ナンジャモと!龍が如くの!何でも相談室! 作:洋菓子職人II
なんかすげぇ自信作になった。
「はいはーい! ライムお姉様との魂のセッションで、同時視聴者数は驚異の380万人を突破!それじゃあ、龍ちゃん、勢いに乗ってお次のメールにいっちゃうぞ~っ! ……おろ? 今度はラッパーじゃなくて、ボウルタウンのあの『芸術家』のジムリーダーさんからじゃんね! ラジオネーム『油絵の具まみれの破壊紳士』さんから!」
「あぁ? 芸術家やと? ワシ……いや、俺のたこ焼きの形が丸くて美しいとでも言いにきたんかい」
「形じゃなくて、龍ちゃんのその『右腕』にガチ惚れしてるじゃんね! 読むじゃんね!」
『郷田龍司、そしてナンジャモ。……あぁ、アヴァンギャルドだ。実に、実にアヴァンギャルドな
医療用の義肢ではない、人を殺傷するためのガトリング砲を右腕に仕込むというその圧倒的な狂気と美学……!
一体誰にそれを作ってもらったんだい? そして、その右腕をその異形へと変える時、君は一体どういう心境で依頼をしたんだい?
ぜひ、一人の芸術家として、君の魂の叫びを聴かせてほしい……!』
「……うひゃあーーー! コルサさん、龍司さんのガトリングアームを見て芸術的インスピレーションが爆発しちゃってるじゃんね!」
『コルサさんキターーー!!!』『「アヴァンギャルドだ」www いつものやつだ!』『でも確かにガトリングアームのビジュアルは男のロマン詰まってる』『どういう心境で右腕を武器に変えたのか、ガチの過去が明かされるぞ……』『同接390万人突破!!! 400万人の大台が見えてきたぞ龍司!!』
「……アヴァンギャルドやのうて、アヴァンギャルド。ボウルタウンのコルサさん言うたな。あんたが満足するような綺麗で芸術的な話なんかやないぞ。……これは、絶望の泥水をすすっとったワシの、最高に醜くて不器用な過去の話や」
「…い、今までにないくらい雰囲気が暗い…」
「あの神室町の決戦の後、五代目の近江を破門され、右腕も失くしたワシはな、まさに絶望のどん底におった。裏社会からも追われ、命を狙う連中が次々と襲いかかってくる毎日。心も身体もボロボロやった。
そんな時、神室町の薄暗い片隅で、ひっそりと義肢装具士を装うとる、謎の武器改造職人……『ガンスミス』っちゅう男と出会ったんや」
「ガンスミス……! 闇の武器商人みたいな人じゃんね……!」
「せや。その時、ワシの心の中にあったんは、生き残るための希望なんかやない。ただのドス黒い『復讐心』と………『恐怖』や………。
ワシを狙う連中との戦いに、もう完全な終止符を打ちたい。ワシの前に立ち塞がる敵のすべてを、一瞬で、跡形もなく消し去ってやりたい……!
そう思ったワシは、そのガンスミスに、己の醜い怒りをそのままぶつけた。『この動かん義手を、すべての敵をハチの巣にする「銃」に改造してくれ』ってな。
そうして完成したんが、この、あんたの言うアヴァンギャルドな『ガトリングアーム』や」
『絶望のどん底で、すべてを消し去るために選んだ右腕だったんだな』『重すぎる……ただのロマン武器じゃなかった』
「……だがな。実際に完成した、この無骨で、人殺しの機能しかついてへん鉄屑の右腕を自分の身体に取り付けた瞬間、ワシは……ハッと我に返ったんや。『俺はいったい……誰を撃つつもりなんだ?』ってな。
敵を全員ハチの巣にして、全員消し去った後に、ワシに何が残る? 破門され、龍の座も失くしたワシが、この銃をぶっ放した先に、一体何の未来があるんや?その瞬間、己の心の底にある、果てしない『虚しさ』に気づいてもうたんや……」
「虚しさ……。力で全てを壊しても、何も残らないって気づいちゃったんだね……」
「せや。ワシは、その虚しさに気づいたのを機に、血生臭い極道の世界と完全に決別することを選んだ。
ガトリングの機能は残したまま、二度と人を無意味に傷つけんために、蒼天堀の路地裏で『たこ焼き職人の見習い』として、静かに、一からやり直す生き方を選んだんや。さっき『箸すらまともに持てん』と言うたやろ?
この不便極まりない右腕生活が始まったんはな……ワシが、『二度と暴力の道には戻らん。これからはこの不器用な右腕で、人を笑顔にするものを焼き続けるんや』っていう、ワシなりの過去へのケジメであり、静かなる覚悟の代償なんや」
『大号泣不可避』『すべてを壊す武器を、たこ焼きを焼く道具に変えた漢』『コルサさん、これが本物のアヴァンギャルド(前衛)の生き様だぞ……!』『龍司……あんた本当に、どこまで格好いい男なんだよ』『同接がついに400万人を突破したぞォォォーーー!!!』
「うぅ……! 自分の過去の過ちを忘れないために、その不便な右腕で、毎日一生懸命たこ焼きをひっくり返してたんだね……!」
「……まぁ、とは言えや。こっちの世界に来てから、空飛ぶポケモン相手にブチ切れて、このガトリングをバリバリぶっ放したことはあるけどな」
「ブッ放してんじゃねーーーー!!!ちょっと龍ちゃん! 『二度と人を無意味に傷つけない』って今めちゃくちゃエモい話してたのに、パルデアの鳥ポケモンたちをハチの巣にしてたわけ!?」
「アホ! 誤解するなや! 実弾やない、『ゴム弾』やから死にはせえへんわ!ワシが屋台の仕込みをしとる時にな、空から『アーマーガア』やら『タイカイデン』やらのデカい鳥どもが、ワシの最高に美味いタコを横から泥棒しようと、何度も急降下して襲いかかってきおったんや!
だから仕込みの邪魔するなボケェ!言うて、あくまで追い払うためだけに、空に向けて威嚇でゴム弾をバラまいただけや! 命は奪っとらんし、当たったとしてもちょっとケツが腫れるくらいで済んどるわ!」
「ゴム弾でもアーマーガア相手なら動物虐待じゃんね!!!でも……良かった、本当に誰も傷つけてなかった。タコを守るために全力でガトリングをぶっ放す元・近江連合のトップ、パルデアの治安維持としては最高に頼もしすぎるでしょーが!」
『ゴム弾だったwwwww』『アーマーガア相手にガトリング無双するたこ焼き屋(笑)』『タコを死守する龍司の執念が凄すぎる』『エモい話からのこのオチ、最高に龍司らしくて好き』『同接410万人突破!!! どこまで伸びるんだこれ!!!』
「あはは! コルサさん聞いた!? 龍ちゃんの右腕は、過去の覚悟の証であり、今は『美味しいタコを鳥泥棒から守るための無敵の防衛システム』なんだよ!それじゃあ、笑いと涙で場も完璧に仕上がったところで……そろそろドンナモンジャTVも終わりの時間になっちゃいましたじゃ!」
「おう、夜も更けてきたな。パルデアのガキども、ワシのオクタン焼きの夢でも見ながらさっさと寝ぇや。ナンジャモちゃん、最後に例のあれ、やるんやろ?」
「うんっ! それじゃあ画面の前のみなのもの、最高の笑顔でカメラに向かって、せーのっ!」
「「あなたの目玉を、エレキネットーーー!!!」」
次回、グルーシャ死す・デュエルスタンバイ!