英雄伝説・光の剣神 作:光の剣神
「なぁ先生。どこに行くんだ?」
「どこだと思う?」
シリウスに行き先を聞かれた俺は、ニヤケながら聞き返す。当然ながらアイツは答えられない。というかいつの間に俺の事を先生って呼んでるんだ……まぁいいか。
「俺の第2の故郷。恐ろしい魔女のババアが住む里だ」
「ババア?魔女?」
「そうだ。そして俺が1番欲しいもの。そら行くぞ」
足を早めミストリア大森林に入り転移柱へ。それに触れエリンの里にいるエル・プラドーの前に転移する。
「着いたぞ」
「………」
シリウスは何が起きたのか理解出来ておらず呆然としている。これは放置した方が良さそうか。エル・プラドーに視線を送り放置して屋敷に向かう
「さて……1ヶ月振りだが元気に……ん?」
ローゼリアの気配が屋敷の裏側。俺が作った農園の方から感じる。ルーチェは……里の外か。
「何してるんだか」
そう思いながら農園に足を運ぶ。そこではローゼリアが魔術で収穫した野菜を浮かせて運んでいた。白菜やキャベツ。その他色々を。
「ただいまロゼ。元気にしてたか?」
「む。ヴィクトか。おかえり」
作業をしながら笑顔で迎えてくれる。相変わらずいい顔だ。見るだけで疲れが飛んでいく。
「俺も手伝うよ」
「大丈夫だ。じきに終わるから屋敷で体を温めておけ」
「分かった。お茶淹れて待ってる」
屋敷に入り厨房でお茶を淹れアトリエに。机に置いた時、小さな手帳が置いてあるのを見つける。
「この手帳はルーチェか。何を書いているか気になるが……」
「『お父さん大嫌い』と言われたくなければ辞めておけ」
背後からとても心に深い傷が残る事を言ってくるローゼリア。流石に無断で見たりはしない。ルーチェは怒らせると怖いからな。
「しかし君が農作業してるとはな。勝手に作って怒ってたろ」
「まぁの。だかやってみると以外と楽しくてな。いい運動なるし冬場は外に出る必要も無くなる。それに自分で栽培した野菜は美味しいからの」
「それじゃ今日は腕を振るわせて貰おうかな?」
「楽しみにしているぞ。さて……一緒に来た小僧も含めて話を聞かせてくれ」
「了解だ」
お茶を淹れローゼリアに渡し隣に座る。一口飲んでからユミルであった事を話すと、ローゼリアは難しい表情を浮かべる。特にシリウスの言った教団は少し怒りや露わにしていた。
「よもや帝国にまで進出してるとは……」
「どんな集団だ?」
「……あまり言えんな。小僧を見れば分かるじゃろ」
「そうだな。見つけ次第潰しておく」
「うむ。それよりもっと楽しいーーー」
ードカァァァン!!
「「!!??」」
とても大きい爆発音が聞こえてくる。俺とローゼリアは慌てて外に出ると里の魔女たちがぞろぞろ出て来る。周囲を探るとエル・プラドーがいる場所から煙が上がりルーチェの魔力を感じる。これは……あ、シリウスか。しまった放置したのが裏目に出たか。
「ヴィクトリア……」
「分かってる。急ぐぞ」
急いで向かう。近づくにつれ戦闘音が大きくなり、かなりの激戦を繰り広げているようだった。里に被害が出る前に止めないと。
「ルーチェ!シリウス!今すぐ止めろ!」
「っ!お父さん!」
動きを止めるルーチェ。それを逃さずシリウスが短剣で斬りかかる。
「許せ!」
「甘いですよ!」
自身を覆うように結界を張り短剣を弾く。シリウスは体勢をすぐに立て直すが彼の背後に転移し杖を背中に当てる。
「さようなら。アルティウムカノン」
杖から光が放たれる。シリウスが光に飲み込まれる瞬間に杖を斬り上げ防ぎ、シリウスを後ろに蹴り飛ばす。ルーチェは技を中途半端に防がれた反動で後ろに倒れそうになるがローゼリアが優しく受け止める。
「ふぅ……危ない」
「大丈夫かルーチェ?」
「うぅ……はい。大丈夫です」
謝るルーチェだがそれは俺の方だろう。シリウスの事を言ってなかったからな。
「悪かったルーチェ。シリウスが茫然としてたから放置していってな」
「いえ。私も侵入者と勘違いしたので。それで彼は……」
「アイツは……っと」
後ろを振り返る。シリウスは地面に倒れ全く動かない。しまった蹴り過ぎたか。気配はしているから気を失っているだけだろうが……後で謝って置こう。
「ルーチェ。アイツは新しい仲間。治療してやってくれ」
「……分かりました。その代わり後で甘えさせてください」
「了解だ。頼んだぞ」
「はい……」
うーん……少し不機嫌そうだな。事前に伝えて置くべきだった。次から気をつけよう。
「俺も少し休むか。また後で起こしてくれロゼ」
「分かったと言いたいが丁度良い。ちと付き合ってくれ」
「それはいいが……どうした?」
「指輪の件。問題ないか調べて置く。ヌシの部屋に行くぞ」
ローゼリアは足早に向かう。俺もその後を追い自身の部屋に。荷物を部屋の端に置きベットに横になるとローゼリアは横に座りジーと見てくる。
「どうかしたか?」
「いや……霊力がかなり消費していると思ってな」
「それは異能だろう。少しずつ引き出せるようになったが異能で消費した霊力はなかなか戻らないみたいだ。光凰神剣も制御して放たないと動けなくなる。現に眠いし」
「そうか。なら……」
隣に寝て抱きついて額を当ててくる。ほぼゼロ距離。自然と鼓動が早くなる。少し顔を突き出せば唇を奪えそうだ。
「唇奪われても文句言えないぞ」
「おヌシに奪える度胸があるのか?」
「……言ったな?俺はやるときはやるぞ」
右腕をローゼリアの頭に乗せる。ローゼリアは何も言わずに待っている。何も言わない、してこないなら遠慮なく奪わせてもらおう。ゆっくりと顔を近づけようとした時だった。
「お父さん。シリウスが目覚めて……あ」
「「……」」
間が悪いとはこの事。ローゼリアは瞼を閉じてから離れて右手に触れる。俺も起き上がりルーチェの方を向くと彼女はとても申し訳なさそうにしていた。
「その……」
「いいさ。シリウスは?」
「彼なら扉の後ろにいます」
ルーチェが言ってから姿を現すシリウス。あまり大きな傷を負っていないようで良かった。
「取り合えず温泉にでも入ってこい。傷も癒えるぞ」
「あぁ。これから行く予定だ。おっさん達は何を……」
「シリウス?」
「こほん。先生達は何をしてた?」
「ちょっと色々。これからの事だ。後で行くから休んでろ」
『あっち行け』と手を振る。シリウスは足早に去り、ルーチェは頭を下げてから去って行く。気配が遠くなった所で小さく溜息を付く。
「残念だったの。妾の〝最初"を奪う機会だったのに」
「言い方」
「あながち間違ってはおらぬだろう」
「あのな……」
そうだとしても誤解を招くような言い方は辞めて欲しい所だ。それにしても惜しかったな……くそ。
「はぁ……やっぱり寝る」
「そうか。なら妾の膝を枕にするといい。よく眠れるぞ」
「じゃ遠慮なく」
ローゼリアの膝を枕にして横になる。そう言えば誰かに膝枕されるのは子供の頃以来か。よく弟と取り合いになっていたが……最近は逆にやる側だから少し新鮮だ。
「帝国最強と名高い剣士が妾の膝で寝てるとはな。意外な一面もあるものだ」
「誰が最強だ。俺なんか大した実力はない」
「知らぬのか?時折風の噂で聞くぞ」
そんなこと聞いたことないのだが。どうせローゼリアが適当言ってるんだろ。俺が帝国最強なんてあり得ない。噂のロラン・ヴァンダールの方が上だろう。実際に会って手合わせしたことはないが。
「暫く里にいる。見たいものは見た。その上で起動者としてどうするかゆっくり考えるよ。シリウスも鍛えないといかん」
「そうか。妾は大歓迎じゃぞ。いっそのこと寿命が尽きる時まで居ても構わん」
「それは無理だな。昔の暗黒竜みたいなことが起きれば飛び出して斬りに行く。1人でも多くの
今回の旅で決めた事。この時代において剣を振る理由。せめて手の届く範囲だけでも守って見せる。故に今は振るわなくても大丈夫だろう。皇帝陛下が健在である限りは。問題は……
(次の皇帝だな。それ次第で動き方が変わってくる。仮に独裁者がなれば……)
どうなるか分かったのもではない。場合によっては穢れ役を演じる必要があるか……皇子達が同時に即位宣言する可能性がある。一番厄介なのは第二皇子。他の皇子は帝都外にいるし……ん?そう言えば昔会った第三皇子って何処にいるんだ?
「うーん……」
「どうした?悩みごとか?」
「まぁな。今は頭の片隅に置いておく。それにしても……」
右手を伸ばしローゼリアの左頬に触れる。親指で優しく撫でると彼女は頭を撫でてくる。暫くはゆっくりしよう。先の事は誰にも分からないしな。
「さて、そろそろ晩食の用意しますか」
「期待してるぞヴィクトリア。じゃがもう少しこのままじゃ」
「はいはい」
暫くローゼリアの膝で1時間程捕まり、解放されてから台所に向かった。