「あっ、ここで振り出しに戻るかよ……」
「ふっふっふっ、スターは私が頂くよ」
「これでナオ君は3回も国近先輩に先越されたね」
「お前自慢の直感はどうした?」
?マークに止まったかと思えばフィールドのトラップによってスタートに戻されてしまう。
俺は今ユウちゃんとカホちゃんとコウヘイとマリオパーティーをやっているが、何故かさっきからスタートに戻ってばかりだ。これで5回目だ。
そのせいで俺はビリになっている。
「いや、どうにもゲームが相手だと上手く働かないみたいだ。機械だからか?」
コウヘイの質問にそう返す。直感に従ったタイミングでサイコロを止めてもハズレばかりだ。
「確かナオ君は超直感ってサイドエフェクトを持ってるんだよね?どのくらいの効果があるの?」
カホちゃんがそう聞いてくるので俺は立ち上がって部屋の隅にあるボードゲームからサイコロを取り出して、カホちゃんに渡す。
「じゃあカホちゃん、振ってみな。4が出るから」
「うん。わかった」
カホちゃんが試しにサイコロを振ると、4が出る。
「一回じゃマグレと思われるだろうから5回連続で当ててみるぞ。次は3」
カホちゃんが再度サイコロを振る。すると3が出る。
「次は2だな」
再度振る。2が出る
「次は6」
4回目、6が出る。
「ラスト、1」
カホちゃんがサイコロを振ると案の定1が出る。
「お〜!凄い凄い!」
ユウちゃんがテンションを上げながら褒めてくる。
「5回連続で当てる確率は7776分の1……間違いなくサイドエフェクトだね」
カホちゃんが目を見開きながらそう言ってくる。
「あ!良いこと思いついた!トリオン体になった成人ボーダー職員と直次に視覚共有させて、宝くじをやらせればボーダーの資金問題が改善出来るんじゃねぇの?」
「おー、良い考えだね」
「ええっ?!良いの?!」
と、ここでコウヘイがそんな事を言ってくる。ユウちゃんは賛成して、カホちゃんは戸惑っている。
「俺のサイドエフェクトはそこまで万能じゃないぞ。買った宝くじが当たりの番号かどうかを見抜けても、当たりの番号のクジを狙って買えるとは思えない」
「ああ、近界生活が長いお前は知らないだろうけど、宝くじの中で自分で数字を複数選ぶ宝くじもあるんだよ。有名なのはロト7とかロト6だけど名前くらいは聞いたことあるんじゃねぇか?8年前からあったし」
……薄っすら聞いたことがあるな。
「名前から察するに7つ、6つの数字を選ぶのか?」
「ああ。ロト6は1から43の数字から6つ選んで、運営が発表する当たり番号と一致するか確認するんだよ。6つ全部当てれば2億だな」
なるほどね……ルールを聞く限り行けるかもしれないな。
「良し、重要な話だし、今から会議室に行ってみるか。お前らも付いてきてくれ」
「オッケー……って、ナオ君ぶっち切りのビリだから勝負そのもの無かった事にするんでしょ?」
カホちゃんが見抜いてくる。いやだって3位のコウヘイとのスターの差が2つ、2位のカホちゃんと3つ、1位のユウちゃんと5つあるんだぞ。残り3ターンで逆転は絶対に無理だし。
「ゲームを途中で切り上げるのは流儀に反するし、最後までやるよ〜」
ユウちゃんがそう口にするので、俺達はコントローラーを持って再開した。
そして数分後にユウちゃんがぶっち切りで優勝したのは言うまでもない。
「……っと、5だ。10回連続で当てたぞ」
「……なるほど。確かに君のサイドエフェクトは絶対のようだな」
ゲームを終えて、俺達は会議室に乗り込み、会議室にいたお偉いさんとジンとミワって奴の前でコウヘイの提案をした。
で、今現在サイコロを10回連続で出目を当てて信憑性を出した所だ。
「信じて貰えて何よりだ。で、俺のサイドエフェクトを使えばロト6だのロト7は当たるだろうし、試しに一回やらせてくれ。で、成功したら大人数で何十回もやって大金を稼げば良い。この仮想戦闘機能は見事だが、戦闘系トリガー技術は遅れてるし、金が必要だろう?」
「残念だがそう都合よく行かない。確かに君のサイドエフェクトを使えば宝くじで数十億、稼げるかもしれないが、稼いでボーダーの資金としたら税務署を始めとしたらあらゆる機関に目をつけられるだろう」
「当選者がボーダーに渡したら贈与税がヤバいからな。複数回送ったら絶対に面倒な事になるわな」
キドとリンドウがそう口にするが……
「ゾウヨ税ってなんだ?話を聞く限り金を誰かに渡すと税が生まれるのか?」
「ああ。仮に君が大人になってロト7の一等の7億を当てて、ボーダーに全額渡したら、ボーダーは贈与税として……大体3億8千万円くらい税として支払う」
「はぁ?!贈与税ってそんなにヤバいんすか?!」
コウヘイが驚きの声を上げるが、これは俺も同じ意見だ。何で何もしてない人間にそれなけ支払わないといけないんだって話だ。ユウちゃんやカホちゃんも目を見開いているし。
「残念ながら事実だ。贈与税は無償で財産を受け取った人が「本来納めるべき所得税を免れたり、生きているうちに財産をあげることで相続税を逃れたりするのを防ぐ」目的で政府が儲けた仕組みだ」
キドが目を瞑ってそう口にするが……
「だったら俺が政府の財務関係者を潰してこようか?向こうでも理不尽な税を強いる王政府を潰す依頼を受けて財務大臣と幹部の首を刎ねた経験があるし」
『絶対にするな(しないで!)』
部屋にいる全員から止められる。
「この世界ではトリガーを持たない人間に対して、トリガーは使わないように。君1人ならどうにでもなるだろうが、君以外の人間はそうはいかない。ボーダーの顔である綾辻隊員には批判が集中することになるぞ」
なるほど。そりゃ無理だな。
「了解した。とりあえずこのやり方は色々面倒な事が付き纏う事はよくわかった。金儲けの方法はまた考える。来るべきに備えてボーダーのトリガー技術は高める必要があるからな」
「来るべき時……4年前にこちらの世界を攻めた国に復讐をする時かね?」
「いや、ボーダーに頼るのは国の捜索までだ。復讐をする時は確実性を高める為、オーフィリア、アンカー、ボルグ、アイリーン、シーザーの最強の同胞5人に協力を頼む。ボーダーに迷惑をかけないようにその国に加えて、同盟国も皆殺しにするから安心しろ」
復讐をするならば徹底的にだ。中途半端にやったら復讐をされ返されるからな。
「……その5人は全員シーザーと同格なのか?」
「?記録を全員分見てないのか?シーザーは俺を含めた6人の中じゃ1番弱いぞ」
「っ?!アレで1番弱いじゃと?!」
キヌタが驚きの声を出すが、どうやら記録を見てないようだな。
「ああ。ボーダーに飛び火が無いように徹底出来るから安心しろ」
「待ってくれ!その復讐に俺も参加させてくれ!」
と、ここでキドの脇にいるミワが参戦を口にする。目には憎しみの色が宿っているが……
「却下だ。お前、殺しの経験がないだろ?殺しの経験がない人間が復讐に走ろうとして、いざって時に腰が引けたパターンを何回も俺は見てる」
人を殺せない人間は侵略や復讐をする資格はない。中途半端な覚悟は他人の足を引っ張るからな。
「もしも復讐に参加したいなら、向こうの世界で殺しの経験をしろ。それが出来ないなら俺の復讐に関わらせないし、無理に介入するなら俺がお前を殺すぞ」
「っ……わかった」
ミワは俺の殺意に気圧されながらも頷くが、コイツが出来るかどうかは憎しみの強さ次第だ。
はてさて、どうなるやら……