ナンジャモと!龍が如くの!何でも相談室! 作:洋菓子職人II
「はいはーい! シュウメイくんのオタク極道論で全パルデアが震えるなか……あ、アギャーーーッ!? またまたまたまたまたスター団じゃんね!! つ、ついに……スター団の幹部全員コンプリートじゃんじゃじゃーーーん!! ラジオネーム『素顔を隠した大格闘家』ちゃんからのお便りだぞ~っ!」
「なんと……ついに最後の1人ですか。これで5人のリーダー全員ですね。同じ言葉を繰り返すのは好ましくありませんが、東城会でもこれほど直系組長たちが次々と同じ場所に集まることは本当にありません。パルデアの星たちが、今ここにすべて揃ったわけだ。……して、彼女のお悩みは?」
「うん、最後のスター団ボスのお便りを読むじゃんね!
『堂島さん、ナンジャモちゃん、夜遅くにこんばんは。わたしはスター団の格闘組でボスをやっている者です。わたしの悩みは、「力」についてです……。
わたしはスター団への加入が4番目で、新参者寄りの幹部なんですが、ピーニャくんは団のルールを自ら作成したりする組織のまとめ役、オルティガくんとシュウメイくんは、服装のデザインや、スター団の象徴である改造車「スターモービル」の設計・製造に携わってきました。
最初期の幹部たちは、みんな「彼らにしかできないこと」をやっているんです。それに比べて、わたしが団に貢献できたのは、みんなへの「戦闘指南」のみ……。
力なんて、強ければ誰にでもできてしまうようなことしか、わたしには出来ません……。わたし自身、自分が鍛錬した力を発揮する機会なんて、本当は無いほうが平和でいいと思っているんです。
そのせいか、自分がみんなの役に立てているという自信を、どうしても持つことが出来なくて……。東城会のトップとして、堂島さんはこの「誰も傷つけたくない、使い道のない力」について、どう思われますか……?』
「……う、うわあああ~~~ん! これ、やっぱりスター団の格闘組ボス、みんなから「ビワ姉」って慕われてるビワちゃんだよぉぉ!! 誰よりも強くて優しくて、みんなを守るためにプロレスメイクで素顔を隠してる彼女が、こんなに切ない悩みを抱えてたなんて……!」
『ビワ姉キターーー!!!(大号泣)』『スター団コンプリート!!! 記念カキコ』『「強ければ誰にでもできる」なんてことないよビワ姉!』『戦闘指南でみんなを肉体的に支えた功績はデカすぎるだろ』『大吾さん……東城会の「圧倒的な武力(冴島さんや桐生さん)」の、その力の意味を教えてあげてくれ!』『ルカリオがビワ姉の拳の優しさを察して、胸を熱くしてる顔してる』
お便りを聞くうちに、かつてないほど厳粛な表情になり、深く頷く。大吾の瞳には、数万人の武闘派たちを束ね、同時に『最強の漢たち』の背中を見てきた男としての、圧倒的な敬意と確信の光が宿っている…
「……スター団の格闘組ボス、ビワくん。まずは、5人の絆をここに繋いでくれたあなたに、心からの感謝を。……あなたの言う『自分には強ければ誰にでもできることしか出来ない』という悩み、そして『力を振るう機会など無いほうが平和でいい』という優しい本音。……私は東城会の六代目として、あなたのその言葉に、深く、深く心を打たれました」
「大吾さん……! ビワちゃんの手持ちのポケモンや彼女自身のその圧倒的な格闘の力、使い道がないなんてことないよね!?」
「ええ。ビワくん、それは大きな間違いです。『強ければ誰にでもできる』などということは、絶対にありません。
私の世界にも、圧倒的な武力を持った漢たちがいます。桐生一馬、冴島大河、真島吾朗……。彼らもあなたと同じように、むやみに力を振るうことを嫌い、平和を愛する優しい漢たちです。
しかし彼らは、仲間が傷つけられた時、組織の居場所が脅かされた時……その優しさを、すべて『誰かを守るための絶対的な壁』という圧倒的な力に変えて戦ってきた。
力というものは、ただ破壊するために使うなら、それはただの暴力であり、誰にでもできる。
ですが、『誰も傷つけたくないという優しさを秘めたまま、仲間を守るためにその盾となる力』は、あなたのような本物の格闘家にしか、絶対に扱えない高潔なものなのです」
「守るための壁……! 誰かを傷つけないための盾としての力……!」
「ピーニャくんがルールを作り、オルティガくんやシュウメイくんが制服やモービルという『居場所』を作った。
ですが、ビワくん。彼らがどれだけ素晴らしい居場所を作ろうとも、外からの悪意や襲撃に対して、それを物理的に守り抜く『絶対的な
あなたが泥をすすりながら、みんなに戦闘指南を施し、戦う力を分け与えたからこそ……スター団の仲間たちは、外からのいじめや悪意に対して、自分の身を自分で守る『強さと自信』を手に入れることができた。
あなたがそこにいてくれたからこそ、スター団という家は、どんな嵐が来ても壊れない鉄壁の城になれたんですよ」
『大吾さんの言葉の重みが、文字通りメガトン級だ……』『「誰も傷つけたくない優しさを秘めた力」……ビワ姉そのものじゃん』『ルカリオが自分の拳を見つめて、誇らしげに頷いてるのエモすぎる』『ビワ姉、あんたの戦闘指南はみんなの命の盾だったんだよ!』『スター団が全員救われた。この配信、国宝にしろ』
「東城会の歴代の猛者たちもそうでした。彼らが最強であり続けたのは、ただ敵を倒すためではない。その強さで、組織の足元を守り、若い衆に安心を与えるためだった。
ビワくん。あなたが自分の力に自信を持てないのは、あなたが誰よりも『優しい』からです。その優しさこそが、あなたがスター団の最高のボスである何よりの証拠です。
これからもその優しき拳を誇りに思い、仲間たちがピンチの時は、世界一タフで温かい『最高の盾』として、みんなの前に立ち塞がってあげなさい。あなたがいる限り、スター団は永遠に不滅ですよ」
「うわあああああーーー最高に優しくて熱い、最強の組織防衛論じゃんねぇぇぇ!!!ビワちゃん、聞こえた!? 君がみんなと一緒に汗を流して鍛え上げたその力は、スター団の笑顔を守るための世界一綺麗で強固な『心の鎧』なんだよ!これからは『わたしの力はみんなを守るためのもの!』って胸を張ってプロレスメイクをバシッと決めて、スター団の仲間たちを世界一優しい強さで包み込んであげてねーーー★」
~ピロリ~ン♪
「……おろおろ!? 画面の前の奇跡の同接450万人のみなのもの、見て見て! ラジオネーム『素顔を隠した大格闘家』ちゃんから、なんとお返事の追伸メールがリアルタイムで届いたじゃんねーっ!」
「…お返事ですか。彼女に私の言葉が少しでも届いたのなら嬉しいのですが……何と書いてありますか?」
「読むじゃんね!」
『堂島さん、ナンジャモちゃん、おこがましくも再びお便りしてすみません……!
堂島さんの言葉を聞いて、わたし、胸のつかえがすーっと取れて、ものすごく元気が湧いてきました!と同時に、わたしは、自分が陰湿ないじめを受けてスター団に入ったわけではない、ということを、もう一度はっきりと思い出すことが出来ました。
わたしはいじめっ子たちの卑劣な嫌がらせから、傷つき、いじめられていた大切な仲間たちを守るために、自ら盾になる覚悟でスター団に入ったんです。
堂島さんのおかげで、わたしはその初心を再認識することが出来ました。改めて、わたしのこの拳と力は、スター団のみんなを守るために捧げるとここに誓います!
……そこで、裏社会のトップである堂島さんに最後の質問です。極道の世界では、背中に刺青、彫り物を入れることで己の生涯の「誓い」を立てると聞きました。
ですが、流石にまだ学生のわたしが本物の刺青を入れるわけにはいきません……。刺青以外で、学生のわたしにでも出来るような、仲間を守り抜くための「誓いの儀式」みたいなものはないでしょうか……?』
「……ゔわあああ~~~ん! ビワちゃん、やっぱり世界一かっこいい姉御じゃんね! 自分のためじゃなく、仲間を守るために自ら盾になった本物のヒーローだったんだ!」
『ビワ姉かっこよすぎるだろ……!!!(号泣)』『そうだった、ビワ姉はみんなを守るためにボスの座に就いたんだよな』『刺青の代わりになる誓いの儀式、何があるかな?』『大吾さん、学生でもできる「漢の誓い」を教えてやってくれ!』『ルカリオが自分の胸のトゲをパシッと叩いて、大吾さんの答えを待ってる』
ビワの熱い誓いを聞き、深く、深く感じ入ったように何度も頷く。その表情は完璧な信頼に満ちており、東城会の代紋バッジをそっと指先でなぞりながら語り始める…
「……ビワくん。自ら盾になるためにその強さを磨き、仲間を守るために立ち上がった。あなたのその生き様は、私の世界の誰よりも気高く、美しい。
…ふふ…あなたがそこにいてくれるスター団の仲間たちは、世界一幸せ者ですね。
……さて、あなたが言う『刺青に代わる誓いの儀式』ですね。確かに学生のあなたが墨を入れるわけにはいかない。
ですが、極道が背中に背負う刺青の本質とは、ただ皮膚に色を塗ることではありません。『己の覚悟を、目に見える形にして、一生裏切らないと自分自身に刻み込むこと』です」
「覚悟を目に見える形に……。それ、ビワちゃんにもできること?」
「ええ、とても簡単なことです。ビワくん。あなたが今、みんなの前で素顔を隠すために施している、その『プロレスメイク』……それこそが、あなたにとっての最高の『刺青』であり、『誓いの儀式』そのものなんですよ」
「えっ!? あのド派手なメイクが、ビワちゃんの刺青ってこと!?」
「そうです。あなたが鏡の前で、仲間を守るための『スター団ボス・ビワ』としてのメイクを顔に施すその時間……それこそが、あなたが毎朝、自分自身に仲間を守り抜くと誓いを立てる『神聖な儀式』です。
私の世界の漢たちが、背中の刺青を見せて敵の前に立ちはだかるように……あなたは、その優しき素顔を隠した熱いメイクを施して、仲間たちの前に立ち塞がる悪意を睨みつける。
メイクを塗る一筆一筆が、あなたの覚悟の証明です。あなたがその顔でみんなの前に立っている限り、それは何万人もの極道が背負うどんな刺青よりも重く、気高い『誓い』として、仲間たちの目に焼き付いていますよ」
『メイクが刺青の代わり……! 鳥肌たった』『毎朝メイクすることが、仲間を守る誓いの儀式なんだ……』『ビワ姉のプロレスメイクが100倍かっこよく見えてきた』『大吾さん、マジで若者の心に寄り添う天才か?』『ルカリオが「素晴らしい答えだ」って大吾さんに拍手してる、泣ける』
「ですからビワくん、新しく何かを始める必要はありません。
これからも毎朝、仲間を想いながら、あなたのその『誇り高き鎧のメイク』をバシッと決めなさい。
そして、もしあなた自身が一人で背負う重圧に押し潰されそうになった時は……あなたが戦闘指南で強く育て上げた、スター団の頼もしい仲間たちの背中を信じて、少しだけその盾を預ければいい。
ビワくん、あなたのその優しき強さに、東城会六代目として最大の敬意と、心からのエールを送ります。胸を張っていきなさい」
ビワちゃんにキテルグマレベルのハグをされたい