弊ワット戦記 〜愛しの雷神と偽旅人の夫婦旅〜   作:マクロソラックス-03(旧っっt)

3 / 3
ついにやってきました、フォンテーヌぅぅぅぅ!
というわけでね、早速影ちゃんとケーキを食べにホテル•ドゥボールに行きたいと思います!ん、フリーナ?まぁ、別にええやろ。


フォンテーヌ編 第一話 ロマリタイムハーバー•ネコチャンと厄介ごとの予感

 

一行は巨大な砂漠を縦断し、絡んできた傭兵をシバキ倒し、ソルシュやスケプティック団に挨拶して漸くフォンテーヌとの国境付近にたどり着いた。目の前には一面に広がる海と高く聳える落差300mの滝。世間に疎い雷霆の権現だけでなく、百戦錬磨の旅人でさえ、未知なる景色に息を呑む。驚くべき光景を目にしながら一行は最後のデーツナンの昼飯を取り、新たなる国に足を踏み入れた……

 

ーーーーーーーーーーfew hours later ーーーーーーーーーー

 

「やっと着いたな…道中、砂と水だらけだったけど…ここはフォンテーヌ領内の港みたいだぜ!」

 

抱っこ紐の中から抜け出したパイモンが俺の周りをブンブン飛び回る。砂漠の放棄された港からウェーブボートに乗り込み、波に揺られること2,3時間以上。ようやく辿り着いたのがこの『ロマリタイムハーバー」だ。璃月港ほどではないものの数多くの船舶で賑わい、降ろされた荷物が小型艇に乗せられて次々と水門の中に飲み込まれていく。それにしても……

 

「稲妻とは大分様子が違いますね…」

 

「確かに、ここってなんか先進的だよな。」

 

「かなり工業が発達した国だと聞いていたが、想像以上だな。」

 

確かに影ちゃんが言った通り稲妻とは大分色々様子が違う。建築物も白亜の石材で統一されているし、人々の服装も異なる。そして1番大きく異なるところは、歯車仕掛けの機械が至る所にいるところだ。正面の時計も、クレーンも船舶も、歩き回っているロボット?も全て精巧な歯車が内部で蠢いているのが見える。

 

「まぁ、まずはなんとかっていうホテルに行こうぜ。どうやら一日数量限定で販売される美味しいケーキがあるって雑誌に書いてあったからさ!」

 

「「ケーキ!!」」

影ちゃんだけじゃなくてパイモンまで食いついてきた、だが、これだけで驚くのはまだ早い。

 

「それにここは美食の国。ケーキだけじゃなくて色んな甘いものや極上の料理もあるらしい。それに、ダイビングもできるらしいし、最先端の科学技術を研究しているフォンテーヌ科学院も見学できるみたいだぞ!」

 

「甘いものだけじゃなくて、機械も…ますます興味深いですね。すぐさま行きましょう。(食い気味)」

 

「影ちゃんがそうお考えなら、早速出発しよう。」

 

「はい!」

 

俺と影ちゃんは恋人繋ぎして意気揚々とエレベーターの方に足を進めるが……

 

「おいおいおい、待てよ!待てったら。」

 

ん、なんだ?どうしたパイモン?

 

「オイラたち、まだこの国のこと全く知らないだろ。まずは地元のやつらに聞いてからにしようぜ。」

 

「「あ。」」

 

パイモンの言葉に俺たち2人は我に帰る。新婚旅行気分で浮かれていたが自分たちの知識は雑誌で齧った程度のものであり、土地勘もへったくれも無い。

 

「はぁ、オイラが言うまで完全に気付いてなかっただろ。全くバカップルめ…ひとまず、あそこにいるの明らかにフォンテーヌ人だよな。アイツらに聞いてみようぜ。」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…でも、あの結末はちょっと悲惨すぎると思うな。根は悪いやつじゃなかったわけだろう?」

 

「ええ、まさかあんな「幕引き」になるなんてね。てっきり家族のためにもうちょっと抵抗するかと思ったんだけど…」

「残念ながら、私が期待していた「どんでん返し」はなかったわ。でも、彼の物語には感動させられるものがあったわね。」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……えっと、そこの3人、何か用か?ずっと何も言わずにこっちを見ているみたいだが…」

 

「いやぁ、すみません。俺たち、新婚旅行でフォンテーヌに来たばかりの者でね。土地勘がないものだから2人に色々聞きたいところだったんだが、なんか劇のこと話しているみたいだったから…邪魔しちゃ悪いなって。」

 

「劇?いやいや、俺たちが話していたのは現実のことさ。何日か前に審理された時間だよ。」

 

ん?事件とな?

 

「そうだったのか?てっきりオイラには物語っぽく聞こえたぞ?」

 

「実は物語も、現実の事柄を改変して作られたものが多いのよ。逆に現実だって、誰かによって意図的に演出されている可能性もある…」

「実際、本当にあったことかどうかなんてどうでもいいの。舞台上で演じられている物語が素晴らしければ、それで十分。」

 

「ん?どういうことだ?」

 

パイモンの質問に対して役人風の女は要領を得ない返答をする。

 

「あっ、君たちは外国から来たから知らないわよね。フォンテーヌには『エピクレシス歌劇場』っていう法廷があるの。通称『歌劇場』よ。」

 

「審判を歌劇と見なすのですか…」

 

「それって…なんか軽すぎないか?あっ、別におまえたちフォンテーヌのルールに文句があるわけじゃないけど、罪人を裁くのって、もっと深刻なものって印象があるぞ。」

 

「ふふっ、いいのよ。外から来た人はみんなそう考えるから。私たちはただ、事件の背後にある感動的な物語を無駄にしたくないだけなの。」

 

「えぇ…?司法としてそれはどうなのかと思うのですが…?」

 

「ああ、同意見だ。まぁ、国によって重きを置く価値観はそれぞれだよ影ちゃん。これもフォンテーヌの文化なんじゃないのかな?」

 

 

言外に「てめぇの国はイカレポンチで、その司法はクソッタレだ。」と俺は述べる。どういうわけか最近は世界からケツ毛一本残らず抹消したはずの短パンクソガキみたいな悪口や皮肉が以前より自然に出てくるようになってきた。

案の定、役人風の男女は一瞬不機嫌そうな顔をするが、すぐさま営業スマイルでそれを隠した。

 

「君たちが心配している「審判は厳粛であるべき」ってことについては……絶対的な公正性を保つ最高審判官のヌヴィレットさんがいるから、何の問題もないわ。」

 

「「塗り絵人?」」

 

「いや、ヌヴィレットよ!なにをどうやったら2人ともそう聞き間違えるの!?」

 

「いやぁ、すみません。海外の名前は少し難しいもんで。因みにそのヌヴィレットという人は大丈夫なので?」

 

「それは勿論大丈夫よ。あの方は最高審判官に就任してから何百年も公正無私を貫き、誰よりも規則に忠実だわ。実際、水神であるフリーナ様が審判の最中に余計なことを言ってもしっかり咎めていたわ。」

 

成程、そのヌヴィレットとやらは人外、差し詰め水神の眷属か何かなのだろう。主である水神と比べてしっかりした人物らしい。どこか敵に回りそうな気もするが、頼るなら水神より良さそうだろう。

 

「成程。因みにヌヴィレットという方にはどこに行けば逢えますかね?ホテル•ドゥボールの近くだと嬉しいんだが。」

 

「彼ならパレ•メルモニアの執務室か、歌劇場に居ることが比較的多いわ。ただ、いつも国中を飛び回っているから会えないかもだけど。」

 

「あと、ホテル•ドゥボールに泊まるのは大正解だよ。あそこの料理長が作る食事は絶品だし、定期的に『大魔術師 リネ&リネット』のマジックショーがあるんだ。」

 

 

 

ーその後、港の職員の2人から色々フォンテーヌについて教えてもらった。お互い意気投合して多くを語らい、気がつけば1時間以上経っていたー

 

 

 

「おっと、もうこんな時間か!俺たちは仕事に戻るよ。君たちありがとうな。」

 

「稲妻の話面白かったわ。今度旅行で行くつもりよ。」

 

「お前たちこそ色々教えてくれてありがとなー。」

 

そうして俺たちは港の職員の2人と別れた。気がつけば陽が傾いて空が赤く染まり始めている。

 

「いやぁ、いっぱい教えてくれたな、あの人たち。本当に助かったよ。嫌味を言ったこと申し訳なくなってきたな。」

 

「そうだぞ旅人!お前、昔はそんなことほとんど言わなかったのに… あれ?影は何を見ているんだ?」

 

パイモンはふと、何処かをよそ見している影ちゃんに気付いた。彼女の視線を追うと夕暮れに染まる埠頭の岸壁。そこにいたのは…

 

「可愛いネコちゃんがいますね。」

 

猫耳が生えた少女だ。海をずっと見つめている。そういえば港の職員たちと話す前からいたような気もする。

 

「何かあったのか…?まさか、海に飛び込もうとしているわけじゃないよな?」

 

「さぁね、きっと魚を捕まえようと……『ジジジジジ!』……うっ!」

 

急に何かがフラッシュバックする。たまに脳裏を走る、捏造された「原神」というゲームの存在しない筈の記憶だ。猫耳少女に既視感と厄介事の気配を感じる。このまま新婚旅行を楽しみたいのなら関わらない方がいい。いつもの旅と同じ流れになってしまう。

 

「な、なぁ2人とも。ほっといてあげようぜ。なんか、なんか嫌な予感が…おい、聞いてる?」

 

「ちょっと話しかけてみましょう!もしかしたら耳を触らせてくれるかもしれません!」

 

「お、そうだな!いってみようぜ。」

 

 

 

後に、この猫耳少女と関わった事で大いなる陰謀とテイワット滅亡の危機に巻き込まれることを俺はまだ…いや、既に予想がついていたのであった。

 

 

 

 

「……?」

 

「……。」

 

「…、…!」

 

 

俺は影ちゃんとパイモン、猫耳少女が話し込んでいるのを遠巻きに見つめる。風上にいるせいで会話の内容が聞こえてこないが、パイモンの表情から難しい話をしているのかもしれない。途中で聞こえてきた、「あなたが旅人さんが言ってたウミネコさんですか」は一体どんな流れで出てきたのだろうか?

 

 

 

ふと、背後から誰かが音もなく近づいてくるのを感じる。俺はそっと振り返ると先程の猫耳少女と似たデザインの服の帽子の少年がいた。顔立ちは2人ともよく見えないが髪色が似てるから兄弟なのだろうか。

 

「おや、見ない顔だね。リネットと話しているのは君の連れかい?」

 

「ああ。俺の妻と子供だ。お前さんは?」

 

「あの子の兄のリネだ。あっちの子はリネット。リネットはここで昔の思い出を懐かしむのが好きでね。よくここから水に沈んだ丘を見つめているのさ。」

 

しかしこの少年、(リネといったか?)かなりエッチな格好だ。もし俺が八重神子かホモだったら確実に食べちゃうね♂……ゲフンゲフン!

 

「???」

 

「いや、済まない。ところで、うちの連れを紹介していいかい?」

 

「あ、うん。勿論さ。」

 

そういって、影ちゃんやリネの妹の方に行こうとした時だった。

 

バチッ!バチバチバチッ! ジジジジジ……ドサ!

 

影ちゃんの全身の関節方スパークし、口から黒煙が漏れ始める。リネットに触れられた細腕が激しく痙攣して弛緩し、そのまま横に倒れる。

 

「うわぁ、旅人!影が!影が壊れたぞ!」

 

「影ちゃん!影ちゃん!クソ、パイモン!自己診断プログラムを手動で起動させろ!おい、てめぇ!ウチの影ちゃんに何しぃやる!どこの回し者だ!ファデュイか!?スメールの誰かか?」

 

猫耳女の両手首を掴み上げる。その瞬間、両腕、2年前の稲妻城へのカチコミで影ちゃんに切り落とされて後に影ちゃん特製の義手に換装されたそれに電流が走る。

 

バチバチ!ブツン!

 

力を失った義手がリネットを解放してだらりと垂れ下がる。

 

「てめぇ、何をしやがった!」

 

ふと、リネの方を振り向く。彼は動揺している。コイツは白だ。そして目の前のリネットを睨みつける。

 

そのリネに似た顔には表情が宿っておらず、虚な目は冷たく、光を宿していなかった。

 

 

 




旅の道中、パイモンは偽旅人と影ちゃんの子供ということになっています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。