「うへ~、コイツはまた何があったんだか。誰か状況説明してもらえる~?」
「ホシノ先輩!」
「ごめんねぇ、ちょっと天気が良くてお昼寝してたら遅れちゃった」
現るは現代最強の神秘でありアビドスの盾たる小鳥遊ホシノ。
アビドスの生徒は雑に扱いがちな昼行燈の様な生徒だが、その実態は大きく異なり、目の前で圧倒的な存在感を示す風紀委員会の委員長、空崎ヒナと双璧を成す実力の持ち主。
未だ成長途上の後輩たちはそれに気が付くことはないが、対峙する圧倒的な個であるヒナはその変わり様に驚愕し、警戒を強める。
「ひ、昼寝って…こっちは色々大変だったのに…今もゲヘナが!」
「でも撃退した…アヤが」
「ふぅん、そこら中に転がっている子たちをアヤちゃんが全部…?」
ポヤポヤした表情が無表情になり、沈黙するメイド服の少女を一瞥するがそれも一瞬。そのホシノの内心に気が付き、またも顔がしわくちゃになるのを見て、今は脅威ではないと判断を下し、その視線を再度ヒナに戻す。
「ゲヘナの風紀委員会…ねぇ。便利屋でも追いかけてきたの?」
「………」
「ま、事情はよく分からないけど、ここで暴れるなら勢揃いした私たちが相手になるよ?どうする、風紀委員長ちゃん?」
「……あなたが小鳥遊ホシノ。随分と人が変わったのね。人違いかと思うくらいに」
「ん?初めましてだと思ったけどどこかで会ったことある?」
「いいえ、初めましてであってる。ただ、私が情報部にいた頃に各自治区の要注意人物として…」
ああ、やばい!ワーカーホリックがホシノさんの地雷をつつこうとしてる!誘爆はごめんだから間に入らせてもらうね!!キングクリムゾン!
「あーあーあー!今はそんな話より問題の収拾の方が先じゃない!?」
”うわ、いきなり叫ばないでよびっくりするなぁ”
えぇい、じゃかしいって!これ以上爆薬の近くで火花散らされては堪らないし!
地雷は地雷でも学名、アビドスユメモドキオジサンの地雷は「イテテ」で済む便利屋の対人地雷と違って痛いでは済まないんだよ!下手すりゃ痛いじゃなく遺体になっちゃうんですけど!…私の心が。
「…そうね、それはそう。……イオリ、チナツ。撤収準備」
「ええ!?お尻の恨みが…い、いや、なんでもない…」
私の言葉にハッとしたような表情で優先順位を変える。よかった、これでひとまずは誘爆が防げそうなんだけど、大分無理やり会話に割って入ったから今度はホシノさんの視線が私に向いて、冷や汗が出そう。先生早く信頼勝ち取って地雷撤去して??その子の地雷一つ爆発すると確率で誘爆して辺り一帯焼け野原になるよ??
そしてそんな私のハラハラとした内心に気が付くことも無く、この場を穏便に収めるため、風紀委員会のトップであるヒナしゃんが深々と頭を下げる。その行動が意外だったのか、あまりの素直さにホシノさんも後輩たちも気が削がれる。
「事前通達なしでの兵力運用、そして武力衝突だけでなく、一般人にも迷惑をかけた事。一部生徒の暴走が原因といはいえ、私の責任であり管理不十分が引き起こした事を風紀委員長としてアビドスへ正式に謝罪する」
そう言って頭を上げると、撤収準備を進める風紀委員会のメンバーたちに的確な指示を飛ばし、有無を言わせぬ態度でアビドスの市街地から追い出していった。これには流石3大校の一つである、ゲヘナの大組織をまとめる長の手際と潔さに舌を巻く面々。
その去り際に先生に何かを語りかけて行ったが、その内容までは聞き取れた生徒はおらず、また気に掛ける生徒もいなかった。
そんな芸術的ともいえる一糸乱れぬ統率を眺めながら、何も知らないホシノさんが情報を求める。
……何も分からない状態で、あそこまでゲヘナの最強に敵意向けることが出来るのは何と言うか…控えめに言って狂犬だと思いますです、はい。
「で?おじさん何もわかってないんだけど、誰かこの状況を教えてくれない?」
「私達もよく分かってないのですけど、私達が分かっていることは柴関ラーメンが爆破されて、駆け付けたところ、便利屋68の皆さんと先ほどの風紀委員会が因縁付けられていまして…それをアヤちゃんが撃退した…でしょうか?」
「シロコちゃんもさっき言ってたけど、本当にあの人数を一人で?みんなお尻を抑えてたけど一人一人タイキックでもしていったの?年頃の女の子に酷いことするね~おじさん同情しちゃうよ~」
「いえ、アヤちゃんは1歩も動いてません…なので私たちも何が何だか…」
「???何もしてないのにアヤちゃんの手柄って分かるの?」
「言いたいことは分かるけど、タイミングと言動は完璧だったし、あれはもうアヤが何かやったとしか…」
わぉ、えらいジト目で見つめてくるじゃん、桃色の小さいお方!なんて私の方がちょっと小さいんですけどね!!耳の分合わせればいい身長になるけど、どこぞの虚ろ狩りと違って耳の分は身長に入れていない。まぁ、私の器はナノマシンの集合結晶体だから身長や容姿など自由に弄れるからどうでもいいけどね。
…なんてどうでもいい話は置いておいて、ホルス殿の目はきっとこう言っておられる!
私との手合わせの時と随分違うじゃん?って!うわもう面倒くさいなぁ。人を疑うことでしか人を信じられない矛盾を孕んだ過去に囚われた亡者め!
………しょうがない。このままのらりくらりと躱していたら、どこかで信用度が足りなくなりそうだしカードの一つを切るかな。どうせそのうち知られることだし、それが遅いか早いかでしかない。ならここは潔い風紀委員長に倣って、私も開示しよう!
「…そんな目で見なくても教えるってば!あーしが銃撃戦が得意じゃないのは本当。あの模擬戦ではあの時点での私個人での全力だし?」
「ふぅん?それが本当だとして、どうやってあの人数と渡り合ったの?おじさん興味あるな~?」
「ん、私も興味ある」
「私もちょっと気になったり…」
”そうだね、何となく察しはついてるんだけど、折角だから教えて欲しいな。みんな仲間だからあまり隠し事はして欲しくないって言うか…」
ちっ、やっぱり先生にはバレてたか。流石は高性能ポンコツAIだ。しれっと私の感知範囲外から観測してやがったな…。まぁ流石にこの身の事までは解析できないだろうけど、警戒したほうがいいかも。なんせ”あの女”が作った原理不明のオーパーツの制御OSだ。何から何まで”あの女”に似ていて正直苦手だ。……ただのデータのくせにコイツの機嫌まで取らなきゃならないってのが余計に腹が立つ。
「今回あーしが使ったのは、設置型の固定砲台。合計9ヶ所に設置しててそれの自動狙撃で今回撃退したってわけ!だからあーしの戦闘は本来、銃撃でも接近でもなくオールレンジ攻撃による狙撃が得意な戦法で、ホシノさんと模擬戦した時は設置してなかったからああなっちゃったわけで…」
「えっ、じゃあ今もどこかにあるって事?」
「えっへっへ、気になる?でも残念。ちょっと意識放した瞬間から通信が回復しないから、あのゲヘナの風紀委員長に全部壊されたかも。だから今は
それなら安心とばかりに胸をなでおろす後輩組。なんで安心してるわけ?私が君らのケツをシバくとでも??そんなことしたら桃色の鬼が出るからしないよ??我が身可愛いもん。
それに今回は嘘は一切言ってないから、その桃色の鬼もそれ以上疑うのはやめたっぽい。
まぁ嘘ではないけど、真実を全部言ったわけではない。先生はジト目だけど余計な言葉を挟むつもりもなさそうだし。
「じゃあ先生?今回の事でまた話し合いあるだろうから、あーしはこの辺で
”えぇ…まぁそうだけどさ……因みにどこ行くか聞いてもいい?”
「おっ、束縛系彼氏ツラするわけ?愛が重くてアヤちゃん困っちゃうんですけど!まぁ今回は別に隠す事でもないから教えてもいいよ。便利屋の所に行ってくる」
”場所分かるの?”
「モチのロンだし?一応これでもちゃんと仕事してて、敵性存在になりうる潜在的脅威は可能な限りピックアップしてあるワケ。今回の…加害者?被害者?かは分からないけどお話だけはしておくべきかと思って」
”おぉ…至極まっとうな理由だ…それに仕事をしっかりして私は驚きを隠せないよ”
「は?アヤちゃんは誰もが納得する現代の完璧最強美少女だし?寧ろその感想が出てくる方が驚きなんですけど?虎の子の狙撃でケツとは言わず、前面についてるその粗末な物ぶち抜いてあげよっか?」
”酷い!!素直に感心しただけなのに!しかもアヤの言ってる虎の子って”アレ”でしょ!?ゴム弾だったとしても下半身ごとなくなっちゃうよ!!”
やっぱり把握してるね…今回アビドス入りに際に準備していた銃器はHGを除いて9丁すべてが行方不明になってしまった。もう一つの銃…というより兵器はステルス迷彩を展開して、少し離れた小高い丘に待機中だ。最初から疑いを持って捜索しなければまず見つかることはないだろう。
暗にその射角にすでに入っていて、大事な息子を照準していると告げれば、お股をキュッっと閉じてモジモジしながら逃げて行った。それを見届け、私は便利屋のいるであろう方向に歩きだすのだった。
尚、大の大人がいきなり股間を抑えて後ろをついてきた事に気味悪がって、ぎくしゃくしたと後日先生から文句を言われた。いや知らないし。
◆
先生たちと一旦分かれて、アビドスの郊外を歩くこと暫し。あまり目立たないビルの2階にそれはあった。何度目か分からないその扉をノックもなしに開け放ち、目的の人物に挨拶をする。
「ちゃおっすぅ~、遊びに来たヨ」
「なっ、貴女は…!」
「…付けてた?どうしてここが分かったの?」
「勘」
「あはは!何それ面白ーい!」
「そんなわけないでしょ!というより貴女、傷はもう大丈夫なの?ってそうじゃない、何の用かしら?見ての通り私たちは今忙しいのだけど?」
いそいそと引っ越し準備を進めている便利屋68の4人。最初の事務所は固定なんだけど、風紀委員会と激突した後はどこに居を構えるか毎度ランダムなんだよね。
だからこそより繋がりを強固にするため、どこで活きるか分からない種を蒔きつつ次の場所も把握しておこうって考え。使える駒は多くて困ることはないからね。
それに私がしんどくなった時、最後の寄る辺となるのが彼女たちだったりするし、実際彼女たちのハチャメチャっぷりには何度助けられた事か。だから彼女たちに恩を返すついでにパシリにする。
「んー?まぁ暇そうには見えないよね。でもせっかくだから耳寄りの情報聞いて行ってほしいっていうか」
「…なにかしら?」
「風紀委員会は二度と無許可でアビドスに入ることは出来ない。これは委員長であるヒナさんが公約として発言していったし。だから風紀委員会から逃げるのなら、アビドスから出ないことをお勧めするっていうか?君らに依頼していったガラクタ共も、そう遠くない未来でスクラップになるからそっちも怯えなくていーよ」
「……それを信じる根拠は?」
「疑り深すぎじゃないっすかぁ?オニャンコポンさんや。あーしが信じられないってワケ?まーそれもしょうがないってゆーか?だから根拠は教えられないけど、君ら便利屋の信頼は勝ち取れるってとこ、教えてあげるし?」
「…一応話だけは聞く」
まったく、疑り深いのは警戒心が強いとして長所として捉えられるけど、裏を返せばそれはチャンスに乗れないって意味でもあるんだよ、ニャンコ先生。だけど一方的に突っぱねないのは社長の手前という事だけでなく、私が柴関で言った「いい事あるかもよ」という言葉をしっかり覚えていたのかな。
実際、カヨコさん程の頭脳なら、その後の爆発で自分たちだけが無傷なのはおかしいって気が付いている筈。だけど理由が分からないからあの中で唯一ダメージが深刻だった私に当たりを付けたんだろうね。それが頭にチラつくから、私の話を聞かざるえない。…損得勘定を優先しやすいカヨコさんの長所であり、また弱点でもある。だってほら、今も意地の悪い神モドキに利用されようとしてる。
「シャーレ…というより、あーしが依頼人になってあげるし。言っとくけどあーしってめちゃイイ依頼人だからね!君らの手段に文句は言わないし、失敗しても報復的な事もない!勿論前金も渡すし、成功したらその都度追加で報酬も出す。ね?あーしいい人でしょ?」
「…本当に良い人ってのは自称しない。なにが目的?」
「話してちょうだい」
「社長!?」
「落ち着きなさい。私達はアウトロー。依頼人がどのような思惑を持とうが、金さえ貰えれば何でもする。それが私たちのモットーのはず。それが身分も分かっていて、契約の通りならむしろ信用できる取引相手よ。で?内容は何かしら。そこまで大言壮言を言うのだから冷やかしなんてことはないわよね?」
「さっすが社長!分かってる~!一応言っておくけど、聞いてからやっぱなし、なんてのはやめてよね?」
「それでいいわ。皆は…聞く必要もなさそうね」
「じゃあ依頼伝えんね。……先生を守って」
「…はい?それだけ?」
「そだよ?なに?不満なワケ?」
「いやもっとこう…」
「他にも糞もないし?先生を守って。普段は私や近場の生徒に守ってもらうけど、どこかで手が足りなくなるかもしれないから。そん時の最終防衛線に君ら便利屋68を使おうってワケ!勿論普段は好きに生活してもらって構わないけど、私が呼んだら4日以内に先生の近くにはいて欲しいんですけど?どう?」
私の依頼内容に、唖然とした表情をするアルちゃん。さしものカヨコさんでさえ、その真意までは測ることが出来ず、混乱するばかり。
それはそうだ。いかにキヴォトスでは銃撃戦が日常でも、キヴォトスの外から来たシャーレの先生が銃弾1発で死ぬことなど百も承知。そんな相手に、事故でもなければ銃弾が当たることなどないし、ましてや直接銃口を向けるなどあり得ない。シャーレという組織上恨みを買うこともあるかもしれないが、殺したいとまで思う生徒はいない。……それが常識であると日常を謳歌する彼女たちは疑わない。
大半の悪意は私が振り払おう。今までのループで得た知見を活かし、この器の性能も合わさって未来予知に迫る性能で先生を守るだろう。だがそれでも今の私は神ではなく、人の身。であれば人一人で出来ることなど限界があるのも自明之理。人の形をした人形を使って人手を補っても、それを操るのは私一人では結局変わらない。
だからこその保険であり最終防衛線。使わないに越したことはないけど、いざってときに欲しい手であることに変わりはない。時間が経てば常駐部隊にウサギが来たり、迷惑キツネが来たりするけど、使い勝手がいいのは文字通り「便利屋」に他ならない。
「そのくらいなら全然いいけど…」
「そ?それなら良かったぁ~!君らみたいな凄腕のアウトローに目を付けたあーしってばやっぱ天才なんじゃない?自分の才能が怖いわぁ~!あ、依頼料だけど、君らこれから契約解除まで日数かかる依頼は受けられなくなっちゃうからそれも加味して1月あたり500でどう?呼び出したら都度300、先生を守ったら3000出すし!」
「舐めないで頂戴。そんな子供のお小遣いで―――」
「えー?足りないって言うワケ?がめついなぁ…じゃあ1月あたり900万でどう?」
「―――足りるわけ…万!?」
「うっさ」
「どどどどこからそんな大金が出てくるのよ!?円じゃなく”万”円!?藤城アヤ、見損なったわ!そんな汚れた金で…!」
「いやいや、ちゃんとあーしが稼いだ金だし!特許とかで結構お金あるし?人の話も聞かないで勝手に決めつけるのって酷くない?」
「う…ごめんなさい…」
まぁ、普通そう思うよね。こんな中等部の餓鬼が有名人でもないのに金持ちだなんて言われても俄かには信じられない。でも資産が潤沢なのは本当で、私の武装のためにお金がかかることを見越して準備期間中に相当な量ため込んでいる。まぁ、元手はセイアさんのお小遣いだったりするけど。
尚余談だけど、私を裏路地で拾ったセイアさんが私に使ったお金は5倍にして返している。
彼女からすれば、野良猫に気まぐれを起こしてエサを与えたに過ぎないかもしれないけど、専属メイドを契約できただけでなく金の生る木としても優秀で、良い拾い物をしただの、未来予知による慧眼だの、浮浪者ガチャ成功だのいろいろ言われている。
閑話休題
「それで?返事は?それともまだ足りないってワケ?いくらなら―――」
「足りる、足りすぎるから!寧ろやめて、それ以上上げないで!」
「わー、すっごい金額提示してきたね~?ここまで大きい金額で依頼してきたのって初めてなんじゃない?そしてそれにビビってるのも最高にアルちゃんって感じがして面白いよね!」
「わ、私はアル様についていきますから…!」
「本人的には笑い事じゃないと思うけど…そんな大金出してあんたは大丈夫な訳…?いや此方としてはありがたいけどさ」
「無問題☆どうせ使いきれないし、札束で人の顔引っぱたくのが好きなあーしとしてわぁ、趣味も合わさって最高だし?」
「途端にクズに見えてきたせいで、依頼が心配になってきた…」
「ええー?マジ酷くない?まぁそれはいいとして、一応シャーレの部員にはなっておいてほしーんですケド。あーしか先生の要求時に限り、他学区で指名手配されててもしょっ引かれることはないから!あ、これ記入用紙ね?それと前金400渡しておくね?カヨコさんの口座に振り込んだから確認してほしーんですけど」
「うわ、本当に入ってる…」
流石に現金でそこまでの大金は持ち歩いていないので、私のスマホからポチポチと調べ物をするくらいの気軽さで口座が無事なはずのカヨコさんの口座に振り込む。それに対し、中々見ることの無い口座の残高にドン引きのカヨコさん。だってしょうがないでしょ、君らの社長の口座使えないんだし、お金の管理できそうなのは君なんだから。今後もポコポコ振り込むからよろしく!
「さて、あんまり長居して邪魔してもアレだし、あーしはそろそろ帰んね。あ、次の事務所の場所決まったら教えてよね、また遊びにでも行くからさぁ」
「え?ええ、まぁ構わないけれど…貴女はこれからどうするの?」
「その辺適当にぶらついてから帰るよ?言ったっしょ?あーしは今
最後にそう別れを告げて、事務所を後にする。元々引っ越しの最中に邪魔したから、次来るときはここはもぬけの殻だろうね。前金も渡したから公園が事務所だなんていうことにはならないと思うけど、果たしてどこに居を構えるのやら。願わくばホルスと喧嘩しないことを祈ろう。
その後、私は一人自室に戻り、装備の点検補充を済ませてからシャーレのオフィスに戻り、仕事を終わらせ夜を明かした。凡そアビドスで今回の事について話し合いが行われている筈だけど、情報量が少ないからすぐ解散になっている筈。だから1日放置して、各々イベントを進めてもらおうと思う。どうせ今回もカイザー何某が悪いんだろうし、私にとっては聞くだけで眠くなる話だ。
それでも先生の死因に絶対ならないとは言いにくいし、警戒はする。だからこそ話し合いには参加するし、都度対策も考える。お願いだから今回も何事もなく決着つけてよね。
―――あなたが血の海に沈むのは、何度見ても気持ちのいい物じゃないから。