人類が宇宙に飛び出して数百年。
コロニーはサイドというまとまりの中で国家という形を作り出していた。
何度かの戦争や内紛の果てに平和や平穏を謳歌している。
だが、平和であろうと、闘争の足音はするものだ。
ここサイド間の緊張状態はここ数年悪化していた。
「カイン・ヴェクター少尉、君は解雇だ。ここから出ていきたまえ」
俺――カイン・ヴェクターは数時間前に上官に言われた言葉を頭に反芻しながら空を見上げた。
元・サイド2軍、モビルスーツ小隊第13部隊に所属していた元少尉だ。
某日、モビルスーツ部隊による哨戒中に正体不明のモビルスーツと接敵、戦闘になった。
最初に隊長の機体。その後、僚機が悲鳴をあげる前に撃墜された。
俺は、運良く撃墜を免れて、機体の両手両足が吹き飛ぶ程度の物で済んでいた。
尤も抵抗が出来なかった隊長や動揺した僚機と違い、狙われた順番が最後だったからという運の良さがあったからこそ回避行動、戦闘行動に移れたという背景もあるが。
敵は圧倒的だった。姿が視認のほとんどできない距離からビームライフルをぶち込んでくる。
それでも俺は残ったスラスターを吹かして回避し、ライフルを捨てて機体の四肢をもがれながらもデブリ帯へ逃げ込んだ。
これは余談だが、俺は部隊では撃墜数トップの戦績だった。そんな俺が手も足も出ずに逃げる事を強いられた。
暫く、隠れていた俺は戻らない部隊と反応の消えた機体があった事、俺の報告もあって派遣された部隊に回収してもらった。
そんな事もあり、正体不明のMSについての問診、しばらくしたら呼び出しが掛り、なんと軍法会議。
「貴官は敵前逃亡していた疑いがある。」
と、疑いをかけられた。当然抗議したし、背景も洗えと訴えた。だが碌な調査もされずに責任を押し付けられ軍籍を剝奪、無職となった訳だ。
「さーてこれからどうしたものかな」
両親は二人とも亡くなっており、背負う物は自分の命だけだ。
「まぁ、死刑じゃなかっただけマシか。」
暫くは無職を楽しむのものありかー切り替えてと考えていると、俺の前に黒い車が止まった。そしてそこから一人の女性が降りてきた。
銀髪の20代に差し掛かった位の細身の女性だった。
俺はその場から身体をどかしてよけようとすると、その女性は俺の前に立って話しかけてきた。
「貴方がカイン・ヴェクター少尉?」
俺は怪訝そうな表情を浮かべた。
「まぁ、確かに俺はカイン・ヴェクターだが、元少尉だけど」
「なるほど、人違いでなくて良かった」
その女性は笑うと懐から一枚の名刺を取り出して、俺に渡してくる。
その名称を読む。
「運送会社フラグムーブメント社、運送部門担当『ノープ・フラグメント』?」
その名刺の内容を認識して頭で理解すると、驚いた。
「フラグムーブメント社って各コロニーやサイドを股に掛ける大運送会社じゃんか!」
あらゆる兵器からあらゆる生活用品を、あらゆる所に運送する。を社訓としている運送会社フラグムーブメント。通称【FMM】
当然俺も軍属時代に世話になった事があるし、何だったらこのコロニーでも良くトラックを見かける。
でも、そんな軍も国家も頭が上がらない運送会社が俺になんの用だろうか。
「驚いたもらえたようで何より」
「それで、何用で?ただいま絶賛無職中なのですが」
俺が、要件を聞くと女性ーーノープはにこりと微笑んで要件を話した。
「カイン・ヴェクター、貴方をスカウトしに来た」
どれだけ投稿できるかわかりませんが、頑張ります