英雄伝説・光の剣神 作:光の剣神
レグラムへと帰って来た。そして早速弟のシオンに連行されて父上のいる書斎に放り投げられる。書斎には一年前以上に怒っている父上の姿が。これは恐ろしい。久しく背筋が凍りそうだ。さてどう言い訳するか……。まずは挨拶しよう。
「ただいま父上。お元気そうで良かったです」
「どこぞの馬鹿息子のお陰でな。この一年の事はリアンヌから聞いている。その上で述べる事は?」
「……色々と知れましたよ?表も裏の事も」
「それだけか?」
これはまずい。去年以上に選択肢を間違えると大変な事になりそうだ。いや、絶対になる。うん……素直に謝ろう。
「申し訳ございませんでした」
「……最初から言え。この馬鹿息子は……」
そう言われてもあれだけ圧を放たれると素直に話せないだろう。まぁ俺が悪いからな。それにしても今回もあまり言われなかった。何か在りそうだが……。
「許す代わりにそなたの娘とその母に会わせてもらおうか」
「………え?ルーチェは大丈夫だがローゼリアは……って!!俺は彼女と結婚してないから!あくまでも形だけだ!」
「その割には親しいとリアンヌから聞いている。ルーチェとやらもそなたとの間のーーー」
「えぇいリアンヌめ!余計な事を!」
部屋を飛び出し屋敷を出る。向かうはリアンヌの元。レグラムを走り回り探していると、酒場の前でレイヤとルーチェと談笑しているリアンヌを発見。すぐにリアンヌの右手を掴む。
「おや?話は終わったのですか?」
「それは後だ!ローゼリアとのことを何て言った!?」
「ロゼですか?あぁ……普通に親しい仲と言いましたが……」
「ルーチェの事は?」
「彼女の事はヴィクトリアとロゼの子と……あ!」
「あ!じゃない!お陰で父上が変な捉え方をしていたぞ!」
お陰で話がおかしい所に行きそうだったわ!彼女と親しい事は変わらないがせめてルーチェの事はきちんと言って貰わないと困る。ローゼリアの事は確かに気になって……いや、放って置けないから傍に居てやりたいが決してそれは恋心では……待て。そう考えるとあの半年も含めてローゼリアの伝え方によればそう捉えられるのか?だとしてもだ!
「決して俺とローゼリアはそう言う関係ではないから!ただ放って置けないだけだから!」
「私はお似合いだと思いますよ。思いがあれば年の差なんて越えられる」
「話聞いてるか!?」
「私は心の底から応援しますよ。何かあれば相談してください」
「だから違うって!ローゼリアは何を話したんだ!?」
リアンヌに聞くが彼女はただ微笑むだけで答えようとしない。ならルーチェとレイヤは?と思い聞こうとするが2人はいない。あの2人逃げたな。まぁいい。恐らく知らないだろうし2人に罪はないからな。
「その話はまた今度だ。今暇か?」
「そうですね。後程ルーチェに色々お話を伺うまでは時間はありますが……折角ですし手合わせしますか」
「おぅ。以前と同じ様に街道でやるか。今度はローゼリアがいないし決着つけれる」
「では先に向かっててください。騎乗槍を持ってきますので」
「了解」
一旦分かれて俺は街道に。軽く準備運動をしているとリアンヌが騎乗槍を持ってくる。リアンヌも準備運動を済ませてから互いの間合いに入り獲物を当てる。
「さて、胸を借りるとしよう」
「こちらこそ。では……」
一呼吸置いたのち、同時に後ろに下がる。間合いを維持しつつリアンヌの出方を伺う。一年前より隙が無い。これはどっちが先に動き崩すかで勝敗が決まりそうだな。
(だが我慢比べは好まない。先に仕掛ける!)
剣に光を纏う。リアンヌが一瞬身構えた所を逃さず斬撃を放ち、その間に背後に回る。斬撃と背後の奇襲、ほぼ同時の攻撃をどう防ぐ?
「っ!アルティウムセイバー」
「むっ!回転斬りか!」
成程、それなら防げるか。リアンヌの回転斬りを防ぎつつ槍を弾き返すが体勢が崩れない。それどころかそのまま勢いを利用して振り下ろしてくる。
「はっ!」
「ふっ!」
負けじと受け止める。力はややこちらが上。ならば押し切る。初見ならリアンヌでも見切れないだろう。
「走れ光よ!」
「っ!?」
ガランシャールから光が溢れリアンヌを飲み込む。そのまま剣を振りリアンヌを飲み込んだ光を光速の斬撃として放つ。リアンヌは背後にあった木に背中を強く打ち付ける。
「っぅ……今のは流石に見切れませんね。魔力を光に変換しての集約と解放……光凰剣の簡易型ですか」
「まだ未完だがな。それに集約と開放速度は光凰剣と光凰神剣の方が早い。あっちは技として完成している。まだまだ詰めれるがな。簡易型だからこそ0.01秒未満で出来るようになりたいものだ」
「成程……では私の技を受けて貰いましょうか」
「いいぜ。来いよ」
ガランシャールを構える。どんな技か気になる所。この一年で新たな技を生み出したか、もしくは強化したか。どちらにしろ楽しみだ。
「さぁ……耐えてみなさい!」
「ん……?はっ!」
一瞬空気が変わった。それと同時にリアンヌは金色の闘気を開放し竜巻となって周囲を覆う。しまった!これでは逃げ場がないし受け流す事も出来ない。正面から受け止めるしかない。いいだろう。ならば俺も全力で答えよう。黄金の闘気を解き放ち、リアンヌが放つ闘気と接触。周囲に衝撃波が伝わり大地が揺れる。
「ガランシャールよ。我が光を解き放て!」
剣に光を纏い空に向けるとリアンヌは超速度で向かってくる。それを向かい打つべくガランシャールを振り下ろす。
「奥技・グランドクロス!」
「奥技・光凰神剣!」
リアンヌと俺の全力の一撃。それがぶつかる瞬間だった。赤い結界が俺達を覆う。まて……このタイミングで結界?しかもこの色はーーーいや、もう遅い。どのみち今から技を止める事は出来ない。なら一緒に痛い目を見るべきだろう。
「はぁぁっ!」
「せぇぇぃ!」
技がぶつかり凄まじい衝撃波と余波が周囲を襲う。だがそれらは結界が反射し俺達が直撃を受け爆発。赤い結界は砕け散り、俺達は揃って膝を付いた。
「いたたたた……大丈夫かリアンヌ?」
「えぇ何とか……それにしても今の結界は……もう少し早く気付けば止めれたのですが」
「逆に止めない方が良かっただろう。グギっと腰とか逝くかもしれんし」
そうなれば暫く動けん。この年でぎっくり腰とか洒落にならんからな。しかし今の結界はルーチェでは無いな。だとすると……
「ローゼリアか。また邪魔をして……」
「もしかすると別の理由……ヴィクトリア。後ろをご覧なさい」
「後ろって……おぅ……」
背後には杖を持ちとても怒っているローゼリアの姿。あぁ……今の陰口聞いてたか。だとするとこの後は……。というかやっぱり君の仕業か。しかしどうしてそこまで怒っている?俺とリアンヌとの手合わせの間を割った理由が分からないのだが?
「久しぶりだなローゼリア。何かあったか?」
「……ほぅ。分からんかこの阿保」
「思い当たるところはないが……もしかして俺とリアンヌが本気で仕合いをしたことか?」
「分かってるではないか。一年前に言っただろう?本気で手合わせするなと」
そういえば言ってたな。その時も今みたいにいい所で割って入られたのだが……改めて聞いてみようか。
「何で本気でやったらいけないんだ?俺とリアンヌが起動者だからか?」
「それは関係ない。ヌシとリアンヌが本気でやると周囲の霊脈が乱れる。それに甚大な被害が出るじゃろうが!馬鹿者!」
ガツンと持っていた杖で殴られる。ちょっと待て。俺だけ殴られるのはおかしいぞ。リアンヌも同罪だろう。地味に痛いし。
「だからといってわざわざ里から出向かなくてもいいだろう」
「ルーチェが慌てて伝えに来たわい『お父さんとリアンヌさんが本気で戦ってる』とな。もう少し父親として自覚を持たんかい」
「私生活で怒られているローゼリアに言われたくないけど?それとその事で色々とややこしい話になってる。リアンヌに何て話したんだ?俺と君の関係について」
「ん?何かあったか?妾はただ放って置けない馬鹿者と言ったが……」
「……実はな」
親父との話をすべて話す。聞いたローゼリアは渋い顔をしたが半分合っているので特に言わない。出来れば否定して欲しい所もあるのだがまぁいいだろう。
「で。ヌシの父は妾とルーチェに会わせろと。そしてヌシと妾が結婚していると勘違いしている……成程、暗示でその記憶消すか」
「それは待った。ともかくすぐに里に戻れ。親父が来る前に」
「……ふむ」
何故か考えるローゼリア。俺としてはすぐに帰って欲しいのだが。何か作戦があるのか?だがローゼリアの考える作戦はいい事がない。決まって俺が損な役回りをするに決まっている。
「まぁ……あながち事実じゃからの。結婚云々は置いて置き。ルーチェの母替わりとなった以上は避けられぬか」
「まさか……」
「リアンヌ。ちと付き合ってくれぬか?」
「構いませんよ。その方が良いでしょう」
(何が良いんだよ……まぁいいか。腹を括ろう)
腹を括り覚悟を決める。胃が痛くなりそうだが2人を信じよう。うん……ルーチェの事も俺が選んだことだ。今更言うことは無い。ローゼリアとの関係もこの際いいだろう。否定する気も無いからな。
「じゃ戻るか。親父の所に案内する」
「頼むぞヴィクト」
「あぁ。リアンヌも済まない。それとありがとう。良い手合わせだった」
「こちらこそありがとう。またお願いしますね」
次の約束をリアンヌと交わしてからレグラムへと戻るのであった。
そしてルーチェに小一時間説教されるのは別の話し。