こんばんは、先生!今日も絶賛あなたの隣に這い寄る超絶美少女メイドのアヤちゃんだぁよ☆
あん?世界はチョー朝だから本当はおはようございますだ、この野郎。徹夜してるんじゃねぇ糞ボケ先生。私も人のこと言えないけどね!
なんて先生が夜中、生徒には決して見せられないよ!なゲームして夜更かししてた話はどうでもよくて。いやどうでもよくないわやっぱ。セーブデータ全部消すね?後日先生は泣いた。
先生へのお仕置をひそかに執行したのでやってきました、アビドス。場所はブラックマーケットでござい。
ブラックマーケットにいる理由?それはカヨコさんに頑張ってもらって、便利屋にハウスしてもらった後に会議しまして。
そしたらアヤネさんが目ざとく色々な事に気が付いたものですから、武器の不正流通ならここっしょ!ってことで証拠をつかみに来た次第。ま、いつもどーりだね、ここは。
そんで目の前には、キモい鳥のバックを背負った自称平凡が不良に追われて、走ってきてます。
「わわっ、そこどいてくださいー!」
「わゔっ…」
走ってきた友達ごっこさんと、避けきれなかったシロコっさんがぶつかり、倒れこむ二人。
幸いどちらも怪我はなく、すぐに起き上がる。
「わぁ、お二人とも大丈夫ですかー?」
「ご、ごめんなさい!怪我とかありませんか!?」
「ん…私は大丈夫だけどそっちは…大丈夫じゃなさそうだね」
起き上がってすぐに、ぶつかってきたヒフミンではなく追跡者の不良を睨みつけるシロコっさん。
そう、この自称平凡な生徒。阿慈谷ヒフミは自身ではどこにでもいるごく普通の生徒とのたまっておきながら、ナチュラルに問題行動をして周囲を驚かせる問題児。
そのくせ、ティーパーティーのナギサからの信頼は厚く、下手に常識を持っているために面倒くさい相手だった。
最初の頃は何度ペロペロ様の地雷を踏んで泣いたことか。絶対に許さないぞ陸八魔アル。
そうこうしていると追いかけてきた頭の悪そうなのが、ペロキチだけでなくアビドスの面々にも因縁をつけ始める。人数差あるのに因縁付けるなんて気合入ってるじゃん。普段なら評価してぶん殴るところだけど、今は時間管理あるから普通に処すね♡
「なんだてめぇら!そいつの仲間かぁ?そうじゃないならどけ、うちらはそこのトリニティ生に用がある」
「わ、私の方は特に用事は無いのですけど…ってあれ?そこにいるのはセイア様の付き人のアヤさんじゃないですか?」
「あぁ?付き人だぁ?…ってなるとコイツも金になりそうだなぁ!」
このアマ、ナチュラルに私の身分ばらして被害分散を図ってきたんですけど!確かに普段からティーパーティーのお茶会の席に招待されていて、そこそこの顔なじみになっているけど、こうも易々と身代わりにされるとは思わなかった…。身の安全を図るためならば平然と身内をも売り飛ばす。恐れ入った。これが本当のアウトローってやつだよ、社長ちゃんや…。いやこれはただの外道か。
「ご無沙汰しております。お元気そうなお顔を拝見でき、何よりでございます」
「付き人を離れたとは聞いていましたが、こんなところで合うなんて奇遇ですね!もしやアヤさんもペロロ様を?」
「おい、何シカトして感動の再開に花咲かせてんだ」
「少しうるさいので…貴女のために、折るね♡」
「ぐぼぉ」
このままウザ絡みされても面倒なだけで進まないので、勇気あるアホをバレないよう華麗に殴り倒す。
ふふ、恐ろしく速いグーパン。ホシノさんじゃなきゃ見逃しちゃうね。
何をしたか分からないって顔をシロコっさんがしてるけど、今のが見えないようじゃ私と戦うのは夢のまた夢だよん?精進してね?
「え?あれ、アヤさん何かしました?」
「いいえ、わたくしは何も。そこにいる我らが大将の先生殿が見かねて、最終奥義の煉獄無〇爆熱波動砲を放っただけでございます」
”え…何それ知らん…こわぁ…”
「そ、そうなんですね!とにかく助けていただきありがとうございました!ここで捕まって学園に迷惑をかけるわけにいかないので…あっ、アヤさんも出来れば私がここに居たことは内密にしていただけると…」
「えー、どうしちゃおっかなぁー!あーしはぁ、元とは言えホストの付き人なんですけどぉ?つまり言う事聞かせるには高くつくのわかってるわけぇー?」
「え、えぇ!」
「クズだ…クズがいるわ…」
おやおやアビドスのかわいい子猫ちゃんや。どうしてそう思うんだい??人を縛るには2つしかこの世にはないのよ?それは愛と金だぁ!!ふへへ、キモい鳥のアイテム手に入れるためにお金持ってるんだろう?ちょっとジャンプしてごらん?へっへっへ。
なんて言うのは冗談で、流石にこのペロキチからカツアゲはできないので、ここは穏便に行こうと思います。
「って言うのも可哀想だし?代わりにと言っては何だけど、この辺ちょっと案内してほしーなー?どーせヒフミさんの事だから詳しいんでしょ、この辺」
「そ、それくらいの事で黙っていて貰えるのであれば…って言うかバレてたんですか!?」
”なんだろう、ただの交渉のはずなのにイケナイ場面に出くわしてるように感じるよ”
「はぁー?あーしの寛大で完璧で可憐な美少女交渉術にケチるける訳―?よし怒った。先生の小学校の頃の卒業文、シャーレの公式掲示板に貼っておくね」
”なんて地味な嫌がらせを思いつくんだ!?”
「交渉術に美少女関係なくない…?って突っ込んだら負けかなぁ~…?」
「先輩、それもうツッコんでる、ツッコんでるから」
そんなこんなでわちゃわちゃしながら、先生と愉快な仲間たちにヒフミさんを加えてブラックマーケットを歩くことになった。尚この間にしっかりと互いに自己紹介を済ませ、ヒフミはアヤの豹変ぶりに驚きつつも、学園に黙っておくという条件で案内を受け持つのだった。
まぁ、私が言わなくてもどーせバレるんですけどね♡
「よろしくねー、ところでヒフミちゃん、だっけ?そこのメイドさんと同じトリニティの生徒なんでしょー?そんないいとこのお嬢様がこんなところで何を探してたのかなー?」
「アヤさんと同じ、ですか?アヤさんはトリニティの生徒さんではないはずですが…」
「え、おじさん初耳なんだけど?」
「きゃはー!バレちゃった!あーしってば超天才だから?実は連邦生徒会所属の生徒でーす!どう?尊敬した?羨望した?アヤちゃんの完璧最強っぷりに恐れ戦き平伏して?愚民ども!」
”そうゆうところが無ければ割と優秀なのは認めるんだけどなぁ…”
「え、先生まじなの?冗談じゃなく?うっわ、連邦生徒会ってこんなのでも入れるんだ…」
「言葉のナイフが鋭くない?」
なんかセリカさんの私への扱いに鋭さを感じるんですけど?濡れたオブラートよりも脆い私のハートが傷つきそう。は?数々のループを経て濡れたトイレットペーパーくらいには耐久力進化したんですけど?褒めて?褒めたたえて甘やかしてよ。なんて、もう沢山死なせちゃったから破れる紙も残ってないんですけど?はぁ。
なんてセルフ自虐をしていると話が勝手に進んでいく。
「さっきの質問ですが、ちょっと探し物がありまして…すでに販売が終了していて入手が困難なのでここなら…と思ったんです」
「もしかして:戦車」
「違法な火器とか~?」
「化学兵器ですね!」
何この人たち。探し物って言ったらまずそれなの?殺意高いって。頭アビドスかな?アビドスだったわゴメン。ここには頭がどうかしちゃった生徒しかいないわけ?勿論私を除いてね!
「違いますよ!?えっとですね、私の探し物というのはペロロ様の限定グッズなんです」
「ペロロサマ?」
「はい!これなんですけど…」
そう言ってヒフミさんは例の個性的な…独特なデザインの…名状しがたい……いやハッキリ言うね。くそキモの目がキマった鳥のグッズを取り出して、それを嬉々として見せびらかす。
しかしやはりというか、現物を見せられてもあまりピンと来ている生徒は少なく、頭上にハテナだけが浮かぶ。
勿論だけど私は知っている。理由は簡単、何度も地雷を踏んだからね。なんど名前を呼び間違えて4時間コースの布教活動という名のお説教を食らった事か…。今思い出しても背筋に冷たいものが走っちゃう。
だからこそこうゆう時の安全な対処法も確立していたりする。この場合においての最適解は―――
”あれ?アヤの方から寄ってくるなんて珍しいね。明日は槍でも降るのかな?”
「ひどー。まじありえないんですけど。こんな可愛らしいメイドさんが近くにすり寄ってきたら普通鼻の下伸ばして喜ぶもんっしょ?」
そう、見える地雷原にはそもそも踏み込まない。ここはある程度モモフレンズに造詣の深いノノミさんに丸投げして、万が一にも飛び火しないよう先生の陰に隠れるのが、数多のループで得た最適解。代わりに先生には胡散な目で見られて少し腹が立ったけど寛大な心で許した。
最初の頃は鼻の下伸ばして喜んでたのに、なんかムカつく…。
そうこうしてペロロ警報から避難していると、先ほどの勇敢な人攫いの仲間たちがぞろぞろと現れる。今度は多少頭を使ったのか、それとも頭の悪い不良の習性かは不明であるが、それなりの人数をそろえてお礼参りに来たようだった。
しかしここに揃うは百戦錬磨のアビドス組に、一騎当千の小鳥遊ホシノがいる。そのためちょっとやそっとの人数では相手にすらならず、先生の指揮も合わさって一方的な蹂躙で片付いてしまった。
勿論この戦闘にアヤは参加などせずに、隅っこでスマホゲームのデイリーを消化してサボっていた。理由はアヤにとって参加する理由も薄い上、こうも建物が多くては
―――事実サボっていることに違いは無いのだが。
そしてそのままの流れで、マーケットガードの出現を嫌ったヒフミの先導により、張り倒した不良生徒をその辺に転がしてその場からの逃走を図るのだった。
◆
「へ、へへ…これ、お詫びのたい焼きですぅ…あーしの驕りなんで遠慮しないでくだせぇ…」
「いやぁ、悪いねー。ちょうど甘いものが欲しかったんだよねー」
「ん、くるしゅーない」
逃げた先でその暴力的な香りに誘われた私たちは、休憩がてらお腹を空かせるその元凶である鯛焼きを食べて少しの間休憩していた。
その際、ピンクのおじさんに先ほどまでサボっていたことを遠回しに突かれ、恐怖の笑顔で半ば強制的にパシらされたアヤだったが、この後使用するであろうキーアイテムのため文句も言わず、人数分の鯛焼きを購入し、ボスたるホシノに媚を売りまくっていた。
…ボコられたことがない人には分からんのだ。ホルスのハイライトのない笑顔は。
「先生殿も指揮でお疲れでしょう…ここはひとつアヤちゃんの愛情が籠った糖分を取って回復して?えへへ…お礼はいりませんよ!」
”キャラが迷子だしサボらなければこんな事には……って辛ぁぁぁ!!??”
鯛焼きを受け取って礼を言うとそのまますぐに齧り出した先生。口ではあーだこーだ言っても、上の口は正直なようで脳は糖分を求めて咀嚼していた。…たっぷりの
ただ驕るのも面白くないので、皆からは見えない位置で一番下の鯛焼きにからしチューブを入れられるだけ入れておいた。それを疑う事無く大口で頬張った先生は案の定涙目でむせ返り、水を探して手を彷徨わせる。
”げほっごっほ!!辛!!何入れたの!?”
「え、愛情という名のからしチューブだけですけど~?もしかして先生生徒の愛情を受け取れないなんて言うかんじ~?」
「うわぁ、中々に邪悪な事するね~。アヤちゃん、食べ物で遊んじゃダメだよ~?」
「む、それはその通り?じゃあ先生の食べかけのアヤちゃん特性愛情たっぷりからし入り鯛焼きはあーしが貰うね。代わりにまだ口付けてないあーしのあげる~」
”えっ、あ、ちょ…”
水を飲んで涙目で苦しみに喘ぐ先生の手から食べかけの鯛焼きをかっぱらって、大口を開けて一息に詰め込む。それを見て少し心配そうに見る先生だったが、私は問題なく咀嚼して飲み込む。
何の問題もないというように笑って口を開けて見せると、今度は生徒たちのテンションが高い事に気が付く。
「…辛くないの?それと…」
「か、間接キス……!ま、真昼間から何やってるわけ!?」
「わぁ~、なんだか大人の階段を見せつけられている気分ですね~?」
「今の若い子は進んでるねぇ~。おじさんそうゆうのに現を抜かす歳じゃなくなっちゃったから羨ましいなぁ~」
「はわわ…な、なんだかえっちです…」
いかにも女子高生らしい反応を見せる少女たちを見て、先ほど自分がやった事を人の常識に当てはめて考える。ああ、確かに少し破廉恥だと思い至るが恐らく先ほどの辛さでは食べることは出来なかっただろうし、ホシノさんの言う通り食べ物を無駄にするつもりは毛頭ない。私はあくまでも彼にこの世界で生きることを絶望してほしくないだけで、苦しめる意図も悲しませる意思もないのだ。もちろん屋台をやっていた鯛焼き屋のおっちゃんを貶すつもりもない。
勘違いされがちだが、いくらナノマシンの集合体の機械仕掛けのボディとはいえ、元は実用直前まで行った王女の正規品ともいえるパーツだ。それこそ無駄に精巧にできているせいで痛覚もあれば味覚などの五感もしっかり備わっている。意図しない損傷では血も出るし。
だから先ほどの食べ物は確かに辛いと感じるし、先生では辛いだろうというのは理解している。
だが私は既に人でも神でもない身。寧ろ長くこの世界にいるせいで精神は人に寄ってしまった。
そのせいで何もかもが擦り切れてしまった。本来は擦り切れる精神や感情など持ち合わせてはいないはずなのに。
なんて癖になりつつある自虐に凹んでいると、近くの銀行で普段集金に来ている現金輸送車を発見してしまい、憤るアビドスの面々が視界に入る。
「じゃあ何?私達は犯罪資金を提供してたっと事になるわけ!?」
『まだ確定したわけでは…証拠が足りませんし、目撃しただけでは糾弾も出来ません…』
「証拠…先ほどサインしていた集金確認の書類……それを手にすることが出来れば証拠になりませんか?」
「おぉ~、ナイスアイデアだねー。流石ヒフミちゃん」
「でもその書類は銀行の中でしょ?証拠にはなりそうだけど無理じゃない?」
「ホシノ先輩。やろう。ここはあの方法しか」
「えぇー、あれー?あれかぁー。あれしかないのかー」
「うそ、冗談でしょ?……本気!?」
「あ、あの、話が見えないんですが…」
うん?人知れずネガティブになってたら大分話が進んでる。
欲しい証拠はガードの堅い銀行の中。それを手にして不正の証拠を暴きたいキヴォトスでも比較的頭のネジが飛んだ野生児たちと、トリニティの裏番長。ここから導き出される答えは―――
「残された方法はたった一つ」
「銀行を襲う」
「へっ!?」
「だよねぇ、それしかないなら仕方ないよねー」
「悪いことしてるならしょうがないですよね!やっつけちゃいましょう☆」
「あー、もう!やるなら徹底的にやるわよ!」
「そんなノリで襲っちゃうんですか!?せ、先生止めなくていいんでしょうか!?」
”うーん…いち教師としては止めなきゃなんだけど…うん、しょうがない!見なかった事にはできないから、先生として…責任は最後まで果たすよ!”
「先公…やるんだな!?今……ここで!!」
はい、始まりましたシロコっさんの趣味!いや、やるのは一応これっきりだけど。
徐にどこからか取り出したかもわからない、目出し帽を被ると楽しそうに作戦を立て始めるアビドスの面々。
いつも思うんだけど、シロッコっさんが目出し帽を常備してるのはよく分かる…スゲーよく分かる…やりたいって言って提案した張本人だからなぁ…。
だが!その提案を否定した他の面々が自分専用の目出し帽を常備してるってのは、どうゆうことだああー!?ご丁寧に番号まで振りやがって、くそがぁ!
そして先生もノリいいね。そうゆう先生は好きだよー?あ、異性としてではなく人としてって意味ね!か、勘違いしないでくれる!?あ、先生は外待機するとはいえ念のためにサングラスとマスクと帽子あげる♡これであなたも不審者だね☆私?いつだったか本気でワカモさんからぶんどった狐面付けますので!これで何かあったら責任は災厄の狐さんの所に行くってすんぽーよ!
「と、止める人が居ません…!?先生にアヤさんまで…あぅ…」
「ごめん、ヒフミの分まで用意してない…」
「うへー、もしこれでバレたらトリニティのせいって事になっちゃうね?」
キミらナチュラルに外道なことするじゃん?流石に可哀想なので助けてあげよう。
先ほど買った鯛焼きの袋を使って目の部分だけ切り取ってから番号を振る。それを彼女に渡すと泣きながら喜んでくれた。どうやら本気でティーパーティーにバレたくないらしいね。無駄だけど。
「気休めだけどこれあげる~破れやすいから気を付けてねぇ?」
「あ、ありがとうございますぅ…!」
「ん、かんぺき~☆」
「見た目はラスボスそのものだね~。なんて言うか親分って感じだねー」
「あうぅ…こうなりゃヤケです!先生!」
”うん!じゃあ…銀行を襲うよ!”
かくして私たちは証拠を手に入れるために、闇銀行を襲うのだった。遠足気分で。
本来なら主人公ちゃんはワカモに勝てません。本来なら。