモシステム…』『草むらからネモwwwありそうすぎて怖い』『真島さんの言葉が熱すぎる』『ネモちゃん、これ聞いて救われたろ』

 

 「ネモちゃん。人生でそこまで魂をぶつけ合える『宿敵(とも)』に出会えたのは、奇跡や。そいつが遠くへ行くのが怖いなら、あんたがもっと強ぅなって、そいつの隣に並べばええ!ストリートで偶然会うたびに、手加減なしの血湧き肉躍るバトルを仕掛けたれ!それが、先に進んだライバルへの最高のケジメや!」

 

 「うお~~~ん! 夜の帝王、いや『嶋野の狂犬』からの、パルデア最強への最高のライバル論!ネモちゃん、悩んで立ち止まってる暇があったら、モンスターボールを握りしめて、ハルトくんの前に笑顔でカチコミ(バトル)しに行っちゃおうね!」

 

 「いや、明日と言わんで今行ってまえ!今すぐ行って、そんでその胸の思いを伝えていきや!」




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