大心を宿して   作:はんたー

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正直詰め込みすぎたと思ってる


京都大賞典、開幕

 

 

 

『さあ、いよいよやってまいりました。本日のメインレース京都競馬場第11レース「京都大賞典」。各場入場です』

 

 ワッとすごい熱気がここまで届く……。画面越しじゃない。外の歓声がここまで響いてるんだ。

 前回の新潟競馬場では、俺とドリームジャーニーの後に重賞レースを行ったらしいが、こんな熱気はなかったぞ。

 これがG2の熱気? いや、おそらくあの人の復活を誰もが待ち望んでいるのかもしれない。

 そうこうしているうちに入場口から馬が勢いよく飛び出してくる。最初に出たのは若い馬だ。多分、同じ厩舎のトウショウパワーズさんと同じ4歳くらいじゃなかろうか? 

 

『早速参りました、一番人気の1番インティライミ、今日の馬体重482は前回よりプラス6キロ、鞍上は御幸秀秋(みゆきひであき)57キロ』

 

 実況の紹介と共にわっと沸く観客達。……一番人気なのはあの馬なのか。スイープ師匠じゃないのが意外だ。

 

「スイープが一番人気になると思いましたけど、意外なのが来ましたね。まだ重賞取ってないでしょ、あの馬」

 

「インティライミは有望株。前回の阪神大賞典では8着だったが、その前のG2日経新春杯では3着……何より、去年のダービーで2着を取ってる馬だ。上位はどちらも今回と同じ2400メートルだし、距離適性的にも合ってる。その点がケガ明けのスイープより有利とされたんだろう」

 

 天野さんと厩務員の方が話しながら画面を見る。

 なるほど……ダービー2着馬。なかなか強そうだ。まだ重賞を勝ってないにしても、十分重賞馬クラスということだろう。その後も馬場入場は続いていく。

 

『続いて今回8度目の重賞挑戦。今日こそ悲願達成なるか、2番アルファフォーレス、馬体重512キロプラス6、富士岡悠介(ふじおかゆうすけ)57キロ。地方からの刺客。3番ニッシングリン、中央重賞は初挑戦、438キロマイナス5、東河雅紀(ひがしかわまさのり)55キロ。4番マイソールサウンド、472キロマイナス2、本多勝(ほんだまさる)57キロ。下り調子の逆風を突き抜けることができるかのか』

 

 次に現れたのは三頭の馬だ。どの馬もすごくいい雰囲気をしている。当たり前だが、先程の未勝利戦で戦った馬とは比べものにならない感じだ。

 

『前走の金鯱賞は2着。5番ローゼンクロイツ、馬体重456プラス4、鞍上は小巻大志(こまきふとし)57。続いて春の天皇賞では三着と好走を見せました6番ストラタジェム、馬体重452プラス6、鞍上は熊澤茂文(くまさわしげふみ)57……』

 

 その次に現れた馬達は先ほどの三頭よりも強そうだ。画面越しだから分からないところもあるけど、トップオブツヨシさんより強いかもしれない。

 

『そして、前走「札幌日経オープン」の勢いを維持できるか? 7番トウショウナイト、478プラス4、武士澤智春(ぶしざわともはる)57』

 

 ここで現れたのはスイープ師匠の同期、トウショウナイトさん。中々に威風堂々とした登場だ。

 どうでもいいけど、騎手の人の名前も中々にインパクトあるな……。

 

「お、来たな。武士と騎士のコンビ……」

 

「なんか、凄いですよね。武士澤さんが乗る馬の名前がナイトって……」

 

 武士と騎士……そう言われると、中々にかっこいいコンビだな。騎手の名前のインパクトが強いうえに、馬の名前もナイトなのは少し運命じみてる……。鞍上と馬の仲も良さそうだし、名コンビという言葉が似合う感じがするな。

 映像越しだから実際はわからないけど見た感じ、トウショウナイトさんは鞍上のことを信頼してる様子だし。

 

『8番ファストタテヤマ、7番人気458キロマイナス12,鞍上は岳光四郎(たけこうしろう)。現在G2ニ勝。4年ぶりの重賞制覇に期待がかかっています』

 

 馬が出た瞬間、観客は更に盛り上がる。あの馬も有名なのかな? 人気は7番人気っぽいけど、どうなんだろう……。

 そう思った刹那────

 

 ワッ! 

 

 これまでにないほどの大歓声が来た! 

 画面を見ると、そこには威風堂々とした佇まいを見せるスイープ師匠の姿があった。

 

『そして、今レース唯一のG1馬にして昨年の宝塚記念覇者。一年ぶりにターフへ帰ってきました! 2番人気の9番、スイープトウショウ、470キロプラス6、鞍上は生沿賢一!』

 

 観衆の大歓声が響き渡る。G1馬のネームバリューはここまでなのか。ここまで振動がビリビリと伝わってくる! 

 

『まだまだ来ます。続いて10番キーボランチ、490マイナス12、鞍上は打田光一(うちだこういち)。そして11番アイポッパー、452キロプラス4、輪田龍二(わだりゅうじ)騎手と初コンビ。前走宝塚記念での雪辱を果たせるか』

 

 スイープ師匠のあとに続くのは三頭。先ほどの盛り上がりに比べると落ち着いてるが、観客のボルテージは絶好調だ。

 そして、何より最後の馬は俺にとってスイープ師匠と同じくらい重要だ。

 

『最後に三番人気12番大外枠マイネベレーザ、462キロ増減なし、昨年オープンクラス入りを果たし、今年度は祖父シリウスシンボリと同じく海外遠征に挑戦。GIII「ゴントー・ビロン賞」を見事に制しました! 前走、フランスの牝馬GI「ヴェルメイユ賞」でも五着と好走! この勢いに乗り中央重賞初制覇なるか? 鞍上は河田優雅(かわたゆうが)初コンビです』

 

 まさかの情報に俺は思わず目を点にする。マイねぇフランス行ってんの!? しかも、勝ってるの!? 

 すげえ……海外の競馬で勝つとか凄すぎるだろ……。スイープ師匠ですら、海外行ったりしてないというのに……。

 でも、だからか。以前は重賞の格の違いに押しつぶされてしょんぼりしていたけど、今のマイねぇはそんなの微塵も感じさせない。自信に溢れて堂々としている。

 

『以上、今年は12頭立てで行なわれます。発走までしばしお待ちください』

 

 そう言われて流れるのは過去の映像だ。併せ馬といった調教の様子から、参考の過去レース映像まで。

 これを見ると、マイねぇやスイープ師匠だけじゃない。ほかの馬がどんな馬なのかもよくわかる。

 

(……あのディープインパクトって馬、どこかで聞いたような……) 

 

 参考ということで流れたのはダービー二着のインティライミさんのダービー映像。勝ったのはディープインパクトという馬だ。

 ウマ娘化してないということは歴代ダービー馬のなかではそこまで大したことない馬なのかな? と思いつつもなんか聞いたことある気がする。

 レースは映像越しでも強そうに見える。正直、インティライミさんの紹介映像なのにディープインパクトとやらが目立ってる。とんでもねえ追込……圧勝やん。

 インティライミさんと5馬身も差が開いてるよ……。これ、紹介映像として成り立ってる? てか、前走の阪神大賞典とやらも勝ってるのディープインパクトだわ。

 4番人気のアイポッパーさんの前走映像も勝ってるのディープインパクト……いや、何者あれ? 

 

「こうして見ると、やっぱり異次元ですよねディープインパクト」

 

「そりゃ、シンボリルドルフ以来の無敗三冠馬だからな……それにしても前走映像でもこの存在感は参るな」

 

「負けたの3歳時の有馬記念だけですものね。あのゼンノロブロイが影すら踏めないのおかしいですよ」

 

 ふぁ!? 三冠馬!? しかも無敗!? 

 そりゃ強いわ……なんでウマ娘になってないの? あ、でもアーモンドアイとかオルフェーヴルとか周年で発表だったし、まだ発表されてないだけだったのかも……。

 

 ────あ、思い出した。

 

 前世の友達が語ってた馬だ。

 なんか、馬主がウマ娘とかそういうコンテンツに否定的だから出てこないかもって言ってた奴。

 確か、ジェンティルドンナとサトノダイヤモンド、グランアレグリアにヴィルシーナ、カレンブーケドールのお父さんなんだっけ? このウマ娘父親同じなの!? って驚いた記憶あるぞ。

 まさかこんな所でお目にかかれるとはな……前世の友達知ったら何て言うかな……。

 

(それにしても、脚質は追込っぽいな……すげえ参考になる)

 

 中団から一気の末脚! 映像越しだから、わからないところもあるけど、脚の溜め方だったり末脚を発揮するタイミングだったりは滅茶苦茶参考になる。

 インティライミさんも三番手に二馬身位離した競馬してるし、相手が規格外というだけで相当強いというのがわかる。

 

(俺もいつか、あんな化け物と戦うことになるのか……)

 

 次に流れた映像はスイープ師匠の前走エリザベス女王杯、そして去年の宝塚記念の映像だ。

 特に宝塚記念はピックアップして紹介されている。VTRによると、牝馬による宝塚制覇は38年ぶりの快挙だったという。流石はスイープ師匠だぜ! 

 

「あ、まい来た!」

 

「マイネベレーザ……本当頑張ってくれたよな……」

 

 最後に映し出されたのはマイねぇの勝ったという「ゴントー・ビロン賞」とやらだ。

 先行の脚質で前目の位置につき、最後の直線で抜け出してのハナ差一着という感じみたいだ。

 

(かっこいいな……流石マイねぇ!)

 

 マイねぇは俺にとって本当のお姉さんみたいな存在だったからな。活躍してくれているのは本当にうれしい。

 正直、スイープ師匠とどっちを応援するかで死ぬほど迷ってるわ……どっちも勝ってほしいな。レースで引き分けとかないのかね……ねえか。俺とドリームジャーニーのレースで五センチ差とかでも測ってたわけだしな。

 

「あ、ファンファーレが鳴りましたね」

 

「……スイープトウショウのやつ、もうゲートインしてるな……え? あのスイープが素直にゲートインした?」

 

 あ、本当だ。ファンファーレが鳴ってすぐにスイープ師匠がゲートインしてる。普段は調教の時は檻みたいでなんか嫌だとか言って拒否ってるのに……。

 

(それだけやる気に満ちてるってことか……マイねぇもやる気だし、どんなレースになるんだろう)

 

 これは楽しみだ……俺はワクワクしながら画面に食い入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

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