ある日本企業たちの・・・   作:適当でいいです

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第27話

2035年 12月 霞が関合同会議

 

大型スクリーンに映し出された日本地図は、まるで複雑な毛細血管のようだった。

青白い光の中に浮かび上がるのは、『物流』『教育』『介護』『半導体』『レアメタル』『地方再生』『海外小売』『人材供給』といった、国家を構成する基礎的なマテリアルのラベルだ。それらの間を、24社連合を示す無数の実線が、雁字搦(がんじがら)めにするように結びつけている。

 

公安調査庁の大川は、教壇の前に立ち、すり鉢状の会議室にひしめく出席者たちを見渡した。誰もが手元の端末か、あるいは天井のスクリーンを見つめ、部屋には張り詰めた沈黙が流れている。

 

「最初に、はっきりと申し上げます」

大川の声は、低く、しかしよく通った。

「私は、24社連合を解体すべきだとは考えていません」

 

その瞬間、せき止められていた水が決壊するように、会議室がにわかにざわついた。

経産省の官僚が不快そうに眉をひそめ、国交省の担当者は組んだ腕にさらに力を込める。当然の反応だった。国家を脅かすインフラの独占体を前にして、公安が最初から白旗を上げるようなものだからだ。

 

「では、何のための会議なんですか」

前列に座る官僚の一人が、遮るように言った。

 

大川は小さく頷いた。

「その疑問は正しい」

 

彼が手元のリモコンを操作すると、スクリーンが切り替わった。日本地図が消え、中央にただ一行、

『24社連合』

という文字だけが冷たく表示される。

 

「問題は、彼らの存在そのものではありません。本当に深刻なのは……」

大川はレーザーポインターを起動し、その赤い点を文字の真ん中に固定した。

「このシステムが、この国に『一つしか存在しない』ことです」

 

部屋のざわめきが、急速に引いていった。

 

「ならば、独占禁止法を適用すればいい」

後方の席から、実務的な声が上がった。

 

「反対です」

大川は即答した。

 

「絶対に、独占禁止法というカードを切るべきではありません」

 

「なぜだ」

財務省の幹部が、苛立ちを隠そうともせずに声を荒らげた。

 

「彼らを罰する法的理由が、どこにも存在しないからです」

 

大川は手元の資料のページを、乾いた音を立ててめくった。

 

「鬼怒川温泉の再生、レアメタルの民間備蓄、外国人ドライバーの供給、介護人材の確保。どれを見ても、並んでいるのは彼らが叩き出した『成果』だけです。彼らは違法行為をしていない。税金も1円の滞納なく納めている。地方へ投資し、雇用を増やし、我々行政が何十年もかけて解決できなかったバグを、またたく間に処理している。これのどこを、どうやって裁くのですか?」

 

沈黙。誰も反論できなかった。官僚たちのロジックでは、「成果を上げている合法的な優良企業」を叩き潰す大義名分など作れるはずがなかった。

 

「だから、解体は不可能です。しかし――」

 

大川が画面を切り替える。

『24社連合』という文字の下に、『国家依存度』という新たなパラメータが追加された。その数値は、いくつかのセクターで既に危険域(デッドライン)を超えている。

 

「もし彼らが明日、本社機能をすべて海外へ移転させたら、この国はどうなりますか?」

 

誰も答えない。プロジェクターのファンだけが静かに回っている。

 

「物流、教育、介護、レアメタル、半導体、地方再生……」大川は画面に一つずつ、彼らの日常を支えるインフラの網を数え上げていった。「どれだけの事業が、その瞬間に機能を停止するでしょう。我々が真に恐れるべきは、24社連合という組織の邪悪さではありません。彼らの代わりになる存在が、この国に『24社連合しかない』という事実です」

 

大川は壇を降り、ホワイトボードの前に立つと、太いマジックで大きく文字を書き殴った。

 

『第二連合』

 

「彼らを潰すのではなく、競争相手を作るのです。国家の依存先を分散させる。それが、この閉塞した盤面をひっくり返す唯一の手です」

 

休憩を挟み、午後からの会議が再開された。

パイプ椅子のきしむ音が落ち着いた頃、財務省の幹部が真っ先に口を開いた。

 

「それで、第二連合と簡単に言うが、具体的にどう動かすつもりかね。予算も組織も、一朝一夕には作れんぞ」

 

大川は少しの間、あえて沈黙を守った。それから、静かに首を振った。

 

「まず前提として、我々は24社連合の真似をしようとしてはいけません」

 

会議室に、怪訝な空気が流れる。

 

「東証ショックという歴史の隙間から、突然変異のように現れた連中と、まったく同じOS(意思決定システム)は我々には手に入らない。仮にそれを模倣できたとしても、前例を踏襲することに最適化された我々の組織では、そのOSを動かすことすらできないでしょう」

 

経産省の担当者が、苦々しく、しかし納得したように小さく頷いた。

 

「確かに。城島ファンドの投資判断のアルゴリズムは、未だに完全なブラックボックスだ。あれを模倣するのは自殺行為に近い」

 

「真似が不可能なら、答えはシンプルです」大川は資料をめくった。「我々は我々の武器を使う。この国が持つ、最大の既得権益(武器)を」

 

その言葉に、財務省の幹部が鋭く目を細めた。

 

「……補助金か」

 

「はい」大川は即答した。「皮肉なことですが、24社連合も最初から今のような怪物だったわけではありません」

 

スクリーンに、彼らの成長の足跡を示すタイムラインが映し出される。

 

【東証ショックによる市場の機能不全】

【主要企業の非上場化(身軽な組織への移行)】

【城島ファンドによる圧倒的な資本投下】

【各セクターでの事業開始】

 

「彼らも最初は、莫大な先行資金によってインフラを構築したのです。レアメタルの備蓄拠点の確保も、輸送網の整備も、人材の教育システムも、すべて『先に金を入れてから』事業化している。いくら効率の怪物であっても、金をエネルギーに変えるという物理法則には逆らえない」

 

大川はホワイトボードの『第二連合』の文字を指で叩いた。

「つまり、彼らの強みはOSだ。だが、OSだけでは何も動かない。彼らには莫大な資本による『先行投資』が必要だった。設備、人材、そして土地。我々に城島ファンドは作れませんが、彼らが金を流したルートをトレースすることはできます。全方位で戦う必要はありません。一点突破です」

 

「一点突破?」農水省の席から声が上がる。

 

「第二連合は、物流をやりません。半導体も、介護も、教育もやらない。すべて捨てる」

 

会議室がにわかにざわついた。

「では、一体何をやるというんだ」

 

大川は最後の一枚の資料をスクリーンに投影した。そこには、3つの候補地がシンプルに並んでいた。

 

『地方中小製造業ネットワーク』

 

『農業サプライチェーン』

 

『エネルギー分散網』

 

「どれか一つ、国家が絶対に他人に握られてはならない生命線を一つだけ選ぶ。そこへ、国家の資金を集中投下するのです」

 

「しかし、もしその投資が失敗したら、誰が責任を取る?」

 

大川は表情を変えず、静かに答えた。

「成功しなくても構いません」

 

全員が目を見張った。官僚の会議において、「失敗してもいい」などという言葉はタブー中のタブーだ。

 

「重要なのは、彼らに勝つことではない。この国におけるインフラの『依存先』を増やすことです。24社連合しか存在しないという絶対的な独占状態を終わらせる。ただそれだけのために、この第二連合をブート(起動)させるのです」

 

「まず、我々が押さえるべきファースト・ターゲットは『農業サプライチェーン』です」

 

大川が切り替えたモニターには、日本列島を網羅する食品の流れが、血流のようなグラデーションで映し出されていた。

 

「24社連合は、すでに末端の小売を握り始めています。米国ではNEXA、欧州ではGRIDを通じて、ディスカウントショップの物流網を完全に構築し終えている。そして現在、これと全く同じシステムが、国内の地方都市にも音もなく侵入しつつあります」

 

農水省の担当官が不快そうに顔をしかめた。

「つまり、彼らの小売網に対抗する、国営のスーパーでも作れと言うのですか?」

 

「違います」大川は即答した。「そんな末端の陣取り合戦を挑んだら、その瞬間に負けます」

 

会議室に、張り詰めた静けさが戻る。

「24社連合の真の強さは、店先での販売力にあるのではありません。販売はただの最終結果です。彼らが本当に握っているのは、その手前――サプライチェーンそのものです」

 

画面に、垂直に並んだ6つのブロックが表示される。

 

【生産者】→【集荷】→【加工】→【保管】→【輸送】→【販売】

 

「我々はいつも、消費者の目に見える『販売』の段階だけを見て規制しようとする。だから負けるのです。彼らはもっと上流、生産者のすぐ隣から世界を見ている」

 

農水省の局長が、深く椅子に腰掛けたまま腕を組んだ。

「要するに、農業のDX(デジタルトランスフォーメーション)かね?」

 

「DXなんていう生温い言葉で表現できるレベルでは、第二連合は作れません」大川は首を振った。

「例えば、北海道のジャガイモ、長崎の養殖魚、青森のリンゴ、高知の柑橘。現在、これらが消費者に届くまでには、生産者、JA、市場、仲卸、卸、小売という、実質6段階の重厚な構造が存在している」

 

大川はホワイトボードに向き直り、その6段階を切り裂くように、横に一本の直線を引いた。

 

【生産者】 ――――→ 【物流】 ――――→ 【販売】

 

「終わりです」

 

会議室のあちこちから、乾いた苦笑が漏れた。しかし、誰も本気で笑うことはできなかった。24社連合なら、本当にこれをやるという確信があったからだ。

 

「彼らは農家のためとか、地方創生なんていう奇麗事は一切言いません。ただ冷徹に『無駄な中間工程が4つありますね』と言って、ハサミを入れるだけです」

 

農水省の幹部が、深い溜め息を吐き出した。

「それを我々行政がやろうとすれば、農協が怒り、市場関係者が怒り、地元の地方議員や業界団体から一斉に突き上げを食らう。政治的に不可能なんだよ」

 

「だからです」大川はそこで初めて、第二連合の設計思想の核心を口にした。

 

「第二連合は、24社連合のデッドコピーではありません。彼らの役目が『無駄を切り捨てて』効率を上げることなら、我々の役目は『誰も切り捨てずに』供給能力だけを引き上げることです」

 

経産省の担当者が、眼鏡の奥の目を光らせた。

「……つまり、補助金によるシステムの底上げか」

 

「はい」大川は頷いた。「24社連合は資本で殴る。我々は制度で殴る。彼らは効率を追求する。我々は冗長性(バッファ)を追求する。最適化を目指す彼らに対し、我々が目指すべきは『安定化』です。戦う土俵が違う」

 

大川の合図で、次のスライドが映し出された。大型スクリーンに現れたのは、GPSデータから解析された、地方の主要幹線道路を走るトラックのリアルタイムな動きだ。

 

赤は農協。青は漁協。黄色は地方の卸売業者。緑は食品メーカー。

同じ国道を、同じ時間帯に、それぞれが荷台を半分空にしたまま、別々に走っている。

 

「これが現状です。日本中で毎日発生している、構造的な非効率の典型例です」

 

画面が切り替わる。同じ道路、同じ時間。しかし、走っているトラックの光点は、太い一本の線に統合されていた。

 

「第二連合が提案する、共同農業サプライチェーンのプロトタイプです」

 

農水省の担当者が、詰問するように身を乗り出した。

「農協の物流部門を解体し、強制的に統合するということか?」

 

「いいえ」大川は首を振った。「誰も解体しません。看板も、組織も、彼らの利益も、すべて現行のまま残します。我々が消し去るのは、彼らが『空気を運んでいる時間』だけです」

 

会議室の空気が、しんと静まり返る。

 

「例えば現在、午前十時。北海道のある地方都市では、農協のトラックが積載率六割で出発する。その十五分後、今度は漁協のトラックが積載率五割で同じ道を追う。さらに三十分後、地元の食品卸のトラックが積載率四割で同じルートを走る。――全員が、走れば走るほど赤字を垂れ流している」

 

誰も反論しなかった。過疎地のロジスティクスが限界を迎えているのは、全員が知っている事実だった。

 

「ならば、午前十時発の『共同便』を国が用意し、一本だけ走らせる。農協も漁協も卸も、荷主のプライドを捨てて同じトラックに荷を載せる。それだけです」

 

経産省の担当者が口を開く。

「理屈は分かるが、それだけで採算が合うのか?」

 

「合います」大川は断言した。「人件費、燃料費、車両の整備費、保険料。日本の物流コストの8割以上は、トラックを『走らせること自体』に発生している。荷主の看板が違うから別々の便を出すという、昭和の古い発想の隙間に、国の予算を滑り込ませるだけです」

 

農水省の局長が、感心したように、あるいは恐怖を覚えたように呟いた。

「24社連合なら、そんな回りくどいことはせず、農協も漁協も卸もまとめて買い叩いて、自社のシステムに置き換えるだろうな」

 

「ええ、間違いなく」大川は言った。「だから、彼らのやり方では我々は勝てないのです。彼らは切れるが、我々は切れない。ならば、既存の組織をすべて生かしたまま、制度の力で補強するしかない」

 

大川は、プレゼンテーションの最後を飾る黒いスライドを表示させた。

 

【第二連合 基本原則】

・既存の地域組織は可能な限り存続させる

・物流のアセットのみを共同化(共有)する

・市場での競争ではなく、インフラの共有を増やす

・国家全体の冗長性(バックアップ能力)を高める

 

「24社連合が『効率の怪物』なら、我々は『安定性の怪物』になる。それしか、この国を守る道はありません」

 

同日 栃木県 鬼怒川温泉

 

24社連合が経営を引き継いだ『鬼怒川リバービューホテル』の玄関には、前の経営陣が掲げていた、少し色褪せたアクリルの看板がそのまま残されていた。外見をあえてリニューアルしないのは、地域住民や地元行政に無用な警戒心を与えないための、連合の標準プロトコル(標準手順)だった。

 

しかし、その古めかしい自動ドアをくぐり抜ける人間の流れは、完全に別物へと書き換えられていた。

 

客室がすべて埋まるような、かつての団体旅行ブームの賑わいはない。しかし、福部が手元のタブレットで監視している売上ダッシュボードの数字は、すでに投資回収ラインを軽々と超えていた。部屋を無理に埋める必要など最初からないのだ。客が一乗、小林服飾研究所の衣装を借り、最新のVRXスタジオのレンダリング負荷に応じた高額なタイムチャージを支払うだけで、従来の宿泊業とは比較にならないマージン(利益)が確定する。

 

かつて若者が目もくれなかった、寂れた渓谷の温泉街。

だが今、ホテルのロビーを満たしているのは、全国から集まった熱狂的な日本の若者たち、そしてアジア圏を中心とした外国人観光客の群れだった。

 

変化は、ホテルの敷地内だけで留まらなかった。

日中、人通りが途絶えて不気味な静けさを保っていた温泉街のシャッター街に、ぽつぽつと、夜の明かりが戻り始めていた。閉まっていたお土産屋の店主たちが、数年ぶりに埃っぽいシャッターを上げたのだ。

 

だが、彼らが店先に並べたのは、昔ながらの温泉饅頭や絵葉書ではなかった。ホテルで貸し出されている衣装の元ネタとなっている最新のアニメや、世界的なシェアを持つVTuberグループの関連グッズ、アクリルスタンドの群れだ。東京の秋葉原まで行かずとも、お目当ての「聖地」が、この鬼怒川の廃墟群の中に奇妙なリアリティを持って構築されている。そのストーリー(物語)が呼び込むトラフィックを、地元の商店主たちも貪欲に現金へと換え始めていた。

 

連合は、彼ら地元の商店に1円の補助金も出していない。地域活性化のグランドデザインなど、最初から一枚も描いていない。ただ、小林服飾研究所の「産業廃棄物(B品)」を、鬼怒川の「不良債権(廃ホテル)」に流し込んだだけだ。そこから溢れ出た強烈な経済の熱量が、冷え切っていた周囲の商店街を、磁石が砂鉄を引き寄せるように自動的にブート(再起動)させていた。

 

しかし、霞が関の官僚たちも、ただ指をくわえてその果実を眺めていたわけではなかった。

大川の率いる官僚たちにとって、24社連合が勝手に再生させてくれたこの鬼怒川温泉の経済圏は、国家のシステムを滑り込ませるための、絶好の「寄生先」だった。

 

シャッター街のお土産屋たちが店を再開しようにも、過去20年間の営業不振で膨らんだ地方銀行への融資残債が足枷となり、新しいグッズやトレンド商品を仕入れるための手元資金が1円もない――それが、この温泉街が抱える現実の「バグ」だった。

 

そこに、栃木県庁と経済産業省の合同チームが電撃的に介入した。

彼らは地元の飲食店や土産物店に対し、仕入れ資金のための特別な「補助金」と「融資」のパッケージを、超法規的なスピードで承認したのだ。連合が呼び込んだ若者や外国人の客流に、地元の既存店舗を強引に乗せるための、国家側からのブースター(点火剤)だった。

 

「補助金」という言葉を聞けば、世間一般には『国がお金をあげるから、好きな事業をしてください』という、かつての生温いバラマキを想像するだろう。実際、2030年代初頭までの日本の補助金は、そのような天下り先と甘えを温存するだけのシステムだった。

 

しかし、大川たちがこの2035年に新しく書き換えた国定マニュアルは、そんな甘えを完全に削ぎ落としていた。

 

今回、鬼怒川の個人商店に投入された資金は、名目上は補助金でありながら、その実態は『半分は従来通りの補助金であるが、残り半分は超低金利の成果連動型・特別融資』という冷徹なハイブリッドだった。

 

「回収できなくても構わない。ただし、雇用と税収という『結果』だけは残してもらう」

 

国から渡された資金で成果(売上)を上げ、期日までにきちんと国庫へ返済しなければ、店主たちはさらなる資産差し押さえや、信用情報の焦げ付きという破滅を迎える。つまり、国は「金をあげる優しい保護者」としてではなく、「確実なリターンを回収しに来る、冷徹な投資家」として鬼怒川へ降臨したのだ。

 

「24社連合が客を集めるインフラ(道路)を敷いたのなら、我々はその上を走る車(地元商店)のガソリン代を、利息付きで貸し付ける。効率最優先の24社連合なら、リターンが不確実な個人商店の面倒など絶対に見ないでしょうからね」

 

連合が作った合法的な果実を、国家の制度を使って合法的に横取りする。

24社連合という効率の怪物に毒され、一度は死にかけた霞が関の官僚OSは、今や「1円の無駄も許さない、成果主義の金融モンスター」へと、不気味な進化を遂げつつあった。

 

「今はこれでいい。24社連合にコバンザメのように寄生して、餌を漁る立場でいい」

 

大川は、鬼怒川の進捗報告書を静かに閉じた。

 

「奴らが新しい市場を見つける。我々はそこへ後から補助金と制度を持ち込む。まずはそれでいい。重要なのは、奴らの背中を見続け、その糧を吸い尽くすことだ」

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